ファンタジックチルドレン ~感想~

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第1話「闇の果てから」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:なかむらたかし 演出:古川順康 作画監督:中村深雪

 作品の格式の高さが感じられるOP、こういうアニメの映像を見るのは久しぶりのような気がする。前半は黒服の子供たちの驚愕の表情ばかりを見せ付けられてた印象。何も理解できないまま後半に突入するが、前半がトーマとヘルガの出会いの布石だったと考えれば、流れとしてはまぁ納得できるかな。ただその本質が全く闇の中ってことに変わりは無いけれど。

 ストーリーはこれからと言った感じですが、とにかく『アニメーション』のクオリティの高さは特筆モノ。なかむらたかしの作品をしっかりと見たことが無い私にとっては、良い刺激となりそうです。継続決定。

 第2話「彷徨う想い」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:なかむらたかし 演出:鏑木宏 作画監督:丸山宏一

 週に20本前後のアニメ番組をチェックする身としては、この番組の難解さは正直堪える。これだけチェック本数が多いと、各作品の内容があんまり頭に入らないからねぇ。まぁ、トーマとヘルガに黒服の少年・ベフォールの子供たちが接近してきたことで、本格的にストーリーも動き出すんでしょうけど、心の底からこの作品を楽しむための整理が自分にはまだついてません。この状況を打開するだけの気力が自分にあるのか、ちょっと自信なし。

第3話「行きたい場所」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:なかむらたかし 演出:伊藤裕之 作画監督:石川晋吾

 やっぱり捕まっちゃったよヘルガとチット。だがそのことがトーマとヘルガの出会いのきっかけになるのだろうけど、まだ自分の中では整理不十分かな。公式サイトには一通り目を通したけどなかなか物語の全体像が見えてこないし、何と言ってもこの視聴ラッシュのおかげで1話と2話の内容をすっかり忘れちゃったのが一番大きかったり(苦笑)。とりあえずはベフォールの子供たちのことを調べるクックス刑事と同じようなペースで、少しずつストーリーを理解できれば良いかなと思った今週でした。

第4話「シノン」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ・演出:古川順康 作画監督:中村深雪

 ようやく対面かなったトーマとヘルガ。だがヘルガは助けに来てくれたトーマの問いかけに反応しないどころか、顔すらまともに見ようとしない。脱走者として追われていた老婆は、自らの年齢を24と言い切った。ヘルガだけが、老婆を天国へ迎えに来た老婆の妹(幽霊)の姿を見ることができ、そして母との再会を願いながらこの世を去った老婆の悲しみを本当に理解していたようだ。老婆を追っていたゲルタ博士は、他にも老婆と同じように追っている人間が二人いるという。その一人と思われる老人が見知らぬ民家に侵入し、汗だくになりながら子供と戯れている。今週は素直なストーリー展開で面白かったです。

第5話「コックリ島」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ・演出:鏑木宏 作画監督:丸山宏一

 コックリ島はトーマが見つけた秘密の島。だが一向に心を開こうとしないヘルガに、トーガのガマンもついに限界。メシ作りは手伝わず、黙々と月夜の船の絵を描くヘルガにトーマは愛想を尽かしてしまう。雨の中、はぐれてしまったチットを探すトーマとヘルガだが、基本的にドジっ娘のヘルガは木の根に足をつまずかせる。

 先週登場した老人は3年前に31歳で死んだはずの青年だった。クックス刑事は老人が着ていた服の胸にゲド機関の紋章を見つける。6年前に起こった子供の失踪事件と100年前のベフォールの子供たちの写真、彼はベフォールの子供たちについて既にかなりの推測が可能なレベルまで調べ上げている。彼と相棒?のアリスの捜査が、私が物語の理解を深めるのにとても重要な役割を持ちそうです。

第6話「コックリ島(2)」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ・演出:伊藤裕之 作画監督:青木哲朗、北山修一

 倒れているチットをようやく見つけたトーマだが、凶悪なぶっ殺し蜂の大群の前にタジタジ。だがヘルガは顔色一つ変えずハチの群れに突入し、チットを助け出したのだった。これがヘルガの秘められた能力によるものなのか、単なるマグレなのかは今は分からない。だがトーマとヘルガがようやく会話を交わすことが出来たことには大きな意義がある。

