よみがえる空 -RESCUE WINGS- ~感想~

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<スタッフ>
監督:桜美かつし  シリーズ構成:高山文彦  キャラクターデザイン:竹内哲也  総作画監督:狩生豊、竹内哲也  メカニックデザイン:橋本敬史  プロップデザイン:狩生豊  音楽:松尾早人  アニメーション制作:J.C.STAFF
<キャスト>
内田一宏:宮崎一成  長谷川めぐみ:能登麻美子  本郷修二郎:石塚運昇  村上龍之介:星野充昭  本村:飯塚昭三  西田一美:笠原留美  平田和彦:伊井篤史  二本松大悟:小野坂昌也  小坂隆:志村知幸  社浦良子:さとうあい  内田みさえ:高村尚枝  ゆみ:大本眞基子  緒方:ふくまつ進紗

第1話 初めての仕事 (2006/1/8) 脚本:高山文彦  絵コンテ:桜美かつし  演出:山田一夫  作画監督:本村晃一  コレといった目玉作品が見当たらない1月新番組の中では、この作品に最も期待しています。その最大の理由は、監督・桜美氏、構成・高山氏、制作・JCといったメインスタッフの面々が、あの名作「ガンパレード・マーチ 新たなる行軍歌」と同じだからです。今回も、特に渋いストーリー展開には期待して良さそうな予感大です。  さて、まず第1話(と設定)を見て面白いと思ったのが、恋人同士である内田と長谷川と取り巻く対照的な現実。片や、長谷川は希望通りの仕事に充実し、一方の内田は希望通らずヘリコプター操縦士になってしまい、早速「鬼軍曹」の本郷に中途半端だと脅される始末(苦笑)。それから田舎(小松)と大都会(東京)という彼らが暮らす街もその1つですね。  そんなコントラストが浮き彫りになる中で今後の展開ですが、(公式サイトにも書いてある通り)主人公の内田は気が乗らないレスキュー隊の仕事に関わってゆき、その仕事に大きなやりがいを見つけてゆく。だがその過程で、既に今回の1話で兆候が出てた長谷川との恋のすれ違い展開には期待して良さそう。単に恋人を優しく見守るだけの存在ってのは、せっかく能登さんを起用しているのだから勿体無いよね。  それから個人的には、長谷川が充実していたはずの仕事に大きな悩みを感じる(内田か感じるであろう悩みとは性質が全く異なる)展開にも期待したい。それと言うのも、公式サイトのトップ絵で若干俯き加減に下を向いている彼女の姿がどうにも気になるのよね。で、もしそうなれば、(自分を含め)社会人になって数年の人が抱える悩みのほとんどを、この二人から目の当たりにするわけで、これもまた面白いし共感できるドラマになると思う。また当然のことながら、「救難モノ」としての手に汗握るスリルにも期待できるでしょう(早速次回はそんな展開になっているようです)  ということで、来週以降も期待して視聴します。ちなみに、内田役の宮崎一成氏は、声に力と張りが無いところなどは、正に男版・能登麻美子と言えると思ったり。そんな二人が恋人同士の役ってのも、ちょっと面白いと思います。

第2話 困難な仕事 (2006/1/15) 脚本:高山文彦  絵コンテ:桜美かつし  演出:まつもとよしひさ  作画監督:みうらたけひろ、木本茂樹  本郷の奥さんは美人で羨ましい。そして可愛い娘さん。命を張る仕事に従事する彼にとって、家庭の温かさは「戦場」から帰ってきた彼の心を癒してくれる、「帰るべき場所」なんでしょうね。  日本海を襲った大地震により、内田も「控え選手」として救助に同行する。そこで喘息持ちの老人の薬を取ってくるため崩壊した集落に入った内田は、薬と同時に飼い猫も拾って戻ってきた。だがこれが新たな事件の引き金になってしまう。内田が助けた猫を見た少女・さくらが、やむを得ず自宅に残してきた飼い犬を連れてくるため自宅に戻ってしまったのだ。