【2023年の半導体は厳しい】レゾナック・ホールディングス 2022年度本決算を発表

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2月14日の引け後に化学大手のレゾナック・ホールディングス(以下、レゾナック)が2022年度本決算を発表しました。

レゾナックの22年12月期、最終損益は307億9300万円の黒字(日本経済新聞)

レゾナック・ホールディングスが14日発表した2022年12月期の連結決算で、最終損益は307億9300万円の黒字となった。前期は120億9400万円の赤字だった。アナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサス(268億5100万円)を上回った。2023年12月期の純利益予想は非開示とした。売上高や営業利益、経常利益も非開示とした。

レゾナックは総合化学大手の一角。営業利益は、原材料価格高騰の販売価格転嫁のタイムラグ影響や事業売却の影響もあり、総じて減益となる減少となった。

2022年12月期の売上高は前期比1.9%減の1兆3926億2100万円、営業利益は同31.9%減の593億7100万円、経常利益は同31.7%減の593億6700万円だった。

日本経済新聞

※最初にお断りですが、今回レゾナックの決算レビュー記事を初めて書いているため前回までとの比較は推測を含みます。ご了承ください

レゾナックの事業年度は12月締めですので今回が本決算となります。売上、営業利益、経常利益はすべて前期比で減っており、減収減益の決算となりました。最終損益は307億円の黒字を確保しアナリスト予想も上回りました。しかし今期(2023年12月期)の見通しが非開示となっており(後ほど見ていきますが)第1四半期の見込みだけが発表されています。事業の先行きの不透明感が増しているのでしょうか。今回発表された決算説明資料から、2022年度本決算の内容と今期の見込みについて見ていきましょう。

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2022年度は継続事業ベースでは増収も、利益が伸びず

まずは2022年度の決算を見ていきます。全体の業績について確認します。

レゾナック 2022年度本決算 業績概要
レゾナック 2022年度本決算 業績概要

売上は前期比で270億円減の1兆3926億円となりました。しかし前期にはアルミ缶・圧延品などの複数の事業譲渡を行っており、それの影響を除いた継続事業ベースでは1339億円の増収となっています。一方の営業利益は前期比で278億円減の594億円となりました。継続事業ベースでも180億円減の600億円とほぼ同じです。経常利益も同じ594億円で、純利益は前期の赤字から大きく回復して308億円となりました。一株当たり純利益は170.03円で配当が65円ですので配当性向は38.2%となります。まずまず適正の範囲内に収まっていると感じます。

前期(2021年)は営業利益や経常利益は今期を上回っていましたが純利益は赤字でした。これはおそらくは複数事業の譲渡に係る損失計上などが影響したと考えられます。逆に言うと今期に営業利益や経常利益を大きく減らした点が気になります。次にセグメント別の業績を見ていきます。

レゾナック 2022年度本決算 業績概要 セグメント別
レゾナック 2022年度本決算 業績概要 セグメント別

半導体・電子材料セグメントは増収減益、モビリティはわずかに赤字縮小、イノベーション材料は減収減益、ケミカルは増収するも減益と、全体として厳しい状況だったことが伺えます。その他事業(ライフサイエンス事業が含まれるようです)で大きく売上を減らしていますが、これは2021年の数字に譲渡された事業の売上が含まれているためだと思われます。

次に各セグメントでの売上の差異の詳細を見てみましょう。

レゾナック 2022年度本決算 セグメント別業績 半導体・電子材料
レゾナック 2022年度本決算 セグメント別業績 半導体・電子材料

レゾナックが最も注力する半導体・電子材料事業ですが、前工程材料の利益が大きく増えましたが後工程やデバイスソリューションの利益はほぼ横ばいです。またその他で利益を大きく減らしていますがこれも前年の事業譲渡による影響のようです。業績概況を見ると、年後半に需要が減速したが年前半の需要増の分で増収を確保したようですが、利益については原材料価格高騰の影響を受けて減益となったようです。