 翌日、トーマとチットはベフォールの子供・タルラントに出会う。自分の島であることをあっさりと否定するタルラントに、トーマは容赦なくケンカをふっかける。オレはこういうヤツキライだ(苦笑)。トーマに殴られてしまったタルラントだが、島に隠していたロボット?ワンダーで反撃。トーマはビビって起き上がれず、その隙にタルラントは島から去った。しかしタルラントもコックリ島では何も収穫を得られたなかった模様。アリスからゲド機関の情報を手に入れたクックス刑事は、クレルモンに向かった。

第7話「ベフォールの子供」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:なかむらたかし 演出:西田健一 作画監督:近藤優次  レイアウト作監:長沼範裕

 100年前、ベフォールの子供たちが謎の死を遂げた工場に残されたフラグメントという黒い鉱物。X線を照射された鉱物からは、不思議な紋様が浮かび上がった。そして何とその紋様は日によってその形を変える。フラグメントと名づけられたその石を研究するため国が設けた専門機関がゲド機関...

 500年のうちに13回もの生と死を繰り返したベフォールの子供、ゲド機関のラドクリフ博士は彼らの輪廻転生を執念を持って調査した。最初は7人いた子供たちも、彼らの本来の目的からフェードアウトした子供たちもいる。嘗てはパルザが、そして今週はハスモダイが。彼は普通の人間として暖かい生活から離れられず、フェードアウトも辞さないと言った。というところで今週の話は終わったけれど、結局何にも分かってない私なのでした(涙)

第8話「温かい家庭」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:古川順康 演出:清水健一 作画監督:垪和等

 ヘルガがトーマの家にやってきた。トーマ母のお古のドレスを着たヘルガは正にお姫様、トーマが見惚れるのも無理は無い。トーマ家の温かい雰囲気に初めは馴染めなかったヘルガだが、少しずつ心をひらき始めた。しかしトーマがあの絵の場所を一緒に探そうと言うと、ヘルガはトーマが家族と離れ離れになってしまうと寂しそうに話す。

 一方、ベフォールの子供の一人・ソレトがあの絵の描き手の手がかりを掴み喜んでいたが、彼女もまたハスモダイと同じく人間の温かさに触れてしまった一人だった。別れたはずの父親と偶然にも街中で再会してしまった彼女は、自分の名を呼ぶ父の声から必死に逃れようとしていた。ヘルガ(ティナ)を追うはずの彼らの道程もまた、簡単なものでは無いようだ。

第9話「オエセル」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ・演出:鏑木宏 作画監督:長沼範裕

 ソレトが持ってきたあの絵に喜びを隠さない子供たち。だがいきなりの蒼い雷光が新たな混乱を呼ぶ。この光こそ、子供たちが「オエセル」と呼ぶもの。彼らの「知識」を盗み、「ゾーン」に干渉した者だけがその力に触れることができると言う。今回、盲目の妹・シベールを救うためオエセルを放ったキルヒナーという男は、27歳のはずだが見た目はどう見ても70歳を越えているとしか思えない皺の濃さ。そして彼は3年前の飛行テストで死んだはずだった。前に出てきたグラスという男と、余りにも似た経歴だ。そしてゲド機関のゲルタ博士はキルヒナーを生きたまま捕まえようとしたところを見ると、彼らが受けたテストはゲド機関で行われたようだが...

 話は変わるが、完全にクックス刑事の相棒となってしまったアリスたん萌えぇ。いやー何ていうか、OLっぽい部分とかお姉さんっぽいところとか結局クックスについてゆく世話焼きなところとかちょっぴり体型がふくよかなところが微妙に混ざってて良いんですよ。それとトーマのかあちゃんも意外と言っては失礼だが美人だよね。体型はかなりオバサンが入ってしまってるけど、昔はかなりのモテモテだったに違いない。

第10話「ゲド機関」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ・演出:西田健一 作画監督:丸山宏一

