ARIA The ANIMATION ~感想~

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<スタッフ>
原作:天野こずえ「ARIA」  監督・シリーズ構成:佐藤順一  助監督:布施木一喜  キャラクターデザイン・総作画監督:古賀誠  音楽:Choro Club feat.Senoo  アニメーション制作:ハルフィルムメーカー<キャスト>
水無灯里:葉月絵理乃  藍華:斎藤千和  アリシア:大原さやか  アリス:広橋涼  アリア社長:西村ちなみ  晃:皆川純子  暁:野島裕史  アテナ:川上とも子  アイ:水橋かおり

第1話 その 素敵な奇跡を (2005/10/5) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:佐藤順一  演出:布施木一喜  作画監督:古賀誠  原作は未読だけど本作品が私の秋最大の期待作であり、結論から言えばその期待に200%以上応えてくれること間違い無しっ!!魅力的なキャラクターの数々が織り成して展開される癒し度大のストーリー、コミカルさを所々にまぜながらも抑えるべきテーマはキッチリと描き切る絶妙な演出、そしてそれらの舞台となる世界の壮大さ。もぅね、1話からここまでスゴイと思わせる作品は久々ですね。  もちろんそう感じた理由の1つに、あのカレイドスターとの類似点が多くあったことは(そしてそのカレイドスターが面白かったこと)は否定できない。佐藤監督以下スタッフ陣やキャスト陣がカレイドスターの主要メンバーで固められており、主人公の灯里が一人前のウンディーネを夢見るところや、灯里自身にかなりの素質がありそうなところ(逆漕ぎはその片鱗の1つだろう)、憧れのウンディーネ(アリシア)が金髪で大原閣下であることなど、それこそ挙げたらキリが無いくらいだ。が、だからと言って全くカレイドスターと同じなわけではなく、少なくともヒーリングというポイントはカレイドスターには無かった要素であるが、それ以外の差異はこれから見出していこうと思う。  第1話の内容的には、そもそもどんな生き物か分からないアリア社長、もみ上げが長いから「モミ子」と名づけるセンス、子供なアイちゃんに手玉を取られる灯里、「恥ずかしいセリフ禁止令」で自爆する藍華など、コミカルなシーンは本当に笑えるし、アリシアさんが社長を助けたところは正にゴールデンフェニックス並に見惚れたし(笑)、アイちゃんというちょっと変わった少女に灯里や藍華が「素敵な奇跡」をもたらしたのは、本当に心が癒されました。  ちなみにこの作品、主要なキャラクターのファースト・ネームが皆「ア」から始まっているが、同じような仕掛けを佐藤監督は魔法使いTai!でやってたな(Taiではキャラのイニシャルが「S.S」とか同じアルファベッドになるのだ)。こういったセンスに対して佐藤さんがビビっと来たんじゃないかと僕は思う。それから副監督の布施木氏、S.A.Cの主要スタッフの一人だった彼の存在はかなり異様な印象を受けるけど、例えば石川社長に「ドンパチアニメばっかりやってないでタマには可愛い女の子がいっぱい出てくる作品もやってみろ」的なことを言われたんだろうか(笑)。

第2話 その 特別な日に・・・ (2005/10/12) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:佐藤順一、向中野義雄  演出:向中野義雄、布施木一喜  作画監督:近藤優次  アリア社が床上浸水の緊急事態。が、これはアクア・アルタという高潮現象で、この星の人々には当たり前のものだとか。社長と共に一味違う街に買い物に出た灯里はセクシーな素足で街中を闊歩するが、悪天候の中、道に迷うという天然を発揮。偶然雨宿りした場所の目の前には藍華の姫屋があった。藍華の部屋での二人の話で分かったのは、水先案内社の社長には、アクアブルーの瞳を持ったネコを社長にする習慣があるということ。てーかアリア社長はネコだったのかよっ!?(笑)  姫屋の鬼教官・晃(男の名前みたいだ)に怒鳴られた藍華はアリア社で働くと言って姫屋を飛び出した。だけど、(実は晃の幼馴染だった)アリシアも、そして藍華自身も晃の優しさを誰よりも知っていた。アリシアに対して強い憧れを抱く藍華ではあるが、「弟子は師匠に似る」、禁止令を連発するところがソックリな晃と藍華の絆はとても強いものなのだ。灯里とアリシアの関係も、彼女たちのように強くなれるか、今後が楽しみですね。

