【上方修正&増配祭りで株価急騰】5大商社 2023年3月期第3四半期(3Q)決算を発表!

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2月3日~6日にかけて、5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)が2023年3月期の第3四半期決算を発表。↓の株探の記事見出しの通り上方修正&配当増額ラッシュとなりホルダーにとっては至福の時間となりました^^

ここからは各社の決算説明資料をざっと確認してきましょう。商社のビジネス領域は大きく「資源分野(金属資源や石油・石炭等のエネルギー資源)」と「非資源分野(資源分野以外のもの)」に分けられておりますのでその観点を中心に見ていきます。

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三菱商事・・総合力No1商社は資源・非資源双方で利益を伸ばす

まず最初に三菱商事を見ていきましょう。5大商社の中でも最も利益が大きかった三菱商事は資源ビジネスと非資源ビジネスの双方をバランス良くミックスさせた経営を行っているのが特徴です。5大商社の中で総合力はナンバー1と称されることもある企業です。

三菱商事 FY2022Q3 決算サマリー
三菱商事 FY2022Q3 決算サマリー

三菱商事 FY2022Q3 決算 セグメント別利益
三菱商事 FY2022Q3 決算 セグメント別利益

上記決算資料を見ると、まず純利益が前年からほぼ1.5倍の6448億円に伸びているのが特筆すべき点です。そしてセグメント別資料を見るとほとんどの事業セグメントで前年から大きく利益を伸ばしており、特に目立つのが資源ビジネスに属する天然ガスと金属資源、そして非資源ビジネスに属する自動車・モビリティ、総合素材、複合都市開発です。資源ビジネスの増益はやはり資源自体の価格上昇によるところが大きいのでしょう。なお複合都市開発の爆益(前年同期比で4倍弱の増益)は不動産運用会社の売却益という一時要因によるものですので、4Q以降の推移については要注目と思います。

一方で石油・化学ソリューション、産業インフラ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューションは前年並みもしくは減益となっています。とは言え電力ソリューション以外は数百億円レベルの利益を稼いでおり堅実にビジネスを進めている印象です。トータルとしては資源ビジネスも非資源ビジネスも非常に良好に推移していると評価できます。

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三井物産・・・資源ビジネスの雄は資源高の恩恵を大きく受ける

続いて三井物産を取り上げます。三井物産は従来より資源ビジネスに注力しているのが特徴です。

三井物産 FY2022Q3 決算サマリー
三井物産 FY2022Q3 決算サマリー

三井物産 FY2022Q3 決算 セグメント別利益
三井物産 FY2022Q3 決算 セグメント別利益

三井物産は利益と同様に営業キャッシュフローも重視しており、決算説明資料もキャッシュフローと利益が併記されています。これも三井物産の経営の特徴の1つでしょう。一応ここでは利益の方を中心に述べますが、3Q累計の純利益は8408億円で、このうち金属資源が3554億円と約42%を占めます。またエネルギーでも1908億円(全体の22.6%)の利益を挙げており、これら2つの資源ビジネスで利益全体の約7割近くを占めます。

先にも触れた通り三井物産は従来より資源ビジネスに注力しており、コロナ禍をきっかけとした資源高により今期は大きな利益を挙げることができています。ただしセグメント別資料を見ると三井物産も機械・インフラ、化学品、生活産業といった非資源ビジネスも順調に伸ばしてきています。三井物産の経営の方向性としては三菱商事と同じく総合力を高めていく方向に舵を切っている印象です。なおこの2社の決算日は2月3日でしたが、先に三井物産の通期利益見通し(1兆800億円)が発表され、その後三菱商事が三井物産を上回る通期利益見通し(1兆1500億円)を発表しました。この2社のバッチバチな雰囲気が伝わってきましたね^^

伊藤忠商事・・・非資源ビジネスがやや落ち込み爆益とはいかず

続いて伊藤忠商事です。伊藤忠商事は三井物産とは逆に従来より非資源ビジネスに注力してきました。(例えばコンビニのファミリーマートの親会社は伊藤忠商事です)。三菱商事や三井物産は資源高により大きく利益を伸ばしましたが伊藤忠はどうでしょうか。決算説明資料を見ていきましょう。

伊藤忠商事 FY2022Q3 決算サマリー
伊藤忠商事 FY2022Q3 決算サマリー

伊藤忠商事 FY2022Q3 決算 セグメント別損益
伊藤忠商事 FY2022Q3 決算 セグメント別損益

3Q累計の純利益は6822億円となり、前年同期比でほぼ横ばいとなりました。まずここが(大きな増益となった)三菱商事、三井物産とは異なるところです。

セグメント別資料を見ると金属やエネルギーの資源ビジネスは増益となっていますが、住生活、食料、情報・金融や第8(ファミリーマート)セグメントといった非資源ビジネスのセグメントで利益が落ち込んでいます。住生活、情報・金融と第8については前年に一過性利益が計上されており今回の減益はその反動とされており、通期見通しを見るとそれらセグメントの利益は4Qで順調に伸びる予想となっていますので、各セグメントのビジネス自体は大きな問題なく進められているように感じます。

三菱商事と三井物産の爆益を見た後ですと、伊藤忠商事の決算には若干物足りなさを感じてしまうのは否めません。非資源ビジネスの割合が大きい事で資源高の恩恵をそれら2社ほどには受けられず、また前年の一過性利益の反動で主力の非資源ビジネスの多くが減益しているように見えています。しかし伊藤忠商事はあまりそういう事を気にしていないかもしれません。早くから非資源ビジネスに注力し始めた事もあり競合の2社の事はあまり気にせず我が道を行っている、そんな雰囲気を感じます。