 111年前にベフォールの子供・メルはデュマに捕まった。デュマは科学者を使い、ゾーンを開ける装置を作り出そうとしているとヒースマは推測する。ワンダーに乗り、子供たちはクレーメルに向かう。クックスは密林奥深くのゲド研究所を訪れるがそこはもぬけの殻のように人気が無い。だがクックスは隠された階段を見つけ、電子ロックの解除を試みる。そして見事ロックを解除し奥へと進む。

 その機関ではキルヒナーの逃亡についてゲルタ博士が問い詰められていた。フラグメントの膨大な記号は彼女の手によって、ゲド次元(白の世界?)を開く装置の設計記号だと解明されたのだ。キルヒナーその他3人の老人たちは、その装置の実験にに駆り出されたのだろう。それを考えれるとどうやらその装置は時間を行き来するもののようだが。直後、ゲルタの前に機関の黒幕・デミアンという偽名を名乗っていたデュマが現れた。その姿を見たゲルタは恐怖に慄いていた。デュマは次回のテスト予定をゲルタに質問する。続けて装置:クリルトのリング完成までの日程を執拗に尋ねるが、ゲルタはついに気絶してしまう。

 研究所の奥には巨大な装置、そして若き日のキルヒナーの姿が写った身分証明書があった。正にここは、ゲルタの研究の全てが眠る場所だったのだ。だがその直後、クックスは兵士に銃撃されアリスは捕まってしまう。一方自分に迫るベフォールの子供たちの気配を感じ取ったかの如く、ヘルガはチットをつれてトーマの家から抜け出した。トーマの両親の絵1枚を残して...

第11話「大切な人」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:伊藤裕之 演出:鏑木宏 作画監督:北山修一

 本日7本目のアニメ視聴。昨日の16本には及ばないものの、やっぱり疲れますわ。来年以降のチェック本数を本気で見直さないとマズいと思う今日この頃です...

 ヘルガとチットは手漕ぎボートで島を脱出したが、悪天候のため転覆の危機。だがそこにキルヒナーを捕らえるべく海に出たゲルタ博士の大型船が偶然通りかかり一命を取り留める。大型船にはキルヒナーの妹・シベールも乗船しており、キルヒナーは妹の前に姿を表したが遭えなく捕まってしまった。

 一方、ヘルガを追っていたベフォールの子供たちは、同じくヘルガを探していたトーマと合流した。ヘルガが船に乗っていることを察知した彼らは、その後を追う。

第12話「閻魔」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:杉山正樹 演出:津田義三 作画監督:佐久間康子

 完全にヘバっている中での2作品は身体に堪えます。自分も年を取ったんだなと実感させられる瞬間です...(涙)

 妹を助けるため、オエセルの力を発動させ暴れまわるキルヒナー。アギはその行動を必死に制止しようとするが、オエセルの力を使うことで、魂の安定を失い閻魔がキルヒナーの周囲を取り囲んだ。閻魔の結界に囲まれたキルヒナーの肉体と魂は、アギの奮闘虚しく消えてしまった。魂を失った彼が、再びこの物質世界で生まれ変わることは無い...

 シベールは兄の幻に別れを告げ涙を流す。怒りに震えるアギは、ベフォールの子供たちのことを思い出したゲルタ博士に、ゾーンに触れるなと強く警告する。ゾーン、死の世界とも言われるその場所は一体どのような場所なのだろうか。トーマはついにヘルガと再会、そしてベフォールの子供たちの目的もついに果たされたのだ。2億光年離れたギシリアからの因縁は、1つの大きな転機を迎える。

第13話「ギリシアの記憶」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:福富博 演出:清水健一 作画監督:垪和等 演出補:水野健太郎

 ヘルガが描いたあの絵はギリシアの月と太陽、そして浄化塔を描いたものだった。2億光年離れた星の人間、そんな余りに突拍子も無いアギの話を、当然トーマは信じようとはしない。だがアギたちはヘルガがギリシアの王女・ティナであることを確信した。ギリシアでは科学者だったベフォールの子供たちは、王宮の崩壊の最中に転生装置・アウトゾーンによってティナの魂を転生装置を使ってこの星に送ったのだ。しかも彼らの独断で。だがギリシアの王はこの行為に激怒し、ティナを連れ戻す(=ギリシアのゾーンに戻す)ように厳命し、彼らは500年前の地球に転生したというわけだ。