自分の行いが少女を危険な場所に飛び込ませてしまった...内田はすぐさま少女を追う。こりゃいきなり大変なことになってきた。  今週本格的に描かれたジェット機やヘリの発進シーンのリアルさはかなりのものでしたね。そして映像のクオリティも素晴らしいんですけど、基地に向かう本郷が道路の制限速度を守ったり、要救助者を引き上げるときの掛け声だったり、救難隊が救助する人間の優先度を冷静に決めたりと、救助隊の仕事の細かいところまで描かれているなぁと思いました。やっぱり高山文彦氏は脚本家としてはスゴイと改めて思った次第です。

第3話 苦しい仕事 (2006/1/22) 脚本:高山文彦  絵コンテ:桜美かつし  演出:豪野かんすけ  作画監督:竹内哲也、柴山智隆、みうらたけひろ、善似郎、冨岡寛  OPの感想を先週書き忘れました。絵は堅実なデキ、CD買ったことは無いけど、美郷あきさんはコンスタントに良い曲を出している気がします。  崩れた家に残された傘は、少女・さくらのものだった。号泣する両親。だが家からかすかに少女の声が。崩れた家の下敷きになりながらも、少女は生きていたのだ。内田や黒木、そして両親や島民たちの協力により、少女は瓦礫の下から救い出された。  だが運搬中に少女はクラッシュ症候群を発症し、危険な状態に陥ってしまう(クラッシュ症候群の解説はココで)。強い向かい風により燃料が尽きてしまいそうな厳しい状況の中、内田が海自の護衛艦からの補給案を提案。強い風の中、ヘリは護衛艦に見事着陸。さすが本郷三佐の操縦だ。  補給も無事終わり、すぐさま病院に直行したヘリオス78。しかし残念ながら間に合わず、さくらは息を引き取った...両親の悲痛な叫びに、「安請け合いだ、小学生のガキか?」と本郷に厳しく叱責されても、今の内田には病院に残ることしか出来ない。そして自身の苛立ちをぶつけるかのごとく、そろそろとやってきた葬儀屋の胸倉を掴む。大きな挫折を味わった内田の心を癒せるのはやはりめぐみの存在だけだ。  超緊迫した展開、そして胸が塞がってしまうような重苦しい結末。やはり最近のアニメでは抱くことが少なくなった感動を、このアニメは与えてくれそうですね。

第4話 大切な人 (2006/1/29) 脚本:水上清資  絵コンテ:長井龍雪  演出:橋本敏一  作画監督:杉山了蔵、本村晃一、木本茂樹、竹内哲也  世間はGW。救難隊員の何人かも休暇を取っているようだ。だがあの一件のショックから立ち直れない内田は帰省の予定をキャンセルし自宅に閉じこもっていた。するとそこに何と東京にいるはずのめぐみがやってきた。何しに来たとつれない内田だが、「声が聞きたい」と言ったのはどこの誰だったか。めぐみと話す内に内田も少しずつ元気を取り戻し、二人は金沢に出かける。だがその車中、仕事についてめぐみの口から出るのはポジティブな言葉ばかり。内田の表情が再び曇る。  めぐみの携帯に仕事の電話が頻繁に掛かり、彼女は必死にメモを取る。だがイライラが募った内田は、仕事が忙しいならわざわざ来るんじゃない、お前は変わったと八つ当たりに入る。情けねぇよマジで(苦笑)。しかし自分の後ろに付いてくるめぐみを抱き寄せ、いきなり口づけ。そんな内田にめぐみは「抱いたら自分の知っている内田に戻ってくれるのか」と、落ち着いた口調でそう告げる。高校で出会い深め合ってきた二人の絆は、これくらいのことでは揺らぐことはない。(ちなみに高校の頃のめぐみは目立たないメガネ少女と言った感じ。こういう女の子こそ、大人になると劇的に変わる=キレイになるものだ)  心の奥底でバカにしていた救難隊の仕事すら自分にはできなかった。もうどうしていいか分からない、内田は自分の気持ちを正直に吐露した。命を張る仕事の内田が誇らしいとめぐみは言うが、内田がとてつもなく辛い経験をしたと分かると彼女は号泣した。