【行政処分を乗り越え増収増益を達成】三井住友FG 2023年3月期第三四半期(Q3)決算を発表

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2023年1月30日の引け後、メガバンクの一角である三井住友フィナンシャルグループ(FG)の2023年3月期第三四半期決算が発表されました。

三井住友FG、4-12月期(3Q累計)経常が19%増益で着地・10-12月期も29%増益(株探)

23年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結経常利益は前年同期比19.1%増の1兆326億円に伸びた。

直近3ヵ月の実績である10-12月期(3Q)の連結経常利益は前年同期比29.2%増の3065億円に伸びた。

株探

第三四半期、つまり9か月で計上利益は1兆円超え。一言でいえば素晴らしい決算でした。同行の決算説明資料から内容を確認してみましょう。

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SMBC日興証券の不祥事を乗り越え増益 通期見通しは据え置きに

↓は今回の業績サマリーを示したスライドです。

三井住友FG 2023年3月期Q3 業績サマリー
三井住友FG 2023年3月期Q3業績サマリー

連結粗利益が2兆3774億円と前年同期で1954億円ものプラスです。為替影響で1000億円以上プラスに作用したようですが、法人貸付や決済ビジネスといった本業も好調だったようです。また営業利益に相当する「連結業績純益」は前年同期比で1235億円増となり1兆292億円、経常利益も1652億円増の1兆326億円、純利益は1412億円増の7660億円となりました。すべてのカテゴリで前年同期と比べて1000億円以上の増益を達成しており、極めて良好な結果だったと評価できます。

ただし今回三井住友FGは経常利益や純利益の通期目標を据え置きました。純利益の進捗率がスライドにもある通り今回のQ3時点で99%であるにも関わらずです。「世界経済が不透明な状況であることを踏まえ」た上での判断とのことで、おそらくはウクライナ紛争、世界的なインフレや景気後退懸念、日銀の政策転換の可能性といった不確実性を考慮したものだと思われます。ただし2022年の大きなトピックだった米国の政策金利の急上昇は、ペースの鈍化とターミナルレートへの接近により一段落しそうですし、急激な経済環境悪化を引き起こす要因はそれこそ戦争関係くらいかもしれません。

不確実性というテーマでは、上記のスライドの中の「与信関係費用」が大きく減っている点もトピックの1つです。これは貸したお金が返ってこない(と三井住友FGが見込んでいる)費用ですが、これが減っているのは貸したお金が返ってこない確率が減っている、ということです。貸したお金が返ってこない状況というのは、社会情勢や経済環境が不安定になったり不確実性が高まったりするような時でしょうから、与信関係費用の減少は昨年度と比較して社会の不確実性が小さくなりつつあるという裏返しにも思えます。

また今回の業績説明資料ではグループ会社毎の損益状況も示されました。↓がその資料となります。

三井住友FG 2023年3月期Q3業績 グループ会社毎
三井住友FG 2023年3月期Q3業績 グループ会社毎

とにかく目立つのはSMBC日興証券の業務粗利益の前年同期比マイナス1244億円という数字です。ご存じの通り、SMBC日興証券は市場の相場操縦事件により昨年10月に3か月の業務停止命令を受けました。業務停止の対象は相場操縦に関する分野に留まったので他の業務は継続できていますが、損益への影響が大きかったことが読み取れます。それにも関わらず会社全体として大幅な増益を達成できた点に、三井住友FGの総合力の高さを感じることができます。また逆に言えばグループでただ一人足を引っ張ったと言えるSMBC日興がこの3カ月の業務停止を終えて通常業務に戻り市場の信頼を取り戻せれば、グループ全体への損益貢献にも期待できますね。

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配当は変更なし 本決算次第では増額も?

最後に配当金について触れておきます。結論を言えば今回のQ3決算では従来発表されていた通期230円(中期115円、期末115円)から変更ありませんでした。

三井住友FG 配当状況(FY2022Q3時点)
三井住友FG 配当状況(FY2022Q3時点)

まぁ第二四半期(Q2)決算で220円から230円の増額が発表されたので、さすがに今回配当の増額発表はありませんでしたね。ただし私個人は次の本決算で通期見通しを大幅に上回る結果が出せた場合には増額もあり得ると思っています。三井住友FGは昨年11月に上限2000億円の自社株買いを発表していますので、さらなる株主還元施策があるとすれば配当の増額かなと思います。業績説明資料にもあった通り純利益ベースではすでに99%の進捗率ですので、本決算で通期見通しを軽々とクリアしてくれると期待しています。

今回の記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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