KURAU Phantom Memory ~感想~

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<スタッフ>
原作:BONES  監督:入江泰浩  シリーズ構成:吉永亜矢  キャラクターデザイン:尾崎智美  メカニックデザイン:鈴木雅久  セットデザイン:武半慎吾  音楽:勝木ゆかり  アニメーション制作:ボンズ <キャスト>
クラウ:川澄綾子  クリスマス:小林美佐  王:古澤徹  天箕博士:小形満  ダグ:志村知幸  アヤカ:甲斐田裕子


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1st Reaction 広い世界へ・・・ (2004/6/24) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ・演出:入江泰浩  作画監督:伊藤岳史  メカ作画監督:ねこまたや  私はNewtypeを愛読してますけど、Newtypeは特にこの作品に力を入れているようで、自分の期待もそれにつられて高くなってました。「何だか凄そうだぞ」と...  早速第1話の感想ですが、まずは光を多用した美しい映像と演出に心を奪われました。確かにボンズ作品ということもあって映像のクオリティについては全く心配していなかったですけど、TVアニメもここまで来たのかと思わず感心してしまいました。例えば緻密さという点では、LAST EXILE等過去にも素晴らしい作品があったけれど、純粋な美しさという点でここまでの作品は無かったのではないでしょうか。最初は本当にアニメ映画を観ているような気持ちにすらなりましたよ。  次に声オタとしての感想ですが、クラウとリナクスを見事に演じ分ける川澄綾子に素直に脱帽です。彼女、可愛い女の子を演じさせてもそれなりにいい演技をするけれど、やはり彼女の適性はそれとは違うと思うのよね。上手く表現できないんだけど、例えば「どこにでもいるような女性」が彼女には合っているような気がします。  ストーリー面も初回としては単なる作品紹介にとどまらず、過去の経緯から現在のクラウの姿までを一通り描いていてよかった。それも詰め込み過ぎという印象を受けなかったのは、やはり語り口が上手い証拠なのでしょう。特にリナクスとなってしまったクラウに対する天箕博士の想いの複雑さは胸打たれました。そしてリナクスになって以来10年の時を経て、ようやく自分の対となるクリスマスと出会ったクラウの今後にも興味は尽きません。

2nd Reaction なにか、いい言葉 (2004/7/1) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:入江泰浩  演出:阿保孝雄  作画監督:児山昌弘  メカ作画監督:ねこまたや  クラウとクリスマスは本当の姉妹のように仲が良い。それはリナクスであるお互いの存在が「対」であることを考慮すれば、当然のことと言えるかもしれないし、、「血の繋がった姉妹」というものとはもっと別次元にある、しかし同じように本質的なものにも感じられる。  クラウと比較して、この世界では完全に子供であるはずのクリスマス。だが初めて作った料理は激ウマ、加えて懐かしい味がするとクラウは言った。リナクスの力を持つクラウをマークするGPOなる組織がクラウの父、天箕博士に接近する。  かつてリナクス体の実験台として苦しむクラウを助けようとした天箕博士は、リナクスの力を発動させたクラウによって、その左腕を無くした。お互い大きな心の傷を残しながらも、父は優しく微笑みかけ、そしてクラウを護るために二人は別れた。だがGPOはそんな二人の想いとは裏腹に、リナクス体であるクラウの存在をかぎつけてしまった。  2話まで観てきましたが、この作品はスゲーかも。とにかく画面の隅から隅まで抜群の心地よさを感じるんだよね。この先の展開が本当に楽しみです。

3rd Reaction 追う者たち (2004/7/8) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:入江泰浩  演出:太田雅彦  作画監督:堀川耕一  メカ作画監督:ねこまたや  クラウもクリスマスも、エージェント・ダグのマーキングに遭っていることを知らない。しかし写真立の裏にあからさまに見える形で隠しマイクを仕掛けた彼にも、意外に抜けたところがあるような気がするね。  今週の宇宙船漂流事故、そして必死になってパイロットを救出するクラウを見ると、あのプラネテスと重なるものがありました。だがそれ以上に鮮烈な印象を残したのは、宇宙船を強引に捻じ曲げたクラウの力だった。そしてその力を我が物にしようとするGPOが二人の住む家に乗り込んできた。とりあえずはリナクスの力で逃げ出すことができた二人だが、これからの長い戦いを予感せずにはいられない。

4th Reaction 夜を越えて (2004/7/22) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:武井良幸  演出:平田豊  作画監督:小森高博  メカ作画監督:ねこまたや、神戸洋行  美術品窃盗団との戦いで、クラウの身体に異常が発生。何とかチンピラたちを撃退したものの、自宅に辿り付いたクラウは深く傷ついていた。クラウが仕事に出て行った後、一人自宅に残されたクリスマスは不安を募らせクラウの名前をうわごとのように呼んでいた。もしかしたらクリスマスの不安が、クラウの異常につながっているのかもしれない。  私はクラウの能力について大きな勘違いをしていた。リナクスの能力を身に付けているクラウは、それこそ無敵のヒロインだと。だがそうではない。殴られれば彼女だって傷つく。そして銃で打たれればタダでは済まない。リナサピエンであろうと、普通の人間と変わらない部分も多いのだ。そして今週の展開を観る限り、今後クラウがその能力の代償に払わなければならないものは、少なくないように思えてならない。  そんなリナクスの能力を持ったクラウについて、GPOは以前からかなり正確な情報を掴んでいるようだ。今週はダグとアヤカが元上司と部下だったことが明らかになったが、これにより来週以降の展開は更に複雑さを増しそうだ。

5th Reaction 迷い子 (2004/7/29) 脚本:玉井☆豪  絵コンテ:入江泰浩  演出:阿保孝雄  作画監督:伊藤岳史  メカ作画監督:ねこまたや、神戸洋行   傷ついたクラウの苦しみを少しでも和らげようと必死になるクリスマスと、クリスマスが一人でおつかいに出たことを責めるクラウ。二人がお互いを想う気持ちはとても純粋だが、その強さ故お互いを傷つけてしまうこともまた、人間の心をもった者ならば仕方が無いことなのかもしれない。だが二人の絆は少々のすれ違いでは切れてしまうことは無いことも、お互いの額を近づけ合ったシーンで思い知らされた今週でした。  一方、リナクスの力については謎が深まった。先週クラウの身体から発せられた光が乗り移った機体が、自らの対を求めて暴走する。この機体と搭乗者が、クラウの光を吸収したことによってリナクス体として融合したのだ。彼の対を求める行動は即ち、クリスマスを追うことだった。  この展開を見ると、クラウのリナクスが能力もろとも乗り移ったようにも思えるが、どうやらそうではなくクラウを媒介して出現した別の存在のようだ。そういえば光がクラウの身体に(正確にはクラウの身体を通して元の場所に)戻ってゆく前にも、クラウは壁をすり抜けるリナクスの能力を保持していた。今週のラストにはリナクス捕獲装置なる物騒な機械が出てきたこともあり、今後はクラウ以外の複数のリナサピエンが出現する展開がありそうです。

6th Reaction 光る雨 (2004/8/5) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:武井良幸  演出:北村真咲  作画監督:佐々木敦子  メカ作画監督:ねこまたや  クラウはすっかり元気を取り戻し、今週もクリスマスのミニスカは健在。正に良いことずくめ(笑)。そういえばどこかのサイト様が指摘されたことなんですけど、クリスマスのフトモモはホントにエロい。そして微妙な腰の横揺れを伴う彼女の歩き方も印象的。個性的な彼女のキャラクターは、オレの記憶に長く残りそうな気がします。  キャラダインの裏切りにより、GPOのワナにまんまとハマってしまったクラウ。先週出てきたリナクス捕獲装置ARシステムが早くも実戦投入され、クラウの動きが止められてしまう。だがクラウはすぐに動きを取り戻し、強引にシールドの壁をこじ開ける。彼女のリナサピエンとしての能力は、アヤカたちGPOの想像をはるかに越えていた。  クラウはGPOに空中戦を挑むが彼女がこの場所に来る前、これまで当たり前のように使ってきたリナクスの能力を使わないことをクリスマスに誓っていた(と推測される)。それ故彼女は戦闘途中でGPOの前から姿を消し、クリスマスの元へ帰ってゆく。  だが二人が向かい合ったその時、クラウから強烈な光が発せられ、そしてその光がクリスマスの胸に飛び込んでゆく。もう何が何やらさっぱりの展開だが(苦笑)、クリスマスがクラウを守りたいと思う気持ちが更に強くなったこと、それだけは確かだ。

