フタコイ オルタナティブ ~感想~

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FILM.01「コロッケとヘリと地下ボクシングと私」 脚本:金月龍之介 絵コンテ・演出:平尾隆之 作画監督:嘉手苅睦 

 「alternative:どちらかを選ぶべき, 二者択一の」。我々を怒りと失望のどん底にたたき落としたあの双恋のコンセプトを根底から覆す皮肉たっぷりのこのタイトル、さすがは金月龍之介さんです。

 さて肝心の本編、とにかくこの第1話は「目まぐるし過ぎ」でした。何だかわけの分からない物体との機内大バトルを繰り広げたるる&らら、そして暴走バイクで桜月組の面々を翻弄した沙羅の怒涛のアクションは見ているこちらを釘付けに...ウソです。ホントに釘付けだったのは沙羅ちゃんのサービスカットでした(笑)。

 ということでさすがはユーフォーテーブル、キャラクターを動かすことに対する執着は相変わらずすごいね。それからEDのクレイアニメ、明らかにシノブ伝よりもパワーアップしてました。とりあえずは来週も見てみたいと思います。確かに双恋は2倍うれしかったのかもしれない。でもフタコイは、オルタナティブ(二者択一)かもしれないけど単純な数の理論で推し量れない面白さがあるかもしれません。

 それから最後に、おそらくは既に諸所で語られていることだろうけど、沙羅と双樹の名前の由来はこれ。「沙羅双樹:釈尊が涅槃(ねはん)に入った臥床の四方に二本ずつあった娑羅樹。涅槃の際には四方の二双樹の一本が樹色白変して枯れたという。双樹については経典により異説がある。平家一「―の花の色、盛者必衰の理をあらはす」。(最近偶然に自分も読んでた)平家物語の序文にも出てくる言葉です。

FILM.02「ノーネーム・デイ」 脚本:金月龍之介 絵コンテ:阿部雅司 演出:阿部雅司、鎌仲史陽 作画監督:大田和寛、下川寿士 

 動と静、ハチャメチャなテンションと思わず浸ってしまう余韻が程好い具合に混ざり合う雰囲気、最高ですね。前者のハチャメチャというのも展開が「滅茶苦茶」に壊れてしまうのではなく、ギリギリのところで規律は守っている。「シノブ伝」もそうでしたけど、金月さんはそんな絶妙なサジ加減ができる少ないライターの一人であることを再認識した今週なのでした。

 それはそうと「オルタナティブ」である以上、沙羅と双樹、どちらが好きかというテーマは恋太郎だけではなく我々視聴者にも課せられたテーマであるはずだ(ホントか?)。ということでオレ様はどーなんだというと、第1話の段階から沙羅ちゃん派であることが分かり切ってました。ワタクシはおしとやか系よりも勢いのある爆発娘系が好みなのです。そして声が水橋たんと来れば、もう言うことないでしょ?(苦笑)。

FILM 03「エメラルドマウンテン ハイ」 脚本:金月龍之介 絵コンテ・演出:平尾隆之 作画監督:山本佐和子
FILM 04「ニコパク ラプソディ」 脚本:金月龍之介、寺東克己 絵コンテ:寺東克己 演出:小林智樹 作画監督:南伸一郎

 例の如く2週分纏めての視聴。酒が大量に入ってますので乱文・雑文ご容赦を(笑)。3話:「高校生に手を出すほど飢えちゃいない」(by恋太郎)、フーン(¬_¬)そうですか、オレだったら絶対手を出してます(笑)。この3話は桃衣愛&舞姉妹が登場。多用された心象描写っぽい表現は、恋太郎と彼女たちとの悲劇を重く感じさせるのに十分だったかと。ちなみに缶コーヒーマニアとしては、(昔は超不味かったけど)最近の「エメラルドマウンテン」は確かに美味しくなったと思う。

 4話:「ワイに地上げできんかった物件は、あらへーんーでー♪」。地上げ屋ジョー作詞作曲・「地上げ屋行進曲」には爆笑。ゴスロリ仮面・桜月キラユラ姉妹、アンタら極道の娘たちだったんですか。が、彼女たちは正直どうでもヨシ(苦笑)。それよりもラストで恋太郎の携帯に電話をかけてきたのは恋太郎のオヤジか?次回への期待がまた膨らみました。