内田は八つ当たりをしたことを謝ったが、これ程までに自分のことを思ってくれるめぐみがいてくれて、内田は本当に幸せものである。ちなみにめぐみも編集希望だったが新人ということで今は営業をやっている。万事が上手く行っているように見えるめぐみも、単に必死に生きているだけだったのだ。  一夜をともに過ごした二人は翌日、ようやく本当のデートを楽しむ。そして別れの時、「そしたら」(じゃあね、という意味)と声を掛け合った後、めぐみは内田に携帯を手渡した。携帯嫌いな内田だが、彼と繋がっていたい、めぐみの想いを内田も当然受け入れたのだった。めぐみを乗せた飛行機を見送る彼の表情は、いつもの明るさを取り戻していた。    今週目についたのが、内田の部屋の本棚にあった森博嗣先生の本。S&Mシリーズ以来読んでないんですけど、久々に読みたくなってきたね。実は本は買ってあって読まずに積まれてる状態。てーかオレの自宅はこんな積み系のモノばっかりです(苦笑)。

第5話 必要なこと (2006/2/5) 脚本:水上清資  絵コンテ:葛谷直行  演出:高島大輔  作画監督:小山和洋、矢向宏志、下谷智之、狩生豊  懸命な営業活動を続けるめぐみに、内田からのメールが入る。救助パイロット訓練に苦戦する彼だが、技術的なことよりも寧ろ、どことなく気合が入らない姿に仲間からも厳しい指摘を受けてしまう。そんな内田に決定的なものが欠けていると言う本郷は、内田をメディックの訓練に行かせる。高山の厳しい環境のため、内田は山を登ることすらままならず酸素補給を受ける。その傍らを老夫婦が余裕の表情で抜いていく風景は苦笑いを誘います。  情けない内田のお蔭で野営地は予定よりも手前になってしまった。再び隊の足を引っ張ってしまい肩を落とす内田だが、メディックの隊員は内田に優しく接してくれる。そんな彼らだが訓練となれば人が変わる。絶壁をロープ1本でよじ登るメディックの訓練を目の当たりにし、内田は大きな衝撃を受けていた。一方、本郷に届いた札幌からの手紙は何を意味するのか、今はまだ分からないのでスルー。  内田たちが山道を進むと、先の老夫婦の妻が足をくじいてしまい動けなくなっていた。運悪く雨も降り出し、風も強さを増していた。山の天気はすぐさま変わるのだ。メディック隊長の久保は先の岩山に引き返しそこでピックアップしてもらうよう、すぐさま救助ヘリを要請する。内田はこの悪天候ではピックアップは無理だと主張するが、久保は本郷の腕を信じて迷わず強行する。見事ピックアップは成功し老夫婦は助かった。「オレはまだまだだ」、内田は自分がまだまだ未熟ということを、本当の意味で知ったようだ。

第6話 Bright Side of Life(前編) (2006/2/12) 脚本:高山文彦  絵コンテ:福田道生  演出:三宅和男  作画監督:木本茂樹、太田雅三、赤尾良太郎  今から12年前、1993年の札幌。千歳基地での飛行訓練中に事故死した自衛隊パイロット・井上三尉の葬式が行われていた。2名のパイロットが行方不明となったその事故では、一人が死亡しもう一人が生き残った。死んだのが井上、そして生き残ったのが本郷一尉(当時)だ。前話での本郷宛のハガキは、恐らく井上の妻からだったのだろう。  お盆で久々に帰省した内田(実家は酒屋)は、早速両親に家の手伝いを言い渡される。一方、井上の自宅には本郷が井上の仏前に手を合わせていた。もう夫のことを思い出すことが少なくなったと、井上の妻は言う。井上の家を出た後、本郷は車で家族の待つ牧場に向かうが、フロントガラスでいきなりカラスを轢いてしまった。バードストライク、鳥と飛行機の衝突事故。そう、12年前の事故もこれが原因だった。事故後、本郷は事故の責任を取らされる形でファイターから救難隊に配置転換させられた(いわゆるF転)。その時の本郷は相当抵抗したが、内田と同じように口惜しい感情が残っていたに違い無い。