【歴史的好決算でフィニッシュ】米エクソン・モービル 2022年第4四半期決算を発表

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米エネルギー最大手のエクソン・モービルが1月31日に第4四半期(4Q)決算を発表しました。

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過去最高益を大幅に更新 歴史的な好決算

2022年度第4四半期(10-12月)の業績は売上高が前年同期比12.3%増の954億ドル(市場予想は971億ドル)、税引前利益が同60.6%増の188億ドル、純利益が同43.7%増の127億ドル、1株利益は3.40ドル(市場予想は3.29ドル)

2022年度通期の業績は売上高が前期比44.8%増の4136億ドル、税引前利益が同2.5倍の777億ドル、純利益が同2.4倍の557億ドル、1株利益(希薄化後)は13.26ドル(前期5.39ドル)

(純利益は)これまでの最高だった08年の452億ドルに比べ100億ドル余り多く、銀行大手やハイテク大手、ワクチンメーカーを上回った。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析によると、10-12月期決算を発表した企業のうち通期利益がエクソンを上回ったのはこれまでのところアップルとマイクロソフトのみ。

いやー、凄い決算ですね^^ 

4Qの売上は市場予想を下回ったものの、EPSは市場予想を上回りました。これは利益が予想以上に順調に伸びた結果でしょう。また通期利益に関しては過去最高益を100億ドル以上更新し、2022年の利益はアップル、マイクロソフトに次いで3番目に多いとのこと。正に歴史的な好決算という結果で2022年を見事にフィニッシュしました。

これだけの好決算ですから株主還元の発表にも期待したかったのですが、配当の増額、自社株買いのどちらも今回発表はありませんでした。先週、先に決算発表を行ったシェブロンは750億ドルにも渡る巨額の自社株買いを発表し、競合他社も追従するとみられていましたが、エクソン・モービルからのアクションは残念ながら無しとなりました。

一応フォローしておくとエクソン・モービルは昨年12月に最大500億ドル(2024年末まで)の自社株買いを行うことを既に発表済みでした。また配当についてはエクソン・モービル社から発行された決算プレスリリースには以下の文言が記載されています。

The Corporation declared a first-quarter dividend of $0.91 per share, payable on March 10, 2023, to shareholders of record of Common Stock at the close of business on February 14,

2023年の第1四半期の配当金を1株当たり0.91米ドルとし、2月14日引け時点での株主に対して3月10日に支払うとのことです。この0.91米ドルという配当金は第3四半期決算で0.88米ドルから増額されたばかりでした。なお年間配当額は3.64米ドルとなり、2022年通期のEPSをベースとした配当性向は27%となりました。決して低くはないですが、30%くらいあっても良いのではと個人的には感じます。

一応エクソン・モービル社から発行された決算プレスリリースも概要だけになりますが簡単に見ておきましょう。

エクソン・モービル 2022Q4決算プレスリリース 引用元:エクソン・モービル社
エクソン・モービル 2022Q4決算プレスリリース 引用元:エクソン・モービル社

これを見ると、今期(2022年4Q)単体の損益は前四半期(2022年3Q)と比べて落ち込んでいる事がわかります。例えば調整後EPSは4.45ドル(Q3)から3.40ドル(Q4)に減少しています。これが追加の株主還元を発表しなかった理由かもしれません。まぁ前年同期(2021年4Q)よりは大きく伸ばしていますので2022年が好決算だったことは間違いないですが。

またサマリーの中には廃棄プラスティックのリサイクル工場の稼働について触れられています。本リリースの中にはCCS(Carbon Capture and Storage)についても触れられており、地球温暖化対策への取り組みがアピールされています。エネルギー企業にとっては重要なテーマの1つなのだと感じます。

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決算日の株価は乱高下も大幅上昇で着地 2023年は政治との闘いか

今回の決算は31日の朝に発表されましたので、31日当日の株価の動きで市場の反応を見ることができます。31日のエクソン・モービルの株価推移を以下に示します。

エクソン・モービル 株価推移(2023/1/31)
エクソン・モービル 株価推移(2023/1/31)

30日の終値は113ドルでしたが、31日の市場が開いた直後は株価を大きく下げました。これはどうやら追加の株主還元が無かったことに対する失望感によるものだったようです。しかしその後は徐々に切り戻し、米国市場全体が上昇基調だったこともあり終わってみれば前日から2%以上の上昇となりました。今回の好決算が改めて評価されての上昇だと思います。

2022年は歴史的な好決算でフィニッシュとなったエクソン・モービルですが、2023年はどうなるでしょうか。懸念点の1つは「儲け過ぎ」なエネルギー企業に対する増税です。

エクソンがEU提訴、利益への新課税案撤回を要求(ロイター)

エクソンのミケルズ最高財務責任者(CFO)は8日、新課税に伴う負担は来年末までに少なくとも20億ドルに達しかねないとの見方を示している。

20億ドルというと2022年の純利益の約3%に相当しますので決して無視できない規模感です。なお上記はEUの増税案に関する記事ですが、米国でもホワイトハウスが爆益を挙げているエネルギー企業に対するプレッシャーを強めています。足元の資源価格は現時点で堅調な推移を示しており、2023年も引き続き手堅くビジネスを進めていくことが期待されますが、政治のような一企業にはコントロールできない外的要因が思わぬビジネスリスクになる可能性があります。

今回の記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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