ジパング ~感想~

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第1話「みらい出港」 脚本:竹田裕一郎  絵コンテ:古橋一浩  演出:則座誠  作画監督:森本浩文

 原作は未読で初めて作品に触れてみたわけですが、面白いですねコレ。まさか軍艦がタイムスリップする話だとは思ってもみませんでしたが、そんな奇抜な設定の中でキャクターの人間臭さがうまく描かれていたと思います。それから目を引いたのが佐橋さんの音楽。やはり彼の音楽は重厚なメカが出てくる作品が一番ピッタリ合いますね。

第2話「ミッドウェー」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ:古橋一浩 演出:吉田俊司 作画監督:波風立流

 みらいはミッドウェー海戦のど真ん中に辿り着き、このことにより歴史を変える可能性を持つことになる。アメリカ軍に劇はされて行く日本軍を救助すべきか否かで、乗組員の間でも意見が分かれるが、角松はみらいの乗組員の安全が最優先とし、横須賀に帰還することを選択した。しかしその帰路で、日本軍の水上機が着水していた。乗組員は生きており、角松は救助艇に乗り込んだ。

 いやー、この先どうなるのかすごく楽しみですよホントに。自分はこれまで正統な軍記物アニメ(あるいはマンガ)は見たことがほとんど無かったのですが、こんな自分でも思わず引き込まれてしまいましたよ。この作品は秋新番組のダークホースですな。

第3話「漂流者」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ:古橋一浩 演出:山名隆史 作画監督:森下昇吾

 このアニメで起こる全ての出来事に、ハラハラドキドキさせられますよホント。おかげで先が知りたくて原作がめちゃめちゃ読みたいんだけど、とりあえず今はアニメで楽しもうと思ってます。今週、一人の日本海軍の軍人を救ったみらいに、来週はアメリカ軍の潜水艇が迫る。みらいが21世紀の軍艦の実力を見せつけるのと同時に、過去の日本をどれだけ変えてしまうのか、固唾を飲んで見守ることになるでしょう。

第4話「みらいの戦闘」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ:古橋一浩 演出:平向智子 作画監督:森本浩文

 みらいはついにアメリカ軍の潜水艦に魚雷を発射してしまった。直撃寸前で自爆させ直接的に歴史を変えることは避けたものの、潜水艦の司令官は真珠湾に帰還しみらいの驚異的な戦闘力をすぐさま本部に報告すると言う。そして山本五十六・連合艦隊司令長官の耳にも、みらいの存在が...ホントに面白過ぎますよこの作品。歴史の流れと個人の感情をドラマの中で巧みに織り交ぜていますよね。

第5話「草加の選択」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ:古橋一浩 演出:則座誠 作画監督:波風立流

 草加少佐のセリフには生粋の軍人の潔さみたいなものが感じられます。何と言うか、聞いててシビれますホントに。戦後の日本の歴史を手に取った草加は、みらいと運命を共にする決意を固めた。しかしそのみらいは、乗員に戦死者が出るという最大最悪の事態に見舞われてしまった。しかもそれは、小笠原諸島に偵察に出た「うみどり」が本来味方であるはずの日本海軍機に襲われるという何ともやり切れない出来事だった。みらいの未来は、更なる暗闇に突入してゆく...

第6話「攻撃命令」 脚本:古橋一浩 絵コンテ・演出:吉田俊司 作画監督:笠原彰

 危機が迫ったうみどりに反撃を認めるかどうか、逡巡を見せる角松に草加はマシンの機動部分を狙えとアドバイスした。佐伯は見事に命令を遂行し帰還したが、森二尉を失った事実がとてつもなく重いことに変わりは無い。太平洋に弔砲が悲しく響き渡った。燃料と食料の補給のため、角松は草加と共にマレー半島に降り立った。今度は角松がゲストだと草加は声を大にして語ったが、彼も真に未来の日本人と心を共にしたわけではなさそうだ。うーむ...