 それにしてもこの作品、一見するとハチャメチャな展開で一寸先も見えないような錯覚に陥りますけど、主となるテーマは実はシンプルだと思ったり。様々な要素が入り混じったカオスを上手く纏める、それが金月流のシナリオ作りってところなのかな。

FILM 05「7DAYZ (…and HappyDayz)」 脚本:逢瀬祭、金月龍之介 絵コンテ:寺東克己 演出:嘉手苅睦  作画監督:斎藤雅和

 時折、白鐘姉妹は恋太郎の前から忽然と姿を消す。その理由は単に家に帰っているのか、それとも別の目的があってのことか、結局のところは分からず。今週は彼女たちの失踪~犬探しがメインのエピソードだったけれど、もしかしたら恋太郎の前から離れていた間、白鐘姉妹は何かを探し求めていたのかもしれない。そしてもしそうだとしたら、その時の彼女たちは正に迷い犬そのものだったのでは無いのだろうか...

 「私たちが一番に居た時の空」、沙羅は青空を写した写真を見てそう振り返った。過去形のこの言葉から想像するに、(過去では無い)現在の恋太郎は、白鐘姉妹よりも大切な何かを見つけているのだろうか。オルタナティブ、恋太郎が取捨選択するものは沙羅と双樹のどちらかではなく、「二人との絆」と、「別の何か」。そんな気がした今週でした。

FILM 06「どうして好きなのに別れちゃったの?」 脚本:佐藤和治、金月龍之介 絵コンテ:寺東克己 演出:水本葉月  作画監督:立石聖

 薫子と菫子がようやく登場と思いきや、今週展開されたのは彼女たちの存在を霞ませるような双葉姉妹の決死?の行動。混浴の温泉にて、裸の身で恋太郎の背中を抱きしめた沙羅と双樹。今の恋太郎には彼女たちを受け止めてやれるだけの度量が無いことは、分かりきったことのなずなのに...そして沙羅の平手打ちは、あやふやな態度を続けてきた恋太郎が背負うべき報いだ。

 だがそんな「焦り」にも見える彼女たちのアクションの裏には、「16歳の誕生日を迎えたら恋太郎と一緒にいられなくなる」という衝撃の事実が。事務所にやってきたゴツイ男の影もちらつき(コイツが冒頭の「霜島」?。沙羅と双樹はコイツに呼ばれて東京に戻った模様)、恋太郎&白鐘姉妹の周囲も慌しくなってきましたね。それからラストで恋太郎は「温泉の続き」をやっちゃったのか、かなり気になります。まぁ続きって具体的に何なのか、オコチャマな僕にゃ分からんが(笑)

FILM 07「双葉恋太郎最初の事件」 脚本:金月龍之介 絵コンテ・演出:平尾隆之  作画監督:高橋タクロヲ

 父・愛之助、実は2年前に交通事故死(って死んでたのかオヤジさん...)。恋太郎の最初の事件は、実家?を抜け出し双葉探偵事務所にやってきた白鐘姉妹との鬼ごっこ。その過程で、鬱屈した恋太郎が自らの殻を破る、という相変わらずマイペースな展開でした。つーか正直言うと、恋太郎の心境変化などオレ的にはかなりどーでも良いんですけどね(苦笑)。それと、いつもは恋太郎&白鐘姉妹がしゃべってる次回予告が今週恋太郎だけだったことは、何かの暗示なんでしょうかね。

FILM 08「サはさよならのサ」 脚本:金月龍之介 絵コンテ:望月三郎(A Part)、逢瀬祭(B Part) 演出:夕澄慶英 作画監督:堀越久美子

 白鐘姉妹の保護者と名乗る男・三ツ木が登場。彼は白鐘姉妹と許婚であり、姉妹が16歳の誕生日を迎える日にどちらかと婚約しなければならない。それが彼の父の遺言であり、そうしなければ彼は会社のトップという地位を失うことになる。沙羅と双樹は、そんな三ツ木が強いる束縛された生活から逃れるために、恋太郎の事務所にやってきたのだ。

 運命の16歳の誕生日の前日、姉妹は恋太郎と結ばれることを願った。それは即ち、呪縛からの解放を意味する。だが恋太郎は1日の時間が欲しいと答えるのが精一杯。そして当日を迎えても、結局彼に姉妹の運命を変える勇気は無かった。恋太郎の気持ちを知った双樹は「私は強いから。一人でも大丈夫だから...」と双樹をバス停に置き去りにし、見知らぬ道を一人歩く。バラバラになってしまった3人がこの先どうなってしまうのか、楽しみです。