 ゾーンに行って戻ってきたキルヒナーは、一度死んで同じ肉体で生き返った人間だ。そしてそれを可能にするのが、彼らのアウトゾーンと、そしてゲルタ博士の装置だ。オエセルは人の魂を構成するエネルギー、通常なら死を迎えた魂のオエセルは安定した状態でゾーンに入るが、その安定を壊したのがキルヒナーだった。

 子供たちの目的はヘルガをゾーンに戻すこと。だがそれはヘルガを殺すことではないか?トーマはアギに迫る。そのような考え方をしたことがなかったアギは衝撃を受ける。そしてキルヒナーと同様、宇宙の意志に反した転生を繰り返す自分たちにも、危機が迫るのではないかとアギは思うのだった。ティナの意志を確認するためには、ヘルガの前世を辿らなければならない。その申し出をヘルガは受けた。一方、姉を追うギリシアから来た人物、デュマもいよいよ動き出す模様。彼の姉とは、何とティナだった...

第14話「軌跡」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 構成・演出:中野一穂、なかむらたかし

 この作品こそ総集編を早く放送して欲しいと思っていたけどようやく実現です。100年毎に転生を繰り返す少女・ティナとそれを追う7人のベフォールの子供たち。1853年に少年たちは仲間の一人・パルザを失うが、そのパルザはその後コンラッド・ルーゲンという名の科学者として、X線を発見した。そしてそのルーゲン博士に感化されゲド機関の科学者となったのがゲド機関のゲルタ博士だ。ティナの転生後の姿であるヘルガと彼女を守ろうとするトーマ、そしてついにティナと再会した子供たちとデュマに恐怖を覚えるゲルタ、今後の展開も期待大です。

 一方今週の総集編では出てこなかったけど、ふと思い出したので書いておこう。ベフォールの子供たちの中に、メルという少女がいた。彼女はパルザが人間・ルーゲンとして生きて行くと決めたとき、特別な思いでパルザを見つめていたが、その後記憶を失い、更にはあのデュマに誘拐されてしまった。そして現代、デュマと対面したときのゲルタ博士の恐怖に慄いた表情...ゲルタ博士は元ベフォールの子供だったことが公式サイトに記されているが、やはりゲルタはメルの転生した姿なのでしょうか。とまぁ、総集編を観たところで色々な想像ができるのも、この作品の深さの証拠だと思う。

第15話「追憶」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:杉山正樹 演出:鏑木宏 作画監督:長沼範裕

 子供の頃、ゲルタはルーゲン博士が書いた詩(長い時間と空間を越えたことを暗示するような内容だった...)に大きな衝撃を受けた。ゲルタの子供の頃の声はあのメルと同じ真綾嬢。そして27年前に訪れたクレルモン療養施設ではヘルガのあの絵が描かれていた。そしてその施設でデュマと出会い、気絶しながらもフラグメントの解読のカギを受け取った彼女はゾーンまで辿り着いたのだ。

 ヘルガの前世・セラフィーヌという画家が晩年過ごした施設は、上記のクレルモン療養施設。そこであの絵を見たヘルガは、涙を流しながらセラフィーヌの記憶の糸を辿ってゆく。ジムという大切な人を失ったセラフィーヌの悲劇を思い出したヘルガは、直後にクリスティーナという名を口にする。そしてその名を聞いたアギは、クリスティーナの教え子が持っていたというハンカチを差し出す。それは、ジムがセラフィーヌにプレゼントしたあの絵が描かれたハンカチと全く同じだった...

