攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG ~感想~

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<スタッフ>
原作:士郎正宗  監督・シリーズ構成:神山健治  ストーリーコンセプト:押井守  オリジナルキャラクターデザイン:下村一  キャラクターデザイン:後藤隆幸、西尾鉄也  メカニカルデザイン:寺岡賢司、常木志伸  音楽:菅野よう子  アニメーション制作:Production I.G
<キャスト>
草薙素子:田中敦子  荒巻大輔:阪脩  バトー:大塚明夫  トグサ:山寺宏一  イシカワ:仲野裕  サイトー:大川透  バズ:小野塚貴志  ボーマ:山口太郎  タチコマ:玉川紗己子

第1話 再起動 REEMBODY (日本テレビ 2005/4/5) 脚本:櫻井圭記  絵コンテ・演出:橘正紀  作画監督:中村悟  祝、公安9課復活!!攻殻SAC 2ndもいよいよ地上波での放送となりました。第1話を観終わった感想としては、やっぱりタメ息しか出てこないほどの良いデキということがまず1つ。それから難民という極度に重い政治的なテーマが出てきたことについては、1stではギリギリ保っていた(と僕は思っている)「刑事・推理モノ」の範疇を大きく越えてしまったなと。この点については、1stよりも更に頭をフル回転させて見なければならないと思いますが、オレ如きについていけるかかなり不安だな(苦笑)  また、2ndでの初登場のキャラクター:茅葺総理からは今後も目が離せない。てかこのキャラクターを演じるのは、どう考えても榊原さんしかいないし、ラストで素子が言っていた単なる「お飾り総理」では無いことを、榊原さんが演じるという面においても、ヒシヒシと感じてしまうわけです。  ということで、もちろん2ndも最後まで見続けるとは思いますが、今回の地上波放送ではどれだけのエピソードが削除されてしまうのかも、「悪い意味で」注目です。

第2話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE (日本テレビ 2005/4/12) 脚本:佐藤大  絵コンテ:西村純二  演出:布施木一喜  作画監督:新野量太  「リビドー:(本来はラテン語で欲望の意) 精神分析の用語で、性的衝動を発動させる力(フロイト)。また、すべての本能のエネルギーの本体(ユング)」(広辞苑より)。  今回のエピソード、CS放送及びDVDでは第3話ということで、早速本物の第2話「飽食の僕 NIGHIT CRUISE」が飛ばされてしまいましたね。あらすじを見る限りかなりインモラルな内容のようなので、やはり地上波で流すことが許されなかったのでしょうかね。ただ今週も人形に対するリビドーという人間のフェティズム、というよりも異常性に触れられてたし、2ndは何と言うか、思わず鬱っぽいため息が出てくるようなエピソードが多そうですな。  キャッツアイのあからさまなパロディなのはSACには珍しい「ご愛嬌」かな。しかし政界とも太いパイプを持っていた(彼女にとって邪魔な存在であろう)田所を排除するため9課を動かせた茅葺総理、やはり相当なやり手のようだ。

第3話 天敵 NATURAL ENEMY (日本テレビ 2005/4/19)
第4話 動機ある者たち INDUCTANCE (日本テレビ 2005/4/26) 3話 脚本:藤咲淳一  絵コンテ・演出:吉原正行  作画監督:丸山宏一
4話 脚本:佐藤大、神山健治  絵コンテ:布施木一喜  演出:竹下健一  作画監督:後藤隆幸  3話:初登場の内閣情報局・合田一人(以下ゴーダ)、スゲー顔つきの一言です。難民対策特別措置法の廃止、その難民の感情を「逆なでするような」今回のヘリ暴走事件(by荒巻K)、あまりにもタイミングよく現れた内情のゴーダ、死亡した自衛官の部屋に置かれた「仇∞士」と書かれた紙切れ、それを置いていった黒服の二人(内情の関係者?)、茅葺首相が進めようとする難民政策の真の姿は、まだ見えないような気がする。  その他、サブタイトルのセンスはやっぱりカッコイイ。「天敵」は、即ち「9課」と「内情」の関係を表すものでしょう。それから崩れかけた高層ビルを巡回し続けるヘリ群を見てたら、何だかエヴァシリーズを思い出してしまった。原画陣には井上俊之や平松禎史といった錚々たる面々が。陸自の突入シーンはやはり彼らの仕事でしょうね。  4話:「こじんしゅぎ【個人主義】(individualism): 個人を立脚点とし、社会や集団も個人の集合と考え、それらの利益に優先させて個人の意義を認める態度。ルネサンスおよび宗教改革期における個人的・人格的価値の自覚、社会の近代化の進行に伴って普及するに至った。俗に、利己主義(egoism)と同一視されるが、基本的に別である」(広辞苑より)  難民解放機構・仇∞士=個別の11人と読むことが判明。でも「士」の上下で「十一」と読むのは分かるけど、「仇∞」は「個別の」にどう繋がるのか。ちょっと考えてみたけど、「∞」は上記の「社会、集団」を意味していて、それを「仇」とする思想→個人主義=個別の、というのはどうでしょう?  4話はSACには珍しく、明らかに9課の「敵らしい敵」キャラクター・クゼが登場。「一度きりの人生を革命の主導者として終えるなら、その人生は至高のものとして消化する、英雄の最期は死によって締めくくられ、永遠を得る」。クゼが語った、シルベストルによって記された個人主義者の聖典・「個別の11人」の内容である。そしてこの思想の根源となるのが5・15事件っつーけれど、もうストーリーが深すぎて正直ついていけませーん(苦笑)。