第3話 その 透明な少女と・・・ (2005/10/19) 脚本:吉田玲子  演出:後藤圭二  作画監督:吉本拓二  作画監督補佐:藤原未来夫  灯里がアクアにやってきて2度目の夏がやってきた。シングル脱出のため練習に励む灯里と藍華の前に、オレンジ・プラネットのアリスが出現。ペアであるはずの彼女だがその華麗な杖捌き、他人を寄せ付けないマイペースっぷり、そしてライバル社の期待の星ということで、藍華は少なからず対抗心を燃やす。が肝心の灯里は頑張りやさんなんだと笑顔を全開にして尊敬を抱くのだ。この笑顔こそ、灯里の最大のチャームポイントなのだ。  天才少女・アリスの深き悩みは、何とその笑顔が作れないことだった。灯里を「モミ子」と呼ぶ暁を巻き込み、灯里とアリスはウンディーネの練習に励む。たまにドジを踏みつつも、笑顔を満開にして仕事をこなす灯里を、アリスは複雑な表情で見つめる。そして灯里と暁の漫才?にアリスはついに笑顔を見せた。  「流れに逆らわず、ゆったりと進んで行く。そして心を開き、心を軽くして、一緒に風になる」。そんな一流のウンディーネに求められることを、灯里は超自然体で実行している。それこそが灯里の笑顔の秘密であり、そしてその笑顔が僕らを癒してくれるのだ。いやマジで灯里見てると心が安らぎますもん(笑)。そんな灯里と同じような、優しい笑顔を取り戻したアリスならば、一流のウンディーネに成長していくことでしょう。

第4話 その 届かない手紙は・・・ (2005/10/26) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:佐藤順一  演出:玉川真人  作画監督:住本悦子  すっかり打ち解けて仲良しの灯里とアリサ。未だアリサに対抗意識を燃やす藍華、キャラの違いとはこういうものだ。アリア社長を伴っての深夜のお買い物(この作品、買い物多い)で、灯里は見知らぬ少女から手紙を受け取る。「絶対届けて」、そう強く願う少女の純粋で吸い込まれそうな瞳を前に、灯里は断る術を持たなかった。指切りが交わされた約束。  しかし検索しても宛先の住所も名前もヒットせず。中身が古い時代のデータカードだったその手紙をとりあえず郵便屋に託す灯里だが、風車が佇む見知らぬ場所に迷い込み、あの少女・アミに念を押される。こうなってはもう断ることはできない。  宛名となっていた場所はかつて開拓基地だったところ。とても灯里のゴンドラでは行けない。そこへやってきたシルフ(運び屋)のウッディーに、灯里は「私を配達して下さいっ」とお願いする。このセリフはとにかく萌えた!!  翌日、さっそくウッディーは灯里を連れて大空を駆ける。シルフとウンディーネ。それぞれ「大切な気持ちを届ける」、「大切な気持ちを作る」仕事だが、内容に違いはあれど、どちらも素敵な仕事なのだ。ちなみにスクータでの発進時はパンツ丸見せだったらしいが、オレにはちっとも見えなかったのでDVDよろしく!(笑)  二人が辿り着いた場所は墓地であり、肝心の基地は海の中だった。後から追って来たアリシアさん曰く、この基地は事故に襲われ、そして手紙は事故前に送られたため迷子になってしまったのだ。灯里たちが墓地を回ると、宛先の氏名と同じ人物のお墓があった。  データカードをカードリーダに入れると、その中身は基地からの帰りを待ちわびる妻からのメッセージだった。時間と場所を越え、ようやくその思いが届いたのだ。(アミという少女は恐らく彼ら夫婦の娘だろう)。そしてもう1つ、彼ら先人の努力によって今のアクアがあることを忘れてはならない。