 最近のファンタジックチルドレンは面白い。謎が少しずつ明かされてゆくこと自体の面白さはもちろんだけど、緊迫感が伝わってくる演出にも感心しきりです。

第16話「回帰、霧の中へ」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:寺東克己 演出:西田健一 作画監督:丸山宏一、初見浩一

 セラフィーヌよりも前の前世・クリスティーナも、アーノンという大切な少年を事故で失うという辛い経験をしていた。ヘルガの転生前の姿・ティナは幼い頃、深い霧の中で現世のトーマに似た少年・ソランと出会った。そして数年後、ソランと再会したティナは、許婚・セスがいたにも関わらず、ソランと恋に落ちた。ソランはあの三日月の塔の前で、ティナを永遠に守ると誓ったのだ。

 そのティナが現在の地球にヘルガとして転生したことは、本来であればソランとの別れを意味するはず。だがそのソランがトーマの転生前の姿であったとしたら...そして今週分かったことがもうひとつ、パルザとメルは恋人同士だったのね。その二人がベフォールの子供から離脱したのは、やはり科学者として課せられた使命以上に大切なものが、既にこの二人にあったからなのかもしれない。

第17話「ティナ」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:福富博 演出:西田健一 作画監督:北山修一
第18話「惨劇」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:なかむらたかし 演出:津田義三 作画監督:佐久間康子

 17話:EDを熱唱するアギ君ですが、あんまり上手くなかったです(苦笑)。平和なギリシア、そしてティナを襲ったテロの脅威。仕掛けられた爆弾の爆発によってティナは懸命の手当ての甲斐なく死亡。娘の死を受け入れられない父・タイタスはアギたちにゾーンを開き、娘の蘇生を命じた。初めは人体の蘇生実績が無いため反対した科学者たちだったが、最終的には受け入れた。それは王の取り乱した態度に同情したのか、科学者としての使命感だったのか....

 兵器として開発されたはずのオエセルの強大な力によりティナは蘇生した。だがティナの命は作り物、彼女が元気な姿を見せるたびに科学者たちは自分たちの罪の重さに苛まれる。そしてこの事件を期に、王も以前の優しさを失い冷徹な一面を現し始める。一方、爆発事件の犯人は王の弟・ゲオルカだったことが判明。ティナは母・レダからの手紙を受け取り、感動の再会を果たすが何とレダはゲオルカの妻だった。そしてゲオルカはオエセルの制御装置を持ったヒースマを誘拐し、今のティナが作り物の兵器であることを本人の前で明かしてしまう。

 18話:真実を知ったティナはただただ涙を流すだけ。しかし直後兵器としての力を欲したゲオルカの手によって、ティナがゾーンを開きオエセルの力を発動させてしまう。ゾーンが開いていることを察知したアギたち、そしてソランは現場へ急行するが時既に遅し。空中で冷たい表情を浮かべるティナから発せられたオエセルの光が王都を爆風の嵐に巻き込む。しかもオエセルの制御板が壊れてしまい、ゾーンが閉じられない。「最終兵器」となったティナはもう誰にも止められないのか。

 幼なじみのセスはティナを助けようとするが左手を失う重傷を負ってしまう。タナトルームに戻った科学者たちは懸命にゾーンの閉鎖を試みるが、オエセルの力が大きすぎて失敗に終わる。そのティナに迫り来る閻魔の影...そのティナにソランが近づいた直後、ティナのオエセルが黒い霧に包まれる。帰ろう、そう語りかけるソラン。するとティナの周囲から光が消え去り、ティナは我を取り戻した。

 自分の犯した罪に震えるティナを励まし、ソランは彼女を連れて科学者たちの元へ急ぐ。その光景を目の当たりにしたセス。ティナに届かなかった自分の声、だがソランの声は彼女に届いた。その事実を改めて思い知らされた彼には、やはりまだティナに対する想いが消えないでいた。自分がずっとティナを守ってきた、片腕を失ったセスは雨の中でそうつぶやいた。

第19話「誓い」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:中西伸彰 演出:三家本泰美 作画監督:牧内ももこ

 セスの悲しみをよそに、ようやくタナトルームに辿り着いたソランはすぐさまティナの治療を科学者たちに依頼する。だがティナの左肺にあるはずの起動装置が無くなっていた。いや、無くなっていたのではなくティナ自身の肉体が起動装置と同化していたのだ。このままではティナは生きた兵器としてまた同じ惨状を繰り返してしまう。ソランに考えられる選択肢は、兵器としてのティナを壊すか、そして人間としてのティナを自分が殺すか、その2つしか無い...