第5話 潜在熱源 EXCAVATION (日本テレビ 2005/5/3) 脚本:藤咲淳一、神山健治  絵コンテ:下司泰弘  演出:河野利幸  作画監督:浅野恭司  「excavation : excavate の名詞形。1)穴掘り、開削、ほら穴、切り通し、掘り割り道。2)発掘、発掘物、遺跡」。  今回トグサが潜入した地下施設の正体は何と原発。テロ、難民、そして核、2ndで扱われているのは人間にとって最も重いテーマだということを再認識。コタンを追い、ラストでアサギを拉致した黒服・内情の暗躍も回を重ねる毎に激しさを増してきたし、9課の戦いは更に厳しくなりそうですね。  今週のゲストキャラ・アサギは懐かし?の林原閣下。トグサ@山寺さんとの共演は、カウビ(スパイク&フェイ)を見ているような錯覚に陥りました。

第6話 狂想は亡国の調べ 239Pu (日本テレビ 2005/5/10)
第7話 素食の晩餐 FAKE FOOD (日本テレビ 2005/5/17) 6話 脚本:藤咲淳一、神山健治  絵コンテ:西村純二  演出:川崎逸朗  作画監督:村田俊治
7話 脚本:佐藤大、神山健治  絵コンテ・演出:布施木一喜  作画監督:新野量太  2週分まとめての視聴となったんですが、その内容を一言で表現すれば「ゴーダ祭り」でした(笑)。6話では飛行機からの降下で絶叫し、多弁で結構オチャメなところもあるんだと思いきや、陸自隊員の精神に徐々にプレッシャーをかけ、罪無き難民たちに対する発砲に追い込んでしまいました。そして7話では公安1課に偽情報を流し、9課が追っていた南陽新聞脅迫事件の容疑者を1課に殺させてしまう。ただ、これらの行動の裏に隠された彼の目的は未だにはっきりしないんだけどね...  その他、印象に残った点(セリフ)と言えば、素子曰く、「9課の最大の敵は、数」。圧倒的な物量の前に、少数精鋭の9課では歯が立たないという現実。9課に対して無敵のスーパー兵士みたいな感覚を持っていたオレにはガツンと来る言葉だった。そして7話でゴーダが語った「感染」という言葉。個別の11人は、電脳に作用する何らかのウィルスみたいなものに感染してるってことでしょうか?うーん、謎はまだまだ多いな...