第7話「マレー鉄道」 脚本:古橋一浩 絵コンテ・演出:ユキヒロマツシタ 作画監督:森下昇吾

 「けんぺい【憲兵】:軍事警察をつかさどる兵科。また、その軍人。旧陸軍では軍隊に関する行政警察・司法警察をもつかさどった。のち次第に権限を拡大して思想弾圧など国民生活全体をも監視するようになった。一八八一年(明治一四)設置」(広辞苑より)。1つ勉強になりました。

 草加はこのシンガポールにいるはずの無い元部下・津田に自らの存在を知られてしまった。津田は部下に、草加と角松の二人の後をつけさせる。21世紀の人間である角松、海の上で死ぬはずだった草加は、幽霊ではなくこの戦争の時代を生きている人間だ。だが歴史は確実にその行き先を変えつつある。加えて島に隠れていたみらいが偶然にも原住民に見付かってしまった今、捻じ曲がってしまった歴史を元に戻すことはできそうに無い。

第8話「追跡者」 脚本:古橋一浩 絵コンテ:そえたかずひろ 演出:山名隆史 作画監督:森本浩文

 先週、陸軍の津田に徹底マークされていた角松と草加はやはり拘束されてしまった。草加の元部下である津田も厳しい戦いをくぐりぬけ、草加が知っている以上にたくましくなっていたようだ。だが角松も黙って捕まるようなタマではない。自分がみらいに連絡しなければ、自分たちが乗っている東進丸をみらいが破壊すると言ったのだ。要するに脅しってことですか!?(苦笑)。何にしても、まだまだ息つけない展開は続く。

第9話「デッドライン」 脚本:古橋一浩 絵コンテ:こでらかつゆき 演出:筑紫大介 作画監督:波風立流

 角松と津田のギリギリの交渉は草加の仲裁により、補給の許可と津田のみらいへの乗艦という5分の決着を見た。補給を終えたみらいの次なる目的地はガダルカナル島、日米両軍が激突するであろう戦地の最前線だ。梅津艦長は、この作戦が戦争への参加ではなく、人命を救助するという自衛隊の理念によるものだと断言した。相変わらず息を飲む展開はスゴイの一言です。

第10話「交流」 脚本:古橋一浩 絵コンテ・演出:吉田俊司 作画監督:笠原彰

 尾栗三左は東進丸のクルーに酒を振舞い交流を深める。相変わらずこの人はマイペースだよねー。尾栗はどんな時代でも生きていけるとの角松たちの評価は、全くその通りだとうなずけます。

 みらいの次なるミッションは、激戦地ガダルカナル諸島に乗り込み可能な限りの人命を救助すること。だが草加は戦地に単身で乗り込む愚かさを説き、自らが山本五十六長官に日本軍のガダルカナルからの撤退を進言すると言う。梅津はその提案を受け入れ、草加は佐竹と共にうみどりに乗り戦艦「大和」に向かう。うーん、相変わらず息を飲む展開に圧倒されます。

第11話「ガダルカナル島」 脚本:古橋一浩 絵コンテ・演出:又野弘道 作画監督:森下昇吾

 今週はガダルカナルで繰り広げられる激戦の前の静けさとも言えるような、比較的動きの少ない内容だったと思う。だがその中でも、山本長官に対する草加の進言は今後の戦争の行方に大きな影響を与えるものになるだろう。来週はいよいよ日米両軍が激突、そして先行して島に上陸した角松たちの運命やいかに。

第12話「サジタリウスの矢」 脚本:古橋一浩 絵コンテ:又野弘道 演出:則座誠 作画監督:森本浩文

 聖なる夜にジパング視聴、なんとも渋いではありませんか。とは孤独な私の言い訳ですハイ(苦笑)。

 第8艦隊の歴史どおりの襲撃と撤退に、食料の焼き討ちと戦闘の回避を狙う角松たちの役割はますます重要になってきた。梅津の号令により、連合軍の食料目掛けみらいからミサイルが放たれた。しかし草加の行動その他不確定な部分も多く、先は見えない。

