PIANO ~感想~

スポンサーリンク
第1話 感情を込めて (2002/11/11)  譜面を忘れた美雨は憂鬱な表情を隠さない。美雨は雨で部活が流れた優希と二人で帰路につくが、この行動はピアノのレッスンのサボりを意味する。優希の買い物に付き合う美雨は、3年の高橋先輩を発見。彼の姿を美雨はじっと見つめていた。  結局美雨はレッスンにやってきた。順番待ちの美雨は、ピアノを本心から好きだった昔を思い出す。白川先生は美雨をとりあえず許し、美雨にピアノを弾かせる。しかし、譜面を忘れた美雨は途中までしか弾けない。彼は美雨が譜面無しで弾ける曲を弾いてみろと言い、美雨は即興で作曲してみせた。  再び降り出した雨、傘を置き忘れた美雨は家に電話しようとするが、その時父と偶然出会った。二人で帰宅するが、夜遅くの帰宅に美雨母は機嫌が悪い。が、父と美雨のご機嫌取りで何とかしのいだ。無くしていたと思っていた譜面も鞄の中に隠れていただけ、やっぱりおっちょこちょいだな...    

ようやく放送開始となったPIANO(といっても1、2話は既に先行放送済みだが)。準備期間(=ラジオドラマ)も十分にとり、作品の雰囲気づくりは既に終えている。あとは須藤監督が語っていた通り(Anime-TVにて)、今まで積み上げてきた作品観というものを尊重しつつ、アニメーションならではの表現をどれだけ出せるかということが重要になるだろう(これはとても困難な作業かもしれない)。  また、このアニメは川澄綾子という人物無しでは成立しなかった。その意味では彼女にも非常に大きな比重と責任が置かれている。自分のために用意されたといっても過言ではないアニメ、これは当人にとってみればプレッシャーがかかって当然だと思うのだが。  話は変わって、最近、というか昔からそうかもしれないが、ある人間の(精神的な)成長を描いた物語というのは、その対象が男性であることが多い。それは語り手からすると、成長の度合いというものが、視覚、言葉、シチュエーションといった面において、男性の方が圧倒的に表現し易く、逆に女性では表現が難しいからだ(例外はスポーツものくらいか)。  主人公美雨の成長が物語のメインテーマとなるPIANO。それも内気な性格という条件下での、恋愛、友情といった様々な面での成長、である。彼女はそんな役どころの美雨をうまく演じるという課題をもクリアしなければならない。何とも背負わされたものが大きいとしか言いようが無いが、星界シリーズでもラフィールの成長を見事に演じて見せた彼女ならそれも可能かもしれない。まぁ今はその経緯を見守るしかないが。

第2話 やわらかみを持って (2002/11/18)  高橋先輩と目が合っただけで喜ぶ美雨。白川先生は美雨の性格を知り尽くした人、彼には美雨の細かい変化もすぐに分かってしまう。  今日は美雨の両親の結婚記念日。美雨ママは料理に大張り切りだが、こういうときに限って父親の帰りは遅くなる。やはり美雨父から電話があり、応対した美雨の表情が曇る。美雨からそのことを聞かされた母は当然怒り出すが、美雨は精一杯母をなだめる。  しばらく待つが、やはり父は帰ってこない。美雨は前に自分で作曲した曲を演奏し、母の気持ちを落ち着かせる。そして美雨姉からの祝辞が届き、二人にも少し元気が出る。が、いつの間にかミュウがいない。宅配便の応対の隙に外へ出てしまったのだ。必死に探す美雨&母。  ミュウは何と白川先生が見つけてくれた。彼は何故かミュウが野村家のネコだと分かっていたのだ。その理由が釈然としない美雨、ミュウ本人?に聞いても当然その答えは返ってこなかった...

第3話 はつらつと勢いよく (2002/11/25)
第4話 快活に (2002/12/2)  サブタイトルを見てもわかるように、この2話で中心となっていたのは優希。美雨は、優希の恋路を親友として応援する。そして優希は見事に願いをかなえることが出来た。  一方美雨の恋路はというと、高橋先輩と(少しだけだが)会話できたことは彼女にとって大幅な進歩と言えるかもしれない。まぁ先はまだまだ長いというのが実情だろうが。  しかしこの番組、ToHeartやフィギュア17といった他のOLM作品と雰囲気が似てるね。構図やキャラの動かし方などは特にそう感じる。制作部なんかも同じなのかな。

