To Heart ~Remember my memories~ ~感想~

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<スタッフ>
原作:AQUAPLUS  監督:元永慶太郎  脚本:叶希一  キャラクターデザイン・総作画監督:平山まどか  音楽:  アニメーション制作:OLM/AIC A.S.T.A.
<キャスト>
藤田浩之:一条和矢  神岸あかり:川澄綾子  長岡志保:樋口智恵子  マルチ:堀江由衣


Bitly
第1話 新しい予感 (MXTV 2004/10/14) 脚本:叶希一  画コンテ・演出:元永慶太郎  作画監督:平山まどか  千羽由利子ファンであるが故に前作アニメのDVD持ってる私としてはキャラのデザインが変わったことは確かにマイナスなんだけど、それ以上にオリジナル版に近づいたのが更に抵抗感を増加させる。基本的にパソゲーのキャラデザインは好きじゃないので。OP曲は「FEELING HEART以外はTo Heartのテーマソングとして認めないぞ」と思ってた自分にも意外なほど良い聞き心地でした。フェードアウトのタイミングが早すぎるのはすごく残念だったけど。  前作はキャラの台詞回しや動きなどとにかく「丁寧な」作品作りが主眼に置かれていたし、原作の雰囲気を壊さないような配慮もされていたので、ストーリー面で冒険がなさ過ぎるという不満は確かにありました。その点今回は原作には無いシチュエーションが期待できると思ってます。第1話を見た印象としては、3年生になって浩之を除く全てのキャラクターの性格が明るくなったなぁと。特に志保は持ち前のパワーを存分に発揮してましたね。このことが作品全体のエネルギーにつながれば良いと思う。  浩之は心ならずも別れてしまったマルチのことがずっと気になっていた。あかりというものがありながらコイツは何をいっとるんじゃと半ば怒りモードのワタクシでしたが、何とそのマルチが再びこの高校にやってきた。だがマルチの記憶から、浩之たちの存在は消えていた。だからこのサブタイトルなのだとようやく気づきましたよ(苦笑)。とにかく来週以降もチェック。

第2話 昔と、今と (MXTV 2004/10/21) 脚本:叶希一  画コンテ:ワタナベシンイチ  演出:秋田谷典昭  作画監督:田畑壽之  「昔と、今と」、なーんて言われると様々な思いが去来するね。もちろんそれは自分自身のことが第一だけど、このアニメを見るとアニメ界の時間の流れというのも感じてしまう。例えば岩男さんの演技を随分久しぶりに見たけれど、何か昔よりも素人っぽくなった気が(単にブランクのせいか?)。だがそんな中でも変わらないのがあかり@川澄さん、「えっ?」という彼女しかできない一言も健在。さすがだわ。  マルチは昔の記憶を思い出せない、いわゆる記憶喪失状態になってしまっていた。しかもそれは、マルチ自身の潜在意識のプログラムが、記憶を外部に出力することを拒絶しているとか。そして強制的に記憶を取り出そうとすれば、マルチの人格自体を壊してしまう危険性を持つらしい。浩之は開発主任の長瀬から、この事態の打開を託された。浩之たちが去った直後、長瀬はマルチが記憶喪失になった原因が浩之にあると語ったが...  記憶を取り戻すべく浩之は奔走するが、マルチに変化は全く無し。浩之は記憶を取り戻そうとすることに疑問を感じ始める。そんな浩之にあかりは、また新しくて、楽しい記憶を作ってゆけばよいと言う。その言葉に浩之は目覚めた。学校に戻り、あの掃除を再びマルチに教えるのだった。浩之に懸命について行く中、マルチから少しだけ笑みがこぼれた...

第3話 そして、君は (MXTV 2004/10/28) 脚本:叶希一  画コンテ:中山岳洋  演出:久城りおん  作画監督:堀井久美  マルチちゃん、掃除を張り切りすぎてオーバーヒート!!だけど目を回してのびてしまったマルチはさすがにカワイイですねぇ。あかり派のオレもちょっと心が動いた(笑)  掃除に遊園地、浩之のガンバリによって新しいマルチが人の感情を理解し始めたこの時に、マルチは自ら研究所に戻ることを決意した。それは自分の記憶を戻す作業によって、新たな量産型の開発が遅れていることを彼女が知ったからだった。だが浩之はマルチとの別れを受け入れることができない。バスに乗り去って行くマルチを懸命に追いかける。その時、1度目のマルチとの別れのシーンが、今のマルチの脳裏に蘇る。ついにマルチは記憶を取り戻したのだ。うーん、意外にも早くこの時が訪れちゃいましたな(苦笑)  だがこれで全てが丸く収まったわけではもちろん無い。バスを降り浩之の胸に飛び込んだマルチを、静かに帽子を拾いながら見つめるあかりの心境は複雑極まりない。これは来週以降がいよいよあかりサマの出番という宣言だと私は受け取りましたが、どうでしょうか。