第5話 その あるはずのない島へ・・・ (2005/11/2) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:福多潤  演出:筑紫大介  作画監督:霜山朋久  差出人不明の「ネバーランドへの招待状」。しかも「水着を持ってくるように」との条件付だとーっ!?誰が出したのかは知らんがまずは感謝!!(笑)。  さて、そのネバーランドは無人島。早速迷子になる灯里だが、何とアリス&藍華もそこにいた。当然彼女たちも同じ招待状を受け取っていた。ということは内部の犯行か!?3人が光り輝く砂浜に辿り着くと、そこに待ち構えていたのは「水着の」晃&アリシア&社長。そう、招待状は彼女たちが出したものであり、その目的は「血ヘドを吐くまでの猛特訓」。「鬼コーチ」佐藤監督の本領発揮だ!!(笑)  見習い3人娘も水着に着替え、丸太漕ぎの猛特訓が始まった。灯里はへっぴり腰で落ちまくり、藍華&アリスもボロボロ。手本を見せた先輩二人はさすがの実力を見せつける。だが失敗を繰り返しても、手に豆ができようとも、灯里は充実感一杯だった。ランチタイムを経て、PMは遊びOK。ビーチバレー、スキューバダイビング。高飛び込み、スイカ割りなど、思う存分楽しんだ。  遊び疲れた3人娘。リボンを片方無くした灯里は、小さい頃同じようにプールで遊んでリボンを無くしたことを思い出す。夜のバーベキューも、料理が上手い晃さんのおかげで楽しいものに。そして夜、眠らずに海辺を見つめる灯里の隣りに、アリシアさんもやってきた。昔の思い出を忘れて行くことを寂しいと表現した灯里に対し、「想い出は忘れてしまうわけではないけれど捨てるわけじゃない。ちゃんと心の引き出しの中に眠ってる」と、アリシアさんは語るのだ。そんな灯里の足元には、無くしたとはずのリボンが。思わず灯里の瞳から涙が零れる。人が作ったはずのアクアだけど、奇蹟がもたらす素敵が一杯詰まってるのだ。

第6話 その 守りたいものに・・・ (2005/11/9) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:島崎奈々子、佐々木守  演出:島崎奈々子  作画監督:羽生貴之、柳瀬雄之  藍華が社員旅行で不在のため、灯里はアリスと二人で練習中。と、抜群に歌が上手なウンディーネとすれ違う。その直後、アリスは何故か不機嫌状態に。その理由は「右利き」のため左手が全く使えないことに気づいたから、だそうで。これがアリス独特のセンスと言えばそうなのだろう。  アリスが灯里を寮に招く。今日はお泊り会。そこでアリスは、自分が拾い猫を飼っている(名前はまぁくん)ことを告げる。オレンジ・プラネットはペット厳禁であり、バレたら彼女もタダではすまないはずだが。とそこに、すれ違ったウンディーネ再出現。彼女こそ3大妖精の一人、アテナ先輩なのだ(しかもアリスと同室)。だが歌は上手いが、部屋に入るなり水差しの水を大量にこぼすわ、コーヒーにガムシロップを大量にぶち込むわ、実は灯里以上の天然ボケ&ドジっ娘でした。って何よそれ!?(笑)  食事を終え、アテナが風呂に入っている隙にアリスはまぁくんに食事をあげる。これが何時まで続けられるのか...夜中、まーくんが異常な鳴き声を発する。心配するアリスをよそに、突然起きたアテナは窓から夜空に向かって歌い出す。その歌が子守唄になったのか、まぁくんは泣き止みアリスとともに眠りについた。だがアテナがまぁくんの鳴き声を隠すために歌ったことは明白だった。  翌日の学校では、左手が何気に自分を支えてくれていることに気づいた。学校から帰宅するとまぁくんが行方不明に。アリスは街中を探し回るが見つけられず、自分はまぁくんを守れない左手以下だとアリスは自分を責める。だがその時、綺麗な歌声と共にアテナ先輩が出現。そして歌声に引き寄せられるようにまぁくんも現れた。アテナが歌ったのは、もちろんまぁくんを見つけ出すため。彼女は皆知っていたのだ。  アリスが初めて寮に入った夜も、緊張で眠れない彼女の前でアテナは今と同じように歌ってくれた。アテナが今まで自分のことを影から支えてくれていたことを、アリスは改めて感謝したのでした。