FILM09 「フタコイ」 脚本:金月龍之介 絵コンテ・演出:後信治 作画監督:湯本佳典
FILM10 「クマのように舞い、イカのように刺す」 脚本:金月龍之介 絵コンテ:寺東克己 演出:鎌仲史陽 作画監督:堀越久美子
FILM11 「燃える二子魂川」 脚本:金月龍之介 絵コンテ:逢瀬祭 演出・作画監督:沼田誠也 メカ作画監督:あおいみづき、沼田誠也

 1ヶ月半ぶりの視聴。だって忙しかったんだもんっ←無意味に言い訳してます

 #9)沙羅は去った。あの男の元に。そして焼け落ちてしまった事務所...3人で過ごした日々は、もう2度と戻らないことを思い知った恋太郎は再出発を決意。だが彼の心には、この言葉が反芻して止まない。「もしあのとき沙羅と双樹を抱いていたら、ハッピーになれたのだろうか?」。彼の決意の弱さが、沙羅と双樹に号泣させたというのは言い過ぎだろうか。

 #10)「どうやって双樹を守るというのだ!?双樹を沙羅以上に幸せにするプランがあるのか?」、再出発の決意をいきなり霧島という公彦の部下にヘシ折られてしまった恋太郎。再開発による影響が二子魂川の街並みに深い傷を与え始めたが、まだ恋太郎を思っていてくれる人がいたことは、彼にとってこの上ない幸運だった。

 「私を捜して...」そうつぶやいた双樹を見捨てようとした恋太郎、それはいっそのことこのまま別れてしまった方が双樹にとっても幸せだと彼が思ったからだが、朱雀婆さんはそれを父と同じうぬぼれた思考回路だと一刀両断した。すぐさま双樹を捜しに出る恋太郎、事故って傷だらけになりながらも双樹をしっかりと捕まえた。恋太郎の事務所を焼きはらったイカのことはほっておきましょう(苦笑)

 #11)やっぱりほっておけないイカファイヤーとの大バトル。戦いに臨む前、「2人じゃない。3人じゃないとダメなんだ!!だから、オレのことを信じて待っていてくれ。」と双樹に誓った恋太郎、気が付くと彼は病院のベッドの上だったが、霧島のおかげでイカを撃破。そして公彦と沙羅が結婚式を挙げるためドイツにいることを知った二人は、すぐさまドイツへと旅立った。

FILM12 「光ある場所へ」 脚本:金月龍之介 絵コンテ:野中卓也、大隈孝晴 演出:大隈孝晴 作画監督:斎藤雅和
FILM13(最終回) 「3人でいたい」 脚本:金月龍之介 絵コンテ:平尾隆之、寺東克己 演出:平尾隆之 作画監督:小林利充

 ようやくフタコイオルタナティブも視聴完了。細かい経緯を記すのは疲労大により諦めます(苦笑)が、最終的に恋太郎と沙羅と双樹、3人の「ありふれた日常」が戻ってきて良かった良かった。最初はギャグだけの存在かと思ってたイカたちが実は大いなる敵だったなんて思いもよらなかったけど(笑)。

 振り返ってみれば、(意図的に)時間軸をこねくり回したりして演出的には凝っていた部分もあったけれど、それさえ受け入れられれば素直に楽しめる作品だったと思います。(若干過剰気味と思えることはあったが)キャラクターの心理とかも丁寧に描けていたし、作画面も特に後半はさすがユーフォーと言えるデキでした。

 番組開始前の雑誌(NT05年3月号)の記事では、金月さんはこう語っている。「2人いるから2倍幸せに決まってるだろ!という企画の”理屈と前提”の部分でいきなりつまづいて(笑)。そこで白鐘姉妹という双子といることが”本当に幸せ”で”本当にうらやましい”、誰から見ても2倍は幸せそうだ・・・そう思える日常を描こう、そこにドラマをもってこようと頭を切り替えたんです」。
 振り返ってみれば、この「切り替え」こそがフタコイオルタナティブの成功の全てだったのではないかと思う。そして「2人いれば2倍幸せ」というコンセプトを見事に描き切った意味からすれば、本家・双恋よりもむしろこちらの方が真の双恋だったのではないかと感じています。


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