第4話 強さと、優しさ (MXTV 2004/11/4) 脚本:叶希一  画コンテ・演出:谷田部勝義  作画監督:桜井木ノ実、ひのたかふみ  綾香の軌道の見えない一撃必殺のハイキック、正にミルコ並の破壊力ですな(笑)。って彼女たちのやってるスポーツはそもそもなんだっけ?との疑問が湧いてきたので調べてみるとエクストリーム(テコンドー、中国武術、体操、カポエラなどアクロバット系の様々な武術を混ぜ合わせた競技)ってヤツらしい。1つ勉強になりました。  綾香のスパーリングパートナーとして葵ちゃんが直々にご指名を受け、浩之やあかりたち、そして何故か無関係の志保も乱入し、一向は来栖川邸にGo!スパーリングでは本気モードの綾香のハイキックが炸裂し葵はダウン。やはり実力差はまだまだ有りそうだが、綾香も葵の実力UPを肌で感じた模様。  一方マルチはイチゴ園のおじいさん(実は来栖川会長)が倒れたとき、冷静に対処したセリオと違い、心配して付き添うことしかできなかった自分にロボットとして不甲斐なさを感じていた。だがこのマルチの行動に会長も興味を持ち、HMX12の開発は継続されることになった。当面はマルチ消滅の事態は避けられたというのは喜ばしいことだが、やっぱりあかりの出番が少ないのは無念だ(苦笑)  そういえば早くも今週からOPがリニューアル。イミシンなカットも少しばかり見られたし、やはりRは3話までが第1部、そして4話以降が第2部という分け方ができそうですね。

第5話 越えるべき壁 (MXTV 2004/11/11) 脚本:叶希一  画コンテ:中村主水、椛島洋介  演出:椛島洋介  作画監督:青山まさのり  いよいよエクストリーム日本大会の本番を迎える。大会には葵の空手道場の先輩・坂下も出場していた。エクスリームを頑なに認めようとしない坂下、葵のライバルは綾香だけではない。葵は順調に勝ち抜き準決勝進出。同じく準決勝まで勝ち上がった綾香と坂下の二人がその準決勝で対戦することに。葵たちは幸運を喜んだが、綾香はとにかく相手を殴りつづける余裕の無い葵の戦い方に失望したと、葵本人を目の前にして吐き捨てた。  準決勝開始、第1試合では葵が辛うじて勝利したが第2試合では綾香が坂下を秒殺。その圧倒的な強さに勝てないと自信を失いかける。だが気を取り直して決勝開始、王者の風格を漂わせる綾香を目の前にし葵は我を失ってしまう。とりあえず反撃をしかける葵だが2Rに膝蹴りを食らいダウンを喫する。しかし何とかカウント9.5で立ち上がった葵は2R終了までこぎつけた。綾香の圧倒的な強さにひるみそうな葵を琴音と浩之は励ます。一方、葵の驚異的な粘りに綾香は自分の必殺技で決めるとセリオに断言した。  ファイナルラウンド、綾香は絶対にあのハイキックを出してくる。葵たちの読みどおり、綾香は開始早々にハイキックを繰り出してきた。綾香のハイキックにできる一瞬のスキを狙う、練習の成果がここで出た。葵は綾香の左わき腹に強烈なパンチを見舞い、綾香はダウン。10カウントが数えられた後、葵の勝利が決定した。信じられないという表情の後、葵は涙を流して琴音と勝利を噛み締めた。戦い終わった葵と綾香が固く握手し、お互いの健闘を称えあう。傷つけ合って戦うことが理解できない、そう言っていたマルチも懸命に戦う彼女たちの姿に自然と涙が流れた。