7th Reaction 新しい暮らし (2004/8/12) 脚本:玉井☆豪  絵コンテ:寺東克己  演出:鳥羽聡  作画監督:二宮常雄  メカ作画監督:神戸洋行  作画監督協力:石田可奈  突然ですが、OPのCD買いました。過去にアニメのテーマソングになった新井さんの曲といえば、ノワール、アウトロースター、あやつり左近等、全てがエンディング曲で、今回はたぶん初のオープニングテーマ。独特の世界観が確立された彼女の曲こそこの作品のOPに相応しい事実は、この作品が彼女の曲と同じく素晴らしい世界観を持つ証拠ですね。  本編、早速ですがクラウ&クリスマスのウェイトレス姿キターーッ。仕事を真剣に、そして笑顔でこなすクリスマスは正にウェイトレスがピッタリ。しかし今週はそんな彼女のカワイイ姿以上に、彼女の「赤ちゃん欲しい」発言に撃沈しちゃったワタクシなのでした。  一方、新たな生活の中で多くの人々と触れ合うことで、番組開始当初はキツい表情ばかりだったクラウの表情も様々な変化を見せるようになった。そのことをクリスマスもダグも、大きな喜びとして感じていたに違いない。だが彼女たちを執拗にマークしつづけるGPOによって、またしても彼女たちの静かな暮らしは壊されてしまうのか。

8th Reaction もうひとつのクリスマス (2004/8/19) 脚本:鈴木やすゆき  絵コンテ:入江泰浩  演出:武井良幸  作画監督:児山昌弘  メカ作画監督:ねこまたや  作画監督協力:伊藤岳史、佐々木敦子  ウェイトレスの仕事もすっかりと板についたクリスマス、お水とウオッカを間違えてしまうのはご愛嬌(笑)。一方のクラウは完全サボリモードでその差歴然だが、チームドクロのクルーにウオッカを飲ませてしまったクリスマスの借りを返すため、ポッドバドルに出場することに。  アヤカにとって、クリスマスというのは悪夢でしかなかった。14年前のクリスマスイブの夜、一家団欒で楽しんでいた彼女の家族を襲った突然の悲劇。アヤカの父ジョン・スタイガーは警視長官だったが、彼の命が狙われ家族もろとも殺されてしまったのだ。だが、雪を見るため偶然外に出ていた彼女だけが助かった。そんな彼女が現在GPOに在籍する理由、それは父を殺されたことに対する復讐と切り離すことはできないと思う。しかしアヤカがクラウに対して感情的になる理由については、今回見つけることができなかった。  ポッドバトルはクラウの反則負けで終了。だがこんな幸せもやはりつかの間のものだった。アヤカたちGPOが早くもクラウたちの居場所を突き止め、追ってきたのだ。アヤカの姿を見つけたダグはすぐさまクラウたちに知らせるが、既にクラウたちはレストランから去っていた。

9th Reaction 天使が消えた街 (2004/8/26) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:須永司  演出・作画監督:森山雄治  メカ作画監督:神戸洋行  作画監督協力:伊藤岳史  クラウとクリスマスは飛行機でLos Angelesへ脱出した。街中に降り立った二人を、リナクスの声が呼び寄せる。そしてその声に引き寄せられるように、二人は前に進む。彼女たちは身体で理解していた。自分たちと同じリナクスが呼んでいることを。一方、クラウたちが脱出の手段に使った偽造パス等の手口が甘いと、ダグが彼女たちの後を追う。そして更にアヤカたちGPOがクラウやダグたちの動きを掴んだ。この鬼ゴッコはどこまで続く!?  クラウは立ち入り禁止となっていた建物に侵入する。何とここは「リナクスエナジー発電所」、広い世界へ出ようとするリナクスの力を電気に変えるという、人間の好奇心が支配する場所。クラウが発電炉?に侵入すると、監視モニタが異常な反応を示した。やはりこれは、広い世界へ出ようとするリナクスとクラウが反応(共鳴)した結果なのか。  徐々にクラウに迫るアヤカ。彼女にはクラウを捕まえられるという絶対の自信があるらしいが、その根拠は王にも分からない。一方、ダグの電話に依頼主・天箕博士から電話が入る。博士は月面にある研究所でGPOの監視下に置かれていたが、一瞬の隙を突いてダグに連絡したのだ。娘に危険が迫っていることを察知した博士は、ダグに改めて救いを求めた。だが博士の願いも虚しく、ホテルに宿泊したクラウとクリスマスがついにGPOに捕まってしまった。世界へ出ようとするリナクスたちを助けたいというクリスマスの想いは、果たされずに終わってしまうのか。

10th Reaction 眠り姫 (2004/9/2) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:須永司  演出:佐藤育郎  作画監督:小森高博  メカ作画監督:ねこまたや  作画監督協力:川上哲也、佐々木敦子  GPOに捕らえられ、別々の輸送機で運ばれるクラウとクリスマス。その途上で目覚めたクラウはリナクスの力を全開させ、クリスマスの姿を必死に追った。彼女に対してはARシステムは効かない。だがクラウも力尽き地上に落ちてしまった。クリスマスを奪った敵を心の底から憎む彼女に、リナクスの声が聞こえる。  時を同じくして、あの発電所のリナクスが異常を来たしていた。やはりクラウの身体を媒介として、外の世界に出ようとしているのか。苦しむクラウをダグが助けたのは幸運だったが、クラウの苦悶の表情にダグも顔を曇らせ、「しっかりしろ」と激を飛ばす。  アヤカの追跡からダグ&クラウは必死に逃れようとする。地下鉄でつかの間の休息を取るクラウに再び声が聞こえ、その直後、照明が落ち地下鉄が急停止した。その時クラウは大粒の涙を流して、そして言った。「あそこにいたリナクスたちがいっぱい殺された」と。実験などではなく、この街の電力は本当にリナクスエナジーから供給されていたということなのか。ダグはクラウの意識を支え、アヤカの追跡から逃れることに成功した。発電所の異常の原因はリナクスが異常増加し、セーフティシステムによりリナクスを消滅させたため。クラウに聴こえたのは、リナクスたちの「悲鳴」だった。  ダグはクラウの父のことを話す。父・天箕博士はGPOの監視付きで月面でリナクスの研究を続けている。ARシステムを作ったのが父ではないかとクラウは苦々しい表情で予測するが、自分の父親を信じろとダグは反論する。そしてクリスマスも月に運ばれたことを告げる。クラウが次に目指す場所は決まった。  王は天箕博士に捕獲したクリスマスを見せる。ARシステムの照射を受け、クリスマスの意識は戻っていない。彼女を見るなりクラウの名を呼んだ博士だったが、すぐにクラウ本人では無いことを悟る。そして王の言葉からクラウの対であることを理解し、博士は涙を流して許しを乞う。こうなったことは全て自分の責任だと言わんばかりに...