 時を同じくしてゲオルカが謀反を起こした。彼の目的はギリシアの制圧とティナの確保。タナトルームにも危機が迫る中、ソランはティナに銃を向けるが彼は優しい戦士、愛するティナを殺すことなどできるはずも無かった。とその時、アギはギリシアと同じ水の惑星、即ち地球に再度ティナの魂を転生させることを提案する。ソランはかならず会いに行くと誓い、ティナは転生カプセルに入る。だがこの一連の動きを、傷ついたセスは影から見ていた...

 カプセルが閉まり、ソランはティナに何かを語りかけ背を向けた。その直後、カプセルを大量の血が塗りつぶし、直後にゲオルカ兵士が撃った銃で蜂の巣寸前のセスがティナに何かを語りかけ転生装置のスイッチを押した...先週から気になってはいたけれど、ソラン=トーマと思い込んでいた図式はもしかしたら異なるものなのかもしれないね。

 ようやくシーンは現世の地球に戻る。全ての悲しみを思い出したヘルガの号泣は止まらないが、今のトーマやチットにできることは無かった。一方、謹慎状態となったクックスとアリスだが、やっぱりこのオヤジはヘコたれずあっさり脱出。てか脱出のためアリスたんを無理矢理脱がせた罪は重いぞ!!(笑)

 ゲルタの研究室に忍び込みキルヒナーのデータを持ち出そうとするヒースマ。胴体間の転生に成功したゲルタのデータはヒースマに取って何としても手に入れたいもの。だが言い合いする二人の前にデュマが現れ、ヒースマにデータが入ったディスクを見せびらかす。考えてみれば、コイツも何らかの転生を経て一方、外で夜を明かし、目覚めたトーマの前には何と白髪のヘルガが...どうなるこっちゃ。

第20話「巡る命」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:寺東克己 演出:鏑木宏 作画監督:長沼範裕

 白い髪、ブルーの瞳。それは正に、ティナの姿そのものだった。デュマ(デミアン)は、胴体間の転生を行った者にはわずか2ヶ月の命しかないと断言した。もちろんそれは、ヒースマたちにも当てはまること。しかしその治療法を見つけていると、デュマはヒースマに協力を求める。そしてデュマの投げつけたディスクをヒースマは受け取った。ゲルタは自分の研究がデュマに利用されていることを嘆いたが、幼い頃にその身をデュマに奪われ、恐怖を植え付けられているゲルタには何の抵抗もできない。

 ソラン、そしてセスがあの時命を落としたことをアギはヘルガに話した。ティナの時も、セラフィーヌの時も、そしてクリスティーナの時も、大切な人は皆自分の前からいなくなってしまう。でもそんな悲しみを思い出しても、もう大丈夫と言えるくらい、ヘルガは強くなった。しかしその一方、セス、ソランという言葉にトーマは涙を流しながら周囲の樹に殴る、蹴る。そしてヘルガたちの前から走り去っていった。その行動の意味は、彼自身にもわからない。

 アギたちはティナをギリシアに帰すことが、自分たちにできる唯一の贖罪だと言った。だがヘルガは、ギリシアには帰らないと言い切った。必ず自分の元に来るというソランの言葉を信じたい。そして多くの人生を巡ってきたこの魂は、もうティナ一人だけのものでは無いと。アウトゾーンに乗らなかったソランはヘルガの元に来ることは無い、だがアギはその一言が聞きたかったと言った。この瞬間、彼らも500年という長すぎる時間を彷徨いながら追い求めてきた使命から解放されたのだ。だがティナの復活を企むゲオルカとレダの息子であるデュマ、即ちティナの弟がヘルガを狙っている。この世界の転生装置を破壊すべく、アギとソレトが飛び立った。

その直後、ウワサのデュマがついに出現。ハスモダイとタルラントがデュマ手下の攻撃を抑え、チットはヘルガを連れて逃げ出す。途中のピンチはトーマが飛び込み事なきを得たが、デュマはあっさりと姉であるヘルガを連れ去ってしまった。トーマたちはワンダーに乗りデュマの後を追う。