この半導体・電子材料のビジネスはレゾナックにとって非常に重要です。というのもレゾナックの大きな強みの1つは半導体後工程材料で大きなシェアを持つからです。

Resonacの強みは後工程にあり、実は後工程の売上では圧倒的に世界1位となっている。

>とりわけ強みを持つのが後工程の分野だ。積層基板やパッケージ/封止材などを手掛ける同社は「後工程用材料では世界トップの位置にある」

私は長年半導体ビジネスに興味を持っていまして、様々なニュースを追ってきました。米インテルの株の購入を始めたのもその流れを汲んでの行動です。↑の記事にもある通り半導体の前工程で行われる微細化技術は物理的な限界に近づいており発展の余地は少なくなっています。一方で後工程で行われる異種混合チップのパッケージングは今後の高性能半導体の鍵を握る技術であり、ビジネスチャンスが大いに広がっています。そしてその分野で圧倒的なシェアを持っているレゾナックが今後業績を伸ばす可能性は必然的に高いと考え、私はレゾナック社の株を購入しました。ただし2022年度の業績を見る限り後工程材料で売上を大きく伸ばすことはできませんでしたね。

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レゾナック 2022年度本決算 セグメント別業績 モビリティ
レゾナック 2022年度本決算 セグメント別業績 モビリティ

次のモビリティ事業ですが、自動車部品は年後半に自動車生産が回復し151億円もの増収となったようです。おそらく年前半は半導体不足による自動車生産の低迷の影響も受けたと思われます。リチウムイオン電子材料は逆に減収し、営業利益の赤字はほぼ横ばいとなりました。それにしても21年も22年も赤字になっているこのモビリティ事業は恒常的に赤字になるような体質なのでしょうか。ビジネスの健全性に疑問を持たざるを得ません。

レゾナック 2022年度本決算 セグメント別業績 イノベーション材料・ケミカル
レゾナック 2022年度本決算 セグメント別業績 イノベーション材料・ケミカル

次のイノベーション材料とケミカル事業ですが、イノベーション材料の売上は前年から微減で営業利益は原材料費高騰の影響で38億円減益です。ケミカル事業は石油化学製品を手掛ける他の化学企業と同じく値上げにより増収となりましたが原材料費高騰などで130億円の減益です。やはり2022年は化学企業(特に石油化学製品を手掛ける企業)にとっては大きな逆風が吹きましたね。

次に、「各セグメントの四半期毎の売上・営業利益の推移」を見ていきます。

レゾナック 2022年度本決算 四半期毎のセグメント別業績
レゾナック 2022年度本決算 四半期毎のセグメント別業績推移

特に4Qの数字に注目すると、半導体・電子材料の売上と営業利益が3Qから大きく減ってしまっています。その影響が大きく4Q単体の営業利益はわずか58億円にとどまりました。米半導体最大手のインテルも4Qに非常に厳しい決算を発表しており、2022年の後半以降で半導体市況の悪化が顕著になっている事が伺えます。またインテル社は2023年の第1四半期は赤字の予想を出していますので、(次で見ていきますが)レゾナックの半導体・電子材料ビジネスの見通しも厳しくなりそうだと予想できます。

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2023年第1四半期(1Q)は赤字予想 黒字転換は半導体市況次第か

今回発表された2023年第1四半期(1Q)の業績予想を見てみましょう。

レゾナック 2023年度1Q 業績予想
レゾナック 2023年度1Q 業績予想

やはり半導体・電子材料のビジネスが苦境に差し掛かっています。売上は2022年4Qから更に100億円以上減少し800億円、営業利益は105億円の赤字に転落する予想です。他のセグメントについても4Qから全て減益の予想で、スライド右側にもコメントされている通り厳しい内容です。なお通期の業績予想は市場の不透明感があり過ぎて非開示とされましたが、決算発表時点で2月半ばに差し掛かっていますので今回の1Q単体の業績予想の精度はある程度高いとも言えます。

米インテルをはじめとした各半導体企業の2023年の見通しを見ると年前半に需要低迷が底打ちし、年後半には緩やかな回復を見込んでいるようですが、JETROのレポートには半導体の在庫調整が23年後半まで続くとあります。回復タイミングがいつになるかはレゾナックの損益の黒字転換のタイミングを大きく左右しそうですね。

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決算を受け株価は下落 買い時を探りたい

14日の決算発表を受け、翌日15日の前場引けでの株価は以下の通り3%下落しています。

レゾナック 株価推移(2023/2/15 前場引け)
レゾナック 株価推移(2023/2/15 前場引け)

やはり今回の決算、特に2023年1Qの見込みが赤字である点と通期予想が出なかった点に対して市場はネガティブに受け取ったということでしょう。私個人の予想としては今後しばらくはポジティブなニュースが出る可能性は低く、株価は上昇のきっかけが無く下落トレンドになると考えています。従って今後は適宜買い時を探っていきたいと思っています。

今回の記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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