前回は私の実践する米国個別株投資(高配当銘柄)編を解説しました。少しその内容について補足したかった点があったので、今回記事にします。
結論・・・高配当ETFの組み入れ銘柄の個別購入は決して意味がないわけではない。但し銘柄選定は慎重に!
高配当ETFの組入銘柄を個別購入する意味
以前解説した通り(その1 その2)、私の購入している高配当ETFは、①VYM、②HDV、③SPYD、④VTの4つになります。
そして利回り向上を目的として購入している米国の個別株は以下の4つでした。
- エクソンモービル(ティッカーシンボル:XOM)
- AT&T (T)
- ベライゾン (VZ)
- クレディ・スイス (CS)
これを見ると、米国ETFへの投資に慣れている方は以下の疑問を持たれると思います。
- クレディスイス(CS)を除く3社はそもそも4つのETFの全てに組み込まれてるのでは?
- だから高配当ETFを買っておけば、わざわざ個別に買う意味が無いのでは?
1つ目のご指摘はほぼその通りです。各ETFの組み入れ状況を確認してみましょう。
- VYMの構成割合 (8/25現在)
- XOM 2.02% (組み入れランク 6位)
- VZ 1.75% (同 8位)
- T 1.55% (同13位)
- HDVの構成割合 (8/26現在)
- XOM 8.16% (同 1位)
- VZ 6.28% (同 3位)
- T 0% ※2021年春のリバランスで組み入れから外れました
- SPYDの構成割合 (8/25現在 80銘柄へ均等投資なので順位は割愛)
- VZ 1.22%
- T 1.20%
- XOM 1.18%
1点お詫びで、VTにそれら3社が組み入れられているかの調べがつきませんでした(汗)。8000社への分散投資ですから組み入れられている可能性は高いと思われますが、トップ10には入っておらず限りなく0%に近い割合のはずです(10位の銘柄の比率が0.6%なので)
HDVではXOMがトップでVZは3位です。ただ分散が効いているのでトップと言っても構成比率は10%未満です。SPYDやVYMは1~2%、VTは0.6%以下ですので、これら4つに均等分散投資した場合、例えばXOMが占める割合は2%台に落ち着きます。VZやTについてはもっと少なくなります。
ここで2つ目の疑問に対する私の答えですが、全体で2%を占めるに過ぎないXOMを個別に買う意味はあると考えます。XOMの株価が大きく上昇した場合、ETFの株価はそれこそ2~3%程度の影響しか受けませんが、個別銘柄を持っていれば直接その恩恵を100%享受できます。2%と100%の違いは当然大きいです。
私の個別株への投資目的は配当利回りの向上です。ただ株価を無視して良いとは思ってません。その企業の業績が悪化し株価がダダ下がりになれば減配の恐れが出てきます。米国企業は日本企業と比べて株主重視の姿勢が強く、よほどのことが無い限り減配はしないと言われていますが、可能性がゼロではありません。
購入銘柄の冴えない値動き
ここでXOMの株価推移(年初来)を確認してみましょう。比較対象として影響を大きく受ける原油価格も併せて示します。

青がXOM、緑が原油価格の線です。6月までは原油価格と歩調を合わせるような値動きですが、6月に線がクロスしXOMが大きく値下がりしています。要は原油価格は上がっているのに株価が冴えない状況になっています。
調べてみた限りではこの値動きは原油の消費国である中国のコロナ再拡大による経済失速を懸念してのものと推測されます。

XOMは私の個別株投資(高配当銘柄)の中で最も額が大きくその行方を注視しているのですが、しばらくはガマンの時間が続きそうですね(涙)
続いてTとVZの株価推移(年初来)も一応見てましょう。

赤がT、オレンジがVZですが、どちらも年初来から値を下げてます。Tは前回に解説した通り5月に大きなビジネス戦略の変更を発表して以降、株価が低迷しています。ちなみにTはメディア事業のスピンアウトが完了する2022年末以降、配当金を減らす意向を明らかにしています。そういったことも直近の株価が振るわない理由の1つでしょう。VZの方は理由は正直分かりませんがTと歩調を合わせるように少しずつ値を下げています。
個別株投資は難しい
このように配当利回り向上のために取り組んでいる個別株投資(高配当銘柄)ですが、選定した3社について現時点で配当金については確実に得られているものの、株価についてはどれも冴えない状況に陥っています。個別株の投資は本当に難しいですね。個別株を購入するならば企業分析をきっちりやるなどして、十分に準備をしてから臨むべきだと感じています。