 研究所にやってきたのはアギたちだけではなかった。クックスとアリスも真相を掴むべく、研究所に足を踏み入れていた。既に転生装置もヒースマの姿も研究所には無かったが、アギの前にかつて自分の妹だったベルが現れた。一瞬使命を忘れ、ベルを可愛がろうとするアギ。だがこれは妹への執着を利用しようとする閻魔の仕業だとソレトがアギへ必死に問いかけ、そして平手打ちにした。ようやく本性を現した閻魔をアギが何とか打ち払うことが出来たのはソレトのおかげだ。21回の人生を歩み、そしてそれらを道具にしてきたアギたちの魂は、ティナのそれとは違い多くの人間を苦しめてきたとアギは言った。しかしそれももうすぐ終わると、ソレトは最後の使命を果たそうと再び歩き出す。だが、転生装置はクリル島に運び出されたことを掴んだ彼らの背中を、ついにクックスが目撃する。

第21話「デュマ」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:福田道生 演出:濁川敦 作画監督:北山修一

 トーマたちがデュマを追いかける一方で、クックス刑事はついにベフォールの子供たちとの対面を果たした。だが6年前の名前で呼ばれようが、クックスが銃を放とうが、アギとソレトはクックスにあっさりと背を向け去って行った。デュマは海底深くに眠るギリシアの宇宙船にヘルガを連れ出した。そこにはティナの身体が静かに置いてあった。かつて自分の魂が宿っていたその身体を前に、ヘルガは一瞬ソランとの想い出に浸る。

 幼いころ父母と共にギリシアを追われたデュマ。たった一度きり、母・レダとの会話を果たした直後にゲオルカによってレダと強制的に離れ離れにさせられた。そして父からティナの魂を探すよう命じられたが、父・ゲオルカの勝手にはさせないと断言したその使命感には、デュマの母への強い想いがあったからに違いなかった。だがヘルガは、デュマの想いに応えることはできないと断った。もう自分の魂はティナだけのものではない、改めてヘルガの気持ちを確認。

 ヘルガの答えに苛立ちを隠せないデュマは、彼女をゲオルカの前に連れて行く。ヘルガはこの大悪党の前でキッパリと断言する、「あなたの言うことには従わない」と。だがそんなヘルガの発言など御構い無しに、ゲオルカはティナの復活の準備を命じる。宇宙船への侵入を試みるトーマたち、デュマが完成したと語っていた転生装置の前で驚きの余り腰を抜かすヒースマ、クリル島に横たわる巨大な転生装置、フラグメント(=アギとソレトが探すアウトゾーンのかけら)に強いレーザー光線を照射するゲルタ博士(パルザとメル→ルーゲンとゲルタを再確認)。もうね、展開が激しすぎて整理が難しいっす(苦笑)。

第22話「飛来」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:福富博 演出:西田健一 作画監督:佐久間康子

 トーマたちが宇宙船に乗り込む一方、ゲド次元の公開実験を見るべく先進国の要人たちがクリル島に集結していた。彼らはティナの復活のため、デミアン、即ちデュマの思い通りに動かされていたということだろう。しかしその実験場に乗り込んだアギとソレトは、ゲルタ博士の目の前でフラグメントの欠片=アギたちの転生装置の一部をぶち壊した。だがその破片がルーゲンの持っていた欠片と似ていることに、ゲルタは手を振るわせた。

 宇宙船、浮上。ギリシアのロボ兵隊と戦闘を交わしつつヘルガを探し回るトーマたちだが、船体が大きすぎるため目的が果たせられない。そして彼らが迷い込んだ部屋には、何とハスモダイたちベフォールの子供たちの身体が...動き出したゲドリングをロボ兵隊が取り囲み、そしてトーマたちの前にはデュマが悠然と立ちはだかった。トーマの攻撃を軽々とかわしつつ、自分には協力者が二人いると笑みを浮かべる。

 デュマの協力者、一人はヒースマ。彼はギリシアへの帰還を果たすために、デュマに協力すると力を込める。おそらくベフォールの子供の中で最もガンコ者であるだろう彼が翻意する可能性は低い。そしてもう一人はメル、いやメルの記憶を有するゲルタ博士だ。全てはもうすぐ終わるとつぶやくデュマ、このまま彼の思い通りになってしまうのか。ギリシアの記憶が戻りつつあるトーマからも目が離せない。

