BLOOD+ (第1話~第30話) ~感想~

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<スタッフ>
原作:Production I..G・Aniplex  監督・シリーズ構成:藤咲淳一  演出チーフ:松本淳  キャラクターデザイン:箸井地図  アニメーションキャラクター総作画監督:石井明治  メカデザイン:寺岡賢司  企画協力:押井守  音楽:Mark Mancina  アニメーション制作:Production I.G
<キャスト>
音無小夜:喜多村英梨  ハジ:小西克幸  宮城カイ:吉野裕行  宮城リク:矢島晶子  宮城ジョージ:大塚芳忠  デヴィッド:小杉十郎太  ジュリア:甲斐田裕子  ヴァン・アルジャーノ:諏訪部順一  金城香里:門脇舞

Episode-1 ファーストキス (2005/10/8) 脚本:藤咲淳一  絵コンテ・演出:松本淳  絵コンテ協力:古川尚哉  作画監督:石井明治  刀を持った女性が周囲の翼手や人間をメッタ斬り(小さい子供まで...)。いきなりグロテスクな描写で始まったこの作品ですが、コレ夕方に放送して良いんですか竹田P...気を取り直して本編、まずは小夜と香里のちょっとアブナイ?関係が目を引いた。親友というには彼女たち、ボディタッチが多いと思う。それから血の赤を更に鮮明にするためか、沖縄の青い空と海を丁寧に描いてましたね(小夜と香里のシューズ&運動着のカラーも赤と青だった)。  今週は翼手に襲われた小夜が、王子様・ハジのキスによって身体の中にある扉が開きついに覚醒!?ってところで終わってしまいました。ある程度の評価を下すにはまだ回数を重ねないといけないね。その他、翼手のことを軍は「マウス」って呼んでいること(今回は2体逃げたって言ってたが、彼らにとって実験体ってこと?)、ヴァン・アルジャーノってヤツがムカツク野郎ってこと(苦笑)、小夜役の喜多村英梨の演技がかなり良かったことを書いておきます。

Episode-2 魔法の言葉 (2005/10/15) 脚本:大松裕  絵コンテ:神楽坂時一  演出:高橋順  作画監督:植田実  ハジのキスで覚醒した小夜があっさりと翼手を撃破したが、我に返った小夜が血まみれの自分の姿に気絶。ある意味で分かり易すぎる展開ではあるが、さすがにI.G作品となると作画のクオリティが高いので、感じ取れる重みとか雰囲気が一味違うよね。その意味では「戦争」をテーマにしたMBS作品(=竹田P作品)はI.Gとかボンズくらいの力のあるプロダクションじゃないとできないのかもしれない。  今週出てきた謝花真央の苗字は「じゃはな」って読むのか(沖縄にしかない苗字みたい)。カイの苗字・「宮城(みやぐすく)」ってのも、沖縄に縁の無い僕には絶対に読めないものですね(苦笑)。カイにあからさまな好意を寄せる真央、小清水さんということで個性も強そうだし(笑)、彼女とカイと小夜の三角関係ってな展開は面白いかも。それからこの作品、小難しくて意味不明な単語(固有名詞)が余り出てこないところも好感が持てます。  今のところ行動に迷いのあるキャラが二人。一人は覚醒しつつある自分に戸惑う小夜本人、そしてもう一人がサービュランス(監視者)でありながら対象の小夜を実の娘のように愛してやまないジョージである。他のキャラクターが明確な目的の元に毅然とした行動を続けたり、カイが迷いから吹っ切れたりしてる現状では、余計に二人の迷いが目立っている。「なんとかなる」というカイの言葉はそんな小夜の心に一時の安息をもたらしたが、もう一体の「マウス」が彼女の休息にあっさりとピリオドを打ってしまう模様。来週以降も注目だ。

Episode-3 はじまりの場所 (2005/10/22) 脚本:櫻井圭記  絵コンテ:工藤進  演出:太田知章  作画監督:宮前真一  遺跡らしき建物の入り口で全裸で倒れていた小夜に銃を向けるジョージ。あの事件以来、学園から事件の記憶が少しずつ消えてゆく現実に、小夜の心は少なからず乱される。それは他の生徒たちと彼女の見えている風景が異なることに起因していたのだろう。そんな小夜を、タイムリミットだとデヴィッドにプレッシャーを掛けられたジョージはある場所に連れて行く。その場所は冒頭で出てきた遺跡、では無く宮城家の墓だった。てかこんなデカイ墓ってアリか!?  ジョージは小夜を引き取った全てを小夜に話す。その始まりは戦地・ベトナム、そこで彼は恩人である人物に眠りについていた小夜を託され、妻と娘を失い絶望に落ちた彼を救ったのが、目覚めようとしていた小夜の鼓動だった。小夜と同じように実の子供では無いカイとリクを実の息子のように育て上げた彼は、1年前のこの場所で、永い眠りから目覚めた小夜を娘として育てる決意をしたのだ。そして今日、新たな運命に立ち向かう小夜にとってここは、本当の始まりの場所となる。  店に戻った二人を待ち受けていたデヴィッドは、小夜こそが翼手に死をもたらすことができる血を持つ唯一の存在という。しかしそこにやってきたジョージの店の常連客・フォレストが小夜たちを襲う。その危機に現れたハジは剣を小夜に渡すが、今の小夜は剣を受け取ることができない。その代わりにジョージが剣を持ちフォレストに襲い掛かるが、フォレストの爪に身体を斬られてしまった。ジョージから流れる大量の血が、小夜の悲鳴を誘う。

Episode-4 アブない少年 (2005/10/29) 脚本:菅正太郎  絵コンテ:弥佐吉  演出:誉田晶子  作画監督:大久保徹  ジョージは血まみれのまま病室に運ばれた。やり場の無い怒りを抱えたカイは病院を飛び出し、自分のせいと思い込む小夜は力なく落ち込んだ。病院で話し込むデヴィッドとジュリアから出た言葉、小夜の従う者はハジのことだろうが、「ジョエルの日記」ってのが何なのか全く謎だ。  ジョージの銃を奪ったカイはフォレストの彼女、レイミを追う。彼女を追えば、フォレストの元に辿り着けると読んだのだ。一方カイを追う小夜とリクがレイミが働くクラブに辿り着くと、店から真央が出現。手下が運転する高級車に乗りながら多くの人脈を尽くしてカイを探すそのお嬢っぷりはスゴイ(笑)  レイミが入った港の倉庫にカイも突入。だがレイミは翼手に変わり果てたフォレストに血を吸い尽くされ死んでいた。カイは力を込めて銃を放つ。が、弾丸はことごとくフォレストに跳ね返される。翼手に銃弾は効かないということか。その銃声を聞き取った小夜は車を飛び出し、目の前にはハジ出現。ハジはカギ爪の右手にナイフを突きつけ自らの血を小夜に見せつける。小夜の瞳がまたしても色を変える。  覚醒した小夜はハジとの共闘の末、あっさりとフォレストを倒した。ルイスが翼手を運び出す最中、我に返った小夜の瞳からは、涙が零れる。だがハジ曰く、小夜はまだ覚醒していないと言う。一方ジョージが米軍にさらわれた。彼らにとって翼手に斬られたジョージも、マウスと同じく実験サンプルの1つなのだろうか。ジュリアが話していた「汚染」という言葉と関係があるのかもしれない。また、常人では聞こえない声が聞こえるリクにも、少なからず秘密がありそう。

Episode-5 暗い森のむこうへ (2005/11/5) 脚本:後藤みどり  絵コンテ:佐山聖子  演出:佐野隆史  作画監督:中澤勇一、中本尚子  さらわれたジョージは謎の施設で輸血(その血は「D67」-デルタ67というらしい)を受けていた。デヴィッドはジョージのいる施設には翼手もいると語り、救出作戦に小夜を連れて行こうとする。彼女はわかりましたと静かに答え、また病室で刀を見つめながら、自分が行くしか無いとつぶやいた。  デヴィッドと赤い楯本部との電話での会話。この救出作戦に対し、本部は増援を出すことはできないという。その他、「ベトナムの再現はなし」等の報告を行うが、この会話は何者かに盗聴されていたようだ。デヴィッドとジュリアはジョージの居場所を自然環境保護センター「ヤンバル」だとにらみ、通り魔事件の全犠牲者が米軍によってヤンバルに収容されていることを知ると、そこにジョージがいると断定した。  オレも行くとデヴィッドに噛み付くカイに対し、デヴィッドは足手まといだと一蹴した。納得がいかないカイは、デヴィッドにタイマン勝負を挑むも、全く歯が立たない。ボロボロにされて起き上がれないカイに対し、小夜は背を向けながらデヴィッドと同じ言葉を繰り返す。大切なものを守れない歯がゆさに、カイはやり場の無い怒りを抱える。  小夜たちが目的地に到着しルイスと合流した。車のトランクにはカイとリクが作ったオニギリが入っていた。今の彼らが小夜にしてあげられる、最大限のこと。小夜はそのおにぎりを抱きしめた。だがその施設にアルジャーノがオプションDを発令。ジョージが目覚める中、施設は翼手によってめちゃめちゃに破壊されていた。アルジャーノと米軍との会話から、施設で使われていたデルタ67は人工の翼手を作るための血と思われるが、だとするとジョージの身はどうなる!?。何にせよ、小夜は「超危険地帯」に足を踏み入れた。