第13話「黄金の国」 脚本:古橋一浩 絵コンテ・演出:ユキヒロマツシタ 作画監督:野口和夫
14話「激突!」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ:山中英治 演出:剛田隼人 作画監督:笠原彰

 年末年始のバタバタで2週分まとめて視聴です。サジタリウス作戦の真っ只中に現れた謎の艦隊は、何と戦艦大和だった。ガダルカナル島の米軍殲滅を予告し、そしてみらいに撤退勧告を突きつけた草加少佐は更に、大日本帝国でも、角松たち戦後の日本でもない第3の日本、ジパング構想を展開、ったくやりやがったよこの人は(苦笑)。

 だが角松とみらいの力は草加の予告どおり米軍を狙って発射された大砲をみらいが見事に撃墜する。大和とみらいの交戦に津田が切腹を覚悟し、草加は山本五十六に大和の撤退を進言する。だが山本はミッドウェーに引き続き日本海軍は撤退の屈辱を味わうことになると反論し、草加の反応を待つ。やっぱりすげーやこの作品。

第15話「生者と死者」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ:西村博之 演出:吉田俊司 作画監督:森下昇吾

 山本は草加の提案を受け入れ、撤退を決めた。これによりガダルカナル島のアメリカ兵の大量死という事態は免れることができた。梅津たち未来の人間は、記録上で聡明だとされている山本五十六しか知らない。だが本物の五十六もやはり記録通りの人物だったということか。

 みらいの作戦を次なるフェーズに移行すべく、角松たちはカダルカナル島から撤収を開始。だが丘から滑り落ちてしまった柳がアメリカ兵に囲まれ、角松は柳の救助の為に自分の命を危険に晒しながら8人のアメリカ兵を殺してしまう。これが、殺さねば自分が殺される戦争の厳しさ。角松にとっては仲間の救助が最優先であり当然の行為ではあった。だが自分が人の命を奪ったことを、角松は絶対に忘れないと心に誓った。うーん、相変わらず息を飲む展開の連続でスゴイの一言だ...

第16話「岡村少佐の意思」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ・演出:又野弘道 作画監督:森本浩文

 8人のアメリカ兵を殺した事実は、やはり角松に重くのしかかっていた。とにかく我慢強い彼もやはり人間だったことを再確認。そんな彼の消耗を考え、梅津は歴史上は全滅したはずのガダルカナル島の空港設営隊救出作戦に角松を参加させないことにしたが、当の本人は大反対。責任感が人一倍強いこともまた再確認。

 津田とともに救出作戦に出た角松は、島のジャングルに迷い込んだ残りの設営隊員を救助すべく、単身ジャングルに入って行く。そこで出会ったのは岡村少佐、歴史では激戦の中で生き残る彼に、角松は自分が未来からきた日本人だと明かしたのだ。少佐の仲間の救助への強い意志を感じた角松は、自らが歴史を書き換えることへの責任を痛感するのだった。

 そんななか、陸軍のタカ派・辻がガダルカナル島でみせた海軍の動きを探るべく動き出した。相変わらず面白過ぎるぞこの番組。

第17話「ジパング胎動」 脚本:古橋一浩 絵コンテ:こでらかつゆき 演出:山名隆史 キャラ作画監督:森下昇吾、清水貴子 メカ作画監督:小原渉平
第18話「再会」 脚本:古橋一浩 絵コンテ:ユキヒロマツシタ 演出:剛田隼人 作画監督:笠原彰 メカ作画監督:小原渉平

 こちらも2週分纏めて視聴。17話ではついに山本五十六と梅津の会見が実現。草加と同じく未来を知る身となり、そしてガ島作戦強行が動かせないものとなったことを知った山本は、早期講和への意志を更に強くする。そんな彼ら二人の秘密会談に近づく陸軍中佐の辻。しかし、草加が彼に銃口を向け自分を東京に連れて行って欲しいと依頼する。草加が会おうというのはこの戦乱の引き金を引いた人物というが...