第8話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE (日本テレビ 2005/5/24)
第9話 イカレルオトコ TRIAL (日本テレビ 2005/5/31) 8話 脚本:藤咲淳一、神山健治、松家雄一郎  絵コンテ:岡村天斎  演出:竹下健一  作画監督:浅野恭司
9話 脚本:櫻井圭記  絵コンテ・演出:河野利幸  作画監督:村田俊治  「ambivalence:1.【心理】両価感情,、アンビバレンス(同時に同一対象に対して矛盾する二つの感情または価値をもつ精神状態)2.両面価値、感情の交錯、浮動(性)、流動(性)、あいまいさ」。最近英語に触れる機会が少ないが、勉強しないといかんね。  前回に引き続き2週分の視聴となったわけですが、8話ではいきなりの無差別自爆テロ、もぅヤバ過ぎっすホントに。この8話では、国家というシステムを再構築する英雄としての個別の11人をプロデュースするという、ゴーダの行動原理が判明。国民の総意である難民排斥に向け、個別の11人は行動する。そしてそれに対する難民たちの宣戦布告である今回の自爆テロ...国民と難民の対立が強くなる構図もまた、ゴーダのシナリオ通り。  9話ではイカレル男・イズミが女性を襲うところを助けようとしたトグサ。だがトグサがイズミに発砲したことが略式裁判に発展してしまった。ここで出てきたのがクスノキという検事。1stでの薬島幹事長逮捕の際の担当検事だった彼は、その時に9課の存在を知り、そして今回ゴーダにそそのかされ復活した9課の存在を世間一般にさらそうという意図を持った。ゴーダ、クスノキ、そして難民問題と、2ndでの9課の敵は小から大まであまりにも多すぎる。

第10話 草迷宮 affection (日本テレビ 2005/6/7)
第11話 名も無き者へ SELECON (日本テレビ 2005/6/14) 10話 脚本:大松裕、神山健治  絵コンテ・演出:松本淳  作画監督:中村悟
11話 脚本:大松裕、神山健治  絵コンテ・演出:橘正紀  作画監督:後藤隆幸  「affection:(affect1 の名詞形)愛情、やさしい思い、恋慕(れんぼ)」  10話:飛行機事故で全身を義体化した男の子と女の子の恋物語。これまで見てきた2ndのテーマの重さとは一線を画した展開でしたね。しかも(おそらくは)その女の子が素子自身というのが、また何とも言えない面白さじゃないですか。キャラクターの過去についてほとんど語られることが無い本作においては、今回のストーリーは貴重な存在だと思う。  11話:クゼ発見の報に九州に急行した素子たち。そこでクゼが個別の十一人と合流して為したことは、なんと九州電波棟の屋上でお互いの首をカタナで斬り落とすという驚愕の行動だった。目前の光景をただ黙って見つめるしかない素子、だが全員の首が斬り落とされた個別の11人に対し、一人生き残ったクゼだけがそのまま屋上から逃亡した。一方時を同じくして、ルポライターの土橋が事務所の中で自ら首にカッターを当て自殺を図った。彼は言う、個別の十一人なる評論文など最初から存在しなかったのだ、と...  個別の十一人プラスクゼが懐に保持していたつもりが無かった、そしてトグサがどれだけ探しても見付からなかった「個別の十一人の評論文」、これは土橋の言うとおり最初から存在しなかったためだろう。ボーマに発症した個別の十一人ウィルスは、シルベストルの評論集を電脳内に保存していることが条件のようだ。そのウィルスに感染したことにより、個別の十一人は自らが評論文を保持していると勘違いを起こしていたようだ(参考:野良犬の塒)。  それにしても、個別の十一人の同士討ち(この表現が適切かは微妙だが)と土橋の自殺のシーンにはただただ背筋が凍ったよ。実は今回地上波録画をミスってしまったのでDVDを借りて視聴したのですが、どこまで地上波で放送できたのかかなり疑問です。「余りの残虐描写に放送中止」、なんてことだけはカンベンして欲しいけど、自分自身がこの先の展開についていけるかちょっぴり自信を無くしたのも事実。それほどショッキングな11話でした...

第12話 顔 MAKE UP (日本テレビ 2005/6/21) 脚本:大松裕、神山健治  絵コンテ・演出:橘正紀  作画監督:新野量太  個別の十一人の自決シーン、血がダメなオレには厳しすぎる。勘弁してください(涙)。トグサが言ってたけれど、「個別の十一人」は巧妙に仕組まれたウィルスそのものだったようで。9課は難民問題はとりあえず置いておき内情の捜査に的を絞る。ウィルスに感染しているはずだが何故かあの自決シーンで生きることを選んだクゼの顔を作ったとされる造顔(象眼?)作家を追う。  だがその作家が何者かに殺された。殺しのシーンでカメラに映っていたのは何とパズ。もちろん「9課」のパズはシロだが映像以外にも指紋その他が全てパズのもの。犯人はパズのかつての恋人・カワシマカオリがパズの顔そっくりの義体を手に入れ、そして本物のパズが不要になり今回の事件を引き起こしたのだ。  うーん、愛ゆえの哀しい結末なんだろうけど、SACだとどうもそう簡単に割り切れない何かが残るのよねぇ。「顔」は人間の感情を最も顕著に表すインターフェイスの1つなのだけど、義体技術が発達してしまったSACではそれが根底から覆っているような感じだし、やっぱり難しいわこのアニメ。それから「同じ女と2度は寝ない」と断言するパズのキザっぷりにはマイったの一言(苦笑)。