Episode-6 おとうさんの手 (2005/11/12) 脚本:森田繁  絵コンテ:勇徹夫  演出:浦田保則  作画監督:福島豊明  施設内に人気は無い。だがそれは表だけの話だ。マウスが公になるのを防ぐため米軍がオペレーションDを発動する一方で、小夜たちは秘密の地下室に足を踏み入れる。そこはやはり死体の山だった。一方病院ではジュリアが3時間後にヤンバルを空爆するとの情報を入手し、驚愕する。オペレーションDとは即ち、空爆による完全証拠隠滅のことだった。ジャミングのため通信も出来ない状態だったが、カイはこの事実を小夜たちに直接伝えるべく、バイクで飛び出した。  ベトナム戦争以降、米軍が関与する国際紛争地に翼手が異常発生するようになった。しかも紛争に参加した米軍の海兵隊は、必ず沖縄を経由して出撃していたとデヴィッドは言う。このヤンバルでD67を使った人工翼手の研究が行われていた結果であることは間違い無い。が、デヴィッドがデータをメディアに抜き出した直後、天井裏から翼手が出現。小夜は驚きと恐怖の余り剣が抜けない。仕方なくデヴィッドたちは隔壁を閉じて難を逃れたが、同時に退路までも断たれてしまった。一方、空爆が目前に迫るなか、アルジャーノは本部からの召集により沖縄を離れた。  デヴィッドたちは再び翼手に挑むが2匹目の翼手が出現し小夜に襲い掛かる。しかしそこにジョージが現れ翼手を素手で殴った。深手を負ったはずの彼だが今は無傷。それがD67を点滴されたためであることは、ジョージ本人もデヴィッドも理解していた。  小夜たちは複数の翼手と再度対峙する。だがジョージは小夜を守るため捨て身で攻撃し、致命傷を負ってしまう。そして今にも息が絶えそうなジョージの手は、翼手のものに変わっていた。そこにカイも辿り着いた。ジョージは言う、小夜の血を自分にかければ、人間のまま死ねると。涙を流しながらも、小夜は父に従った。「明日のために、今日を生きろ」。遺言を遺し、ジョージの身体が完全に固まった...直後、突如襲い掛かった翼手を、覚醒した小夜は次々と斬ってゆく。  小夜たちが脱出した直後、米軍はヤンバルを空爆した。燃え上がるヤンバルを後にする車の中、小夜の瞳は涙をためたままだった。

Episode-7 私がやらなきゃ (2005/11/19) 脚本:藤咲淳一  絵コンテ:竹内一義  演出:粟井重紀  作画監督:宮前真一  真実が告げられたリクは、ショックのあまり自室に閉じこもってしまう。2日間眠っていた小夜も心配するが、リクの元気を取り戻すのはオレの役目だとカイは言う。彼らがいるのは船の上、沖縄を出た彼らが行くべき先はどこ?。一方跡形もなく吹っ飛んだヤンバルの事故現場には岡村という地元の新聞記者がいた(前にも出てきてたようだが記憶に無い...)。爆弾を積んだ飛行機の墜落事故という報道に彼はキナ臭さを感じ、そして黄色い防護服というキーワードによりそれはある種の確信へと変わって行く。  デヴィッドとジュリアはヤンバルから持ち帰ったデータの解析開始。「ディーヴァ」に辿り着く手がかりを探す彼らだが、ディーヴァ(diva?)ってそもそも何よ!?ということで意味をちょっと調べてみたところ、イタリア語の「prima donna。プリマドンナ(オペラの主役歌手)」と同じ意味がある一方で、古代語では「神(或いは悪魔)」という意味もあるらしい。ハジがチェロを弾いていることに関係があるのかも??  デヴィッドは、ヤンバルから大量のワインの空き瓶が発見されたことを知り、それがベトナムのお嬢様学校(Lycee de Cinq Fleshe。リセ・ドゥ・サンクフレシュ)経由の流通であることを突き止める。「血」を連想させる赤ワインが何か関係あるのか...何にせよ次の舞台はベトナムに決まった。  「過去を受け入れろ」。ジョージの遺言が脳裏から離れない小夜は、自分の過去を知りたいとハジに言うと、ハジはかつて小夜が見せたという太刀筋を披露する。そして「翼手と戦うこと、そこに答えがある」と彼は言う。一方、カイはリクに小夜が家に来たばかりの頃の話をする。小夜がバラバラにしてしまったリクの本を米粒で修復した。身寄りの無かった子供たちの、ジョージはまさに米粒だったということだ。  小夜の居合の声が響く。いないはずの敵を前にして、彼女の太刀筋は雨を切り裂く。自分がやるしかない、「明日を笑って迎えられるように」するために。かつて父ジョージが二人に言った言葉だった。そして部屋から出てきたリクは小夜の胸で泣き、そして小夜とカイの3人で笑いあった。  ジュリアが調査を進めると、リセ・ドゥ・サンクフレシュで10年前に変死体事件があったことが判明。そのベトナムでは、沖縄の時と同様にアルジャーノが先行してベトナムに入っていた。その彼を、デルタ67を作っているカールという人物が迎える。「握手が出来ない」というカールの手は、もしかして翼手と同じなのか!?何にせよまた一人、難敵が増えたのは間違い無い。

Episode-8 ファントム・オブ・ザ・スクール (2005/11/26) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:弥佐吉  演出:誉田晶子  作画監督:大久保徹  小夜はリセ・ドゥ・サンクフレシュに転校(潜入)する。てーか最近はこういった片方の性別のみのエリート学校物語ばっかり見てる気が(苦笑)。一方で、カイとリクはキャッシュカードと共にホテルに置き去りにされてしまう。さすがにこれからは彼らの存在が重荷にしか成らないというデヴィッドたちの判断だろう。  小夜は如何にも厳格そうな教師のミズ・リー(舞-乙HiMEのマリアと雰囲気似てる)の案内を受け、同室のミン(イケメンオタク藁)は小夜を大歓迎する。声は金城香里と同じ門脇舞だが、小夜に好意を示すところ以外、個性はかなり違うようで。そしてクラスを取り仕切るアンナマリー様は転校生をかなり敵視。ま、クラスにはいろいろなヤツがいるものだ。一方、この地に潜むのが「ディーヴァ」かもしれないというデヴィッドは、同時に本部に援軍を要請し、小夜からも随時状況を聴く。  さて、今週の本題。ミンは小夜にこの学校のファントム伝説を語る。かつてこの学園でバラの世話をしたロゼという少女と恋に落ちた怪人ファントムがロゼにプロポーズすると、ロゼは「蒼い薔薇」を持って来ればそれに答えると言う。だが薔薇は見付からず、長い年月が経ちロゼは亡くなった。その死にファントムが落とした涙は大地を潤し、一輪の蒼い薔薇が咲き、ファントムはそれをロゼの墓に捧げ姿を消した。そして以降、ファントムは三日月の夜に学園の塔に現れ、ロゼと同じ黒髪の少女をさらいに来ると言う。何だかなーな話だが、ミンはファントムの正体を「イケメン庭師」ハジと推測する。って何で庭いじりなんてしてるんだアンタわ!!(笑)。だが10年前、蒼いバラにまつわる行方不明事件があったこともミンは語る。当然それは、7話で語られた変死事件と関係あるのだろう。  ミンは小夜の兄貴=カイを紹介して欲しいと言う。もぅこの娘の暴走は止められない(笑)。一方、行くアテを探すカイとリク、ベトナムの首都をハノイだとちゃんと答えるリクはさすが兄貴より秀才だ(笑)。リセにカール理事長らしい。製薬会社の人間であり、かつ学園の理事長ってのはどーよ!?そのカールにマークされながら、ハジは小夜に護身用の短剣を渡す。小夜はファントムが翼手と直感していた。ハジは蒼い薔薇が自然界に存在しないというが、ミンはその蒼い薔薇をある製薬会社が作っているという。当然、カール氏が関わっていないわけは無いだろう。  小夜の潜入捜査は続く。問題の塔に登った小夜は立ち入り禁止区域に入ろうとし、ミズ・リーに怒られる。夜、小夜のベッドにミンが潜入し、恋愛話で盛り上がる。いや、盛り上がってるのはミンだけだが(苦笑)。だが夜遅く、塔に怪しい灯り出現。小夜は立入禁止区域に足を踏み入れる。奇しくもその夜は三日月、そしてやっぱりファントム出現!!てーかアンタ、どう考えてもカール氏じゃん(笑)。  襲い掛かるファントムの肩に小夜は短剣を突き刺すがなんと無傷。ヘルプに入ったハジの攻撃を軽々と交わし、塔から飛び降り消え去った彼は蒼い薔薇を残してゆく。あーぁ、ファントムがハジ様ではなくてこんな変人じゃ、ミンちゃんの妄想は完全に崩壊だな(笑)。