第7話 その 素敵なお仕事を・・・ (2005/11/16) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:布施木一喜  演出:布施木一喜、名取孝浩  作画監督:吉本拓二、藤原未来夫、宮本由紀子  晃主催、ウンディーネの雛たちの合同特訓(3社の社長&本物のお客様付き)。AMは晃のゴンドラにお客様と同乗し実地見学。お客様は新婚旅行のカップルだ。ウンディーネに興味深々の妻に比べ、ガイドブックを持ったままの夫の方は余り興味が無い様子。そんなダンナを晃がちょっとイジると不機嫌モードに入ってしまう。だがガイドブックに乗ってない美しいマリア像を前にすると、暗い気持ちが吹き飛んだ。お客様の心をほぐす、晃のトークもさすがである。  PMはいよいよ特訓。お客のカップルも訓練に同行すると言う。鬼教官の晃はとにかく怖い。1番手灯里、緊張するとノロマな彼女に厳しいゲキ。2番手藍華、説明上手いがゴンドラ速度制限オーバー。3番手アリス、漕ぎはなかなかだが声が小さすぎ。散々絞られたところに、タイミング良くアリシアさん出現。ケーキの差し入れをしてくれた彼女は、雛たちにとって正にエンジェルのように映ったに違いない。  最後のミッションは満潮でくぐれる橋が限られる中、晃を目的地まで届けるというプリマでも厳しいもの。案の定、行く手を完全に失ってしまい灯里たちは途方にくれる。そんな彼女たちを晃は絶対に助けない。しかし暗い古い家の中に行き道を見つけ、何とかミッションコンプリートだ。  夕陽が沈みすっかり夜。晃は笑顔と共に、灯里たちにレストランの特製ピザを振舞う。晃の訓練は厳しいが、灯里や藍華たち後輩のことを心から大切に思っている。灯里たちにもそれが強く伝わったに違いなかった。
   今週は晃の厳しさと優しさを織り交ぜながら、「ウンディーネのお仕事」に最大限のスポットを当てるという、充実した内容でしたね。ウンディーネの仕事をじっくり描くということは、一度やって欲しいと思っていたので自分としても満足度が高かったです。

第8話 その 憂鬱な社長ったら・・・
     その イケてるヒーローってば・・・  (2005/11/23) 脚本・絵コンテ:佐藤順一  演出:玉川真人  作画監督:松林唯人  今回は初の2本立て。しかも主役はアリア社長という特別版です。  Aパート)アリア社長の仕事...仕事なんて、やってたんだっけ?(汗)。アリアカンパニーの大掃除。指揮を取る社長は、ハッキリ言って掃除のジャマ(苦笑)。ましてや水をぶちまけるわ、化学実験としか思えない手作りシチューで自爆するわで足すら引っ張る。  落ち込むんだ社長は食料確保し家出決行!しかし当然行くあて無し。街をとぼとぼと歩くと、ケロロ人形を操る少女に拉致されそうになったり、仲間だと思っていたヒメ社長に裏切られたり(いやこれはアリア社長の思い込みだが)、結局アリアカンパニーに戻ってきてしまった。が、アリシアさんの特製オムライスを食べて元気復活。そりゃね、アリシアさんの手料理となればパワー100倍間違い無しですよ(笑)。  Bパート)ヒーローモノの絵本「ニャンニャンプー」にドハマりのアリア社長。だが決意のコスプレはどう考えても怪しい覆面ネコにしか見えない(笑)。人形を落としてしまった女の子に、その人形を届けてあげる。それこそがヒーローだ!!と使命感に燃えるアリア社長でしたが、ヒメ社長の純なハートを傷つけるとは酷いよ(苦笑)。が、見事な玉乗りセンスを披露し、最後には(汚してしまったけど)人形を無事女の子に届けてめでたしめでたし。よくやったとホメて上げたい気分になったよ。  西村さんの動物演技はさすがの一言です。それから脚本とコンテを佐藤監督自らがやってたせいもあってか、今週の雰囲気はかなりマンガ的というかケロロみたいな感じでしたね。今までには無いARIAを楽しませてもらいました。