第13話 左眼に気をつけろ POKER FACE (日本テレビ 2005/6/28) 脚本:櫻井圭記、神山健治  絵コンテ・演出:吉原正行  作画監督:西尾鉄也  今週の英語サブタイトルの「POKER FACE」ですが、間違い無くオレには最も縁遠い言葉の一つです(笑)。  「大戦の勝利者ではあるものの経済的に弱体化した米帝に対して主導権を握るというのが日本の思惑」日米安保の再締結にまつわる表裏、タチコマの分かり易い解説には感謝の一言。そんなこんなで先週はパズの過去エピだったけれど今週は9課地味系ナンバーワンのサイトーですか。キャラクター個人の過去にスポットライトを当てるのは、2ndの変化というか進化(深化)の1つと言えますね。  にしても、サイトーが襲った核輸送部隊の一員だった素子サマをイシカワが「メスゴリラ」呼ばわりしたのは、9課の上下関係を見慣れた身としてはある種の新鮮さを感じました(後から少佐って言い直してたけど)。この頃はもちろん9課は存在してないわけで彼らに階級の差なんて無かったと思われるけれど、素子の仕切りぶりは当時から健在で、イシカワのオヤジっぷりも同様でしたね。それから当時は新人だったバトー、確かに今と比べると微妙に若い気がしたけどどこが?と言われると返答に困ります(苦笑)。  そういえば今週サイトーがポーカーしてたのは9課の新人らしいけど、彼らは来週以降ちゃんとした戦力として登場するんでしょうかね。ちょっと注目かも。

第14話 機械たちの午後 PAT. (日本テレビ 2005/7/5) 脚本:櫻井圭記、神山健治  絵コンテ:布施木一喜  演出:竹下健一  作画監督:中村悟  伊勢名物・赤福。実家が近場だった関係で両親が頻繁に買ってきてたのですが、あんこ(というか甘いもの全般)が苦手な僕は昔からパスしてました。自分の頭の回転が遅いのも、昔から余り糖分を摂らなかったことが原因だな(笑)  今週前半はタチコマたちによる「個別の11人」の議論。が、内容的に僕には難しすぎですハイ(苦笑)。一応重要なポイントだと思われたのが、その発症因子が特定できないためウィルスのワクチンが作れないという現状と、個体とも集団とも違う「第3の主体」の存在か。これが、「個別の11人」の行動原理の起源なのでしょうか。それから、個別の11人たちインディヴィジュアリストが実は同じ目的で一致団結(=集団自殺のこと)していたという事実も忘れるべきでは無さそう。  後半は前半とは打って変わって9課出動。タチコマのニューロチップの開発者・有須田博士の亡命未遂事件が発生した。素子や荒巻の手際の良さでこの有能な科学者の海外流出を正に水際で食い止めたが、自由を追い求める科学者の馴れの果ては物凄く寂しく映った。それからタチコマのAIが置かれたサーバは人工衛星にあることも判明。ここでも肉体(個体)と精神の不一致を考えさせられた。と言っても、何の結論も出せそうに無いんですが(苦笑)