11th Reaction 呼び合う声 (2004/9/9) 脚本:鈴木やすゆき  絵コンテ・演出:北村真咲  作画監督:堀川耕一  メカ作画監督:神戸洋行、ねこまたや  アヤカはクラウが月に来ると確信している。彼女にはリナサピエンの行動が手にとるように分かるというのか。そのクラウはダグから送られたマップに無い施設を見つける。そして施設にGPOがいることを認めると、そこにクリスマスがいると予測しダグの協力無しに単独で侵入を開始した。  施設内部に辿り付いたクラウに、多数のリナクスの声が聴こえる。施設を巡回していたアヤカはクラウの侵入を確認、全力で捕獲するよう指示を出す。兵士に追われ必死に逃亡するクラウは偶然にもアヤカと出会ってしまう。クリスマスの気配が近いことを感じたクラウは兵士を蹴散らし壁を通り抜けようとする。だがこの施設はリナ・サピエンの力を封じ込むための仕掛けが満載。壁を抜けることを諦めたクラウは、全身を光に変えアヤカの追撃を振り切る。しかしついに、施設内の渡り廊下でアヤカと兵士に取り囲まれてしまった。ついにクラウまでもGPOの手中に収まってしまうのか。  だがその時、上空からポッドが乱入。そのパイロットは何とダグだった。機体に乗り込みダグとクラウは脱出を図るがGPOのポッド隊の攻撃で地上に不時着してしまった。アヤカはポッドに対してARシステムの照射を命じる。だがポッドにはダグ一人しか乗っていない。クラウは途中でポッドを降り再び施設に戻っていた。  クリスマスが眠る部屋は、無防備にもドアが開いた。だがクリスマスは見えない壁に囲まれていた。クラウはその壁を必死になってぶち破ろうとする。そしてクラウの声にクリスマスが目覚めた。壁際に手を合わせる二人、だがその直後クラウの身体を四角い壁が取り囲む。そして王警視正と天箕博士が二人の前に現れた。ついに父と娘の再会...  王は二人に言う。この施設に残り、自分に協力して欲しいと。そして彼は絶対に二人を苦しめたりすることはしないと断言する。逃げ惑う生活から解放される、クラウの心は王の言葉を信じかける。だが王の「対」という言葉に天箕博士は反応する。この施設にいる限り二人は実験材料にされてしまう、クリスマスを守れるのはクラウ自身しかいないと博士は言う。その言葉を聞いたクラウの身体から光が放たれ、壁が消えた。そしてクラウはクリスマスを強く抱きしめた。  施設内にダグのポッドが再び侵入し、クラウたちは見事施設を脱出した。王はクラウを捕まえるため、クリスマスを囮にするつもりだったらしい。そしてそんなことは聞いてなかったと、アヤカは彼に冷たく言い放った。クラウ、クリスマス、そして博士は自動車である場所に向かう。博士曰く、そこは唯一彼らが身を隠せる場所だと。  この番組、すごく面白くなってきたよホント。来週も超楽しみです。

12th Reaction いまここにいる (2004/9/16) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:入江泰浩  演出:中川聡  作画監督:佐々木敦子、金一倍  メカ作画監督:ねこまたや  アヤカの前に、手錠をハメられたダグが現れた。アヤカは彼に、クラウとクリスマスの何を知っているのかと聞くと、ダグは同じセリフをアヤカに返す。ダグはアヤカの知らないクラウを、たくさん知っている。  クラウたちが向かったのはある施設、そこでクラウたちは2年前に月で起こったリナクス事故の被災者に出会う。彼らの体の一部は、リナクスに犯され光っている。だが彼らは天箕博士に恨みを持っておらず、その矛先は事故の情報隠蔽のため彼らを幽閉し、更に彼らを実験材料のように扱ったGPOに向かっていた。力が憎いのか?そのダグの問いにアヤカはただ黙ったまま。  施設に入ったときからかすかにリナクスの気配を感じていたクラウ、だが被災者から感じられたそれはリナクス本体ではなく、リナクスの足跡だと言う。続けてクラウたちは、身体全体がリナクスに犯された女性・ミドリの元を訪れる。クリスマスはリナクスが彼女の身体を壊したことに涙した。ミドリの婚約者・坂本に殴られる天箕博士、彼は患者たちの身体に宿ったリナクスを抑えるためにARシステムを作った。だがそれが自分の娘を苦しめることになるとは、運命のいたずらとしか言いようがない。  自分の罪を悔やむ博士の前で、クラウは自分ならば患者たちを助けることができると言う。それは即ち、リナクスたちを彼女の力で元の世界に戻してやることだ。言葉通りリナクスに犯された患者の腕は、クラウの力で見事に蘇った。だが直後、クラウは床に倒れてしまった。  しばらくしてクラウはベッドの上で目覚めた。クラウを心配そうに見つめる天箕博士に、彼女は言う。対であるクリスマスの力を使えば、自分の身体を父に返すという父との約束を果たせる、と。だが同時に彼女は迷っていた。自分がリナクスの世界に帰ったとき、クリスマスは一人ぼっちになってしまうことに。泣きじゃくる娘を天箕博士は抱きしめ、そして必ず二人が離れ離れにならずに済む方法を絶対に見つけると言う。そして成長したクラウに逢えてうれしいと素直に言った。クリスマスはこの光景を、ドアの陰からじっと見つめていた。  クラウとクリスマスは、二人で一緒に地球を眺めていた。クラウは父・天箕博士に協力し、患者やGPOに捕まった人々を救うことを決意していた。クリスマスもクラウを手伝うと宣言、二人は額を合わせて笑い合った。クラウは施設の患者たちの身体を次々と治して行く。そして一度は坂本に拒否されたミドリの治療に臨む。だが全身がリナクス化したミドリの治療は容易ではない。そして坂本はGPOにマークされており、アヤカは施設に向かう。  だがその夜、ミドリは坂本に最後の言葉を告げ光となって消えた。クラウとクリスマスが駆けつけたときには、もう遅かった。そしてGPOが施設に迫る。天箕博士はクラウとクリスマスに逃げろと言う。またしても引き裂かれた父と娘。施設から発つクラウは、泣きじゃくる坂本にごめんなさいとつぶやいた。

13th Reaction 守るべきもの (2004/9/30) 脚本:鈴木やすゆき  絵コンテ:横山彰利  演出:佐藤育郎  作画監督:伊藤岳史  メカ作画監督:ねこまたや、神戸洋行  作画監督協力:川上哲也  クラウとクリスマスの姿は空港にあった。だがそこには既にGPOの手が回っている。二人が目指すのは地球、クラウと父が別れて初めて暮らした場所。だがGPOの警備のおかげでシャトル便には乗れそうに無い。と、途方にくれる二人の前にホセが現れた。彼は3話での宇宙船事故の際、クラウに命を救われた人物だ。クラウに深い恩義を感じているホセ、彼の操縦する貨物船でクラウは月からの脱出に成功した。  アヤカと王はすぐにこの動きを掴んだ。クラウが天箕博士の娘であることを王が自分に隠していたことに対して、アヤカは相変わらず怒りを感じていた。だが「それは知らなくてもよいことだ」と言う王に、彼女は返す言葉が見付からない。貨物船に近づく大型船、だがこれはGPOではなく海賊船だった。容赦な発砲し、続けて船内に乗り込んでくる海賊たち。ホセたちはあっさりと捕まってしまう。そしてベッドの下に隠れていたクラウとクリスマスもあっさりと見付かってしまった。  ホセのアシスタントをしていたエドはクラウから離れろと叫びながら、海賊のボス・ドッグに銃を向ける。だがその言葉にボスが過剰に反応し、エドは撃たれてしまった。泣き叫ぶクリスマス。そこへアヤカの乗る船がやって来た。海賊は退散、そしてアヤカに見付かるわけにはいかないクラウは海賊船に潜り込むことをホセに告げる。感謝の言葉をホセに送りながらも、二人はエドの亡骸に背を向け去って行く。ホセは二人が去った後、エドの亡骸の前で号泣した。  すすり泣くホセは、アヤカの問いに答えない。どうしてエドが死ななければならなかったのかと言うクリスマスを、クラウはただ抱きしめるしかなかった。GPOの追跡に苛立つドッグはこの窮地を快感に感じている。気に食わないならば仲間すらあっさりと殺すドッグには狂気が宿っている。この状況に本部からある情報を受け取った王はアヤカに撃沈を言い渡す。これではクラウとクリスマスもろとも殺してしまうことになる。そう反発するアヤカに対し、クラウの確保を最優先に考えても良いと王は言う。彼の意図はさっぱりわからない。  海賊の発砲に激怒したアヤカは反撃開始、恐れをなした海賊はドッグ以外逃げてしまう。この乱戦の隙を突き、クラウは脱出艇に辿り着いた。だがクラウの前に仲間の亡骸を腕に抱えたドッグが現れた。死が近いからこそ生きている実感がある、そしてその実感を得るためエドを殺したとドッグは平然と口にする。ドッグの投げた剣がクリスマスを襲う。だがクラウの光がその剣を吸い込んだ。その直後、海賊船は大爆発を起こしドッグの身体は船外へと吹き飛ばされてしまった。  この爆発をただ黙って見つめるアヤカと王。クラウはリナクスの力を使い、船外に出ていた。だがその瞳からは涙があふれている。そのクラウの顔を、クリスマスは両手でそっと抱きしめた。