では何が彼を救難パイロットのプロに変貌させたのだろうか。  交通事故で歩けなくなっている父との散歩中、内田は自衛隊をやめて家を継いでも良いと言ってしまう。両親は内田が仕事で上手くいっていないと心配してしまう。一方のめぐみも帰省中(実家は獣医)。当然二人はデートに出かける。救難隊の本来の仕事は自衛隊の航空機墜落時の救助であり、災害時の出動はサイドビジネスと内田は言う。帰宅後、めぐみの妹のさおりは姉に向かってデートの内容をしつこく聞き出そうとする。うーん、ちょっと萌えかも(笑)。  帰省後に待っているのは厳しい訓練。今度は海難救助だ。だがまたしても内田はヘリの制御に苦戦し肩を落とす。そんな時、内田は本郷の操縦テクが全国でもトップ3に入ると言われていることと、千歳での事故により配置転換させられたことをライバルの小坂から聞かされる。そして小坂は自分が事故ったらすぐに助けてくれと内田に言う(フラグが立った?)。また内田の母からめぐみに電話が入る。彼が仕事で悩んでいないかという話を振られ、とりあえず何も無いと答えためぐみだが、腰の定まらないヤツだとめぐみは内田に少し呆れた。  小松基地では訓練が続けられていたが、空の色が少しずつ暗くなり始めたその時、レーダーロストの報が入り、基地にサイレンの音が鳴り響く。再びやってきた本番の時。内田は本郷と共にヘリに乗り込んだ。今度こそ、正念場かも。

第7話 Bright Side of Life(後編) (2006/2/19) 脚本:高山文彦  絵コンテ:福田道生  演出:まつもとよしひさ  作画監督:下谷智之、柴山智隆、櫻井親良、木本茂樹  整備班の面々は墜落の原因が整備ミスにあるのではないかと、肩を落としていた。パイロットだろうと整備であろうと、ミスが命取りになることに変わりは無いのだ。一方捜索に出たヘリオス78だが、大時化で捜索が難航していた。本郷は僅かに光った機体の尾翼を見逃さなかったが、相変わらずパイロットは見付からない。遭難したパイロットの一人、熊田三尉の妻は連絡を聞き涙を流した。  しかし直後サバイバルボートを発見し、すぐさまメディックが降下し救助に向かう。だがもう一人のパイロット・芹沢一尉は救助の甲斐なく亡くなっていた。その亡骸は左手を上に上げていた。最後の力を振り絞り救難信号を上げたのか、それとも何かを掴もうとしたのかは分からない。だが本郷の胸には、否応無く12年前の記憶が蘇っていた。その後、亡くなった芹沢の父が息子と対面する。もう息子は生きていない。だが芹沢の腕時計は、時を刻みつづけていた。  もう一人・熊田三尉の捜索は夜を徹して続けられていた。めぐみからのメッセージが入るが当然内田に確認する時間は無い。本郷と内田が一度基地に帰還すると、本郷は12年前の事件を簡単に内田に話した。翌日、天候は回復し捜索が再開される。見通しの良くなった海上で、ヘリオス78は救命ボートを発見。幸いにも、熊田三尉は生きていた。メディック班がが熊田三尉を収容し、捜索活動は完了した。内田はめぐみの携帯に、今回の結果を記した簡単なメールを送っておいた。  墜落の原因は雷、不可効力だった。パイロットの小坂は自分が墜落したら救助を頼むと、本気で内田に話すのだった。皆、命懸けの仕事をしているのだ。  予定通り救難隊の飲み会が開催される。熊田は頚椎を損傷しパイロットは続けられないというが、その熊田は絶対に復帰すると周囲に語っているらしい。やや沈みがちな内田に対し、熊田を助けた黒田は、明るい方に目を向けたほうが良いと、力を込めて語る。内田は実家に電話を掛け、店を手伝うと言ったのは冗談だと連絡を入れた。そして2次会のカラオケ大会、本郷三佐と内田は、井上三尉が好きだったひょっこりひょうたん島を熱唱する...  EDはそのまま「ひょっこりひょうたん島」。うーん、やっぱ泣けるはこのアニメ...

