【自社株買い&決算ミスで株価乱高下】米シェブロン 2022年Q4決算を簡単レビュー

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米の石油大手シェブロンの株価が乱高下しています。シェブロンは1月26日に750億ドルにのぼる自社株買いを発表し、株価は前日から約4%急騰しました。しかしその翌日27日に発表した第四四半期(Q4)決算が市場の失望を買い、終値は前日から4.44%下落し、179.45米ドルとなりました。

シェブロン株価推移(1/23-27)
シェブロン株価推移(1/23-27)

私はシェブロン株は保有していません(単価が高すぎて手が出ません^^)が、競合のエクソンモービルの株を保有しているためシェブロンの動向も気になっています(エクソンは米首位、シェブロンは第2位のエネルギー企業です)。ということで、各ニュースの中身を確認してみましょう。

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750億ドルの自社株買い&増配のインパクト大 米政府から非難も

米石油大手シェブロンは25日、自社株買いの規模を従来の3倍となる750億ドルに拡大すると発表した。石油と天然ガスの価格が上昇する中、利益を積極的に株主に還元する姿勢を示した。同社は四半期配当を6%引き上げて1株当たり1.51ドルとした。

750億ドルの自社株買いは業界で最大規模となる。

他社もこれに追随するとみられる。

ロイター/朝日新聞

今回発表された自社株買いと増配の記事を引用しました。750億ドルを円に直すとなんと約9兆7200億円です。これは業界で最大規模とありますが、日本の大企業でも自社株買いの規模は数百~数千億円の規模ですので、こんな大規模の自社株買いは日本のあらゆる業種の企業では見たことありません。

さすがは米国の大企業、スケールが違います。

そして重要なのは「他社もこれに追随するとみられる」という指摘です。業界首位のエクソン・モービルは1月31日に決算を控えていますが、もちろんこの記事の「他社」に含まれますので、同様の発表がなされる可能性があります。エクソン株ホルダーとしては楽しみが一つ増えましたね。

さてこのような大規模な株主還元を発表したシェブロンですが、これが米政府から非難を浴びています。

ホワイトハウスは声明でシェブロンの自社株買い拡大を批判。ハサン報道官は「少し前まで石油生産量を増やすために『努力している』と主張していた会社が750億ドルを幹部や裕福な株主に配るというのは間違いなく奇妙なやり方だ」と指摘した。

バイデン大統領はウクライナ紛争をきっかけとしたエネルギー資源高騰を抑制すべく、昨年6月に石油メジャーに対し石油増産を促す書簡を送付しています(記事はこちら)。しかしこれはちょっとした波紋を呼ぶアクションでした。というのもバイデン氏の公約の1つに「温室ガス削減」があり、大統領就任直後は自国内のシェールガス採掘を規制していました。つまり先の書簡の内容は、彼の公約とは真逆の内容だったわけです。

紛争勃発で状況が変わったとは言え、180度の方針転換は世間に素直に受け入れらることは難しいでしょう。そしてエクソンもシェブロンも世界を代表するエネルギー企業ですから、ホワイトハウスの脅し?に近いようなコメントには簡単には屈しないでしょう。実際にエクソンは大統領の書簡に対し生産増の努力は行っているとして以下のように反論しています。

「われわれは米国内で、過去5年間に500億ドル以上の投資を行い、石油の国内生産量はおよそ50%増加した。また、全世界で、過去5年間に550億ドルの純利益を上げているが、その約2倍にあたる1,180億ドルの投資を行っている」として、同社の近年の実績を強調した。

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Q4決算はEPSが予想に届かず失望を招く

大規模な自社株買いで26日に大きく株価を上昇させたシェブロンですが、翌27日のQ4決算(2022年通期決算でもあります)で市場の失望を買ってしまいました。

米石油大手シェブロンが27日発表した2022年12月期の通年決算は調整後純利益が365億ドルと過去最高になり、前期の2倍超に膨らんだ。一方、22年第4・四半期の調整後純利益は79億ドルと市場予想を6.6%下回り、1株当たり利益は4.01ドルと予想の4.38ドルを下回った。

シェブロンは石油生産で米2位。12月期の調整後純利益は従来の最高記録だった11年12月期を約100億ドルも上回った。

また、23年の石油・ガス世界生産量が前年より3%増えるとの見通しを据え置いた。

ロイター

失望を招いたのはQ4の1株当たり利益(EPS)が予想を8%以上下回った点です。ただ少し冷静になって考えると、前日に大きく上昇した株価がほぼ元に戻っただけとも言えます。記事の通り通期の調整後純利益は過去最高を記録していますし、1年前の株価は131米ドルでしたのでこの1年で20%以上上昇しています。先に紹介した大規模な自社株買いは5年間に渡って行われるとのことですので、その自社株買いの効果=株価上昇の効果は今後、少しずつ現れてくるのではないでしょうか。また今年の石油・ガス生産量の見通しは前年から3%増えるとのことで、昨年ほどの急上昇は起こらないにしても、堅調な株価推移に期待できるのではないでしょうか。

今回の記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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