Episode-9 それぞれの虹 (2005/12/3) 脚本:菅正太郎  絵コンテ・演出:佐山聖子  作画監督:塩谷直義  帰りたいと漏らす弱気なリクの前に、片足を無くした少女・ムイが現れる。カイは地元の男の子たちと草野球を楽しみ、リクとムイは観戦。彼女、片足を無くしてはいるが、前向きな明るい少女だ。デヴィッドたちも、ファントムが黒髪の東洋人だけを狙っていることを知るが、今はリセのことは小夜に全てを任せるしかない。  ベトナム戦争の不発弾でムイの兄は即死し、ムイ自身も左足を失った。彼らがいる施設は、そのような被害を受けた両親の元を追い出された子供達も少なくないという。とそこに、この施設をバックアップしている製薬会社からムイの薬が届けられる。怪しすぎる...  カイは翌日にこの暖かい場所から離れる決意をしていた。だがその夜寝付けないリクが外に出ると、ムイがいた。二人とも、何かの音が聞こえたために外に出てきたのだが、この音を出していたのはあのキザ男アルジャーノ。ムイに手渡されたあの薬も彼らの手ほどきによるものだった。だがそれを飲んでいないはずのリクが聴こえるのは何故?  翌日はあいにくの雨。リタが奏でる素晴らしいピアノの音色にリクは引かれる。雨はすぐ止み、空には虹が広がる。ピアニストの素質があるのは間違い無いムイだったが、彼女の夢は父と母の手伝いがすることだった。だがその時、彼女の父までもケガで働けなくなったとの報が入る。リクは施設の女性から、ムイがフランスの音楽学校への留学話があったが、あの事故のおかげで流れてしまった過去を話す。  リクはムイが欲しいという金属探知機を買ってあげたが、施設に戻ったリクに大人たちが激怒する。彼女がやろうとしているのは、金属探知機で不発弾を掘り起こし、鉄くずとしてお金を得ること。カイとリクはすぐさまムイの村に向かったが、ムイは母の手伝いができるようになったことにとても満足していた。自分のしたことは正しかったのか、葛藤に苦しむリク。だがカイはここの人たちはここまでしないと家族一緒に暮らしていけないと静かに語る。リクもまた、家族と暮らすということの、かけがえの無さに気づき、唯一の家族である小夜を探すことを改めて決意した。  だがその夜、再び二人に聴こえる音。だが外に出た二人を、見知らぬ大人たちが取り囲む。カイの奮闘虚しく、二人は彼らにさらわれてしまった。一方日本では岡村記者が仕事の準備をしていた。「真実はベトナムにある」。戦場カメラマンだった父の遺言を胸に、彼もまたベトナムに発つ。
   「薬」は秘められた何らかの能力を発現させるものであり、そして「音」はその能力が発現した者でないと聴こえない。そのことは容易に想像がつくが、リクは薬の力を使わなくてもその能力を発現させることのできるようだ。さしずめ、ムイが「人工」で、リクが「天然」というところか。ただその力が何なのかは、今は全く分からない。

Episode-10 あなたに会いたい (2005/12/10) 脚本:森田繁  絵コンテ・演出:佐野隆史  作画監督:小林利充  シュヴァリエ、一つの意志を5つの身体で分け合った兄弟。カールもその一人だという。兄弟の間に隠し事はなしというが、カールはそれに反して思い切り隠し事をしようとしている。そして電話の相手・ソロモンという男。デューイ大佐といい、辻谷さんは大人気である(笑)。さて、リセはハノイ旅行の話題で盛り上がっていたが、小夜の机に何とあの蒼い薔薇が置かれていた。小夜がファントムに選ばれたことに、周囲もやや騒然となる。その小夜は、聖堂の横に隠された薔薇園に蒼い薔薇があるらしいことを聞き、ハジと共に薔薇園に乗り込んだ。  蒼い薔薇に囲まれた地下室への入り口。扉はあっさりと開き、小夜とハジは中に入ってゆく。固く閉じられた牢の中には謎のコンテナ(721226と書かれていた)が置かれていたが、それに触れることはできなかった。翌日のハノイ旅行の最中、小夜は翼手と異なる雰囲気を持つファントム、そして謎の地下室のことをデヴィッドに報告する。その言葉を聞いたデヴィッドは、リセにシュヴァリエが絡んでいると推測した。例の日記によれば、ディーヴァの守り手となる翼手がシュヴァリエらしい。そして小夜の見たコンテナの中にそのディーヴァが居ると考えられるが、推測だけでは本部は動かず、リセに踏み込むことはできない。とその時ジュリアは、リセに侵入する方法として、リセで開かれるダンスパーティーを利用することを提案する。時を同じくして、記者の岡村もリセへの侵入手段を探していた。  戦争博物館の見学。戦時中の写真を見た小夜に、何もかもを斬り捨て人々を恐怖のどん底に陥れた悪しき記憶が蘇る。博物館から飛び出した小夜は、岡村と激突してしまうが今の小夜に構う余裕なし。寂れた街の片隅で頭を抱える。がそこに蒼い薔薇を持ったファントムが出現。彼の左手はやはり翼手のそれだ。そしてハジが小夜に剣を与え、ファントムの前に立ちはだかるが、逆にファントムに吹っ飛ばされてしまう。  ファントムはカギ爪の右手を小夜の頬に当てながら、あの殺戮の夜のことを語る。すると小夜の瞳が、みるみる朱色に染まってゆく。このまま悪魔の心に染まってしまうのか。だが「小夜は小夜だ」、そのカイの言葉を思い出した小夜は我を取り戻し、ファントムの右腕を斬り落とした。仮面を外したファントムは、小夜があの惨劇を眠りの奥に封じ込めたことで、気持ちよく小夜を殺せなくなってしまったと涙を流し、そして正体を明かす。道端には、一輪の蒼い薔薇が置かれていた...

Episode-11 ダンスのあとで (2005/12/17) 脚本:櫻井圭記  絵コンテ:中津環  演出:ヤマトナオミチ  作画監督:植田実  あのコンテナを左手で触っているのは、もちろんカールだ。ミンはダンスパーティーのドレス選びにご執心。「ファントムショック」で元気の無い小夜を励ます。そのダンスパーティーでも、ファントムのウワサで持ちきり。小夜はミンからドレスを借りて参加。肌が露出させフリフリのデザインに小夜たん赤面。場馴れしてるアンナマリー様はとりあえず無視(苦笑)。外ではパーティーに岡村が忍び込もうとしてあっさりと追い払われてしまうが、そこで彼は5本の矢が1点に重なり合う紋様が刻まれたトラックを見かける。これはおそらく、10話の冒頭で語られた5人の兄弟の意志を、毛利元就の3本の矢になぞられたものだろう(3本の矢も兄弟だしね)。  さて、パーティにデヴィッドとジュリア到着。つーかジュリアさんのとてつもない大人っぽさは、小夜と雲泥の差だ(笑)。カールは姿を見せていないが、今度は確実に彼をしとめろとデヴィッドは小夜に言う。そのデヴィッドは地下室に潜り込み、ジュリアもリセの中を見回りに行ってしまった。  再び一人になった小夜。だがこのパーティに、蒼い薔薇を胸に挿したソロモンが出現。彼は小夜をダンスに誘い、キザな言葉を連発。小夜もすっかりとソロモンのとりこになり、顔を赤らめてしまう。しかしそこに何とアルジャーノ登場。ソロモンは蒼い薔薇を小夜の髪に挿し、アルジャーノと共に去って行った。だが外に出た小夜を、ファントムは待っていた。そして地下室では、デヴィッドがコンテナを運び出そうとする者達に発見されてしまった。  小夜はジュリア、ハジとともにファントムを追い、聖堂に入る。そして地下室では、ファントムとデヴィッドが交戦中。しかも岡村までここに潜り込んでいた。だが小夜たちが到着した時、既にコンテナはトラックで運び出されてしまった。残ったファントムは三度小夜の前に立ちはだかる。彼はハジと刃を交えながら、ハジのことを小夜のシュヴァリエと言い、そして小夜がまだ完全に目覚めていないと嘆き悲しむ。一方、この「異常な光景」に、岡村カメラマンの記者魂が熱を上げ、彼はカメラでこの光景を写しまくる。その彼の後ろには、67年モノのワインのボトルが置かれていた...  小夜たちの攻撃を交わしたファントムは、まだ為すべき事があると言い、またしても蒼い薔薇を残して逃げた。コンテナを乗せたトラックを追うため、聖堂から出た小夜は剣を持ったまま。丁度そこに居合わせたミンは傷だらけの小夜の姿に驚くが、更に小夜の傷口がみるみる塞がるその光景を目の当たりにし、計り知れないショックを受ける。目指すコンテナは、ラオスに通じる河の上流にある、製薬会社サンクフレシュ・ファルマシーの実験農場に運ばれたらしいが、これで小夜とミンの友情も終わりを告げるのか。
   この2話で頻繁に出てきた「シュヴァリエ(chevalier)」は、フランス語では「馬」、英語ではKnightと同じく「騎士」という意味。純粋な意味からすれば、ハジが小夜のシュヴァリエってのはすごく的を得た表現だし、カールたちもディーヴァを守るシュヴァリエって考えれば納得が行く。まぁシュヴァリエたるには、何か特別な条件を備えることも必要かもしれないが。ちなみにカールの左手は完全に翼手のそれだけど、ハジとカールの右手が共にカギ爪っぽい(しかもカールは義手?)という共通点があるんだけど、これがその条件の1つなのかも。