第8話 少年の旅路(前編) (2006/2/26) 脚本:水上清資  絵コンテ:高田耕一  演出:橋本敏一  作画監督:杉山了蔵、木本茂樹、太田雅三、狩生豊  メカ作監:柳澤隆  CDショップで捕まった万引き高校生・吉岡悟。大学受験のため部活を辞めさせられたことに、悟はモヤモヤを抱いていた。この年頃には良くアリガチな心境ですな。メディックの鈴木と緑山サイクリング特訓に付き合っていた内田だが、やっぱりついていけずダウン。と、そこに自転車をパンクさせた悟がいた。一人旅、今風で言うと「自分探しの旅」だが、要は家出である。鈴木は少年をサイクリングに誘い、悟も連れて行って欲しいと答えた。内田は家出であることに感づいたが、鈴木は青春だと余裕の表情。  ロープウェイに内田と悟は二人で乗ることになった。家族のことなど悟のことを心配する内田だが、それをうざったいと言わんばかりに悟は冷たい態度を取る。そのロープウェイにはすねた子供を連れた家族、そしてチンピラカップルがいる。悟がチンピラを見ると、彼は早速ケンカを吹っかけてきた。内田が毅然とした態度で言い返したその時、ロープウェイが激しく揺れた。何と機械の故障によりロープウェイが止まってしまったのだ。このままではゴンドラ落下の危険がある。空の色が少しずつ暗くなり、風も強まってきた。これはイヤな予感が...  内田は無線を取り、管理棟からの指示を聞く。内田たちは、緊急降下機を使って地上に降りなければならない。内田から事態を聞いた鈴木は対策本部に行き自衛隊派遣を提案するが、現場は消防隊が仕切っており却下される。だが消防隊の救難作業は恐怖により失敗。内田は緊急降下機を使い、一人ずつ地上に降ろすことを決める。

第9話 少年の旅路(後編) (2006/3/5) 脚本:水上清資  絵コンテ:福富博  演出:山田一夫  作画監督:川田剛、矢向宏志  メカ作監:柳澤隆  悟の父はゴンドラに息子が乗っていることを知り、愕然とする。ゴンドラの乗客の精神状況も追い詰められていくが、内田は冷静に準備を進めていく。そしてゴンドラの床を空け、ついに一人ずつ降下に入る。まずは再婚夫婦の妻と息子。息子は思わず泣き出してしまうが、悟が手渡したミニカーを握り締め必死に耐え抜いた。そして次に老夫婦の妻。だが彼女が無事地面に降りた直後、圧着機の1つが外れ緊急降下機が地面に落ちてしまった。事は一刻を争う事態になってきた。  この緊急事態に広沢三佐が登場。まずマスコミのヘリをどかし、ゴンドラの重さを尋ねる広沢。直後、内田の眼前にはヘリオス78が現れた。自衛隊の救助作戦、それはヘリでゴンドラを地上に吊り降ろすという荒業。だがそれは、彼らにとっては当たり前のもの。こんな時のためにいつも訓練しているんだと、不安な表情の悟に内田は声を掛ける。  内田はゴンドラの揺れに耐えるため、乗客をゴンドラの柱に縛り付ける。そしてゴンドラがロープから切り離された。ゴンドラの重さで大きく沈むヘリオス78だが、見事にゴンドラを安定させ地上に降ろすことに成功した。ミッションコンプリート。鈴木は無事帰って来た悟を温かく迎えた。そして同じく、悟の父も悟を迎えに来ていた。病院で検査を受けた後、父は悟と一緒にラーメンをすする。冷え切っていた父子の絆が、少しだけ温められた瞬間だった。