第15話 そこにいること ANOTHER CHANCE (日本テレビ 2005/7/12) 脚本:神山健治  絵コンテ・演出:橘正紀  作画監督:後藤隆幸  「茅葺総理は課長の好みのタイプそのものね」(by素子)。って荒巻Kは茅葺総理萌えだったのかよっ!?確かに2ndになってから荒巻Kが総理の部屋に出入りしすぎだよなと思ってたけど(そして9課にはその権限があるんだろうけど)、何かすごくヤられた気分だ(笑)  今週はイシカワが持ち帰ったクゼの情報を9課の面々が精査。相変わらず僕はSAC世界の歴史を理解できてないんだけど、要は大戦で軍人として半島(朝鮮?)に派遣されたクゼが、PSTDや住民の非難にもマイペースを貫き、帰国直前にその姿をくらました、ってところか。その後彼に何があったのかは不明だが、9課の大敵となった今のクゼは、個別の11人ウィルスに感染した個別主義者とは一線を画した存在となっている。  出島で正に今起ころうとしている難民蜂起の黒幕となっているハブ電脳、そのハブ電脳もどうやらゴーダの監視下にある模様。そしてその出島で暢気に歩いているクゼ...難民、安保、核、総理と内情トップ・高倉官房長官との政治的対立、問題は山積みだ。

第16話 修好母子 RED DATA (日本テレビ 2005/7/26) 脚本:菅正太郎  絵コンテ・演出:川崎逸朗  作画監督:浅野恭司  素子がやってきたのは台湾。そこで彼女は難民の間で「ロウ」と呼ばれていたクゼが、正に難民たちの英雄的存在だったことを知る。電脳化もしていない彼らの思考をどうやって自らの思考と並列化していたのか。そんな素子の疑問にチャイという難民の少年は、クゼが難民たちと直接会話するだけで、難民たちがクゼに魅了されその言に従うようになったと言う。彼の発言を素直にとらえるならばそれはいわゆる「共感」ってヤツだと思うが、SACなだけに事はそんなに単純なことなのだろうか。うーん、ワカラン...  さてこのチャイという少年の暴走(彼は単身でヤクザとの取引に乗り込んだ)に図らずも付き合わされてしまった素子ですが、チャイとの触れ合いの中でこれまで見せなかった女性らしさが表現されていましたね。サブタイトルの「母子」も、彼女が見せた母性本能を指しているんでしょう。もし本当に彼女が母親になったりすれば良い母ちゃんになるのかも。ま、その子供がどんなヤツに成長するか、想像するとちょっと怖いけど(苦笑)。

第17話 天使の詩 TRANS PARENT (日本テレビ 2005/8/2) 脚本:神山健治  絵コンテ:吉原正行  演出:河野利幸  作画監督:芝美奈子  テロリスト「天使の羽根」の身柄拘束のため、ベルリンへやってきた素子とバトー。このタイミングで9課の柱が海外に飛ばされるこの事態の裏には内情の働きがあったことは想像に難くなかった。  迷彩を駆使して監視を続けるバトーを謎の少女が凝視する。見えないはずなのに...(実はこの少女は盲目であった)この少女に微妙な興味が湧き始めたバトーだが、何とこの少女の父親こそが自分が追っている天使の羽根であることに気づく。この少女と父親がテロの前日に出逢う教会に待ち伏せしたバトーは天使の羽根を捕まえるが、彼が娘へのプレゼントをバトーに託すと言い、バトーが隙を見せた瞬間に反撃。しかしその時、事情を察知した素子のヘルプによって何とか取り押さえに成功したのでした。  先週の母親・素子に続いて、今週は父親・バトーと言えるエピソードでしたね。少女の存在で腑抜け状態に陥ったバトーを見ると、意外と良い母親になりそうな素子と違い、彼は娘を溺愛しまくりのダメオヤジになるような予感大でした(笑)。それからサブタイの「TRANS PARENT」も意味が深い。「Transparent」と繋げると「透明な」という形容詞になりますが、それは光学迷彩を駆使したバトーや、親子でありながら親子の色を成していなかった天使の羽根と娘のことを指していると思うし、もちろん「parent」は親という意味もあるわけで。うーん、さすがに凝ってるよね。