第6話 思い出の街、思い出の人 (MXTV 2004/11/18) 脚本:叶希一  画コンテ:別所誠人  演出:栗井重紀  作画監督:三崎雅也  作監協力:河野悦隆  雅史が神戸でプロサッカーの入団試験を受けることになり、浩之たちも応援に駆けつける。だが新幹線から降りたマルチは乗り物酔いでフラフラになってしまう。長瀬主任は欠陥品を作っているとしか思えない(苦笑)。  神戸には久々登場の委員長が受験大学の下見にやってきていた。高校3年ともなれば、ぼんやりとでも自分の将来を考えるもの。両親の離婚を乗り越え、委員長は好きなこの街で自分の将来を見つけると言う。雅史もプロテストに見事合格、そして浩之は、マルチの開発に自分の将来を見出したようだ。  そんな中あかりは、浩之に対する気持ちを雅史に聞かれ、好きだと素直に答えた。そして浩之のことを待ちつづけると言う。雅史は浩之のことをうらやましいと言うが、それはオレのセリフだよ!!(怒)。だが一方で、マルチのHDDの中も浩之のことでいっぱい。正に両手に花とはこのことである。パーティに向かう浩之があかりの手を取り駆け出したのは、自分の将来をマルチに見出したためだとしたら、こんな皮肉なことは無い。  ちなみに今週雅史がテストを受けていたのはスワンスタジアムだったが、現実のスワンスタジアムは新潟にある(神戸はウィングスタジアム)。単なる間違いなのかは良く分からんが、どちらの場所も大地震の被害を受けたのは果たして偶然なのか、考えるとちょっと怖い。

第7話 一人の願い、二人の夢 (MXTV 2004/11/25) 脚本:叶希一  画コンテ:吉田英俊  演出:秋田谷典昭  作画監督:田畑壽之  琴音が超能力を使えることを記憶の彼方にふっ飛ばしてた私。こんなこと言っちゃナンですが琴音ちゃんには全く興味ナッシング、ということで今週のストーリーも完全流しモードですゴメンナサイ。  相変わらずマルチのことで頭がいっぱいの浩之ちゃん、あかり派のオレから言わせれば絶対死刑間違い無し!!だが今週はそんな彼に追い討ちをかけるように琴音が浩之に告白。浩之の心に誰がいるのかなんて琴音にも分かっていた。でも彼女は全国優勝を果たし、存在が遠く離れてしまったように思えた葵にまた少しでも近づくために、勇気を出そうと決意した上での行動だったのだ。  将来の姿が暗闇に包まれたままの自分とは違い、回りの女の子は皆勇気を持って前を見続けている。浩之もようやくその現状を重く見つめ始めたようだ。だが浩之がかけたあかりへの電話は不通、失った時間を取り戻すこともまた、困難なことなのだ...

第8話 ロボットの夢 (MXTV 2004/12/2) 脚本:叶希一  画コンテ:川島宏  演出:福本潔  作画監督:飯飼一幸、桃島洋介  さらば芹香&セリオ…って彼女たちは何しにアメリカに行くんだっけ?先週の記憶が全く無い(苦笑)。浩之とあかりは来栖大学のオープンキャンパスに行くことに。だがロボット工学への思いを強くする浩之に小さな溝を感じ始めていたあかり、同じく大学に向かうマルチと偶然出会った時の彼女の表情は、落胆というよりも嫉妬の色が濃い。  HMX-11フィール、開発者の夢半ばにして心を持つことが許されなかったメイドロボの悲しい物語。だがその夢はHMX-12マルチに受け継がれたことを知ったフィールは、笑みを浮かべながら天国へ旅立った...ってエラい突拍子も無い展開でついていくのが精一杯だ(苦笑)  魂を失ったフィールを抱きしめるマルチを見て、浩之はロボット工学志望を主任に宣言する。だが浩之との別れ際、あかりは涙を流しながら浩之に「どうしていつもマルチちゃんなのっ?」と叫んでしまう。ずっと待ちつづけるんじゃなかったの?という突っ込みはさておき、ついに爆発してしまったあかりの負の感情。今の浩之にあかりのことまで考えられる余裕はあるのか?

