英國戀物語エマ ~感想~

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第一章「贈り物」 脚本:池田眞美子 絵コンテ・演出:小林常夫 作画監督:楠本祐子 作画監督補:小林明美 レイアウト監修:田中比呂人

 原作は未読。アニメ雑誌でちょっと記事を見たときはどんな物語なのかさっぱり分かりませんでしたが、エマとウィリアムの純愛ですか。結構な大人のはずの二人の初々しさに、思わず背中がムズムズしましたよ(笑)。それと今回の第1話では、二人の愛の行方を静かに見守る、19世紀末のイギリスのゆったりとした時の流れが素晴らしい雰囲気だと思いました。これが加わってたら、アニメ版マリみてももっと面白かったのにね。

 身分の差を越えた愛の物語は昔から一つのスタンダードとして存在していたが、アニメでは世界名作劇場以来、とくと見られなくなってしまったジャンルでもある。エマはそれを、二人の大人でやろうというのだからかなり興味が湧いてきました。放送前はあまり期待していなかった本作ですが、アニメ化も納得。

 それから本作品、主なスタッフの顔ぶれを見ると美鳥の日々とほとんど同じであることに気づく(制作はもちろんぴえろだし)。あの作品でも目立ったクオリティ落ちは無かったので、その点は今回も安心して良さそうですね。

第二章「二つの世界」 脚本:池田眞美子 絵コンテ:岡村天斎 演出:林有紀 作画監督:斎藤寛 

 グレイス(さやさや)、ヴィヴィアン(水橋たん)、そしてエレノア(沙苗さん)の登場でこの作品も賑やかになってきましたね。賑やかといっても、この作品の良さである「心地よい時間の流れ」をぶち壊すようなことではもちろん無くて、彼女たちは純粋にドラマを盛り上げてくれる存在。特にエレノアには、今後もエマとジョーンズの恋路を邪魔するお姫様としての役割を十二分に演じて欲しい。

 レースのハンカチの次は日傘。でもそんなウィリアムの好意をエマは素直に受け止められなかった。二人を分け隔てる壁は、そのまま二人の生活する世界をも明確に区別させる存在。この壁を壊すことができるのは、二人の気持ちだけだ。

第三章「告白」 脚本:川端信也 絵コンテ:金子玲 演出:島崎奈々子 作画監督:遠藤裕一 画面設計:田中比呂人 

 インドからやってきたウィリアムの友人・ハキム、彼はエマに一目ぼれでウィリアムよりも先に告白までしてもぅた。お坊ちゃま英国紳士なウィリアムとは違い、インドの王族であるハキムは野性味溢れる好青年って感じですね。気になってハキムの後を付けてきたにも関わらず、何もできずにケリー邸を立ち去ったウィリアムの背中が寂しく映る。もちろんエマはウィリアムの気持ちも分かっているが、ハキムの申し出に顔を赤らめていた。彼女の答えは果たして...

 ジェントルマンのウィリアムにとっては、(先週の)プレゼント攻撃+デートを重ねる→告白、という順序がスタンダードなんだと思う。一方でインド王族であるハキムはプレゼントよりもまず逢って自分の思いを告げるのが先だった。そんな二人のエマに対するアプローチの違いが面白かった。この作品、今では見るのが楽しみになってます。

四章「ミューディーズ」 脚本:池田眞美子 絵コンテ・演出:中村哲治 作画監督:門上洋子
第五章「晩餐会」 脚本:平見瞳 絵コンテ:小島正士 演出:金沢洪充 作画監督:堀越久美子

 四章:屋敷の中を車で爆走するハキム、面白いよアンタ(笑)。ミューディーズ:貸本屋でエロ本立ち読みとは、ウィリアム坊ちゃまもダメ男決定。そんなウィリアムにテニスの個人授業を受けたエレノアは更に自分の想いを深めていく。「フラれたことは、あまり問題ではない」、と断言したハキム(ちょっとカッコイイ)含め、この微妙な関係はまだまだ続きそう。

 五章:恋愛劇は一休み、五章はケリーおばさまの過去の話。ポーカー男・アルはケリーおばさまの夫・ダグと友人であり、二人は古くからのお知り合い。一を言えば十を感じ取ってくれる仲というのは、年をとればとるほど貴重なものなんでしょうね。ケリーがダグからプレゼントされたネックレスをエマに譲ったシーンは思わず涙が。もうウィリアムへの想いを隠すことができなくなってきたエマ、そのネックレスで魅力倍増は間違い無し。

 この作品の時間の流れから感じられるゆとり、温かさは他の作品にはまず見られない貴重なものだと、今回改めて感じました。そしてそれを力強く支えるのが梁邦彦の音楽、サントラは絶対にゲットだぜ!(古っ) 