Episode-12 白い霧にさそわれて (2005/12/24) 脚本:菅正太郎  絵コンテ:工藤進  演出:羽生尚靖  作画監督:渡辺純子  赤い楯が追う最終目標こそ、ディーヴァだ。そしてそのディーヴァを守るのがシュヴァリエ。ディーヴァさえ確保すれば、この戦いは終わる、そう呟く小夜だが...デヴィッドたちの元にクララ以下赤い楯のメンバー4人が合流し、農場への侵入作戦を練る。  一方その農場では問題のコンテナを前に、ヴァン・アルジャーノはソロモンと会談していた。デルタ67のフェイズ2のデモを見せたいというヴァンにソロモンは全て任せると言い、続けて「サムライマン」の話を聞かせて欲しいと彼は言う。このソロモンは製薬会社サンクフレシュ・ファルマシーのCEOであり、このヴァンにも考えが読めない謎な人物なのだ。  捕らわれていたカイたちが連れられたのも、この館だった。カイは兵士の隙を突き牢から脱出し、リクとムイを助けた(ムイがただベッドに寝かされていたのに対し、雁字搦めにされたリクの扱いの差は何を意味する?)。一方、デヴィッドたちは暗いジャングルの河をゆっくり進む。ってちょっと暢気過ぎ無いか?(苦笑)。  小夜が暴走したときはどうするのか、クララの問いに対し逃走か死だけであり、次の世代の小夜を引き継ぐとデヴィッドは呟く(小夜は能力を引き継ぐ世襲制か?)。だが戦争の爪痕が残るジャングルで、小夜には少しずつ戦争の記憶が蘇る。戦いが終われば、またカイたちとの日常が戻ってくる。今、小夜が刃を振る理由は、それしかない。一方カールは自分とソロモンが写った古ぼけた写真を見つめていた。ってアンタら不老不死かよ!?小夜を殺してはならない、そうソロモンはカールに警告する。兄・アンシェルには話すなとカールは言い返す。って、ソロモンとカールはとても血が繋がっているようには思えんが。  舟を降りジャングルの奥に進む赤い楯。だが小夜は、彼女にしか聴こえない歌に心を乱される。いやもう一人、ハジの右手から震えが止まらない。館ではカールがコンテナを開けていた。光りに満ちていたコンテナの中、それはデルタ67の原料であり、ディーヴァは楽しい夢を見ていると、ソロモンは笑みを浮かべながら言う。一方、地下牢ではカイには聴こえない歌(歌うのはやはりディーヴァ?)に、赤いローブに身を包んだ子供達(マウス)が引き寄せられる。カールはその子供たちを引き連れ、小夜たちを迎え撃つ。  小夜たちの上空にはコンテナを運び出すためのシーホーク(ヘリ)が。そして直後、子供たちが彼らを取り囲み、館の上からファントムが迎えの言葉を送る。あの時と同じ...我々のベトナム戦争の再演だと、ファントムは高らかに宣言した直後、子供たちの殻を破り中から翼手出現!!うわっ、この描写はマジで気持ち悪過ぎ(涙)。小夜は頭を手で覆い、動けなくなってしまった。突如苦しみだしたムイを残し、カイは外に出た。翼手との戦いは激しさを増し、赤い楯は苦戦する。しかも翼手は驚異的な再生能力を持っていた。  クララは戦えない小夜に苛立ちを隠せない。だがあの歌が頭に響き渡る小夜はどうしても戦えない。翼手は動けない小夜に容赦なく襲い掛かるが、ハジが右手で翼手の首をぶった斬った。血飛沫が顔を赤く染め、小夜は絶叫する。
   って今回、怖すぎるよマジで!!ホラー映画が超苦手でバイオハザードを何とか耐えられるレベルのオレにとっては、l今回の演出や描写はあまりにもしんどいの一言でした...(涙)

Episode-13 ジャングル・パラダイス (2006/1/7) 脚本:菅正太郎  絵コンテ:紅優  演出:浦田保則  作画監督:福島豊明  今更の報告なんですが、主題歌CD買いました。「青空のナミダ」は当然良い曲なのですが、2曲目の「もうひとつの夜明け」もすごく良い曲です。  さて本編。あまりのショックに力を失ってしまった小夜。彼女の代わりにハジやクララが奮戦するが、不気味な歌声は止むことが無い。そして再び脳裏に蘇る、ベトナムの悪夢。そこには小夜を止めようとするハジらしき人物がいた!?直後、カイが現場に踏み込むと、瞳の色を赤く染めた小夜が剣で翼手をズタズタに斬り刻み、そして何と小夜がデヴィッドに襲い掛かった。ハジは寸前で小夜を止めたが、何とハジは小夜に血を吸われてしまう(吸血行動の意味するところは何?)。彼の身体は一応無事だったが、もはや小夜は我を失った獣なのか。  高笑いするカールが小夜との戦いを望み、ついに二人の本気の激突開始と思われたが、カイが小夜の名を叫び小夜は我を取り戻す。激怒したカールはカイに向かって突進するも、ソロモン兄貴が止めカールは逃亡する。重傷を負ってしまった仲間のクララはコンテナ破壊を小夜に託し、翼手の子供達もろとも自爆。コンテナに走る小夜は、「私がやらなきゃだめなんだ」と涙を流しながら、カイにリクの身を託す。  コンテナは正に今、ヴァンとソロモンが運び出そうとしていた。そこに戻ってきたカールがソロモンに、何故止めた?と詰め寄るが、彼女を甘く見るなとソロモンは言う。遅れて彼らの前に現れた小夜は、そこで舞踏会で踊ったソロモンの正体を知る。そしてついにカールが本気を出しバケモノに変身。本気の戦いが始まった。一方、ムイの皮膚には殻のようにヒビが入っていた。カイはムイを見るなりその正体を知り彼女を突き飛ばすが、リクは(おそらくその意味を知りながらも)何とも無いと反論する。  ヴァン&ソロモンが1台のヘリで逃げ出したが、もう1台のヘリにデヴィッドが強引に飛び乗る。が、ヴァンたちのヘリからミサイルが発射され、デヴィッドが乗ったヘリは破壊されてしまった。これが彼らのやり方なのだ(コンテナは両方のヘリから吊るされていたが、どうやらディーヴァが乗ったコンテナはヴァンたちのヘリが運んでいたようだ)。機中、あの子供たちはデルタ67では無いとソロモンは言う(じゃあ何だろう?デルタ67よりも更に研究が進んだシロモノなのか)。  本気を出したカールに小夜は腕を折られ苦戦。そしてムイと共に表に出てきたカイとリクだが、リクが正体を現しつつあったムイに襲われる。だがその光景を見た小夜が突如完全復活。絶対にカールたちの悪行を止めてみせると叫び、カールを追い詰める。館に追い詰められたカールは自らの身体を傷つけ逃亡した。敵を逃がした小夜の悔しさが、ジャングルにこだまする。  獣の右腕を持ったムイは、完全に人ならざる人なのか。元に戻るよね、リクの言葉にカイは静かに同意する。一方、ルイスとジュリアは、それが奇蹟だとつぶやく。だが。ピアノの鍵盤を弾くムイの左腕にかすかな希望を見出すことが、本当に間違いだとは思えない、思いたくない...  一連の出来事を目の当たりにしたカイはデヴィッドに激怒し、オレが小夜を守ると宣言。帰りのボート、久々に家族が揃った。カイもリクも、小夜に何も隠さないでと言い、その言葉に小夜は涙を流した。小夜が重過ぎる運命から解放されるまで、一体どれだけの涙を流せばよいと言うのか、その答えは誰にもわからない。

Episode-14 さいごの日曜日 (2006/1/14) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:神楽坂時一  演出:おざわかずひろ  作画監督:越智信次  新OPはHYDE。ラルクの曲も含め、GTOのOP以外で彼の歌とアニメとのマッチングが良かった記憶は無いのだが、今回は幻想的な雰囲気が感じられる絵とのマッチングは悪く無いと思う。  小夜たちが沖縄に戻ってきた。デヴィッドはジャングルで見つけた資料の中にあった、翼手の研究を行っていたテッド・A・アダムズなる人物を追うという。一方の本部は「パールフェイオン」の消息もつかめていないと言う。何のことでしょ?。そしてソロモンがシュヴァリエであることの確信を得ていないようだ。そんな彼等も小夜たちと同じく沖縄に戻ってきていた。ジュリアは、小夜が変わらないためにも、休息が必要という。  一人布団に顔をうずめる小夜、久々の休息だろう。カイは自宅(厳密にはもう自宅では無いが)からジョージのグローブを見つけ、それを墓に捧げたいと言う。が、久々に戻ってきた沖縄の青空は、その青さを少しだけ失ったように思えたのは気のせいか。ジョージの墓の中には巨大な割れた繭があった。おそらくそれこそが、小夜の始まりの場所だろう。墓参りを済ませた小夜たちは食堂に足を運び、そして小夜がカイに導かれるまま公園の階段を登ると、そこに待っていたのは香里だった。  久々に再会した二人。だが会話はぎこちない。それは二人の関係に明日が無いことを、お互い分かっていたからだ。街は変わらない、でも自分は変わってゆく。自分が自分で有りつづけるため強くなりたい。小夜はそう強く願う。そしてそんな小夜の力になりたいと香里も願っているが、それは叶わぬ願いだ。日曜の学校に侵入した4人、小夜は高飛びにチャレンジする。しなやかなジャンプで過去最高記録をマークした。だがそれは間違い無く、小夜の覚醒がもたらしたもの。小夜はそれを確かめただけなのか。だが香里は、小夜は小夜だと言い聞かせるように繰り返す。  小夜の提案で海辺のバーベキュー開催決定。カイのダチも合流し、ハジも何時の間にか海辺に来ていた。食事を楽しむ小夜たちを、ハジは邪魔にならないように静かに見つめる。そして夜も深まり花火を楽しむ。二人きりとなった小夜とカイは、ずっと離れないでとカイに告げ、自分を信じて欲しいとカイも応えた。ハジのチェロが夜の岸辺に静かに響き渡る。  夜も更け、香里と別れの時が近づく。香里は泣きじゃくりながら、「言ってらっしゃい」と叫び、小夜はその声を振り払うように、香里に背中を向けた。テッドの居場所はエカテリンブルグ、ロシアの都市だ。小夜たちの次の目的地は決まった。必ず戻ってくる、小夜はそう言い、再び沖縄を旅立った。
   EDは中島美嘉。タイトルの「CRY NO MORE」は、正に今、我々が小夜に掛けてあげたい言葉だ。しかし「あとどのくらい~、CRY・・・♪」という歌詞を聞くと、これからも幾度となく、涙を流す小夜の姿を見なければならないようだ。