第10話 パーティー (2006/3/12) 脚本:水上清資  絵コンテ:福田道生  演出:三宅和男  作画監督:太田雅三、木本茂樹、杉山了蔵、片岡英之、狩生豊  夜遅くまで仕事するめぐみ、彼女は本当にマジメな社会人だ。だが季節はもうすぐクリスマス、なかなか逢えない内田のことを考えてしまうのも当然のことだ。その内田は、あのロープウェイ事故で「救助される側」と体験したことで、訓練にも更に気合が入るようになっていた。その内田が昼食を取っていると、本郷が前に座る。何かと思えば、休日に自宅に来ないかと本郷は言う。突然の招待に戸惑いつつも、内田は喜んで招待を受けた。  日曜日、本郷宅にやって来た内田を向かえたのは娘のあつこちゃん。元気&素直で良い娘です(笑)。本郷夫妻も帰宅して、鍋パーティーが始まった。奥さん曰く、「いつも訓練でいじめている夫の罪滅ぼし」。本郷も自宅では、完全に父親の顔である。内田は家族の温かさを目一杯感じていたが、本郷は温かい家族がいることは心配を募らせることにもなると呟く。これが、救難隊という職業の難しさか。場所が変わって、雪山を切り開きながら進む登山隊がいる(どこかの大学のワンゲル部か)。次に災いが降りかかるのは、残念ながら彼らのようだが...  めぐみの職場に1本の電話が入る。売り出した本の返品の連絡だった。7割という高い返品率と断裁処分が決まったことに、めぐみの顔が曇る。コストを考えれば、売れる見込みの無い本は捨てなければならない、めぐみの上司の冨岡は言う。めぐみは何とかしてこの本を人々に読んで貰える手段は無いかと考え、夜遅くにも関わらず懸命にキーボードを打ち続けるが、そんなめぐみを上司の冨岡は勇み足と冷たい。再販を諦めためぐみは、断裁処分される本を自分の瞳で見届けるため、断裁場に足を運ぶ。捨ててはいけないものと、一方で捨てなければならないもの、人生は本当に難しい。  天候の悪化により登山隊は山小屋に滞在する。低気圧の接近が近いが、若い武田という部員が足を引っ張ってしまいスケジュールが大幅に遅れているため、登山隊は先を急ぐ。だが周囲の天気は、見る見るうちに悪化してしまう。そして風に煽られた武田が、何と崖下に転落してしまった。幸い意識は失っていなかったが、負傷と寒さにより彼の足で動けなくなってしまっていた。この場所は携帯は圏外で連絡も取れない。リーダーは残りの隊員二人を救助に呼ばせ、自分は武田を守るため単身この場に残る。再び内田の出番は近そうだ。

第11話 ビバーク (2006/3/19) 脚本:水上清資  絵コンテ:大畑清隆  演出:立仙裕俊  作画監督:竹内哲也、矢向宏志、岡勇一  メカ作監:棚澤隆  危険と分かっていても、何故登山を続ける人がいるのか。その問いに対する100%の答えはオレにも分からない。だが危険に立ち向かう心を失った時点で、人間という生物が終わりを迎えるということは確かだと思う。  小松基地でブリーフィングが開始される。全国的に悪天候に見舞われ、出動の確率が高いことによるものだろう。本郷は本を読む内田に、自宅近くの小学校への緊急着陸をどうするかと質問する。内田の答えは現実的には無理なもの。本郷は内田の答えを聴くと、空をヘリ隊の眼で見ているかと問い質す。これがプロの姿勢か。  一方、登山隊員がようやく携帯の繋がる場所にやってきた。隊員の工藤が警察に連絡を取り救助を要請した後、天候が更に悪化したため山荘に引き返すことを決めた。武田のことはリーダーの恒松に任せるしかない。工藤の苦渋の決断だった。瞳の色を失いつつある武田は、恒松に何度も「すみません」と謝った。だが恒松は懸命にテントを張り救助を待つ。そんな中、恒松の自宅に警察から息子の遭難の報が入る。