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住友商事・・・純利益は順調に増加 資源高の恩恵を受ける

続いて住友商事を見ていきます。

住友商事 FY2022Q3 決算サマリー
住友商事 FY2022Q3 決算サマリー

住友商事 FY2022Q3 決算 セグメント別損益
住友商事 FY2022Q3 決算 セグメント別損益

住友商事(と後述する丸紅)は前述の3つの商社よりも利益水準はやや小さいですが、それでも3Q累計で4643億円を稼ぎました。これは前年同期比で38%も増益です。セグメント別資料を見ると、目立つのは金属セグメントと資源・化学品セグメントの増益で、金属は約2倍、資源・化学品も約1.5倍利益を増やしました。これら2つの資源ビジネスで全体利益の3分の2を占めています。その点から住友商事は三井物産に近い事業構造になっている感じですね。

そして従来より住友商事の強みの1つとも言える輸送機・建機と、生活・不動産の2つの非資源分野でも堅調に利益を増やしています。インフラと、メディア・デジタルがやや落ち込んでいますが、インフラは電力価格の高騰が響いたようです。しかし非資源ビジネス全体でも前年同期で利益を増やしています。

資源高の恩恵を確実に受け、全体として大きな利益を挙げることができたと評価できますね。

丸紅・・・エネルギーが伸長も生活産業はやや苦戦 株主還元方針を刷新

最後に丸紅を見ていきましょう。

丸紅 FY2022Q3 決算サマリー
丸紅 FY2022Q3 決算サマリー

丸紅 FY2022Q3 決算 セグメント別損益
丸紅 FY2022Q3 決算 セグメント別損益

純利益は4635億円と前年同期比で41.5%増益となりました。この増益率は三菱商事に次いで2番目に高くなっています。セグメント別資料を見ると、エネルギーや電力が大きく伸びている点と、社会産業・金融に属する航空・船舶と、金融・リース・不動産の伸びが目立ちます。一方で丸紅の強みの1つである生活産業(食料、アグリ、フォレストプロダクツ)の実態純利益(Gavilon事業の売却益を除く)は前年からやや落ち込んでいます。

他社の決算資料とは異なり各セグメントの増減理由は資料に記載されていませんので詳細は分かりませんが、約1年前に勃発したウクライナ紛争により穀物資源の価格が急騰しましたが、直近では紛争の停滞などによってやや下落傾向です。この点が食料、アグリを中心とした生活産業ビジネスの落ち込みの要因の1つかもしれません。ただ全体的には資源、非資源双方で堅調にビジネスを進めている印象です。

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今回の丸紅の決算での大きなトピックとして、↓の通り株主還元方針が刷新された点が挙げられます。

丸紅 新たな株主還元施策
丸紅 新たな株主還元施策

ホルダーとしては、配当金が下限78円(年間)とした累進配当となった点と、総還元性向が25%→30~35%に引き上げられた点は非常に嬉しいですね。私は約2年前に丸紅の株を770円くらいで取得したのですが、現在の価格は1600円前後で2倍になりました^^。今回の新たな株主還元施策によって更に株価は上昇する可能性がありそうなので、期待しています。

5大商社の2023年3月期第3四半期(Q3)決算のまとめ 

以上の通り、5大商社の第3四半期決算を見てきました。ここで各社の3Q累計の純利益、通期予想と株主還元をまとめてみました。

今回発表三菱商事三井物産伊藤忠商事住友商事丸紅
2023年3月期3Q累計
連結純利益
(前年同期比)
9558億円
(+48.2%)
8408億円
(+32.8%)
6822億円
(+0.5%)
4643億円
(+38.5%)
4635億円
(+41.5%)
2023年3月期通期予想
連結純利益
(前回発表との差額)
1兆1500億円
(+1200億円)
1兆800億円
(+1000億円)
8000億円
(0円)
5500億円
(0円)
5300億円
(+200億円)
期末配当金
(前回発表との差額)
180円
(+25円)
135円
(+5円)
75円
(0円)
47.5円
(0円)
40.5円
(+3円)
自己株式追加取得
[上限]
1000億円1000億円250億円500億円0円
5大商社 FY2022Q3決算 まとめ

こうしてみると株主還元の方法は会社毎に分かれており、三菱商事と三井物産は増配&自社株買いの両方、伊藤忠商事と住友商事は自社株買いのみ、丸紅は増配のみとなりました。いずれにしても商社株のホルダーとしては本当にハッピーな決算内容でしたね。また通期予想に対するQ3の進捗率は5社全てで80%を超えていますので、3か月後に行われる2022年度(2023年3月期)の本決算においても通期予想に対する利益の上乗せが期待できます。その結果次第では更なる株主還元にも期待できそうです。

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決算発表ラッシュ後に株価は上昇 爆益の三菱商事は7%の急騰

さて最後に株価の動きを見ていきます。2月6日13時の住友商事の決算発表直後(13時01分頃)の株価を確認してみると、以下のように各社ともに上昇しています。

5大商社 株価 (2023/2/6 13時頃)
5大商社 株価 (2023/2/6 13時頃)

その中でも三菱商事は何と2月3日の終値から7%も上昇しています。三菱商事の株価は寄り付きから既に急騰していましたが、これはやはり今回の決算と株主還元施策(25円増配&1000億円の自社株買い)が好感されてものだと思います。三菱商事の配当利回りは2月3日の終値時点では4%を超えていましたが今回の急騰で4%を割り込みそうですね。また丸紅も3%を超える急騰となっています。こちらも増配を好感しての動きと思われます。

私、商社株を買ったのは約1年半前にバークシャー・ハサウェイ社(ウォーレン・バフェット氏)が購入した直後くらいのタイミングだったのですが...

もっと買っておけば良かったなぁ^^

今回の記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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