 18話:ガ島作戦断行の最中、角松は偶然草加を発見するが間一髪で逃げられてしまう。だが草加からあるキーワード「イシワラ」を聞き出した。「石原莞爾:陸軍中将。鶴岡生れ。満州事変の首謀者。日中戦争勃発当時の参謀本部作戦部長。東亜連盟を指導。(1889~1949)」(広辞苑より)。その強烈な個性で当時の首相・東条英機に噛み付き軍を追われた人物というが...

 山本のみらいへの提案は横須賀への帰港だった。そして梅津は角松たちを前にし、この世界の現実を受け入れることが来たと告げる。そんな強靭な意志を見せた艦長に、角松たちが従わない理由は無い。時を同じくして、立命館大学で熱弁をふるう石原に草加が接触する。うーん、やっぱり先が気になってしょうがねーっ。

第19話「もうひとつの参謀本部」 脚本:古橋一浩 絵コンテ:田頭しのぶ 演出:吉田俊司 キャラ作画監督:田頭しのぶ メカ作画監督:小原渉平、練馬空技廠

 先週、いきなり作品内で台頭してきた滝少佐。草加と同期であるこの人物も相当ヤリ手というか曲者のようだが、少なくとも草加とは違いみらいの存在を好意的に捕らえてはいない。

 草加は大量の石油が大連に埋蔵されている情報を石原莞爾に与えた。資源が枯渇しているはずの戦中の日本、だが未来を知った草加によってその事実が根底から覆されようとしている。草加がもたらした奇跡に、石原も立ち上がる決意を固める。一方アメリカ軍では空軍のやり手・ハットン中佐がみらい襲撃の準備を進めている。再びの戦闘は避けられそうにない。

第20話「伊・21号」 脚本:古橋一浩 絵コンテ:山中英治 演出:則座誠 キャラ作画監督:森本浩文 メカ作画監督:小原渉平、練馬空技廠

 不明機を日本軍だとウソをついた滝の狙いは、「味方ではない」みらいを沈めることだった。真相を確かめるため伊号に乗り込んだ角松と柳だが、滝は彼らを人質に取り伊号は潜水開始。その直後に米軍機がみらいを発見するが、みらいのジャミングによって米軍の通信を混乱させる。しかしそれも一時凌ぎにしかならない。ハットン中佐率いる40機の大編隊が、みらい目指して飛び立った。

 梅津は伊号にいる限り角松たちは安全だと断言し海域離脱を決める。だがその動きを察知した滝は、何と伊号をゆっくりと浮上させる。このまま海上に浮上すれば、伊号が米軍機のターゲットにされ角松たちの命も危うい。その行動は、みらいを米軍機と戦わせるための滝の策略だった。梅津はみらいの進路を180度転換することを指令、いよいよみらいと米軍の本当の激突が始まる。うーん、しびれる展開だ...

第21話「1対40」 脚本:古橋一浩 絵コンテ:村木靖 演出:剛田隼人 キャラ作画監督:波風立流 メカ作画監督:小原渉平、練馬空技廠

 ついにみらいとアメリカ空軍が激突。どれだけ訓練を重ねてきたみらいの乗員たちも、本格的な実戦に武者震いを隠せない。みらいの装備ならばこの時代の40機の飛行隊などあっさりと片付けられるはずだが、菊池は先鋒の部隊を撃墜し敵の戦意を喪失させる作戦を取った。もちろんそれは、人命を奪うことへのためらいや、弾薬の節約という彼なりの考えもあった。だがそのことが、みらいの乗員の命までも奪ってしまうとは...