第9話 すれ違う心 (MXTV 2004/12/9)
第10話 長い夜 (MXTV 2004/12/16) 第9話 脚本:叶希一  画コンテ:別所誠人  演出:元永慶太郎  作画監督:大坪幸麿
第10話 脚本:叶希一  画コンテ:ワタナベシンイチ  演出:長村伸治  作画監督:吉野真一、青山まさのり  CD買ってきたーっ。予想通りのキレイなヴォーカルで満足満足。しっかしナンダカンダ言って(言ってないか)、秋新番のCDは5枚も買っちゃいましたよ(うたかた、THR、猫耳、デス種ED、KOTOKO)。お金に羽根が生えて飛んでゆく光景が、目に浮かんでます...  さて肝心の本編ですが、時間&パワー不足により超ハショリモードです。マルチちゃんのがんばりのおかげで浩之とあかりの関係はますますドロ沼にハマり込む。が、それにまさかレミィが割り込もうとする展開は予想してなかった。そしてまさか二人の間にあんな過去があったとは思わなかったよ。そういえばアニメ無印版はほとんど出番無しだったけど、やっとレミィにも陽の光が当たったと言うことか。  だが浩之とあかりの関係が解決したわけでは、もちろんない。レミィのおかげで浩之にはあかりの気持ちに正面からぶつかってゆく決意ができたけれど、あかりにはまだそれが無い。いやそれどころか浩之の気持ちがマルチに傾くことも覚悟している。しかしあかりにその想いをぶつけられたマルチはシステム異常で倒れてしまう。すぐさまあかりは浩之を呼び助けを求めるが、執事の車にあかりは乗ることができなかった。雪の中、寂しく車を見送ったあかりに、雅史が傘を差し出す。一方、長瀬主任はフィールの開発者・相原が残した隠しデータを見て愕然とする。どうなるこっちゃ...

第11話 理解(わか)りあうために (MXTV 2004/12/23) 脚本:叶希一  画コンテ:吉田英俊  演出:政木伸一  作画監督:田畑壽之  システム異常を起こしたマルチは長瀬主任の手によって回復した。自分の無力さを改めて痛感した浩之は、勉強に没頭する。雅史も、志保も、他の皆も未来に向かってがんばっている。自分だけ立ち止まっている事実に、あかりの憂鬱は深まるばかり。そんなあかりをほっておけない雅史は、浩之にもう遠慮はしないと断言するのだった。  マルチの研究を中止すると長瀬主任は綾香に告げた。マルチの決定的な欠陥、それは彼女が悩みを持ってはいけない構造になっていることと彼は言う。今のマルチは人としての愛情と、ロボットとしての義務が無限ループに陥っている状態だったのだ。だが長瀬たちが去った暗い部屋で、マルチは一人で再起動した。  新年が明け、雅史はあかりを初詣に誘い、そしてついに自分の想いをあかりに告げた。だがあかりも雅史の気持ちには気づいていた。そしてあかりの答えもまた、雅史の予想した通りだった。そんなあかりに雅史はいつまでも待つことができるのかと尋ねると、待ってばかりな自分は卑怯だとあかりは答えた。前に進みなよ、雅史は優しく言い残し二人の後を追ってきた浩之にあかりを託した。  浩之の胸に飛び込み、泣きながら謝るあかり。そして下を向きながら歩く雅史を志保が迎える。全ては彼女のシナリオ通りと言うことだろう。一方、再起動したマルチは耳の装置を外して歩き出した。彼女の向かう先は、やはり彼女の愛情の対象である浩之なのか。

第12話 わたしの、居場所 (MXTV 2004/12/30) 脚本:叶希一  画コンテ:福本潔  演出:石倉賢一  作画監督:西尾公伯  ファミレスで浩之と向かい合うあかりに全く元気が無い。それもそのはず、二人がここにいるのは初詣でのあの出来事の直後なのだから。彼女の悩みは相当に深く、浩之もどんな言葉を掛けて良いか答えが見付からない。とその時、浩之の携帯に長瀬からマルチ行方不明の連絡が入る。  マルチ暴走の原因が、長瀬の口から浩之に告げられる。1年前、今回と同じように暴走したマルチが記憶メモリーへのアクセスを拒絶したのは、自分の中から浩之の記憶が消されること、そして浩之があかりに取られることをマルチが恐れたためだった。浩之の役に立ちたいと思うことで他に悲しむ人がいることが分かったとき、マルチは人の幸せを優先させるべくその感情を抑えようとする。しかしそれは、マルチ本来の役目を否定することになり矛盾が生じる。そして答えを求めるための演算が無限ループに陥り、最終的に人格が崩壊する。何故こんな大事なことを隠していたのだと長瀬に詰め寄った浩之だが、自分のやってきたことがマルチを苦しめるだけだった事実にショックを隠し切れない。  マルチを探すという浩之に、全ての原因である浩之とマルチが会うことはどんな結果になるか分からないと長瀬は言う。だが長瀬の言葉に迷いの表情を浮かべた浩之の手をあかりが握り、今度は自分たちがマルチを助けるんだと浩之を励ました。こんなポジティブなあかりは、もしかしたら初めて観たような気がする。暗くて長いトンネルから抜け出す何かを、彼女は掴んだようだ。  志保や雅史、そして何と言っても久々登場の雛山さんたちの助けによって、浩之とあかりはマルチがの居場所、かつて3人で思い出を作った遊園地に向かった。大粒の雨が降る中、膝を抱えて座り込んでいたマルチに、浩之は落ち着いた声でマルチの名を呼ぶ。マルチと浩之を見つめるあかりの不安そうな表情は、余りにも痛々しいマルチの姿に対する心配か、あるいはこれから浩之とマルチの間で起こるかもしれない光景に対する不安そのものか。とにかく、「止まない雨は無い」ことを信じて次回の最終回を待ちます。