Episode-15 おいかけたいの! (2006/1/21) 脚本:森田繁  絵コンテ・演出:小林哲也  作画監督:中澤勇一、中本尚子  久々登場の謝花真央嬢。カイに逢えず自分だけ除け者にされて苛立つ彼女の姿は、アネモネと重なるものが(笑)。ディーヴァのコンテナに寄り添うソロモンに話し掛けていたのは、3人目のシュヴァリエであるジェームズだ。ハジの存在は彼らにとって重大のようだ。また、カールは行方不明らしい(「姉さん」って言葉も出たが...)。ディーヴァはジェームズに任せ、ソロモンはサンクフレシュに戻ろうとしている。そんな彼らが居たのは、巨大空母の一室だ。やはり彼らも米軍という隠れ蓑を身にまとい活動しているのか。  ベトナムから帰国した岡村記者が持ち帰ったのは、あの信じられない戦いの写真と1本のシャトーデュエル。小夜と翼手の戦う写真を凝視した彼は、30年前に父がベトナムで撮った写真にも少女と翼手の戦闘シーンがあったことを思い出す。彼の父も、彼自身も、それが何者なのか今は見当がつかず、沖縄で起きていた数々の事件と「サヤ」の存在は、彼の中では1つに繋がらない。そんな岡村を、実はルイスがマークしていた。  岡村は大学の助川教授にワインを渡し、その中身の調査を依頼する。と、教授から米軍が病院に運ばれた負傷者(ジョージ)を基地に運んでいたことを知らされ、そしてその家族全員が失踪したことを岡村は知る。だがジョージの家は謝花興産が取り押さえていた。岡村は、ジョージの娘が小夜であり、事件が起こった高校の生徒であることを知る。  一方、小夜が通っていた高校では、何故知らせなかったのかと香里に詰め寄る真央の姿があった。香里が言うには、カイは真央を呼ぶなと言っていたらしい。と、そこに岡村がやってきた。翼手との戦いの写真を見せると、二人とも小夜だと答える(しかもコスプレ)。そして30年前の写真を見せると、香里は小夜と呟く。岡村は何かを知っている、そう直感した真央は岡村の胸倉に掴みかかり知っていることを吐かせようとするが、香里は小夜をそっとして欲しいと叫び、二人の前から駆け出してしまう。  真央と岡村はファミレスに直行。岡村は自分の知っている事実を話し、真央から色々と聞き出そうとする。小夜が高校から行方をくらまし、ヤンバルに穴が空いたのが同じ9月だった。小夜がベトナムの高校に転入したことを知った真央は、小夜が怪物退治に出かけたのかと呟く。もちろん彼女にとっては冗談のつもりだったが、彼女の勘もなかなか鋭い。そしてその時教授から電話が入り、シャトーデュエルが空き巣に盗まれてしまったとの連絡が入る(ルイスの仕業か)。  岡村は、シャトーデュエルの出所であるフランスに何かがあると言い、取材には500万が必要だと岡村が言う。すると真央は外に飛び出し暫くしてジュラルミンケースを抱えて戻ってきた。そして岡村の車に乗り込むなり、那覇空港に行けと命令する。その直後、謝花組のヤクザたちがファミレスに急行する。何と彼女の持っているジュラルミンケースには、5000万の大金が入っていたのだ。  真央は、自分が岡村のスポンサーになると言い出した。そしてその条件に、次の2つの条件を突きつける。1)真央を取材に同行させること、2)真央の前では禁煙すること。小夜を中心とした謎を追い求める岡村、そして絶対にカイを見つけ出すと強く宣言した真央、二人の奇妙な旅が始まる。

Episode-16 シベリアン・エクスプレス (2006/1/28) 脚本:砂山蔵澄  絵コンテ:雲井一夢  演出:ヤマトナオミチ  作画監督:植田実  沖縄に住んでいた小夜たちにとって、雪は珍しいものなのかも。ロシアに到着した小夜たちを待っていたのは、赤い楯のエリザベータ(通称リーザ)という女性だった。小夜を見つめる彼女の表情は、何か懐かしいものを見るようだ。さて、エカテリンブルグに行くには、シベリア鉄道で6日間も掛かるらしい。リクは重い荷物を抱えて乗車できない老婆をハジとともに助ける。さすがに気が利くね。  小夜たちは早速シベリア鉄道に乗車する。その部屋割、小夜+ハジ、ジュリア+リーザ、そしてその他。が、ハジと小夜が一緒になっているその組み合わせにカイ激怒。で、小夜+リク、カイ+ハジ、その他に変更。意味無かったようでご愁傷様(笑)。ルイスはロシアに翼手はいないと言うが、それは単に現れていなかっただけだとデヴィッドは気を引き締める。  車内での食事、乗車時に助けた老婆とリクや小夜が言葉を交わし合う一方で、優しく笑う小夜が翼手と戦うものであることが信じられないとリーザは言う。だが89年アフガン国境付近に現れた翼手により、彼女のいた部隊が全滅したことにより、彼女は赤い楯の使命を果たすことしか頭に無いと言う。だが、洗面所にやってきたリーザはピアスから何かを取り出した。そしてその直後、鉄道から首から血を流した裸の死体が投げ出された。  車内でも小夜の輸血はやっているようだ。ベトナムで何があったのか?小夜はジュリアに問い掛ける。だがジュリアは、自分が知っているのは小夜の記録であり記憶じゃない。これは小夜自身が自分で思い出さなければいけないことだと言う。と、夜遅くにも関わらずハジのチェロが鳴り響く。そしてリクにチェロを弾いてみるように勧める。リーザは部屋に戻ってきたが、直後に翼手の声が小夜たちに聴こえる。  襲ってきた翼手は2体。リーザとジュリアを食事に誘おうとしたヤサ男二人だ。車内には障害物が多すぎるため、小夜は思うように戦えない。一旦貨物車に引き、小夜はハジとの連携で1体を倒した。2体目はデヴィッドとルイスの銃で撃ち落され、電車に轢かれて死んだ。と思いきやしぶとい翼手はリクの足を掴んでいた。リクを助けるため、小夜とハジが車内から飛び出してしまい、何とリーザもその後に続いたのだ(しかも不敵な笑みを浮かべながら)。デヴィッドはすぐさま電車を止めさせ、必死に小夜たちを捜索するが、小夜は雪の中で倒れていた。このロシア篇も、厳しすぎる幕開けですな... (追記)同僚I氏は、本物と偽者のリーザが入れ替わったんじゃないかと推測。確かにその説が一番すんなりと納得できる線ですね(って気づけよオレ!藁)。だとするとここまで完璧に変装できる点においても、偽者は何らかの能力を持っているのかもしれませんね。

Episode-17 約束おぼえてる? (2006/2/4) 脚本:藤咲淳一  絵コンテ:ヤマトナオミチ  演出:安藤健  作画監督:山沢実  意識を取り戻した小夜のそばには小夜がいた。小夜が雪の中で倒れたのは、いきなり眠くなってしまったらしい。ハジを気遣い休むように小夜は言うが、ハジは眠れない身体らしい。彼のチェロは昔小夜が弾いていたものを必死に練習したらしい。いつもよりも物静かな小夜と、若干多弁なハジ。二人の会話の雰囲気は、いつもとは少し違うようだが...  ボクロフスコエという村にやってきた小夜とハジは、グレゴリーという男を捜していた。村の老婆にグレゴリーの写真を見せると、ソーニャという少女に辿り着く。そのソーニャは初対面の小夜に、いきなり家に泊まって欲しいと話し、小夜たちを家に招待するなりソーニャはすっかり小夜に懐いた。何でも彼女の父親・ユーリは人間を作り上げる研究をしていたが、何者かに身体全体の血が抜かれ死んでしまったらしい。「philosophie zoologigue(動物工学)」、父が愛用したその本にグレゴリーからの手紙を見つけたハジは、外にいた何者かを追う。だが上空から飛来した槍に、全身を貫かれてしまった。  朝、目覚めた小夜に、ソーニャはここで暮らして欲しいと言う。父の研究を村人は忌み嫌い、一人ぼっちになってしまった彼女は寂しかったと、胸の内を明かす。だが直後、家の窓ガラスが割られソーニャが老婆に殴られ、血を流して倒れていた。老婆はソーニャが村人の生血を吸うのを見たと言う。がしかし、老婆の頭が伸びてきた手に捕まれ、つぶされてしまった。そう、ソーニャこそがグレゴリーだったのだ。  何時の間にか復活したハジから刀を受け取った小夜はソーニャを追う。とそこには一台の馬車が。その操主は長兄・アンシェル(中田譲治氏だよ!)だ。だが小夜を倒すべしというソーニャの言葉に、アンシェルは一人去って行った。小夜は正体を現した翼手・ソーニャと刃を交わし、身を呈してソーニャの動きを止めたハジの助力もあり何とかソーニャを倒した。だが小夜もまた、再び眠りにつこうとしていた。ハジとの約束。ディーヴァを狩ったら...その続きは聞くことは出来なかった。
   雪の中で倒れていた小夜は夢を見ていた。夢、だがそれは、決して夢物語ではない、おそらくはかつての小夜の記憶そのもの。ハジと交わした約束が何か。それは時が来れば分かると、ハジは静かに告げた。リクやリーザと合流した小夜はエカテリンブルグを目指す。