 次々と爆散するハットン隊の飛行機、だがハットン中佐は全く引く姿勢など見せることなく、逆に自らの機をみらいにぶつけるという賭けに出た。彼自身その直前で見事パラシュートにより脱出、そしてハットン機は彼の思惑通りみらいの右舷に激突。この結果、みらいは多くの死傷者を出してしまった。

 先の菊地の決断は、この戦争という時代においては全く不適切なものだった。やらなければ自分がやられる、この時代はそんな不条理が常識である世界なのだ。最も戦いを嫌っていたはずの菊地はそのことを痛感し、そしてトマホークによる敵母艦・ワスプの撃墜を梅津に進言する。こりゃまたエライことになってきた...

第22話「警告」 脚本・絵コンテ:古橋一浩 演出:又野弘道 キャラ作画監督:森下昇吾 メカ作画監督:小原渉平、練馬空技廠

 「殺るか、殺られるか」。戦場において、それはただ1つの絶対の真理。だがそれを菊地が認めざるを得なかったことに、角松はみらいが直面している厳しい現実を再認識させられる。多数の死傷者を出したみらいは、ワスプに向かってトマホークを発射する。撤退を求めるみらいの警告をワスプが拒否したときのみ、その矢はワスプに直撃する。発射の決断を下した菊地は、みらいの中でも最も人命を奪うことにためらいを抱いていたはず。そしてみらいの中でも攻撃主張を繰り返していたはずの尾栗が、菊地の決断を責める。こうして次々と形を変えてゆく人間の心理は、間違いなくこの作品の面白さの1つです。

 みらい船員の願いも虚しく、米軍の第2次攻撃が開始されようとしていた。角松は、伊号の脅迫によってみらいが苦渋の決断を迫られたことに激怒し滝につかみかかる。だが彼の怒りを無視するかのように滝は笑みを浮かべ、そしてトマホークは轟音と共にワスプに直撃した...

第23話「ワスプ撃沈」 脚本:古橋一浩 絵コンテ:ユキヒロマツシタ 演出:吉田俊司 キャラ作画監督:笠原彰 メカ作画監督:小原渉平、練馬空技廠

 みらいの放ったトマホークがワスプに命中。搭載した弾薬に引火しワスプは巨大な炎に包まれる。程なく、15,000トンもの巨大戦艦はあっさりと海中に沈んだ。自らが下した決断により何千もの米兵の命が失われたにも関わらず、蚊を殺すほどの実感も得られないことに、菊池は怒りの矛先を向ける先も分からず涙を流す。

 至近距離から持っている全ての魚雷を放ちみらいを沈めるという滝少佐に対し、角松はそれは不可能だと断言する。柳曰く、それはみらいの追跡に必要なバッテリーが残り10分と持たないからだと。伊号の島本艦長もそれは事実だと語ると、滝は角松たちをみらいに帰す決断を下す。だが実際バッテリーはまだしばらくはもつ状態であり、島本艦長はみらい乗員、特に角松たちを助けるために艦の進路を180度変えた梅津に興味を持ち、ここで彼らを沈めるのは惜しいと感じていたのだった。

 別れ際、自らに届いた軍の出頭命令を読みながら、滝は日本にはまだみらいの存在を快く思わない人物がいると断言する。一方、日本本土で石原とどじょう鍋をつつく人物、米内光政。彼こそが滝の言うみらいの存在を否定する実力者であった。彼の経歴はググって調べましょう。

第24話「死者と生者」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ:こでらかつゆき 演出:山名隆史 作画監督:森本浩文 メカ作画監督:小原渉平、練馬空技廠

 ハットンにとって、みらいの戦闘力は正に悪魔そのものでしかなかった。歴戦を潜り抜けてきた彼でさえ、その心は絶望感に支配されていた。そして瀕死の重傷を負いながらも奇跡的に救助されたジョーンズ大尉も、ハットンの目の前でついに息を引き取った。ハットン隊120名のうち生き残ったのはたった40名程、一方で彼の特攻によりみらいは5名の戦死者を出してしまったが、ハットンがみらいから受けた痛みと、みらいに与えた痛み、そのどちらが重いかなどということは数の理論だけで推し量ることなどできない。だがハットンも、そしてみらいの乗員もその死を乗り越えようと必死になっていることだけは、確かである。