第9話 その 星のような妖精は・・・ (2005/11/30) 脚本:藤咲あゆな  演出:竹下健一  作画監督:藤沢俊幸  ネオ・ヴェネツィアに深まる秋の色。が、深まっているのはもう1つ、藍華の憂鬱である。ウンディーネの歴史に燦然と輝く伝説の大妖精・グランドマザーを越えるのが目標である藍華にとって、最近の合同練習にマンネリを感じていた。そのグランマがアリアカンパニーの創設者である常識を知らない灯里はでっかい無知である(苦笑)。アリシアさんに助言を求めると、直接本人にご指導賜ることに。  臨時休暇をもらい、大妖精に会いに行く3人の卵たち。3人揃っての私服姿はもしかして初披露!?ヤバイ、良すぎる(笑)。ついた先はマンホームの田舎さながらに、一面素晴らしい紅葉色が広がっている。そして伝説の大妖精・グランマが登場。アリア社長懐かしさのあまりグランマの胸に飛び込んでいくが、そもそもアンタ何歳よ?(笑)  裏山の栗拾いを手伝った次は芋掘り。考えすぎの藍華は仕事が手につかない状態に陥っていたが、オレはスカートバリバリのアリスちゃんに視線釘付け(爆)。そんななか、帽子をくれるグランマのさりげない心遣いはやはりアリシアと似ている。焼きイモと焼き栗を堪能し、豪勢なお夕飯を頂き、そしてお風呂は湯気タップリ。さすがにテレ東規制の壁は厳しい(笑)。  お風呂の後は8時で就寝。結局立派なプリマになる秘訣が聞けず、落ち込む藍華だが、眠れず外に出てみると夜空には幾千の星々が瞬く、正に満天の星空。そこにグランマ登場。アリシアが成長した理由、それはこの世界がくれる全てのものを楽しんでしまう名人だからなのだと彼女は言う。そして苦しみも悲しみも、人生をより楽しむための隠し味と思えばよいとも。それができれば、一番の星になることも夢じゃない。ゴンドラを漕ぐことが大好きな彼女たちならば、その資格は充分にあるのだ。
   「争いの無い、心から楽しめるカレイド・ステージ」。苗木野そらが描いたその夢は結局、レイラ・ハミルトンという大きな壁を乗り越え、掴み取ることでしか実現できなかった。TV版アリアは、佐藤監督がカレイド・スターで描ききれず置き去りにしてしまった忘れ物を取り戻しに来た、そんな作品であると、僕は今週確信しました。