14th Reaction 昨日・今日・明日 (2004/10/6) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ・演出:阿保孝雄  作画監督:児山昌弘、石田可奈  メカ作画監督:ねこまたや  今週から水曜日に放送日変更となりましたが、とにかくこの秋は放送時間が重なる作品が多くて困るよホント。  リナクスの力を狙う人々からクラウを守るため、父・天箕博士は仕方なく彼女を叔父叔母夫妻に預けた。クラウが叔父フランク・叔母クライネと暮らした山奥に、クリスマスを連れ再びやってきた。久々に口にするクライネのシチューの味、クラウの胸には懐かしさがこみ上げる。  そんな一家団欒の中、クライネが何故クリスマスと名づけたのかをクラウに尋ねると、クラウは胸が温かくなるこの言葉が思い浮かんだからと答えた。クライネとクリスマスはすっかり仲良しになり、そしてフランクはGPOに追われていたクラウの身を気遣いゆっくり休んでほしいと言う。こうしてみると、彼ら4人は本当の家族のようだ。  王警視正から爆発事故のことを伝えられた天箕博士は目を閉じた。だがその直後に自分の娘は既に死んでいたと言い、リナサピエンの救助を改めて決意する。そして捕われの身となっていたダグは机を叩いて激怒し全く信じようとしなかった。クラウの死亡により釈放されたダグは行く道を失い、息子・テディーに電話をかける。ダグは久々に聞く息子の声に涙を止めることができなかった。  クラウは湖のほとりで叔父との思い出に浸る。叔父フランクも元エージェントだったが足を負傷し既に現役を退いていた。そんな二人の絆を深めていたのが、習慣となっていたハイキング。だがあるとき地すべりに巻き込まれそうになった叔父を救助するためリナクスの力を発動させてしまう。叔父は自分を助けるためにリナクスの力を使ったクラウに、大きな力は人を助けることもできると優しく語り掛ける。そしてその言葉にクラウはエージェントになる決心をしたのだ。  初心に帰ったクラウはエージェントの仕事を再開した。もちろん正規の登録などはせず、叔父を仲介とすることでGPOの網にかからないようにするのは当然のことだ。そのGPO、テディーと久々に会ったダグをアヤカがマークしていた。アヤカはクラウが必ずダグとコンタクトを取ると読んでいるのか。一方研究所ではあの市瀬チーフが研究職をリタイヤしていたことを聞きつけた王が、市瀬本人と面会する。何と市瀬の身体はリナサピエンとなっていた。だがその原因を市瀬はひたすら隠そうとする。  エージェント業に復帰したクラウの初仕事は街の祭りの警備。だが仕事に出るクラウを送り届けたクリスマスに事件発生。彼女にリナクス体である謎の少年が近づき、そして彼は言った。「自分の対を見つけた」と。

15th Reaction アゲハ蝶の不安 (2004/10/13) 脚本:吉田伸  絵コンテ:寺東克己  演出・作画監督:栗井重紀  作画監督補佐:愛姫みかん、川筋豊、重松しんいち  我らがクリスマスたんに謎のリナクスの魔の手が迫るこの状況、アゲハ蝶じゃなくても超不安だよーっ。恐怖を感じたクリスマスはすぐさま逃げ出したが、少年はリナクスの力を駆使しクリスマスを追いまわす。どうして逃げるんだとの少年の言葉に、クリスマスは対では無いと再び駆け出す。ヒマそうな表情で祭りの警備をしているクラウには、クリスマスの苦しみは伝わらない。  クリスマスは目の前のバスに乗って逃げる。と、車内にはGPOの人間がいたが気づかれずに済んだ。後方ではヘトヘトになった少年がバスを見つめていた。一方、リナサピエンの確保が済んだ今、王とアヤカの仕事は事務処理ばかり。だがその直後、王はブライトマンなる人物に呼び出される。  ブライトマンは王に月から脱走したリナサピエンの捕獲を命じた。そのリナサピエン・イヴォンこそ、クリスマスを追いまわした少年だ。対を失った彼は新たな対を求め暴走しているとブライトマンは言うが、これでは再びGPOがクラウとクリスマスの身に迫ってしまう。そしてこのイヴォンは2年前の事故で生まれたものではなく、ブライトマンたちが人為的に作り出されたクラウ級のリナサピエンだと言う。王はブライトマンの尻拭いを命じられたわけで、彼の怒りは当然だ。  山道を走るバスの前に、いきなりイヴォンが現れた。車内に侵入したイヴォンは銃を向けたGPOの職員を消し去ってしまう。乗客は逃げ出し、車内に一人となったクリスマスもやはり逃げるしか手段が無い。残されたイヴォンは片方の翼を失ったアゲハ蝶を見る。このアゲハ蝶は正に対を失っている自分そのものだと彼は感じたのだろう。イヴォンはがんばれよと静かに言った。  クリスマスはクラウの元に辿り着いた。直後にイヴォンも追ってきた。クラウはクリスマスを近くの家に隠し、イヴォンを森へと誘い込む。戦いの最中、イヴォンの身体が弱っていることをクラウは理解したが、対を求めるイヴォンは執拗にクラウに攻撃する。二人のリナクスが強い輝きを放ちぶつかり合う。イヴォンは人間の手で呼び出され対を失ったことをクラウは知った。そしてイヴォンは対であるクリスマスと強い絆を築いているクラウに嫉妬し、渾身の一撃を放った。  ぶっとばされたクラウのダメージは大きい。そこに家に隠れていたはずのクリスマスがやってきた。イヴォンは二人に銃を向け対になるようクリスマスに迫る。だがクラウを傷つけたイヴォンの対になることを、クリスマスは涙ながらに拒否した。クラウを失ったら、自分は生きて行けないのだと。その言葉にイヴォンは肩を落とした。対を失うこと、それは即ち生きて行けなくなること。分かっていたはずのその事実を、イヴォンは改めて突きつけられた。  その直後、イヴォンは空中に飛び出し、自分のこめかみを銃で打ち抜いた。衝撃。光となって地上に落ちてゆくイヴォンを、墓参りに来ていた一人の少女がじっと見つめていた。