 ガ島では岡村少佐と辻参謀が25,000人もの傷病者を抱えながらの逃避行を続けていた。日本軍の援軍も無くなり、完全に孤立してしまった状態に辻は自決を覚悟するが、岡村は傷ついた多くの日本兵を救えるのは辻しかいないと強く説得する。日の出とともに辻は復活、この傷病者を救うことは日本の大勝利だと言い聞かせながら再び歩き出した。ってアンタは逆ドラキュラか(苦笑)

 みらいが向かう先は横須賀、そこで待ち受けるのはあの米内光政である。戦時下の日本は、やはりみらいにとって味方ではないのか。

第25話「帰還」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ:田頭しのぶ 演出:岡本英樹 作画監督:森下昇吾 メカ作画監督:小原渉平、練馬空技廠

 横須賀に入港したみらいに、米内光政が単身乗り込んできた。乗員の上陸や生存権を保証する一方で、米内はみらいの消滅を望んでいた。身に不相応な帝国主義を早々に脱ぎ捨てねばならない。みらいは一人でも多くの命を救うべく戦ってきたが、300万人という犠牲を払ってでも戦後の復興に力を注ぐべきだと米内は言う。そして未来の人間であるみらいの乗員の力も、その復興にこそあるべきだとも。そんな米内を角松は超越者と言ったが、米内は一人の命を見捨てられない角松たちこそ、この時代では超越者だと返した。うーん、しびれるやり取りだよホント。

 だが不相応なことを認識してもなお、ジパング立国に向けて草加の動きは止まらない。早期講和こそジパングへの第一歩と固く信じる草加は、満州へ向かうことを決意する。一方、滝少佐の乗った車が一人の少年を轢いてしまったが、予告を見る限りこの少年は角松の父・洋一郎らしい。この時代が進む道が角松たちの知る未来には繋がっていないことの何よりの証拠。次回の最終回で、TV版としてどんな結末を見せてくれるのか楽しみです。

第26話(最終回)「戻るべきところ」 脚本:竹田裕一郎 絵コンテ:古橋一浩 演出:剛田隼人 作画監督:馬越嘉彦 作画監督補:森本浩文、笠原彰、森下昇吾 メカ作画監督:小原渉平、練馬空技廠

 自分という存在とこの時代のつながりを確かめるべく、角松は父・洋一郎の住む深川にやってきた。だが祖父・洋吉の口から告げられたのは、父・洋一郎の交通事故死という衝撃の事実。この時代は自分たちの知る未来には繋がっていない、そのことを角松は認めるしか無かった。

 米内の自宅を訪れた角松は、草加の行方を彼に問う。満州行きを決意した角松が帰艦すると、みらいが連合艦隊の指揮下に入ったことを知る。横須賀のドック入りを認めさせるためのやむを得ない選択だったが、それでも梅津は艦内に爆弾を仕掛けることで、連合の意志に完全に従うことを否とした。梅津たちの意志を見届けた角松は、草加のいる満州へと旅立った。日本の未来を変えようとする草加との決着をつけるために。

 

 ということでアニメ版ジパングもこれにて完、のはずなんですが何でここで終わっちゃうかなー。原作はもっと続きがあるんですよね。どーせならアニメ版も可能な限り続けて欲しかった。TBSには長編アニメという考え方が無いのかなホントに。オレはこの作品の持つ魅力を今後も引き出しつづければ、大袈裟かもしれないけど後世に残る長編深夜アニメにできたと思うんだよね。

 作品の完成度は何度も言ってきた通りで抜群でした。ストーリーの面白さはいわずもがな、作画・演出面も、みらいのCG表現にわずかながら違和感がありつつも、クオリティはかなり高かったと思います。ということで、アニメ版の終了を惜しみつつも、オレには原作を買って続きを読まないという選択肢はありません。早速本屋へ直行し、BECKと一緒に買ってきます(笑)


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