第10話 その ほかほかな休日は・・・ (2005/12/7) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:福多潤  演出:いとがしんたろー、名取孝浩  作画監督:柳瀬雄之、霜山朋久  アクアの冬はとーっても寒い。が、寒かろうが灯里たちの訓練はいつも通り。ペアのアリスはともかく、シングルの藍華&灯里には確かに辛かろう。さて、アリアカンパニーでは暖炉の準備をするアリシアさんが、灯里を薪拾いに誘う。すこぶる順調に薪を拾いつづけていると、冬の訪れを告げる雪虫出現。雪綿に羽が生えたようだその姿は超可愛い。人懐っこい1匹の雪虫が、灯里にくっついてきた。  街の市場、ショッピングを楽しむ二人の前に暁出現。アリシアを前にしてドキドキしまくりのコイツはどーでも良し(笑)。と灯里とアリシアは温泉のポスターを発見。休日の温泉旅行、ここに決定である。空はすっかりオレンジ色、煙突から昇る暖炉の煙が夕陽を包む。冬は妙に家が恋しくなる、正に「ハウスのシチュー」が食べたくなる雰囲気です。  さて、お楽しみの温泉旅行。テラスからの風景は良好。灯里は初めての露天風呂に胸がドキドキ。もぅね、テレ東規制云々は言うまい。彼女たちの巻きタオル姿で、オレはもう十分幸せです(笑)。さてこの温泉は廃屋敷を露天風呂にしたセンスの良い場所。ゆっくり温泉を楽しんだあとは、コーヒー牛乳一気飲み、絶品のお夜食を楽しみ、彼女たちは旅行を満喫する。アリシアは、長くて厳しい冬を乗り越えるための、温泉の魔法と表現した。  4人は再び温泉にGO。灯里たちはアリシアに温泉の奥へと導かれる。暗くて長い通路を越えた先には、何と海と繋がっている温泉がっ。嬉しさのあまり、3人はすぐに泳ぎ出す。月夜の下、彼女たちは再び幸せを感じる。で、昼にはいなかった晃とアテナが到着。即卓球勝負に巻き込まれた藍華たん、ご愁傷様(笑)。  灯里とアリシアがテラスに出ると、辺り一面、雪虫が静かに浮かんでいた。夏の夜空を彩る蛍と同じく、雪虫が冬の夜空を白く染め上げて行く。灯里についてきた雪虫とも、ここでお別れ。だが1年後にまた逢えると、アリシアは灯里を元気付ける。雪虫が飛び立てば、初雪が降る。アクアの冬が寒い分、楽しいこともまた一杯あることを、灯里も僕らも今日、知ったのだ。

第11話 その オレンジの日々を・・・ (2005/12/14) 脚本:藤咲あゆな  絵コンテ:佐藤順一  演出:竹下健一、筑紫大介  作画監督:日下岳史、音地正行  作監協力:和田高明、霜山朋久  極寒のアクア。鉛色の空から雪が降ってきたが、3人の合同練習は通常通り。一通り練習を終えてアクアカンパニーに戻ってきた3人の前に、くつろぐ晃とアテナの姿有り。藍華の絶叫がこだまする(笑)。久々に集まったというアリシアさんたち3大妖精も、シングルの頃は3人で合同練習をしてたらしい。晃が何かと理由をつけてアリアカンパニーに来てたこと、何時の間にかマイペースなアテナが練習に加わったことなど、今の灯里たちととても似ている。ちなみにアリシアさん特製の生クリームココア、オレも欲しいっ(笑)  合同練習で、アテナは「ワザとか?」とツッコまずにはいられないほどのボケを炸裂させまくる。だが当時からその歌声は美しく、初めて目の当たりにしたアリシアと晃は驚きと素晴らしさのあまり目がまん丸に。だがずっと続くと思われていた合同練習、そして3人にとってかけがえの無い日々も、彼女たちが一人前になった時に終わりを告げた。いつかは自分たちも同じことになる、アリスはそう思うと気落ちしてしまう。そんなアリスたちに先輩方は、仕事が充実してて可愛い後輩たちができた今も同じくらい楽しいと言う。頼もしい先輩たちの言葉を、灯里たちも瞳を輝かせながら聞き入った。  夜も深まり、灯里は藍華とアリスの二人を見送る。だが二人の背中が少しずつ小さくなる光景にさっきの話が重なり合い、寂しさが込み上げる。灯里は思わず、去って行く二人に必死に手を振る。そしてアリアカンパニーでは、3大妖精が久々のおしゃべりに夢中になっていた。  オレも一応社会人であるから、アテナたちが経験してきたことは、当然オレ自身も通ってきた道だ。だからこそ今、生きている日々が自分にとってかけがえの無い大切なものであって欲しい、そう思います。って、思わず恥ずかしいセリフを書いてしまった(笑)