Episode-18 エカテリンブルグの月 (2006/2/11) 脚本:菅正太郎  絵コンテ:弥佐吉  演出:誉田晶子  作画監督:大久保徹  息子・アンドレーに逢うというこの老人は何者か?知恵の輪を力任せに解こうとして苦戦するカイ、彼らしいわホント。そんな彼に、相手の立場にたって考えればパズルは自然と解けるようになる、恋愛と同じだとジュリアはアドバイスする。これは萌えだ!(笑)。とそこにやってきたデヴィッドとルイスは、テッドという血液学者に逢いに行くと言う。そのテッドはベトナム時代、デルタ67の責任者だったらしい(初出の老人がテッドか)。  テッドの家に到着。カイは車中で留守番を言い渡されるが、彼がこのまま素直に居座るとは思えない。家には人間が不在だったが、テッドと共に亡命した研究者・フィリップ・ローゼンバーグ宛の手紙を見つけたデヴィッドたちは、工業団地にフィリップがいることを掴み、彼の口から出たのはアンドレーという名を耳にする。そして必ず月を見せてやるという言葉を残し、フィリップは再び眠りについた。直後、デヴィッドは部屋に飾ってあった写真に「スベルドロフスク51」と書かれてあったことに気付く。(スベルドロフスク:旧ソビエト連邦時代に核の製造を行っていた秘密都市のことらしい)  廃屋にやってきたテッドが灯りをつけると、部屋の真ん中には宙吊りになった四角い岩が。そしてテッドがアンドレーと言葉を掛けたのは、その岩で身を固められた翼手だった。その廃屋にデヴィッドたちもやってきた。エレベータの下から人の叫び声が聴こえる。デヴィッドはカイにジョージの銃を託し、ルイスと共に下に下りていった。  施設の奥に足を踏み入れると、復活した翼手と血を流して倒れている一人の老人を発見する。翼手によって背中に傷を負いながらも、デヴィッドはテッドを救いエレベーターで脱出する。あの翼手はテッドが作ったのか?その問いに、あれは自分の息子だと彼は言う。そして彼の研究は、ベトナムで3人の男が持ち込んだ特殊な血液の研究だったと言う。その血液で作ったのがデルタ67であり、その血の主は美しい少女だったとも...と、何と翼手がエレベーターによじ登ってきた。翼手はカイに襲いかかるが、カイはガソリンのポリバケツを翼手に投げつけ、銃で着火させようとする。だが銃には弾が入っておらず、デヴィッドがガソリンに火をつけ翼手は満月を一瞥し、エレベーターの上から真っ逆さまに落ちた。  デルタ67が完成したとき、テッドは血の主である美しい少女と会った。その少女はディーヴァと呼ばれていたが、72年の北爆で消えてしまったのだと言う。テッドはこの施設を爆破し、息子をこの施設と共に埋めて欲しいとテッドは言い、彼もまた永い眠りについた。だがその死を見取った直後、デヴィッドも倒れてしまう。彼の背中は傷だらけ。彼もまた、戦場で翼手と遭遇し生き残った唯一の戦士だった。赤い楯のメンバーたちは、皆こういった運命に苦しめられた人たちだ。  一方エカテリンブルグに向かう小夜たちは電車の中でくつろいでいた。そこには当然リーザの姿も。だが蒼く輝く彼女の指輪が意味ありげだ。赤い楯のメンバーにも関わらず青色の石、これが意味するのは何なのか...

Episode-19 折れたココロ (2006/2/18) 脚本:森田繁  絵コンテ:松尾慎  演出:羽生尚靖  作画監督:宮前真一  夜道に現れた赤い眼をした黒装束の翼手たち。感情も無く人々の血を吸う彼等の目的は、小夜だ。その小夜本人はエカテリンブルグのホテルに到着したが、スベルドロフスクに向かったデヴィットたちと行き違いとなっていた。シャワーを浴びながら、小夜はハジとロシアにいたというあの夢のことを思い出していた。とそこに乱入したのはリーザ。彼女は小夜の夢に興味を持ち、その内容を尋ねる。そしてリーザが聴くままに、小夜はベトナムで見た夢のことも話してしまう。それをリーザは揺らぎだと表した。一方のデヴィッドはジュリアと車中で語り合う。最近のジュリアは女性としての発言が多いな。  小夜たちは食事を取る。前菜のタマゴはジョージの得意料理だった。リーザ曰く、生きるために人は食う。そしてそれは翼手も同じ。翼手も生きるために人の生き血を食べるのだと彼女は言う。そして続けて、翼手が一体何のための存在かと小夜に問う。何も知らない小夜にその答えは出せない。だが皆を不幸にする翼手を自分が倒すのが使命だと彼女は答える。だが小夜の答えは、小夜自身が心から望んでいることなのか。やりたいことと為すべきことを混同してないかと、リーザは射抜くような視線で小夜に問い掛ける。とその直後、いきなりリクが倒れた。  リクは熱に冒されており、小夜は氷を準備する。だがそこに再びリーザ。戦う意味を知らない小夜が狩人であることを不思議だとリーザは言う。そして何人の人間を犠牲にして行くのか。小夜が戦う度に、周囲の人間が傷つき何かを失って行くのは哀しい現実だと語る。リーザの様子は明らかにおかしい、小夜はリーザに問い質すが彼女は興味があるだけだと答える。そしてリーザは小夜が見てきた夢の中身まで語り始めると、小夜が頭が抱えて苦しむ。コイツの正体は何者か!?  その時、部屋にハジが飛び込んできた。何故リーザが小夜の夢の中身を知っているのか。いや、これはエリザベータではない。中田譲治の声、そう彼はアンシェルだったのだ(いきなり敵の親玉かよーっ)。アンシェルはハジを道を外れたシュヴァリエだと表現する。彼の最後の質問、小夜自身の望みは何だと問うと、自分を必要としてくれる人のために翼手を倒すことだと小夜は答える。アンシェルが瞳に力を入れた直後ハジが吹き飛び、続けてアンシェルは3階の窓からハジにフライングニードロップを叩き込んだ。そして唖然とする小夜に対し、小夜は自分達の仲間、そう、小夜は翼手そのものだと核心を突くセリフを告げた。アンシェルに再び襲い掛かるハジだが実力差は歴然。ハジの胸はリーザの手に貫かれてしまった。  小夜は刀でアンシェルに斬りかかる。だがアンシェルは刀を片手1本で軽々と受け止め、気合を入れると刀を折ってしまった。そして戦闘意欲を失った小夜に対し、小夜には本物の家族がいることを告げる。そう、血を分けた妹、ディーヴァが。そのことはハジもデヴィッドも、全て知っていた。皆知っていた。だが知っていながらも小夜を実の妹を討つ戦いの渦中に巻き込んだのだ。そして更に自分自身を知りたいならば動物園に行けと言う。そここそが始まりの場所だと彼は言う。そしてそばの森には黒装束の翼手がいたが、アンシェルがいるため小夜に近づけない(アンシェルは彼等のことをシフと呼んだ)。アナタと逢えて楽しかった、最後にアンシェルはそう言い残して姿を消した。小夜の手から程なく、刀が落ちた...  デヴィッドたちがホテルに戻ってきた。だがそこには「うそつき」と一言書かれた置手紙があった。小夜は彼等の元から去った。一方、コンテナから血を流しながら何者かが脱出しようとしていた。その足は異常な白さを纏っていた。まさかこれが、ディーヴァなのか!?