第5話 心をゆらして (2002/12/9)  夏休みも終了。いつものように優希は宿題を美雨にお任せ、おかげで授業もバッチリ乗り切った。優希は恋愛、友情どちらも大切にしようとしているが、美雨はまだそこまで気が回らないようだ。  白川先生は夕凪先生に美雨、そして美雨の姉にこだわっているのかと聞かれる。彼は美雨にピアノが必要だからだと答える。何だか彼(と美雨の姉暁子)には複雑な背景がありそう。  高橋先輩に勧められた曲に聞き入る美雨、しかしその心地よさは優希の突然の訪問にかき消された。優希は滝沢先輩とケンカし、自己嫌悪に陥っていた。そして美雨を頼ってきた優希は大泣き、美雨もいたたまれなくなり二人で泣いた。  美雨の家に帰った二人の目の下は真っ赤、美雨は高橋先輩のオススメ曲、そして自らが作曲したあの曲をピアノで聞かせる。その音色の意味を感じ取った優希は元気を取り戻し、白川先生の前でピアノを弾く美雨の表情も明るくなった。

第6話 生き生きと (2002/12/16)  美雨の姉暁子が帰ってきた。久々の団欒を楽しむ野村家の人々。それにしても姉は美雨母とそっくりだな。しかし突然の暁子の休暇&帰省に少し不安な表情を浮かべる美雨父&母。  暁子はボーっと外を眺めていた。美雨が部屋に入ってくると元気な姿を見せるが、やはり美雨も心配になる。買い物でも良くしゃべる暁子だが、やや浮ついた会話を続ける姉を見て美雨はらしくないと深刻な顔になる。  買い物を終えると美雨にはレッスンが待っている。この日はめずらしく白川先生がピアノを弾いた。暁子の意地っ張りを母はあっさり見抜いていた。暁子は海辺の公園に出て仕事の鬱憤を大声で解消する。そしてその姿を美雨も見つめていた。暁子は休暇を早めに切り上げ、美雨へのプレゼントとしてルージュの口紅を残していった。

第7話 心を込めて大胆に (2002/12/23)  クリスマスが近づき、街を歩く美雨もショーウィンドウのぬいぐるみに見とれる。電車に飛び乗った美雨の目の前には高橋先輩がいた。美雨は優希の計らいで陸上部のクリスマスパーティの音楽係をすることになっていた。パーティは明日、高橋先輩も美雨が参加することを知っていた。空いている座席に目を向ける美雨だが、高橋先輩と一緒に座っているのは彼女の頭の中だけの光景だった。  1つ前の駅で降りてしまった美雨はレッスンに遅刻。美雨は白川先生に、来週までに発表会に出るかを決めるように言われる。そして出る場合はオリジナルの曲を弾くように、とも言われた。帰宅した美雨の気持ちは煮え切らなかった。一方白川先生は暁子と電話で会話していた。久々に会話したと言う二人だが、その会話はスムーズに進んでいた。  パーティ当日、美雨と優希は夕凪先生と出会う。しかしピアノの発表会の話題になると、美雨は表情を曇らせた。パーティは楽しく進んでいた。サイコロトークでの美雨のテーマは将来の夢、しかしそこも美雨の表情は一変してしまった。とりあえず美雨はピアノの先生になりたいと語ったが...  パーティ終了。再び優希の計らいで美雨は高橋先輩と二人きりになった。先輩は美雨がピアノの先生になれると断言するが、美雨はそれがウソだと正直に話した。すると高橋先輩も自分が語った夢がウソだったと言う。それを聞いた美雨の表情は少し晴れた。  二人の別れ際、美雨はパーティで引いた曲は気持ちが全く入っていなかったと再び告白。高橋先輩は美雨の気持ちが入った演奏を聴かせて欲しいと励ます。帰宅した美雨は発表会に出ることを決意していた。

第8話 哀しく沈むように (2003/1/3)  新年が明けても、発表会に向けての曲作りで美雨はピアノと格闘中。暁子は仕事柄、正月も仕事らしい、皆大変だねぇ。その時、優希が初詣に誘いに来る。しかし滝沢先輩という言葉を聴いた美雨は、ピアノの曲作りを理由に彼ら二人きりで行くように勧めた。そんな多忙な美雨を母は励ます。  しかし美雨の曲作りはあまり進んでいないことがレッスンで判明。美雨は肩を落とす。休みも終わり新学期、しかし高橋先輩がインフルエンザにかかっていることを優希から聞き、何も知らなかった美雨は再び肩を落とす。が、美雨は意外にも滝沢先輩から直接高橋先輩のことを聞きたいと言うのだった。  滝沢先輩によると、高橋先輩のインフルエンザは相当ひどいらしい。彼の受験する高校もかなり難関らしい。美雨の不安は募るばかり、帰宅しても曲作りは全く進まなかった。次の朝、美雨はいきなり高橋先輩に写真を撮られた。何と美雨の写真をお見舞いに持っていくつもりらしいが、さすがに美雨は必死にやめさせようとする。  やっぱり進んでいない曲作り。それを知ると白川先生は美雨を夕凪先生の教室に連れて行き、の担当する生徒の演奏を聴かせる。一生懸命にピアノを弾く生徒。その姿に美雨は衝撃を受け、白川先生の言葉に何もわかっていなかった自分を痛感するのだった。