第13話(最終回) それぞれの未来(あした)へ (MXTV 2004/1/6) 脚本:叶希一  画コンテ:別所誠人  演出:秋田谷典昭  作画監督:平山まどか、堀井久美  マルチに傘を差し出し、帰ろうと優しく語る浩之。しかしマルチは深夜で動かない観覧車と人間の役に立たなくなった自分とを重ね合わせ、深い絶望に落ちて行く。あかりの幸せを願えなくなった自分はもうロボットとは呼べない、と。浩之は役に立たないなど自分で決めるものじゃないと言い、セリオの力を借り観覧車を強引に動かした。そして浩之とあかりは、観覧車に乗ろうとマルチを誘う。その時既に、雨は上がっていた。  駆けつけた警官も仲間たちが追っ払い、浩之たちはじっくりと話しこむ。浩之は改めてマルチを大事に思っていると話し、そして答えが出せずに苦しい気持ちは自分にもよく分かるとあかりは言った。悩み苦み答えを出したいと思うのはそれがとても大切な人であることの裏返しだと。マルチが浩之を思う気持ちを、今のあかりは心から受け止めることができたのだ。浩之たちの暖かい心に触れたマルチはある決断を下す。彼女は浩之たちとずっと一緒にいたいとの願いをかなえるべく、しばらくスリープモードに入ると告げた。今のマルチのOSでは、抱えている気持ちを整理できない。それを直し、再びみんなの前に戻りたいと。だがそれがいつになるのは、誰にも分からない....  観覧車が戻ってきた時、浩之はマルチを抱きかかえていた。みんなのことが大好きと小声で言い、バッテリーが切れマルチは静かに瞳を閉じた。まるで本当の人間が死んだときのように、悲しみが浩之たちを包む。気を取り直した浩之は、仲間たちに感謝を告げマルチを研究所まで連れて行く。バックアップを取り終えた後、長瀬はこれからが本当の始まりだと言い浩之もその言葉に強くうなずいた。  あかりは何時の間にか進路を来栖大学の英文科に決めていた。もちろんその理由の大部分が浩之にあったことは言うまでもない。この二人は一つの壁を乗り越えたことを雅史や志保たちも感じていた。一方志保は大阪の短大に合格。大阪にした理由を心機一転と志保は言ったが、こちらもやはり雅史の存在が大きいのだろう。入学試験は二人とも見事合格、おめでとうあかりちゃん...  卒業式終了後、あかりはクリスマスに渡せなかったセーターを浩之にプレゼントする。お返しに浩之はシルバーの指輪をあかりにプレゼントし、そしてあかりのことをずっと大事にすると照れながら言うのだった。左手の薬指にはめられたその指輪は、あかりの指のサイズには合わなかった。でもお互いの気持ちを確かめ合うなによりのプレゼントだったことは間違い無かった。  雅史はサッカー選手、志保は雅史の取材屋、綾香と葵は相変わらずのライバル関係、その他の仲間たちもそれぞれの未来を歩み始めていた。数年後、白衣を来た浩之は長瀬とあかりと共にマルチの再起動に臨んでいた。システムのインストール後ベッドから静かに起き上がったマルチは『ただいま』と言い、浩之とあかりに笑顔が浮かんだ...    

ToHeartRもこれにて完。うーん、ここまで面白くなるとは正直思ってなかったです。自分の将来に悩む「人間」である浩之とあかり、そして「ロボット」であるマルチの苦悩を巧みに融合し、作品として1つの大きな芯を作り出した。そしてその上で、サブキャラクターたちのエピソードを絶妙に織り交ぜたストーリーは見事としかいい様がなかった。まぁ開始から23分前後で必ず流れるOPはトレンディードラマっぽい演出でちょっとやりすぎとも思ったし、作画面でも見所はあまり多くなかったけれど、全体的に見れば素晴らしい出来だったことに変わりは無いですね。

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