16th Reaction 丘の上の墓標 (2004/10/20) 脚本:吉田伸  絵コンテ:須永司  演出:迫井政行  作画監督:李時目文  メカ作画監督:ねこまたや  少女の左の頬には深い傷の跡が。その彼女・ジェシカは父母、そして「おじさんおばさん」が写った写真に挨拶し、丘の上に墓参りに行く。彼女の大切な人たちはリナクスの実験によってこの世からいなくなり、自分だけが取り残されてしまった。墓参りに来た彼女の本当の目的は、大切な人たちの前で自分も死ぬこと。だがナイフを手にとった彼女の上から、あのイヴォンが降ってきた。  イヴォンには他のリナサピエンには無い、「観測機」がつけられている。その事実をアヤカは不審に思うが、王は当然のように彼女の問いに答え無い。村には多数のGPOのPODが侵入、クラウとクリスマスは馬小屋に身を潜めて事態の推移を見守る。ジェシカに助けられたイヴォンは、彼女がリナクスであることを見抜き、対を見つけたと大喜び。だがリナクスという言葉を聞いたジェシカは眉をひそめ、出て行けと突き放す。  イヴォンが彼女の言葉を受け入れる様子がないと判断するや、ジェシカ自ら家を出た。だがイヴォンの帽子を持ってきてしまい家に戻ると、いきなりイヴォンはジェシカを抱きしめた。人の重み、暖かさに飢えていたイヴォン、そしてジェシカはそんな彼にドキドキする。二人の絆が深まった瞬間だ。  クライネはクラウとクリスマスを見つけ出し、GPOの目的がイヴォンの捜索であると告げる。そして山小屋に隠れるようにと、二人を励ました。イヴォンを助けたいという気持ちは、二人とも同じ。クリスマスを山小屋に避難させ、クラウはイヴォンの様子を伺うため再び山を降りる。  捜索範囲が徐々に狭められる中、イヴォンとジェシカは草原で語り合う。対を欲しがるだけだったイヴォンの心をジェシカが溶かし、そして自殺しようとしたジェシカをイヴォンが助けた。遠い場所で暮らそう、そう言ったイヴォンにジェシカも同意した。クラウはイヴォンの気配をわずかながらに感じていたが、見つけられないまま。そしてGPOは村の全エリアの捜索を終了。王は撤収を命じる。  村を発つ前にお別れの挨拶をするため、イヴォンとジェシカは丘の墓にやってきた。だがそこへGPOのPODが来襲しイヴォンを発見。イヴォンの周囲をシールドが囲み、二人はシールド越しに手を合わせる。ジェシカはリナクスの力を発動し、シールドを貫き二人は固く手を握り合った。「イヴォンとずっと一緒」、対であることの意味を理解したジェシカがそう言った直後、彼女の身体は光の粒とともに消え去った。イヴォンは号泣、同時に辺りは強烈な光に包まれた。その光景を、クラウはただ見つめるだけだった。

17th Reaction 霧の中 (2004/10/27) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:寺東克己  演出:北村真咲  作画監督:堀川耕一  メカ作画監督:神戸洋行、ねこまたや  作画監督協力:小森高博、児山昌弘  助けを求めながら空高く舞い上がるイヴォンの身体を、クラウが受け止めた。王に再びイヴォンのことを問いただすアヤカだが、王は知らない方が身のためだと突っぱね捜索の続行を命じた。ベッドの上で苦しみながらもジェシカの名前を叫びつづけるイヴォンの姿を、クラウとクリスマスは涙ながらに見守る。イヴォンから対を失った悲しみを感じた二人、クラウはクリスマスをそっと抱きしめる。クラウはイヴォンをクリスマスに託し、フランクの元へ帰っていった。  目覚めたイヴォンは苦痛に頭を抱える。ジェシカを失った悲しみを再び思い出し号泣する。一方、叔父叔母夫妻の元に戻ったクラウは、イヴォンを匿っていることをクライネ叔母に猛反対されてしまう。その危険性はクラウも十分に理解しているが、自分と同じ、追われるリナサピエンをほって置けなかったとクラウは正直に話した。フランクはイヴォンを家に連れてくるようクラウに提案する。だが既にイヴォンは山小屋を抜け出しており、責任を感じたクリスマスはイヴォンを探しに外に出る。そしてアヤカが山小屋近くの森に降り立つと、黄色い光を目撃してしまう。それは山小屋に戻るクラウから発せられたものだった。  クラウが小屋に入るとイヴォンもクリスマスも不在。そしてついに山小屋を見つけてしまったアヤカが銃を手にして小屋に侵入し、クラウとの再会が果たされた。アヤカにとって、リナサピエンは何人もの人間を簡単に殺せる極めて危険な存在。しかしクラウは何故イヴォンの身体にリナクスを入れたのだとクラウはかつてない恐ろしい表情でアヤカを問い詰める。だがアヤカが事情を何も知らないことを察すると、アヤカの相手をしている暇は無いと言いイヴォンとクリスマスを探すため山小屋から抜け出した。クラウの言っていたことが、王が隠していた事実なのかとアヤカの心も落ち着かない。  川辺に力なく座り込んでいるイヴォンの肩に、クリスマスが手をかける。対を無くしたイヴォンに、対になってあげられなくてゴメンとクリスマスは涙ながらに謝った。イヴォンの身体は徐々にリナクスに侵されている。ジェシカのことを忘れないため、元の世界に戻ることを決意したイヴォン。だが直後、二人の前にGPOのPODが現れる。クラウも現場に駆けつけGPOを止めにかかる。イヴォンは1台のPODを爆破に追いやった後、地上に落ちながらクラウとクリスマスに謝る。そしてジェシカのことを忘れたくないと言い残し、光の粒となって消えた。  イヴォンの名を何度もつぶやきながら号泣したクリスマスの身体から、リナクスが溢れ出してしまう。クラウはアヤカの乗るPODに迫るリナクスの大群を身体で受け止めた。だが二人は、深い霧の中で寄り添うように倒れてしまった。王とアヤカが二人の前に歩を進める。ゆっくりと起き上がったクリスマスは、元の世界に戻ろうとしたイヴォンを邪魔したGPOが許せない。だが泣きながら抗議するクリスマスに対して、王はARシステムの発射を静かに命じた。

18th Reaction 来訪者 (2004/11/3) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:須永司  演出:笹木信作  作画監督:佐々木敦子  メカ作画監督:ねこまたや  驚愕し市瀬に食って掛かる天箕博士、彼が見たものは実験装置という名のリナクスの棺。全ての過ちの源...アヤカの中で、リナクスに対する信念が揺らいでいる。だがARシステムは発射され、クラウとクリスマスが再び分け隔たれたことに変わりは無い。王はクラウと話がしたいと言い、アヤカも呼び寄せ静かに自分の過去を語り始めた。  彼は数年前、特殊な能力を持った少女を探せとの命令を上層部から受けた。そして何も見付からぬまま引き上げの日、彼はリナクスの力を使うクラウを見たのだ。だが彼はそのことを本部には伝えなかった。何故なら彼自身、GPOの上層部に疑念を抱いていたからだ。何の目的で、GPOはリナクスを捕獲しようとするのか。それを確かめるために彼はこれまで仕事をやってきたのだ。そしてその目的は、人為的にリナサピエンを作り出し組織を更に強力なものにすること。人類にとって危険な存在であるはずのリナサピエンを、GPO自らが作っていた。そしてその一人がイヴォンだったのだ。  王が語る内容はアヤカにとっては信じ難いこと。だが王は事実だと静かに、しかし確信を持って言った。王はイヴォンを無事確保し、上層部を問い詰め計画を中止させるつもりだったが、イヴォンは消えてしまった。もう遅いとクラウは吐き捨てたが、王はクラウが生きていたことを喜び、そして二人を秘密裏に解放した。もう会う事は無いだろうと告げて。  何故この事実を自分にも聞かせたのかとアヤカは雨に濡れながら王に聞く。王はいつか話さねばならないと思っていたが、タイミングが来なかったという。そして彼がGPOに疑念を持ったきっかけが、アヤカの父・シュタイガー元長官の死にあった。続けて出た王の発言に、アヤカの表情が一変する。雨で我々には聴こえなかったが...  クラウとクリスマスはフランクとクライネの家に戻ってきた。フランクはクラウに、ずっとここで暮らそうと優しく言った。やっと二人は、静かで平和な暮らしを手に入れることができたのだ。だが、この世界にリナクスはいない方が良いのかと疑問に思うクリスマス、そして自分の知らないリナクスがまだこの世界で彷徨っていることを考えるクラウ。これまで自分たち以外のリナクスと触れ合ってきた二人の胸に、様々な思いが去来するのも無理は無い。  王は長官の死の真実を掴みかけていた。アヤカは彼の手伝いを申し出たが、王は自分一人でやるときっぱり断った。だがその直後、何と王が警視正職を更迭され行方不明になってしまった。アヤカの父たちを殺したヤツラを陰で操っていた人物、それは当時のGPO副長官で現GPO長官・才藤だと雨の中で王はアヤカに断言していた。真実の目前に迫っていた王を更迭に追い込んだのも、その才藤であることは間違い無い。父の墓前で呆然とするアヤカの携帯に、斉藤自らがコンサートの誘いを入れてきた。大事な友の忘れ形見に会いたい、そう才藤は平然と言い放った。  帰宅したアヤカの元に、GPOのリナサピエンの実験データが届けられていた。身の危険を感じた王は、アヤカにデータを郵送していたのだ。だが今のアヤカに、王の遺志を継ぐだけの覚悟はできそうになかった。彼女はGPOではなく、一人の人間としてクラウに会いに来た。話せる相手が、リナクスであるクラウしかいなかったのだ。リナクスであるクラウを追いながらも、真実が見えなかったことにアヤカは深い後悔を感じている。  アヤカはクラウに、双子のGPOの特殊任務部隊のデータを見せる。本部は彼らを同時にリナクスの実験にかけたとアヤカは言う。そして彼らは何らかの命令を受けて地球に来ているとも。エージェントである自分をアヤカが雇い、この二人を探すとクラウは言う。クラウ自身もGPOに見付かるリスクは当然つきまとう。だがクラウは強く願っていた、誰にも死んで欲しくないと。