Episode-20 シュヴァリエ (2006/2/25) 脚本:櫻井圭記  絵コンテ・演出:島崎奈々子  作画監督:飯田宏義  冒頭に出てきたソロモン以外の二人もシュヴァリエなのだろうか(5人という数からするとギリギリだが、ハジはやはり数に入ってない?)。謎の施設の中では、翼手が色分けされていた。そしてそこにいたのはヴァン。彼は次にアイスランドに行くらしい。どうやらフェイズ2は順調に進んでいるようで、ゾアントロピーという言葉も覚えておくべきだろう(通常の意味は「獣人化能力」のようだ)  いきなりその施設に黒装束の翼手たちが乱入した。彼等は迎撃した翼手をあっさりと鎌で斬り刻み翼手の血を食った。だがその味?に変化無しと気付いた彼等はあっさりと退散。さすがのヴァンも、突然のこの光景に唖然とする。モーゼス、カルマン、そしてイレーヌ。彼等「シフ」は、どうやらシュヴァリエとも違う第3勢力であり、そして個々の戦闘力もかなり強大であることが分かる。  小夜たちを失ったカイたちは赤い楯本部にやってきたが、彼等はいきなり隔離されてしまう。ここでジョエルが初登場。彼はカイたちにリーザが全裸死体で発見されたことを知らせる。それが意味するところは、リーザの摩り替わり。そしてそれができるのは、人間に擬態できるシュヴァリエだけだった。そして赤い楯のナンバー2のコリンズが、デヴィッドたちも擬態していないかと疑ったゆえの隔離だった。その時間は72時間、今の彼等にとってはとてつもなく長い。  小夜とハジは、豚の搬送トラックに乗っていた。あの大食いの小夜が、3日も何も食べていない。どうして黙っていたのか、その問いに小夜は翼手たちとは違うとハジは言う。翼手って何なの。その問いにハジの答えはいつもと一緒だった。二人が向かっているのは動物園だ。一方、恐竜の標本が飾られた施設でソロモンが一人たたずむ。直後に軍人のジェイムズとオカマのネイサン(冒頭の二人。「姉さん」かと思ったよ藁)が待ち合わせ。やはり彼等もシュヴァリエだった。彼等曰く、眠りから目覚めたディーヴァは目覚めの血を口にしていないという。そのディーヴァに触れた青葉は、一瞬にして枯れてしまった。  全てを話せ。カイはデヴィッドに詰め寄る。デヴィッドはジョエルの日記について語り始める。それは赤い楯と翼手との戦いの歴史であり、そして小夜の歴史でもある。日記を紐解けば後には戻れない、そのデヴィッドの言葉にもカイは日記を見せろとキッパリ言い切った。一方、ソロモンたちの会話は小夜のシュヴァリエ=ハジに移っていた。ネイサン曰く、ハジはディーヴァの花婿だと言い、そして小夜は自分たちの花嫁だと言う。同時に小夜は自分たちに脅威の存在であるが、元は同じ種族だとソロモンは言った(ほぼ関係図が見えてきたね)だがその理を壊したのが赤い楯だと言いながら、ついに長兄・アンシェルが現れた。彼はディーヴァの髪を優しく撫でた。日記を見たカイは、信じられないと呟く。直後、部屋に戻ってきたリクは、張り詰めた表情のカイを見つめる。  小夜に逢って来たアンシェルは、最も人間らしい小夜だったと表した。そしてハジは小夜に取り付く子犬のようだとも。だがハジを捕らえなかったのは、同じ種族同士血の流す量を争うのは人間の愚かな戦争と同じだと感じたかららしい。そんなアンシェルの次の策は、小夜とハジを動物園に誘ったこと。そこが全ての始まりの場所であり、そして終わりの場所にもなるとアンシェルは言う。彼の目的はディーヴァの花嫁たるハジの確保だった。そしてディーヴァのために存在する自分たちにとって、ディーヴァを殺めようとする小夜は生かしておけないとアンシェルは断言した。その意見に兄弟皆が同意したように見えたが、ただ一人既に小夜との対話を果たしていたソロモンだけは、心の底では小夜との対話を望んでいた。  だがそのソロモンに、シフの翼手が襲い掛かる。ソロモンの血を頂く、シフたちは小夜だけでなく、シュヴァリエの血をも狙っているのか(シフにとっては、シュヴァリエの血は人間以上に「美味しい」のか?)。だがソロモンはシフの攻撃を軽々と交わす。そして右手を斬られたソロモンはついに本気を出し、あっさりとシフの翼手を倒してしまった。だがソロモンは兄の意に反し、小夜に逢いに行く決意を既に固めたようだ。ソロモンの抱く感情は、かつてカールが小夜に抱いたものと近いものがありそうだ。となると、シュヴァリエ5人が、3対2に分かれたとも言えるかもしれない。そしてその小夜は、ハジと共に寂しく野宿をしていた。目指す動物園はまだ先だ。

Episode-21 すっぱいブドウ (2006/3/4) 脚本:砂山蔵澄  絵コンテ・演出:佐山聖子  作画監督:小谷杏子  ※丸々2ヶ月未視聴状態が続いてしまいました。今後のレビューは完全省略モードにします(申し訳無い)。  お金持ってるのに安くて可愛い車を買う真央姉。意外と可愛いところもあるね。ま、カイの幻影を見ちゃうのは度が過ぎてますが(笑)。100年以上前、ジョエルというヤツがシャトーに住んでいたらしい(あのジョエルと同じなら、ジョエルも100年以上生きているということか)。その家の者は何者かに全員殺され、そしてそこには青い薔薇を持った少女がいたらしい(ディーヴァだろう)。  シフのギーにハジがメタメタにやられたが、朝日が昇りシフたちは退散。そのギーにはソーン=死の兆候=シフの烙印(罪の証)が現れ、命が尽きた。シフたちにとって、シュヴァリエ=ハジの血では彼らの身体は浄化されない。浄化には小夜の血が必要らしい。ハジといい五兄弟といいシフといい、正に「小夜争奪戦」という様相を呈してきた。

Episode-22 動物園 (2006/3/11) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:佐野隆史  演出:川崎満  作画監督:小林利充  ジョエルの日記では動物園のことをポイント・オリジンと呼ぶ。オリジン(origin)、即ち小夜の起源、小夜が生まれた場所のことだ。小夜はこの場所でハジ(子供時代)と初めて出逢った。その記憶にはジョエル(召使い、というよりも父親みたいだったが)、そしてアンシェルもいた。ジョエルはいつの頃も懐中時計を大事に持っている。チェロをハジに教えたのも小夜、ジョエル以外に小夜が唯一仲良かった相手がハジだった。  だが小夜の歳を取らない性質、修復能力や血を必要とする性質は、この頃から既に健在だった。そしてハジも大人になったある時間から成長が止まっていた。それは崖から転落したハジの命を救うため、小夜が自らの血をハジに分け与えただった彼の時間は止まり、様々な時代の小夜と行動を共にしたのだ。そしてこの動物園は、前話で語られたジョエルの焼け落ちた館だった(そこで小夜もディーヴァの歌声を聴いていた)。  また今回出てきたジョエルは今のジョエルとは別人。ジョエルという名の人間は各時代で小夜を見守る人間であり、日記は彼らが綴った小夜の記録なのだろう(それだけじゃないかもしれないが)。とそこにソロモン登場。小夜とディーヴァ、互いのシュヴァリエの激突が近い。

Episode-23 ふたりのシュヴァリエ (2006/3/18) 脚本:菅正太郎  絵コンテ・演出:あおきえい  作画監督:福島豊明  作画監督補佐:小谷杏子  ジョエルは世襲制なのか。ナンバー2のコリンズはちょっときな臭い雰囲気が漂ってるな。ハジがソロモンの身体を貫くが、あっさりと治癒される。みんなバケモンばっかりですな(苦笑)。「我々翼手」とはっきり明言したソロモン。彼曰く、この動物園は新たな生物を作る研究所、そして小夜もディーヴァもその実験台。その主がジョエルだった。小夜は数年の活動期と約30年の眠りの期間を繰り返す。そしてジョエルの日記に記録された小夜の母は翼手であり、小夜自身も翼手なのだ、と。  偽りの家族に囲まれた小夜は間違いであり、人間の中に小夜の幸せは無い。だから、自分と一緒に来て欲しい。ソロモンの誘いに小夜は迷い、戸惑う。だが乱入したハジが「小夜は渡さない」とソロモンに刃を向ける。二人のシュヴァリエの激闘が始まった。時を同じくして、小夜とリクにディーヴァの唄が聴こえる。青い薔薇がリクを塔に誘い、何と妹・ディーヴァがリクの血を吸ってしまった。その瞳は青く、そして顔つきは小夜そっくりだ...

Episode-24 軽やかなる歌声 (2006/3/25) 脚本:森田繁  絵コンテ:金子信吾、ヤマトナオミチ  演出:うえだしげる  作画監督:山本義哉、渡辺るりこ  心臓を取り出して潰してしまえばシュヴァリエといえども不死身ではないらしい。ソロモンとの戦いの末、ハジは崩落した岩盤につぶされてしまう。一方の小夜とディーヴァ。ディーヴァの声はリクと同じ矢島さんか。なかなか良いです。ジョエル(実は小夜の父だった)はディーヴァを塔に閉じ込め、そのディーヴァを小夜が塔から出した日の夜、あの惨劇が起こったのだ。自分の血でディーヴァを殺さねばならない。だがディーヴァに突撃した小夜が返り討ち。デヴィッドの銃弾も効かず、小夜を外に投げつけるなどやりたい放題。彼女の暴走は止められないのか。  地下水路に逃げ込んだ小夜と追うディーヴァ。そこにソロモンも加わる。だがソロモンの再びの説得も小夜は拒否し、ソロモンとの対決に突入。しかし実力差は歴然、そして血の不足で小夜が倒れてしまう。トドメは自分が刺す、ディーヴァが小夜に刃を向けたその時、復活したハジが小夜を救った。  瀕死のリクを救う唯一の手段、それは小夜の血を分けることしかない。小夜が血を分けた後、目覚めたリクはハジと同じく激しく暴れ出してしまう。しばらくして動きが止まり、とりあえずリクの命は助かった。だがこれで本当に良かったのか。その答えは誰にも分からない。