「切符4枚」、うわ言のように呟く武田。その切符を使い、無事下界に帰ることができるのか。だが二人の懸命の呼びかけも虚しく、県警のヘリは視界不良により事故現場に近づけず、仕方なく山荘に向かっていた。  めぐみは人気イラストレーター・ジャッキー沢村が紹介されているTV番組で、仕事のヒントを得たようだが。警察の捜索活動は一旦打ち切りとなっていた。明日再開されるというが、武田の身体はもう動かなくなっており、恒松は武田のまぶたをそっと閉じる...そして工藤と望月は山荘にたどり着けず、猛吹雪に晒され沈み行く意識の中で、じっと救助を待ち続けていた。  翌日早朝、自衛隊にようやく災害派遣要請がきた。だが現地の天候は最悪の状況であり、エキスパートである彼らにとっても困難なものになることは間違い無い。穂高岳に到着したヘリオス52がと赤い布を発見する。黒木はピックアップするため斜面に降り立ったが、そこには既に息絶えた工藤と望月が...(涙)。一方めぐみは、次回作の打ち合わせで本の表紙をジャッキー沢村に依頼する案を提案する。ギャラは高いはずだが、沢村が次に売り出そうとする作家のファンであることを、TV番組で見抜いていたのだ。  残る一人となった恒松を救うべく、ヘリオス78が現場に到着した。だが突風によりヘリが大きくに煽られてしまう。懸命に立て直した本郷だが、天候悪化により再度のピックアップは不可能と判断し、やむなく一旦離脱を決断する。直後に本部からも、救助活動中止の命令が入る。メディックの久保は、恒松の救助ができなかったことに悔しさを隠さない。次回の最終回、この救難劇の結末は絶対に見逃せない。

第12話(TV版最終回) レスキュー (2006/3/26) 脚本:高山文彦  絵コンテ:八坂弐稔、水田央美、桜美かつし  演出:立仙裕俊  作画監督:竹内哲也、矢向宏志、岡勇一  メカ作監:棚澤隆  現場から離脱したヘリオス78は一旦松本空港に帰還し、整備班も松本へ急行する。正に小松救難隊の全てを賭けた救助作戦となりつつある。だが穂高岳の天候は悪化の一途を辿っていた。搬送される工藤と望月の遺体を内田たちが静かに見送る一方、亡くなった登山隊員たちの遺族の悲しみに暮れる姿を映すカメラマンは、良い絵を撮ることしか考えてない。腹立たしい現実だ。内田は白拍子に借金の数を聞く。今は借金2、それを1つ減らすことができるか、明日が勝負である。メディック隊長の久保も、生き延びていて欲しいとただ願う。  翌朝、相変わらず雪が降りしきる悪コンディションの中、ミッションは再開された。だが整備班の面々は空は少しずつ明るさを取り戻してきたことに気付く。ヘリオス78が赤いテントを発見。緊張しつつ黒木が降下するが、急勾配と完全に凍りきった足場に足を撮られてしまう。だが自力で挽回し、黒木は懸命にテントを目指す。テントの中、辛うじて恒松は生きていた。恒松は武田を先に乗せて欲しいと懇願する。だが必ず武田も乗せるといい、黒木は恒松を先に乗せる。これが救難隊の、冷静かつ正しい判断だ。  だが黒木と恒松を収容した直後に落石が発生し、ヘリオス78のフロントガラスも岩の直撃を受けてしまい、飛び散ったガラス破片により本郷が頭部を負傷してしまう。基地に帰還すべく操縦を続ける本郷だが、内田に操縦が下手だといいながら、徐々に意識を失って行く...  救難活動も完了。内田は事故に関する第3者的で心無い報道が為されているTVを無言で切り、負傷した本郷三佐の見舞いに来た。