19th Reaction それぞれの道 (2004/11/10) 脚本:鈴木やすゆき  絵コンテ:橋本昌和  演出:佐藤育郎  作画監督:伊藤岳史  メカ作画監督:神戸洋行、ねこまたや  作画監督協力:児山昌弘  クラウはアヤカを夕食に招き、父のことも教えてと言った。アヤカはクラウたちと一緒にサラダを作り、そしてクライネのシチューを食べる。食卓は暖かい雰囲気に包まれる。もう彼女たちの間には、過去の因縁など残ってはいなかった。食事が終わった後、双子を探すというクラウをフランクたちは許した。そしてクリスマスも一緒に行くと言う。  夜も深まりクリスマスは眠りについた。だがアヤカは眠ることが出来ない。自分の心の不安をかき消すために、アヤカは懸命になってリナクスを捕まえてきた。それがどんな意味を持っているかも知らずに。その罪の深さにアヤカはただ涙した。アヤカはクラウのことをずっと追いかけていた自分が怖くないのかとクラウに尋ねると、クラウはアヤカが寂しそうだったからと答えた。アヤカはクラウに、クラウの両親とクラウ自身が写った写真を手渡した。クラウは写真を大切に胸に抱え込む。そしてアヤカは才藤に真実を確かめると固く決意し、次の朝に家を後にした。  クラウは久々にダグと連絡を取る。クラウとアヤカと友達になった聞いたダグは、思わず腰を抜かした。クラウたちが次に旅立つ先は港町マルセイユ。双子が力を使った形跡が見られると、アヤカから連絡があったのだ。マルセイユの地に降り立ったクラウたちは、道路と車が融合するという異常な光景を目にする。どう考えてもこれはリナクスの能力だ。それ以外にも捻じ曲げられた道路や街灯等、その爪痕は激しい。クリスマスは双子がこれらのことを面白がってやっている事実に怯えた。そして双子もクラウが追ってきたことに感づいていた。だが結局彼らを見つけられず、クラウたちは一旦スイスに戻ることにする。  一方アヤカは才藤と二人きりで会っていた。アヤカがリナサピエンの兵器化の真意を問うと、50年前の戦争から世界に平和をもたらしたのはGPOという組織、そしてブルーエナジーだと彼は言う。そしてリナサピエンの兵器化はその延長に過ぎないと彼は断言した。命を尊重するだけでは、平和を保つことなどできないとも。それを否定するアヤカを、才藤は父に似ていると言った。  高鳴る鼓動、その直後にアヤカは自らの理念の障壁となった父を冷徹に殺した人物に銃口を向けた。だが、彼女は引き金を引かなかった。彼と同じ側の人間になることだけは何としても避けたい、その想いが彼女の憎悪を上回ったのだ。しかしこれで、アヤカも才藤から付け狙われることになってしまった。  クラウたちが乗る鉄道が、リナクスに襲われる。あの双子・ヴィントとレーゲルだ。才藤は二人にクラウを捕らえるように命じていた。だが今の彼らはそんな命令で動いているわけではなく、ただクラウをリナクスであふれさせたいのだと言う。

20th Reaction 窓をひらいて (2004/11/17) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:坂田純一  演出:阿保孝雄  作画監督:石田可奈  メカ作画監督:ねこまたや  作画監督協力:恩田尚之、佐々木敦子  アヤカの電話にクラウは出ない。それも当然、ヴィントとレーゲルの二人と対峙していたからだ。この広い世界を自由に飛び回る喜びが自分たちに伝わり、その喜びに呼ばれたのだと双子は言った。ダグはクラウが乗った列車が事故に遭ったことをフランクから聞き現場に急行する。クラウとクリスマスは一度外の森に出た後、再びクラウが双子の元に駆け寄る。クラウは双子を助けたいとの意志を伝えるが、この双子は全く聞く耳を持たない。それどころかクラウに攻撃を加える。クラウが攻撃を受けるたびに黄色い光が迸り、そのたびにクリスマスの恐怖も募って行く。  地面に叩き落されたクラウ。彼女からリナクスを溢れさせること、双子の目的はその1点のみだった。彼らのような力を持った者が世界に溢れれば人間たちはどうなるか、それはイヴォンや今回の列車事故を振り返っても容易に想像できることだ。だがクラウの危機をクリスマスが救った。彼女も強くなったものだ。現場に着いたダグは、捻じ曲げられた列車を見て顔を歪める。そして林道でクラウとクリスマスと再会した。二人をその手で抱きしめ、ダグは再会の喜びを噛み締めた。だが彼らに息つく暇は無い。  クラウとクリスマスはダグと共にフランクの家に戻る。双子を助けようとしたことは間違いだったのか、クラウの疑問にフランクは間違っていないと励ます。季節はもうすぐクリスマス、みんなで幸せを祈る日が近づいている。クライネから12月のアドベントカレンダーをプレゼントされクリスマスは大喜び。そんなクリスマスの寝顔を、クラウは優しい表情で見つめる。  多くの人々に見守られ、街の河が蝋燭の火で彩られて行く。クリスマス前のこの街の儀式らしい。だがその光景を空から見下ろしていた双子は、何とリナクスの力で人々を消し去ってしまった。翌日、アヤカが事件のことをクラウに知らせる。4人は人気の全く無い街にやってきた。  アヤカはこの街の人は皆消えてしまったと言う。クラウは双子を元の世界に戻すことを決意する。そしてダグは、危険な力を持つリナサピエンに対して無力な自分に悔しさを感じていた。河にはクリスマスがプレゼントとして受け取ったカレンダーが寂しく流れていた。その時、クラウとクリスマスは上空から双子の気配を感じた。クラウとクリスマスはすぐに空に飛び出し、ダグとアヤカも彼女たちの後を追う。