第9話 愛しさを込めて (2003/1/6)  ピアノって色々と「込めて」弾かないといけないだね...美雨は白川先生に公衆電話から電話をかける。どうやらその内容はレッスンを休むということだったが、美雨の悩む姿を目の当たりにした夕凪先生は白川先生に突っかかる。一流のピアニストだが教師としては三流、夕凪先生は白川先生を痛烈に批判するが、当の白川先生はまともに聞く耳を持たない。  公衆BOXから出てきた美雨を見かけた高橋先輩も美雨のスランプを知っていた。彼は優希から美雨を励ますように頼まれていたが、彼も受験に対して悩みが深い様子。帰宅した美雨は発表会の辞退とピアノをやめると言い出す。美雨母はうまく受け流すが、美雨は母の問いかけにも答える術を持たない。  滝沢先輩は高橋先輩が美雨に声をかけなかったことに激怒。その後優希は滝沢先輩に事の次第を問い詰める。が、そこへ美雨がやってきた。美雨はピアノを止めようと思っていることを彼らに話すと、優希は美雨の友達をやめると言い、飛び出してしまった。  帰宅した美雨は相変わらず元気が無い。しかし母の「誰かを想う気持ちは無意味ではない」という言葉に励まされる。次の朝、美雨は優希に謝るが彼女は完全無視。話しかけても素っ気無い態度。しかしそれが優希の本心ではないようだ。  美雨は白川先生にピアノをやめることを告げた。夕凪先生はそんな美雨に気を使うが、美雨の気持ちに変化は無い。が、教室から出て行こうとする美雨に、白川先生はピアノだけはやめるなと言う。その言葉は美雨の心に強く響いた。  帰宅する美雨。野村家の前に優希がいた。優希は全てを放り投げた美雨の根性無しな態度に涙した。美雨はそんな優希に、全てをあきらめないと誓うのだった。    で、来週は最終回。あれ、この番組って10話で終わりなのね。すっかり13話だと思い込んでたよ。

第10話 やさしさを持って (2003/1/13)  ピアノの発表会が近づいていた。美雨は家族&その他の分、合計チケット6枚を受け取り、続いてレッスンを受ける。美雨の演奏を、白川先生は何も言わずに聴いていた。家族は3枚分、残りの3枚は優希&滝沢先輩と、そしてもちろん高橋先輩だ。が、高橋先輩の合格発表日と発表会の日が重なってしまっていた。美雨は自分でチケットを手渡そうと決意するが、やはりなかなか踏ん切りがつかない。  暁子が発表会のために日本へ戻ってきた。一家団欒、姉からも美雨の成長が見て取れたようだ。美雨の最終レッスン、白川先生は美雨の演奏にゴーサインを出した。そして美雨は高橋先輩を呼び出し、チケットを差し出す。高橋先輩もすんなりと受け取った。一方、白川先生は暁子を呼び出していた。白川先生は彼女に手紙を託す。彼は美雨の前から姿を消すつもりでいるようだ。  ついに発表会当日。家族も友人も、皆美雨を応援している。白川先生からの手紙を暁子が持ってきた。そのメッセージを読んだ美雨は戸惑うが、その直後自らの出番となり気を取り直す。客席には高橋先輩も来ていた。大観衆の前でも美雨は物怖じしない。いよいよ美雨の演奏が始まる...

PIANO完結。10話ってやっぱり短いかな。でも、PIANOという作品の全てを表現するには10話で十分だったという気もする。結局長さじゃなくて中身なんだよね、当たり前だけど。  美雨の成長をラジオドラマではなくアニメというメディアで表現することの意味。内気で大人しい性格の美雨というキャラクターは、その意味付けにおいて正にうってつけの存在だったね。そして川澄さんも、彼女の分身たる美雨という難しい役柄を十分にこなしていた。全体としてまとまりのある良いアニメだった。
タイトルとURLをコピーしました