第18話 相対の連鎖 CHAIN REACTION (日本テレビ 2005/8/9) 脚本:神山健治  絵コンテ・演出:布施木一喜  作画監督:新野量太  難民たちが企てている福岡の大停電テロの内容を聞き、ゴーダも難民の英雄であるクゼの器量を認めた。そしてそのクゼに最高のシナリオを用意するとも。このオヤジ、何を考えてるのかホントにワカラン...一方9課はクゼの捕獲1本に絞り、自治区宣言が出され難民デモが激化している出島へと乗り込んだ。ネットと生身、両面からクゼの確保に当たる。  出島の駐在所の婦警の電脳をハックしクゼの電脳を発見した素子だったが、「ほうえい丸」という船のイメージを掴んだ直後、自らが大きなダメージを受けてしまう。そして彼女は「自分はクゼを知っている」とつぶやいた。ど、どういう意味!?実は(1stも含めて)クゼの正体はこれまでに出てきてたキャラだったってこと?うーん、自分にゃさっぱりだ...  さて、素子の指令どおり出島の港に乗り込んだ9課だったが、そこには武装難民が待ち伏せしていた。何とか攻撃を退けたが、9課側も新人・ヤノが死亡。そしてクゼは最初から出島ではなく、ロシアマフィアからプルトニウムを買い付けるため、択捉にいた。バトーは珍しく語気を荒め、素子の失態を責めるがそんな場合ではない。ゴーダを後ろ盾にしたクゼの革命は刻一刻と近づいている。

第19話 北端の混迷 FABRICATE FOG (日本テレビ 2005/8/23) 脚本:神山健治  絵コンテ:松本淳  演出:竹下健一  作画監督:中村悟  新人一人を死に至らしめた大失態に、さすがの素子にもいつもの覇気が無かった。だが9課に立ち止まることは許されず、直ちにクゼのいる択捉に向かう。だがその途上、個別の11人ウィルスに発症しつつも今のクゼの行動は彼自身の思想から来ていると説明する素子の様子がやはりおかしい。恋する乙女のような表情だとバトーに揶揄された素子の左手には折りかけの鶴が。がぁぁーっ、前回の「クゼを知っている」ってのはそういうことかーっ。鈍い私もようやく、クゼの正体がコイツだったことに気づきました。  素子はクゼの居場所を特定するため知り合いのハッカーを訪れたが、そいつは何者かに既に殺されていた。だが彼が探っていた情報により、最初にあたりをつけていた潜水艦基地であることを確信し、現場に急行する。その現場ではロシアマフィアとクゼが取引を開始しようとしていたが、いきなり陸自のアームスーツが彼らを襲う。遅れてバトーたちも現場に到着。バトーはプルトニウムを持ち出し逃げようとするクゼをホールドアップするが、クゼは部下に自分に構わずPUを持って逃げるように命じる。9課はクゼを捕まえ、そしてゴーダの野望を阻止することができるのか。正に2nd最大のヤマ場だ。

第20話 敗走 EMBARRASSMENT (日本テレビ 2005/8/30) 脚本:神山健治  絵コンテ・演出:吉原正行  作画監督:小西賢一  バトーとクゼのタイマン勝負。息を飲む白熱の殴り合いでしたが最期はクゼが勝利!!だがクゼはバトーの肩に鉄パイプを突き刺し動きを止めただけでトドメを刺さず去っていく。彼にはバトーの命を奪うことよりもなすべきことがあるということか。素子はアームスーツの襲撃を交わしバトーに代わってクゼを追うが結局取り逃がしてしまった。しかも悪いことは重なるもの。ティルトローター機でクゼを追おうとするが、なんとクゼの手下のあんちゃんが機内に乗り込み自爆!!近くにいたイシカワが重傷を負ってしまった。立て続けの失態、9課は正にクゼの前に完敗を喫してしまった。  だが一方でクゼにも重大アクシデント発生。何と彼が受け取ったプルトニウムは偽者だったのだ。だがそのことを部下には告げず、自分ひとりで出島に行くと彼は言う。素子は佐川電子を調査し今回の取引が内情ゴーダのシナリオであることを確信するが、その証拠は既に消された後だった。9課、そしてクゼともども、未だゴーダの掌の上にあるということだ。  バトーは義体を換装、イシカワの負傷は全治1ヶ月だが命に別状はないという。と、クゼが長崎沖に出現し海上保安庁の巡視船と交戦。クゼの乗った船は炎に包まれるが、その直後に長崎に大停電発生!!本格化した難民テロを止める力が、果たして今の9課にはあるのだろうか。