21th Reaction 凍り付いた河 (2004/11/24) 脚本:鈴木やすゆき  絵コンテ:須永司  演出:森邦宏  作画監督:川元利浩、小平佳幸  メカ作画監督:ねこまたや  GPOと民衆の激しい激突、その中で自らが一隊員だったころに受けた苦痛の記憶を、才藤は夢に見ていた。リナクスの力に犯されていたはずの市瀬が回復していた。彼は言う、我々が必要としていたのは制御可能なリナサピエン、人間だったのだと。そしてそれは不可能なはずだったが、天箕博士の治療法によって可能となったのだ。その市瀬の前に天箕博士本人がいる。市瀬は天箕博士に向かって冷たく言い放つ。今こそクラウからリナクスを排除する時だと。歯噛みする天箕博士...  クラウたちは双子を追い続けていた。すると凍り付いた山岳の峰に、ヴィントが一人クラウを待ち受けていた。彼らの目的は全く変わっていない。直後、雪崩が起きクリスマスが飲み込まれてしまう。ヴィントは一人となったクラウに猛然と襲い掛かる。リナクスの意志のままに攻撃するヴィントにクラウは大苦戦、だがこの世界を守るというクラウの意志は固い。一方アヤカはダグにARシステムを手渡す。普通の人間である彼らには、この武器しか無い。  ヴィントの両手がクラウの首にかかる。だがその時、ダグのARシステムからレーザーが放たれヴィントは気絶した。九死に一生を得たクラウだが、すぐにクリスマスの元に歩き出す。そのクリスマスはレーゲルと対峙していたが、さすがにクリスマスに戦闘は厳しく、レーゲルは完全にお遊びモードに入っていた。そこにアヤカとクラウが到着、クラウはレーゲルをぶっ飛ばしクリスマスを見事救助。  しかしレーゲルがクリスマスに反撃の一撃を加える。その瞬間、クリスマスが地球で過ごした温かい記憶がレーゲルの中に入って行く。今の自分には大切な人がたくさんいる。だからこの世界を守るんだと、クリスマスは凛とした口調でレーゲルに話す。レーゲルは苦々しい表情でその場を立ち去ったが、彼にもクリスマスの温かい感触が残っていた。そして人間の双子として過ごした記憶がレーゲルに蘇った。  気絶したヴィントはダグの車に乗せられていた。クラウの負ったダメージはかなり大きなものだったが、クリスマスがクラウの傷をそっと癒した。その直後、何とGPOがクラウたちを取り囲んだのだった。しかもこの部隊は見たことの無い戦闘服に身を包んでいる。アヤカはダグに動かないでと言い、一人リーダー格の隊員と対面する。アヤカは双子の一人を捕獲したといい、搬送用のポッドを求めるがそのようなポッドを彼らは持ってきていない。異変にアヤカが気づいた直後、隊員たちが一斉にクラウとクリスマスに向かって走り出した。彼らの足跡に、黄金色に輝く光が走った...  今週はいつもと作画の雰囲気がちょっと違うなぁと思ってたら、制作スタッフのほとんどがマーズ・デイブレイクのスタッフでした。やっぱボンズの制作ラインは強力だなぁ。

22th Reaction 闇に瞬く (2004/12/1) 脚本:吉永亜矢  絵コンテ:須永司  演出:安田賢司  作画監督:高橋久美子、菅野宏紀  メカ作画監督:ねこまたや  GPOの特殊部隊が迫る。クラウとクリスマスは一旦空に飛び出すが、彼らはリナクスの力を使いクラウたちに襲い掛かる。才藤の企みの深さに驚愕するアヤカだが、ARシステムで特殊部隊を退ける。その隙にクラウたちは逃亡を試みるが、やはり特殊部隊をまくのは困難。クラウは単身で彼らを止めようと外に出た。  特殊部隊と言えども元は生身の人間、このままでは強力なリナクスの力を支えきれず死んでしまうはずだ。だが彼らは自ら望んでリナクスの力を得たようだ。クラウの警告は全く効果無く、逆にクラウはボコボコに殴られてしまう。助勢に来たクリスマスも跳ね飛ばされてしまうが、後を追ってきたアヤカがARシステムで二人の危機を救う。だがそのアヤカが攻撃を受け彼女の乗る車が大転倒、アヤカは大怪我を負ってしまった。アヤカをクリスマスに託し、クラウは再び特殊部隊をおびき寄せる。その光景を、才藤は上からじっと見詰めていた。  クラウは力の使いすぎを自覚していた。このままでは再び彼女の身体からリナクスが溢れてしまう。クリスマスは何とかアヤカをダグの元へ届けた。あの時才藤を殺しておけば...アヤカの後悔は深かったが今はそれどころではない。とその時突然ヴィントが目覚め、レーゲルを求め車外へ飛び出す。そのレーゲルはポッドに追われていたクラウを救った。彼は人間としての意識を取り戻しており、リナクスでありながら世界を守ろうとしてきたクラウの苦しみを理解していたのだ。直後、兄を感じたレーゲルはクラウの元から飛び立った。  再び倒れたクラウをクリスマスが抱き起こし、リナクスの力でクラウの身体を癒してゆく。これからも一緒であることを確かめ合った二人は、双子の後を追う。ヴィントとレーゲルは空中で対峙していた。レーゲルは自分たちがリナクスであるとと同時に人間であること、そして失敗作である自分たちを才藤が狙っていることをヴィントに説く。  そこへ特殊部隊が現れ、彼らを蒼い壁に封じ込める。懸命に脱出を試みるヴィントに向かって、ARシステムが放たれた。だがその直撃を受けたのはレーゲルだった。彼はヴィントを守るため身を投げ出したのだ。レーゲルの身体からリナクスが溢れ、周囲が黄金の光に包まれる。特殊部隊やポッドは一瞬で消え去り、そしてレーゲルの光に触れたヴィントは人間としての記憶を取り戻したのだった。  レーゲルから放たれた光の帯を追うクラウとクリスマス。広い世界に出たいと願うリナクスを、元いた世界に帰すために。ヴィントは現場から引き上げる才藤を追うが、その途上で苦痛に襲われてしまう。その彼が消し去った街が、再び蝋燭の橙色の光に包まれる。それは亡くなった人たちの弔いの光、ヴィントは罪の深さを痛いほど感じていた。そしてクラウは、誰も死なせないとの思いを再び強くする。