第12話 その やわらかな願いは・・・ (2005/12/21) 脚本:吉田玲子  絵コンテ:佐藤順一  演出:玉川真人  作画監督:柳瀬雄之、和井宏  いつもと雰囲気が違うOPは、正にクリスマス・バージョンですね。街はすっかり銀色に染まり、アリアカンパニーも開店休業。アリシアの許しを得た灯里はアリア社長を引き連れ、行きたいと想っていた古い橋にやってきた。雪に埋もれかけたその橋は、古い木造のトンネルのような橋だった。灯里が中に入りそして外に抜けると、雪はすっかり止み青空が広がっていた。灯里はウッドデッキでカメラを回す一人の女性と出逢う。  彼女、星野明子はめがねを掛けた素直で魅力的な女性だった。彼女の家に招待された灯里は、ノホホンとして恥ずかしいセリフも平気で口にする明子が、何となく自分と似ていることに気づく。外でランチを共にすることになった二人だが、なんと食事のために水汲みが必要だと言う。明子は、今日がが水路に水が来る日とも。水汲みを手伝った灯里が手作りの柵をぶち壊し、豪快に後ろに転倒する姿にはめちゃめちゃワラタが、ランチを楽しむ二人の話が微妙にかみ合わない。そう、灯里が迷い込んだここは昔の、水が星を潤す前のアクアなのだ...  夕方、実は先生だった明子は灯里と共に再び橋にやって来た。橋では子供たちが明子を待ち受けていた(子供たちの中に、いつものメンバーっぽいキャラもいた)。当然大人たちも大勢。灯里も明子も彼らも皆、水路に水が満ちるのをこの橋の上で願う。その願いは通じ、水路に水が満ちて行く。それはまるで人の心に、潤いが染み込むような感動を与えていた。灯里も明子も、アクアが優しさに満ちた星になることを、共に確信していたに違いない。  灯里が橋の向こうに戻るとき、「さようなら、私のアッペニーレ(未来)」と明子は言葉を送った。そうか、彼女も灯里が未来から来た人間であることが分かっていたのだ。アリアカンパニーに帰ってきた灯里は、アリシアの胸に静かに抱き寄る。外は白い雪が、深々と降り続いていた...
   今回のこの終わり方、何と感動的な余韻を残して行ったのか。イヤマジで最終回って言われても不思議じゃなかったくらいのレベルでしたよね。次回は本当の最終回を迎えてしまうわけで寂しい事この上無いけれど、とにかく自分の瞳、そして心に、灯里の笑顔を焼き付けたい、いや、染み込ませたい。そう願うばかりです。