本郷は暫く動けない状態だが命に別状は無かった。本郷の病室にはリーダー恒松の父から贈られた果物籠があった。父親は何度も本郷に謝り続け、本郷もいたたまれない気分になったという。息子の恒松はTVの報道に散々叩かれていたが、その恒松が生き残っていたことを後悔するかのように号泣していたことを知っているのは、彼ら救難隊の人々しか知らない。  本郷は内田に語りかける。F転で失意を覚え、空から拒絶されている感覚を覚えたという本郷だが、実は自分が空を拒絶していたことにいつしか彼は気付く。そして彼にとっての空がよみがえったのだと本郷は言う。内田にはその感覚は分からないと言うが、それは当然だと本郷は言う。本郷は再び、この近くでの着陸ミッションを問い掛ける。内田は完璧な答えを出したように思えたが、本郷はそれを50点の正解と評す。何故なら内田の操縦の腕では2回に1回失敗するから。その言葉に内田は、100回やって100回成功するようになってみせる、また怒鳴られる日を待っているといい、病室を出た。  帰ろうとする内田の前に、ロープウェイ事故で共に危機を乗り越えた悟が現れる。あの事故以来、内田の姿に感銘を受けた彼はメディックになりたいと言う。野球部でキャッチャーをやっていた悟なら向いていると内田は言い、頑張れと励まして二人は別れる。一方、めぐみの電話に、ジャッキー沢村がカバーの件を引き受けてくれたとの報が冨岡から入る。そんなめぐみに、内田はオレの空はまだよみがえらないと、メールを打っていた。それは内田が、一人前の救難隊パイロットとして、まだまだ為すべきことがあることを理解した証では無かろうか。    

よみがえる空、完結。いやー、素晴らしかったですよホントに。大拍手モノです。2006年冬(1月)の新作の中で唯一と期待できる作品とは思っていたけれど、ここまで内容の深い作品になるとはね...近年のアニメ作品の中でも、心に残る良作であることは断言できます。  自分が結構重要視する作画の出来については、ほぼ完璧でした。救難活動含めた、キャラクターの動きだけじゃなく、ヘリの発進シーンとかも最後まで高いクオリティを保ってくれたと思います。ま、救難活動のシーンがボロボロだったら見る気も起きなくなったと思うけどね(苦笑)。  また、第1話の感想で書いたこの作品のストーリー面で期待する要素も、だいたい一通り描いてくれたのでその点も自分は満足。やっぱりね、学生時代なんかとは全く比べ物にならないくらい、社会人は色々と悩み多いんですよね。ストーリーについてはもう1つ、救難活動が人の死と隣り合わせであることといった、仕事をする上で避けて通れない辛くて哀しい一面を真正面から描いたことも、素晴らしいと思った点でした(これはめぐみの仕事の方でも描かれていたね)。  キャラクターについては、救難隊員の顔と名前が最後まで一致しなくて困った(苦笑)。だが少なくとも、内田という素直だが妙に冷めたところがあるイマドキっぽい若者が主人公となったおかげで感じられるリアリティがあったことは確か。彼にとって、空はまだよみがえっていないということで、続編には期待したいなぁ。ここまで作品、たった1クールで終わらせるのは本当に勿体無いと思います。  最後に一言、この作品が描いてくれた「命の尊さ」について、どうしても書いておきたい。「ドンパチや斬り合いじゃなくても、命の尊さを描くことはできるんだ!!!」
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