Episode-25 赤い楯 (2006/4/1) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:羽生尚靖  演出:所俊克  作画監督:宮前真一  闇夜に滴る大量の血、確かにそれだけで怖すぎです(苦笑)。リクはもう普通の人間じゃない。そのことをどうカイに説明するのか。また小夜には大きな悩みが増えてしまったな。赤い楯の作戦会議で「血分け」されたリクのことをサンプルと表現するコリンズ、やっぱコイツは好きになれん。それから小夜を支えるのは「デヴィッド」の名を持つ者だけらしい(赤い楯はその名前で役割が決まっているようだ)。日記もあの惨劇の日のみ記録が無く、そしてその惨劇の後始末をするため組織されたのがこの赤い楯なのだ。後始末とは即ち、6代前のジョエルの過ち(研究のせいで翼手が世界中に拡散したこと)を償うことでもある。  シュヴァリエとなったリクの身体に未知な点があることをジュリアは掴んだ。リクの遺伝子には通常には無い5番目の塩基がある。コリンズは遺伝子研究者であり、ジュリアは彼の弟子だ。だがそのコリンズにヴァン・アルジャーノが接触を図る(彼もまたコリンズの教えを受けていた人間らしい)。真央は相変わらず喜怒哀楽が激しくてヨイです。ディーヴァを倒すまで絶対に逃げない、そう誓った小夜にデヴィッドは新たな刀を授ける。その刀には、ジョージの結晶が埋め込まれていた。その後リクの脈拍、血圧が正常値に戻り、リクは目を覚ました。一方の岡村も、少しずつ真相に近づきつつある。

Episode-26 サヤに従うモノ (2006/4/8) 脚本:砂山澄蔵  絵コンテ・演出:高橋順  作画監督:小村方宏治  新OP、高揚感を誘う曲調はこの作品の色に合っているかもね。アンシェルがシフ(シュヴァリエに近しい翼手)に関して何かを隠しているというソロモンの予感は正しいのか。それはいずれ明らかになるでしょう。リクに全く食欲無し、これも変わってしまったモノの1つ(睡眠も不要)。だが身体能力の向上は今のところ見られない。不眠不休でリクの研究を続けるジュリア、それは研究者としての使命感の為せるわざか。リクは小夜の血を受けた者=小夜に従う者、即ちシュヴァリエとなったのだ。  シフたちが小夜の乗る船を襲う。赤い楯とシフとの全面戦争勃発。斬られた人間の血を目の当たりにしたリクは、僅かに覚醒の雰囲気を漂わせ、そして受けた傷はすぐに治ってしまう。これがシュヴァリエの証。だがリクは突如苦しみ出す。急激な治癒による血の渇きだ。「リクは俺の弟だ!」、そう叫んだカイは自らの身体、血をリクに差し出す。この兄弟の運命は、悲しすぎる...  新EDはしっとりとして伸びやかな雰囲気で、これまでのEDの系譜をしっかりと受け継いでます。  そういえばハジとリクの大きな相違点が1つある。それはリクがディーヴァに血を吸われたということ。そもそも二人の血はお互いが薬と毒。リクにハジのような力の強化が見られないのは、2つの血がある種の中和状態になっているからかもしれない。だがそれは、新たな力の覚醒を導いてしまう予感もある。

Episode-27 パリ・ジュテーム (2006/4/15) 脚本:菅正太郎  絵コンテ:雲井一夢  演出:ヤマトナオミチ  作画監督:大久保徹  カイはパリの街でシフ・イレーヌを発見。早速ストーカーとはカイも隅に置けないヤツだ(笑)。だがイレーヌは本当は誰も殺したくないと願う、とても優しい少女だった。その彼女と語り、心を通じ合ったカイは、シフたちは敵じゃないと小夜に叫ぶ。その言葉を小夜は信じることができるのか。そしてソーンが現れたイレーヌは、助かることができるのか。ソーンを治すことができるのは、ディーヴァ、そして小夜の血だけだ。  シフは人間たちの手によって作られた吸血鬼。その実験の主が、あのアンシェルだった。彼曰く、シフを作ったのは未来のための「保険」だと。その真意は、まだ彼の心の中にしか無い。そのアンシェルはディーヴァを連れてパーティに向かう。今度は何をする気なのか。今のところこのオヤジの掌の上で、物語は進んでいるようにも見える。  そしてパリの図書館で小夜と岡村&真央がニアミス。岡村はゴルトシュミット家(ジョエル)とゴールドスミス家(ソロモンたち)の関係、それを辿っていけば小夜に辿り付くと確信。そんな暢気な岡村に真央姉さんパンチ一閃。面白過ぎ(笑)。だが岡村はジョエル家にいた頃の小夜とハジの写真を手に入れる。カイと真央の再会は近そうだ。

Episode-28 限りあるもの (2006/4/22) 脚本:森田繁  絵コンテ・演出:松林唯人  作画監督:高村和宏  シフは敵じゃない。確信をもったカイの言葉は小夜の心に暗い影を落とす。だが小夜はあくまでシフを倒すつもり、翼手を倒すことが自分の為すべき事だと。だがカイは翼手にも理解できるヤツが居ると反論。二人のすれ違いもまた、物語に悲劇を生みそうな予感。とここに真央姉がついに現れた。思わぬ再会にカイと小夜は戸惑う。小夜たちは真央に帰れと言うが、岡村は怯まない。動物園、サンクフレシュ、ヤンバル、ハノイ、彼の切るカードは次々とデヴィッドたちに突き刺さる。  ジュリアの研究結果発表。リクのDNAに5番目の塩基・D塩基が存在した。D塩基は発現後、能動的に分子構造を書き換え、生体構造を急激に作り変える。これが即ち、人から翼手への変態・擬態化だ(シュヴァリエたちの変身能力もこれを利用している)。そして擬態化を終えるとD塩基は消滅してしまう。だからこれまで発見されたなかったが、何故リクからはそれを発見することができたのか。  シフ出現。激闘が再び幕を開ける。カイはイレーヌを庇おうとするが、ソーンは彼女の顔にまで及んでいる。イレーヌに血を分けてやって欲しい。カイの願いは小夜に届くのか。

Episode-29 呪われた血 (2006/4/29) 脚本:横手美智子  絵コンテ:玉川達史、松本淳、誉田晶子  演出:誉田晶子  作画監督:小谷杏子  「イレーヌは友達、だから助けてやって欲しい」、カイは小夜に懇願し、リーダーのモーゼスも武器を降ろす。小夜の血は翼手を殺すはず。だが小夜は受け入れ、イレーヌに血を分けた。だが一瞬消えかかったソーンが急激にイレーヌの身体を蝕み、イレーヌの身体は完全に石化してしまった。シフたちにとって小夜の血は「呪われた血」だった。そしてシフたちは悟った。自分達はディーヴァの血で作られた存在、ソーンを治せる血もまたディーヴァしか無い。だが敵とする相手が赤い楯と同じになっても、シフたちの戦いは孤独だ。  ジュリアの研究成果がヴァンを経由してアンシェルに利用されようとしている。ヴァンはソロモンを裏切ったのだ。D塩基とシフの研究結果がカギとヴァンは言う。それは即ち両者を組み合わせることで、完全な翼手を作れるということか。シフの件でショックを受けた小夜は、裸見ても反応無し。てかカイはカイで男としてどーよ!?(苦笑)。  カイは真央に迷惑だ、帰れと冷たく突き放す。それは彼女の身を思ってのことだが、彼女の性格からしても簡単に引くとは思えない。そしてカールがついに復活。その右手は人間の手だった。どうやら兄・アンシェルの手により、そうなったようだが、次の彼のアクションが興味深い。

Episode-30 ジョエルの日記 (2006/5/6) 脚本:砂山澄蔵  絵コンテ・演出:古川順康  作画監督:松原豊  19世紀、アイスランドに伝わる半人半翼手の妊娠した女性型ミイラ、「サヤ」。ジョエルはこのミイラが持つ腹部(繭)を解剖し、繭に血を与えると2体の女児が誕生。1体は実験体で名無し(ディーヴァ)、そしてもう1体がサヤと名づけられた。二人の少女は大きく異なる育てられ方を強いられた、それが動物園の記憶だ。ちなみにジョエルの助手がアンシェル。彼だけが幽閉されたディーヴァとコミュニケーションを取っていたが、彼の今の立場に大きく影響している。また、二人の血液が混ざり合うと、血液は急激に固体化する。それが小夜の血が「呪われた血」である所以。更には彼女たちの生殖能力を確かめるため、花婿(ハジ)が迎え入れられた(その結果は出てないようだが)。
 そしてあの惨劇。ゴルトシュミット家の時刻は、その時から止まったまま。ディーヴァの名付け親、そして塔から解放したのが小夜だった。それは唯一、ジョエルの日記に欠けた情報をここでジョエルも知った。  1972年、ディーヴァに対抗するため先代デヴィッド(今のデヴィッドの父)にハジの血を強制的に注入された小夜は不完全な覚醒、即ち暴走した。それがベトナムの悪夢。カールとはこの時に刃を交えていた。誰が敵で誰が味方なのか判別できない小夜は、カール、ハジの腕を斬り落とし、デヴィッド父を死に追い込んだ。だがデヴィッドは死の直前、ジョージに小夜の身を委ねたのだ。  以上、ジョエルの日記の内容だ。ジョエルの名を、使命を継いだことをジョエルは後悔していない。自分で全てを終わらせるというジョエルの決意は固い。  次回予告のナレーションはコリンズだった。やはり彼が赤い楯を裏切る可能性は高そうだ。
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