第13話(最終回) その まっしろな朝を・・・ (2005/12/28) 脚本:藤咲あゆな  絵コンテ:布施木一喜  演出:布施木一喜、いとがしんたろー、名取孝浩  作画監督:古賀誠、柳瀬雄之、霜山朋久、吉本拓二、日下岳史  2005年アニメ視聴の締めが本作品であることに、ささやかな喜びを感じています。  24月31日、アクアの大晦日がやってきた(アクアは1年が24ヶ月)。アクアでは、クリスマスを家族で過ごし、年越しを仲間皆で過ごすのが通例とか。サン・マルコ広場にやってきたアカリとアリシアとアリス社長を、暁とウッディが待っていた。彼ら曰く、メインイベントのカウントダウンの後は、初日の出までお祭騒ぎで過ごすらしい。とそこに、何とアイちゃんがいたのだ!!まさかのドッキリ企画に灯里もビックリ。  灯里のメールで、暁たちのことも知っていたアイちゃん。だが暁は兄貴に頭が上がらない等、容赦無いアイちゃんの言い回しに、暁は灯里に激怒(笑)。とそこにウワサの暁兄が登場。暁兄は幸せを呼ぶ豆硝子を、アイちゃんにプレゼントする。そして藍華&晃&ノームの美少年アル君(前にほんのちょっとだけ登場したかな?)、グランマ、アリス、アテナも到着。アル君と藍華の仲を探るアイちゃん、可愛い(笑)。これで役者は皆揃った、ところでアリア社長が一人広場を抜け出してしまい、灯里とアイが追いかける。  アリア社長の雪の上に残る足跡を手がかりに後を追う二人は、人気の無い街路に辿り着く。そして目の前には、風車と古い家が立ち並び、家の中から出てきたのは猫の大群。妙に懐かしさを感じるその風景、過去と未来とを繋ぐ存在である猫。そう、二人には再び昔のアクアの風景が一瞬だけ見えたのだ。アイは自分がアクアに歓迎されたのかもしれないと喜んだ。  帰り道、落としてしまった豆硝子を頼りに二人は広場に帰ってきた。ネオヴェネツィアでは、新年を迎えるゼロ時に何かを投げるのが恒例だとか。灯里たちウンディーネは帽子、そしてアイはリボンを投げることに。いよいよ新年も目前。素敵な1年が終わることを、灯里はとても名残惜しむ。またしても恥ずかしいセリフだ(笑)。灯里はアイに、ネオ・ヴェネツィアの新年の挨拶「アウグーリー、ボナンノ(auguri buon anno.もちろんイタリア語)」を教える。そしてカウントダウンが刻まれる。「dieci(10), nove(9), otto(8), sette(7), sei(6), cinque(5), quattro(4), tre(3), due(2), uno(1), zero(0)!!」。夜空を様々なモノが彩り、ついに新年を迎えました。  お祭も静まり、灯里たちは初日の出を待ち続ける。そこにアイちゃんの姉登場。娘さんの名前は「アクアちゃん」だとか、素敵な名前だ。そして、「新しい年も素敵な年になりますように」、初日の出の光を全身に浴びながら、皆がそう願う。アイちゃんたちと別れ、ゴンドラの上で二人きり(+一匹)になった灯里とアリシアは、「auguri buon anno. 今年もよろしく」と、二人は優しく言葉を交し合った。

   ARIA The Animation 「first season」もこれにて完。いやー、最後の最後まで恥ずかしいセリフを連発してくれて最高でした!!(笑)。っていう軽口は置いといて、ホントに素晴らしい世界観と優しくて魅力的なキャラクターに癒されまくりでしね。2005年のアニメ作品の中でも、強く印象に残る作品であったことは間違い無いところです。  さて、佐藤監督が「カレイド・スター」で描ききれなかったテーマをこの作品に見出したはずだ、という推測はこの前書いた通りなのですが、最終回が終わったところで、この作品に自分の何が癒されたのだろうかとちょっと考えてみました。
 その1つは、灯里たちの優しさ(恥ずかしいセリフ)や現代人が忘れかけた暖か味に触れたときの、本質的な心のカタルシス。そしてもう1つは、複雑に入り組んだストーリーや用語や設定を持つアニメを見つづけることによって疲れ果てた、僕自身の「アニメ心」だったのでは無いかと、今は思ってます。
 意味不明の言葉が飛び交い頭を使わないと楽しめない作品が最近また増えてきたと思うのですが、週に10本以上のアニメ作品を見ている自分にとっては、最近それが苦痛にもなり始めてきてます。TV版ARIAはそんな世間の流行に警鐘を鳴らす、というのは大袈裟かもしれませんが、お手軽萌え系とエヴァ系(あくまで謎が多いという意味)というたった2つの方向性に固まりつつあるアニメーションとは全く異なるの可能性を見せてくれたというのは、大袈裟な話ではないと僕は思います。  さて、冒頭に「first season」と書きましたけど、多くの人もご存知の通りTVアニメ第2期制作が決定しましたね。本当にその日が待ち遠しいです。その時までしばしのお別れ...「Arrivederci, Ciao!」
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