第六章「訪問」 脚本:吉田玲子 絵コンテ:鎌倉由実 演出:三宅綱太郎 作画監督:西岡真弓
第七章「水晶宮」 脚本:池田眞美子 絵コンテ:金子玲 演出:林有紀 作画監督:阿部純子、木下裕孝、楠本祐子

 1ヶ月ぶりの視聴となってしまいましたが、多忙のおかげで存在自体を忘れかけてましたゴメンナサイ(苦笑)。

 #6:ケガをしたケリーおばさまの見舞いのため、ジョーンズ父・リチャードが息子を伴って来訪。そこで改めて浮き彫りになったのが、上流階級の人々と平民との世界の違い。「英国の中には二つの国がある」と断言したジョーンズ父の言葉が、エマとウィリアムの心に突き刺さる。

 #7:だがそんな逆風もどこへやら?、エマとジョーンズはクリスタルパレスで熱愛デート。バラバラになってしまう危機を乗り越え、閉館の時刻を忘れるほど語り合った二人は満月の下で口づけを交わした。これで目指すゴールまであと一歩のように見えるが、父リチャードはエレノアとの縁談を確実に進めつつある。足だけではなく、身体が弱っている様子のケリーおばさまといい、まだまだ二人が乗り越えるべき壁は多い。

第八章 「時計」 脚本:平見瞳 絵コンテ:小林常夫 演出:鎌倉由実 作画監督:荒尾英幸
第九章 「ひとり」 脚本:池田眞美子 絵コンテ・演出:島崎奈々子 作画監督:窪詔之

 こちらも約1ヶ月ぶりの視聴。溜まりに溜まってヤバイよホント(涙)

 #8:病床から出られないケリーおばさま、ちょっと心配。「父には自分から説得するから待っていて欲しい」、そう手紙に記した通り、弟妹の大反対に遭う中ウィリアムは父親に直談判。だが父・リチャードのまっとうな意見に反論することができなかった。もっと理論武装してからでないと、この巨城を陥とすのは容易では無い。一方、修理から戻ってきた時計が再び時を刻み始めたとき、ケリーは静かにこの世を去った。話かけようとも、何も言葉を返さないケリー、エマの瞳から大粒の涙が溢れ落ちた。

 #9:ウェストを細く見せるべく、コルセットのベルトをキツく縛るエレノア嬢にはちょっと感服。キャンベル家の晩餐会に招待されたジョーンズ家。ウィリアムはエレノアのエスコート役を勤めることになったが、話も弾みますますエレノアはウィリアムを好きになってゆく様子がありありと見て取れる。父・リチャードもこの二人を全面的にバックアップする腹積もり。ウィリアムにとっては穏やかでない状況に陥りつつある。そして本編からは外れるけど、「ローストチキンを落としたらクビ」、料理を作るメイドたちの真剣さもスゴイの一言。こういった細やかな描写が心地よい。

 一方、エマは数々の思い出に浸りながらも、ケリーの館の後片付けを進めて行く。そのほとんどを終えた夜、暖炉の炎を静かに見つめながら、エマは再び涙を流す。こんなとき、彼女の心を支えてあげられる男性がそばにいれば...そんなことを感じずにはいられなかった。
 

第十章 「すれ違い」 脚本:池田眞美子 絵コンテ:宮崎なぎさ 演出:金澤洪充 作画監督:遠藤裕一
第十一章 「過去」 脚本:池田眞美子 絵コンテ・演出:中村哲治 作画監督:木下裕孝、門上洋子
第十二章 「スズラン」(最終回) 脚本:池田眞美子 絵コンテ・演出:小林常夫 作画監督:清水恵子

 余りの面白さで、一気にラストまで見てしまいました。物語もちゃんと書き留めておこうと思ったけれど、公式サイトにちゃんと書かれているのでここでは省略、つーかサボります(笑)。

 お互いスズランを手に持ちながらの別れで終わりを迎えた時の余韻は何とも格別だった。物語として特別な目新しさがあったかと言われれば実はそんなことは無くて、例えば列車に乗り込んだエマをウィリアムがプラットホームを全力で駆けながら追いかけるシーンはTVドラマなどでも多用されるシチュエーションだし、エマが人身売買の道具にされた壮絶な過去を持っていたことも、時代背景を考えるならば充分に有り得る話だ。だが何よりもこの作品が19世紀末の英國という時代(特に貴族社会と平民社会の差異)を丁寧に描いていたことで、キャラクターの想いを我々視聴者にダイレクトに(混じりっ気無しに)伝わってきたと思うし、ラストの余韻にも繋がったんだと思います。

 余談ですが、タイトルの「戀」という文字が今の今まで読めませんでした。「恋」の昔の文字だそうで、読み方も同じく「コイ」だそうです(参考サイト)。振り返ってみれば、これ程までの純愛「戀物語」をアニメで見たのは久しぶりかもしれないね。アニメは終わったけれど、マンガ原作にも手を出そうかと思っているところです。

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