23th Reaction 最後の光 (2004/12/8) 脚本:吉永亜矢、入江泰浩  絵コンテ:入江泰浩  演出:笹木信作  作画監督:小森高博  メカ作画監督:ねこまたや  作画監督協力:堀川耕一  自分の研究はクラウを苦しめる結果を招いただけではないか?そう自分を責める天箕博士の前にダグが現れた。彼は言う、クラウが博士に助けを求めている、自分と一緒に来て欲しい、と。身体が弱っているにも関わらず、クラウは戦っているとのダグの言葉に、博士は深く目を閉じる。ヴィントは才藤長官を追うため月に来ていたが、逆にGPOに追いまわされていた。そしてヴィントの動きをクラウたちも掴んでいた。ヴィントを止める、クラウの決意は固い。  一方、長官の前にあの王警視正が現れた。王は、才藤を査問委員会にかけると断言した。ヴィントとレーゲルの事件、そしてリナサピエン部隊を作り出すための実験によって奪われた多くの人命。才藤の後ろ盾であった者たちは、才藤の暴挙を隠し切れないと判断し才藤を見捨てたのだ。GPOの更なる強化、完璧な平和を望んだ才藤が取ったプロセスは断罪に値すると王は語気を強める。才藤は争いを知らない王たちにこの世界が守れるのかと、信念を持って問いただしたが、最後はあっさりと王に従った。王は才藤の身柄を拘束したことをアヤカに告げると、アヤカは大きな虚しさを感じた。  だがその直後、ヴィントがついに姿を表す。何と彼は、リナクスの力で大型貨物船を乗っ取り月都市に突入してきたのだ。彼の目標は才藤の命ただ1つ。クラウは傷ついた身体にむち打ちヴィントを説得するが、ヴィントは冷徹にもクラウを叩き落とした。そしてアヤカ、王の繰り出す防御策にも、ヴィントの突進は止められない。ついにヴィントはGPOの本館から出ようとする才藤の所在を突き止め、一直線に向かってゆく。  アヤカはキムラを引き連れヴィントを追う。それは才藤を殺させないための行動、何と言う皮肉な展開だろうか。だが、彼女の為すべきこともただ1つ、アヤカはそんな運命のいたずらを涙を流して悔しがった。そして王は可能な限りの迎撃態勢を整えていたが、GPOの本館は圧倒的な力を持つヴィントに破壊される。そして王と才藤はヴィントが引き起こした爆発に巻き込まれてしまう。  傷ついたクラウが目覚めたとき、ヴィントは王と才藤の前に立っていた。血を流しながらヴィントを止めようとする王、そして直後にアヤカは銃を構えてヴィントの背後に立つ。「もうやめて...」、力なく叫ぶアヤカ、だがヴィントは才藤に向かって歩を進める。アヤカの放った銃弾も全く聞かず、ヴィントの手は才藤の顔面を掴んだ。リナクスを化け物だと吐き捨てる才藤に対し、お前ほどではないと答えたヴィント。直後、才藤の身体が黄金の光の粒と共に消滅した。王とアヤカはただ、目の前の事態を呆然と見つめるしかなかった。  目的を果たしビルから脱したヴィントを、GPOのポッドが待ち構えていた。クラウの助けも間に合わず、ヴィントの身体をARシステムのレーザーが貫いた。直後、ヴィントの身体から大量のリナクスが溢れ出す。クラウとクリスマスは、彼らを元の世界に戻すべく再び力を集中させる。だがクラウの身体にもリナクスの光が顔を覗かせている...一方、強い輝きを放つリナクスの光を見た天箕博士は、自分のせいでこのような事態を招いたと再び後悔の念を強くした。だがその直後、リナクスの光が月都市を襲う。ヴィントをクリスマスに任せ、クラウはリナクスを元の世界に帰すべく単身月都市に飛び込んでゆく。  リナクスであってもクラウは自分の娘だ。だが愛する娘に何もしてやれない。天箕博士はそう言って肩を落とす。だが自分に会いたいと言った娘に、父親が何もできないわけはないはずだ、ダグは励ますように博士に言った。暴走するリナクスの光の粒を、傷ついたクラウが必死に元の世界に帰そうとする。そんなクラウの身体は、太陽の如く1つの巨大な黄金の光となっていた。博士は自分の足で必死に戦う娘の姿を追う。そしてヴィントのリナクスを全て元の世界に戻したクリスマスはクラウを助けるため、一直線にクラウに向かって飛び立った。

24th Reaction(最終回) さよならの前に (2004/12/15) 脚本:吉永亜矢、入江泰浩  絵コンテ:入江泰浩  演出:入江泰浩、佐藤育郎  作画監督:伊藤岳史  メカ作画監督:ねこまたや  満月の夜空の下、長髪の女性の指に一匹の蛍が静かに止まる。飛行機の中では、一人の少女が涙を流して眠っていた。彼女が辿り着いた先は、フランクとクライネの家。アヤカはクライネにクリスマスを託し、静かに去っていった。  助けに来たクリスマスはクラウの身体を本当に心配していた。クラウにもその気持ちは十分すぎるほど伝わっている。二人は強く手を握り、リナクスの光に飛び込んでゆく。だがヴィントを止めるという目的を果たせなかったクラウは、身体は大丈夫とクリスマスに笑顔で答える裏で大きな決意を秘めているように見えた...  GPOの本館で王は言う。クリスマス、そしてヴィントはこれから人として生きて行くと。ダグは力なく空港のイスに腰をかける。そして天箕博士の前には、ベッドの上で深く目を閉じるクラウの姿があった。博士はクラウに向かい、クリスマスは泣いていたよと静かに語りかける。とそのとき、クラウの瞳がゆっくりと開かれた。博士は喜びの余り肩を振るわせる。だが一人ベッドで横になるクリスマスにはいつもの元気が無い。  博士とクラウは久しぶりに自宅に向かう。召使いのエラもすぐさま駆けつける。この家に、昔の風景が戻ってきたのだ。翌朝、早く目覚めたクラウは博士に言った。自分はリナクスと一緒だったときのことをしっかりと覚えていると。そして父にさよならを言えず去っていったあの人の悲しみも伝わったのだと。クラウが言う「あの人」とは「リナサピエンのクラウ」のこと。リナクスの光の粒を集め元の世界に戻した「クラウ」は、最後の力を振り絞り人間のクラウの命を守り、自らもリナクスの世界に戻っていったのだ。もうあの「クラウ」はこの世界にはいない。人間のクラウはクリスマスに会うべくスイスに向かう。そんなクラウを見た博士は、妻・アイネとの想い出を回想していた。  クラウとクリスマスは雪道を無言で歩く。今の「クラウ」は、クリスマスの対である「クラウ」ではない。変わりは代わりは務まらない。だがクリスマスには、「私はここにいる」というクラウの想いが伝わっていた。クラウにとっての母・アイネの言葉と同じように。フランクとクライネに、私も働きたいと言ったクリスマス。彼女の心の中にはいつでもクラウがいることを、クライネにも伝わったのだった。  10年が経ち、警視官と警視正となった王とアヤカ。リナクスエナジーの廃止が決まったことをアヤカは王に告げる。クラウがリナクスをどこか遠くへ連れて行ったのだろうと、静かに言った。アヤカの心には未だ大きな穴がポッカリと空いたまま。だが彼女も二児の母となり、幸せな人生を送って行くことだろう。  大人になったクリスマスを、ダグとテッド父子が訪れていた。ダグとテッドはクリスマスの料理に舌鼓を打つ。だがどんなに笑っていても消えないクリスマスの寂しさをテッドは感じていた。だがクリスマスに本当の笑顔を取り戻すことができる人は一人しかいないとダグは言う。満月の下、クリスマスの指に蛍が止まる。そしてリナクスの力を使い空に飛び上がったクリスマスの瞳には、寂しさの余り涙が流れた。クリスマスの夢の中で、クラウはもうすぐそばに行くから待ってて欲しいと静かに言った。  季節は冬、雪が降り積もる中クリスマスは再び空に浮かぶ。とその時、クリスマスの身体が強く光り、クラウがクリスマスに語りかける。リナクスたちが出てゆける広い世界を見つけたと。そして自分も彼らに着いて行きたい、だけど自分はクリスマスのそばにいると。その直後、クリスマスの身体から幼いクラウが飛び出した。「おかえり」、「ただいま」、二人の間ではその言葉だけで十分だった。  一方、人間のクラウも母となり、父と息子と静かに暮らしていた。クリスマスにとってのクラウが再び現れたことを感じたクラウは、とても安心したような表情を浮かべた。そんな彼女の帰宅を父・天箕博士と息子が暖かく迎える。皆それぞれが、新しい人生を歩んで行く。    

KURAUもこれにて完結。まずは素晴らしい作品だったことを強調しておきたい。その最大の要因は、人間の想いをとにかく丁寧に描ききったことだ。特に、様々な悲劇が襲うたびに強くなるクラウとクリスマスの絆に、僕らはどれだけ勇気づけられたことだろうか。  改めて振り返ると、この作品のシリーズ構成が「女性の」吉永亜矢であることは、一つの大きなポイントだったと思う。それは「愛」や「絆」や「守る」といった思いや行動が、得てして男性の脚本家だと直接的な表現であったり表面的な中身の薄いものになりがちだけど、逆に女性は子供を産み愛情を持って育てることで家庭を守ってゆく宿命を背負っているわけで、思いや行動の本質的な表現が可能だと思うから。そしてこのことが、本作品を観たときに感じられた人間の「暖かさ」や「温もり」に繋がっていったと思います(もちろん男性脚本の方が適している要素も多々あるけれどね)。  その他にも、最後まで落ちなかった、というよりは(ハガレンが終わって余裕が出たのか)クライマックスに向けてパワーアップしていった作画のクオリティは、改めてボンズの実力を見せつけたと言ってよいでしょう。2004年のベスト5入りは間違いありませんね。

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