第21話 無人街 REVERSAL PROCESS
第22話 橋の落ちる日 MARTIAL LAW (日本テレビ 2005/9/6) #21 脚本:佐藤大、神山健治  絵コンテ・演出:川崎逸朗  作画監督:後藤隆幸
#22 脚本:神山健治  絵コンテ・演出:河野利幸  作画監督:浅野恭司  今週は日テレでは珍しい2話連続放送。  #21)個別の十一人が自決したあの九州電波塔で何と不発核弾頭が発表。福岡市民3500万人が避難すると言う緊急事態に発展する。この爆弾、内情が仕掛けたものと9課にも容易に推測は立ったがなにぶん証拠が無い。素子は、この証拠を掴むためボーマとパズに爆弾解体に向かわせ、そして自らも爆弾回収班に化けて見事にプルトニウムを運び出した。  一方バトーは素子の電脳を借り、ゴーダの挑発に出る。おそらくは内情が仕掛けた核を即切り札にすることはせず、沈黙を守るクゼこそ今、キャスティングポートを握っている。内情の意のままに操っていたはずのクゼが真の英雄となり、逆に内情こそがクゼにうまく出し抜かれているとバトーは言う。ゴーダは不敵なセリフを残して去っていったが、ゴーダと9課の戦いはまだまだ終わらない。  #22)ついに日本政府が出島への自衛軍出動を正式決定する。高倉の強引なやり方で決まったこの決定に茅葺は反発するが、高倉は茅葺内閣は出島陥落前までだと冷たく言い放つ。だが茅葺は荒巻の助言を受け入れ、国連の核査察団の招聘という最後の抵抗を見せた。  事態急変により通信規制が敷かれ、荒巻との通信がきられた素子たちの行く先は出島。彼女は出島でクゼを捕らえ、手にしたプルトニウムといっしょに査察団に引き渡すという荒業に出ようと言うのだ。当然バトーたちもそんな彼女について行く。  クゼは出島で一人の老人と会っていた。その老人の顔はあの荒巻とそっくりだった。彼は高い理想よりも今のこの状況を止めるようクゼに語る。時を同じくしてゴーダが出撃。上空からジャミングをかけ難民たちをスタンドアローン状態にし、彼らを混乱させようと言うのだ。その目論見どおり、難民が自衛軍の兵士を撃ち、両者で激しい戦闘が開始されてしまった。難民は出島に架かる橋を豪快に爆破し、事態は最悪の展開を迎えようとしている...
   この2話、とにかく展開が濃密過ぎ!!眼前の光景が意味するところを全て理解できたのか、全く自信がありませんよ私には(苦笑)。ただ思わず映像に見入ってしまったこともまた確か。ラスト3話、絶対に見逃せませんっ。

第23話 出島、空爆 NUCLEAR POWER (日本テレビ 2005/9/13)
第24話 楽園の向こうへ THE SIDE OF JUSTICE (日本テレビ 2005/9/20) #23 脚本:神山健治  絵コンテ・演出:橘正紀  作画監督:新野量太
#24 脚本:神山健治  絵コンテ・演出:松本淳  作画監督:中村悟  はぁーっ...2話続けての視聴でしたけれど、なんというか、ホントに疲れました(苦笑)。  #24)出島に対してついに陸自のヘリによる攻撃が開始された一方、茅葺総理が高倉官房長官により更迭されてしまった。って総理大臣と官房長官、どっちがエライのかワケわからん(苦笑)。続けて沖縄沖に米帝の原子力潜水艦が浮上。まさか高倉とゴーダの企みの仕上げが、米帝により出島へ核ミサイルを撃たせ、難民の自爆を演出させるというとんでもない内容だったとは...絶句。  軟禁された茅葺総理の居場所を突き止めるため、荒巻とトグサはプロトの力を借りて検索を試みる。そこで攻性防壁に脳をやられてしまったプロト君はバイオロイドであることが判明(生体ロボットみたいなものか?)。ヘリで出島に向かった9課だが攻撃を受け、素子は単身先に陸地に下りクゼを追い、バトーはプルトニウム回収のため出島に入っていた陸自のスペシャリスト部隊(4課)からの逃げ切りを図る。  #25)ようやくクゼの元に辿り着いた素子だが、イージス艦の攻撃により瓦礫の中に閉じ込められてしまった。ってこれは燃えるシチュエーションだ!(ぉ)。クゼの革命とは人とネットとが融合することだった。それはまた彼にとって、都合の良い情報に簡単に流される、ネットを食いつぶす無責任な人々に対する復讐でもあった。一方トグサは茅葺総理の救出に成功。米帝との交渉結果は如何に。  素子も自分と同じく全身義体と知ったクゼは、オレと一緒に来るか?と素子に左手を出しだす。その手に傷の痕が数箇所あることに気づいた素子はその手を握らなかった。一方出島では、表に出た難民たちが何かを待ちつづけるように座り込み、バトーは素子の姿を捜し求めていた。本来ならば4課とともに陸自にプルトニウムを渡し、全てを打ち明けなければならない立場だが。ついに次回は最終回、どうなることか全く想像つかないよ...

第25話(最終回) 憂国への帰還 ENDLESS ∞ GIG (日本テレビ 2005/927) 脚本・絵コンテ:神山健治  演出:吉原正行  作画監督:西尾鉄也、後藤隆幸  出島に降り注ぐミサイルの雨。素子は300万人の難民のゴーストを転送できるスペースを確保するようタチコマに命令する。が、最後の最後でタチコマたちが素子の命令に背き、地球上の衛星を落とし核ミサイルの弾幕とすべく行動開始。その一方、自分の言葉に米帝が応えないことに業を煮やした茅葺は、断固たる意志であるところと連絡を取る。  素子はクゼに鶴を左手だけで折れるのかと聞いた。だがクゼはソフトウェアの最新版があればと言う。クゼは素子の知る人では無かったのか。出島ではサイトーたちが自衛隊と合流し、一方バトーは素子を助けるべく奮闘する。二人がリンゴを手に取ったと時を同じくして、ついに米帝の潜水艦から核の矢が放たれた。だがタチコマのAIが宿る衛星と核ミサイルが激突した!!最悪の事態は回避されたのだ。  荒巻は高倉を拘束した。親米帝派の彼は茅葺が恐らく中国の力を頼りにしたと思い込んでいたが、彼女のことを甘く見ていた。彼女は自衛隊を米帝の潜水艦の元に差し向け脅しをかけさせたのだ。米帝にも中国にも頼らない独立&国連協調路線が、茅葺の意志だった。  バトーは素子を救出するとともに、クゼを拘束する。だが彼が持っていたリンゴがわずかに齧られていた。一切口を動かすことが無かった彼だったが(リンゴといえばアダムとイブ!?)...続けて荒巻はゴーダたちを包囲するが、ゴーダは戦争容疑に対し既に自首しており刑は免れると余裕の表情(ホントか?→ホントらしい...)。だが荒巻たちにも茅葺の書簡があった。現場に乗り込んできた素子が銃を乱射し、ゴーダを蜂の巣にした。様々な思いが渦巻いたのだろう。だがゴーダの周囲の人間(米帝CIAのワタナベ・タナカ)を目にし、素子はクゼの元に急ぐ。CIAがクゼの命を狙っているからだ。だが時既に遅く、クゼはナノマシンを注入され息絶えたが、そこには白い折鶴が置かれていた...  時は過ぎ、9課はタチコマ(旧型に戻ったか)に乗り桜の花を眺めていた。そんな余裕の9課に下された荒巻の出動命令に素子は仕事復帰宣言。だが更なる高みに行き着いたと感じられたのか、バトーは素子に少しばかり違和感を感じたようだった...

   2ndGIG完結。もぅね、最後の方は難しすぎてついていけんかったですわ(苦笑)。もちろん面白かったことは面白かったんですが、難しいテーマを持ちつつもまずはアクション作品として楽しみたいと思っていたワタクシには、ちょっと荷が重すぎたような気もします。  ストーリーコンセプター・押井守が弟子・神山監督に投げかけたものは、簡単に言えば「アメリカと中国の対立する世界で日本に核ミサイルを撃ち込め」という内容だったのでは無いかと僕自身の少ない頭脳で推測する(そして投げかけたのは本当にそんな簡単な内容だったかもしれない)。それを膨大な知識と鋭敏なセンスによって綿密な世界観を作り上げ、その世界の中に改めて9課という部隊を置き直した結果出来上がったのが、この2ndGIGという作品では無いでしょうか。
 どちらかと言えば(僕が求めていた)刑事アクションモノとしての色が残っていた1stから9課を更に掘り下げて描くためには、それらのコンセプトや世界観はある意味で必須のものだったかもしれない。逆に言えばこの境地まで辿り着いてしまった9課を更に掘り下げて語ることが果たしてできるのか(もちろん続編があるのかという意味)、僕の頭ではそのための案などは到底考えつきませんが...
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