第23話「ゲルタ」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:杉山正樹 演出:津田義三 作画監督:牧内ももこ

 ゲルタ博士はメルの生まれ変わり。彼女が完成させた転生装置は、アギとソレトの奮闘虚しくゲオルカのロボットに占拠されてしまった。一方、宇宙船ではデュマがトーマたちのいる区画を、科学者たちの肉体が保存されたカプセルもろとも切り離してしまった。このままでは海に激突し、カプセルが壊れ肉体は腐ってしまう。ヒースマにとっては許し難いデュマの裏切り、だがデュマはこれが彼らに対する復讐だと冷たく言い放ち背を向けた。

 落下する区画の中で、ヒースマは自分のカプセルにしがみついていた。元の姿に戻りギリシアに帰る、それが彼の願いの全て。だがこのまま激突しては彼自身の命も危うい。そのことをトーマは必死に訴えるが、ヒースマがトーマの差し伸べた手を掴もうとしたその時、カプセルが外れ海に激突した。命尽きる最後まで自分の肉体を心配したヒースマは、静かに永遠の眠りについた。

 デュマはゲオルカとは違う、そんなデュマを自分は信じる。ヘルガのその言葉は、彼女をティナに戻そうとするデュマに届くのか。トーマとアギたちは再び宇宙船に殴り込みをかけ、ソレトはメルの生まれ変わりであるゲルタに初動を完了した転生装置を止めさせるべく研究所に侵入する。ソレトはゲルタにメルの記憶を見せる。パルザとメル、恋人だった二人は寄り添う星座を自分たちに重ね合わせる。パルザがルーゲンになった159年前、メルはあの星座が刻まれた欠片を大人になったルーゲンに渡したものだった。自分とパルザの絆を消さないように...

 メルとしての記憶が蘇ったゲルタ博士。一方、トーマたちはヘルガをティナに戻すべく歩みを進めるデュマの前に立ちはだかった。激突必死の次回、ついにトーマの真実が明らかになる。

第24話「トーマの真実」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:寺東克己 演出:鏑木宏 作画監督:長沼範裕

 トーマとデュマのタイマン勝負開始。トーマの拳法の実力は疑いようのないものであることが、デュマの実力はトーマの上を行っていた。トーマの左手に傷を負わせた後、デュマはヘルガを引き連れて消えてしまった。トーマは傷口を治しチットとタルラントと共にヘルガの後を追うが、その途中にティナの巨大な肉体が安置された部屋にたどり着く。

 ティナの肉体にゆっくりと近づき、その姿を凝視するトーマの脳裏によぎるのは、雨に打たれながらソランに敗北したことを嘆き悲しむセスとしての姿。やはり、トーマのギリシアでの前世はセスだった。ティナとソラン、二人の地球での再会の誓いを聞いてしまったセスは、ティナの転生の直前、何とソランのこめかみを銃で撃ち抜いた!!ティナの転生装置に激しく飛散した血しぶきは、ソランの最後を告げるものだった...

 だがソランが力なく倒れこんだ直後、セスは自分の犯した愚劣極まりない過ちに激しく動揺する。そしてソランの冷たい体を激しく揺らしながら、許してくれと叫び続ける。しかしもちろん、ソランが応えることは無かった。直後、ゲオルカの兵隊たちがセスを取り囲み一斉射撃開始。深手を負ったセスは、ガラス越しのティナを見つめながら再び許しを請い、そして転生装置のスイッチを押した。

 再び現世。セスとしての記憶が蘇り、涙を流しながら絶叫したトーマの髪は白色に染まっていた。デュマはヘルガを引き連れ、ゲオルカの前に立っていた。兄への嫉妬、復讐心を隠さないゲオルカを息子であるデュマは激しく軽蔑する。激怒したゲオルカはデュマを踏みつけるがデュマは嘲笑をやめない。ヘルガはデュマを守るべくゲオルカの前に立つ。親ならば命を賭けて子供を必死に守るべきだと。だがもういいんだと言ったデュマの腰に、銃が隠されていることにヘルガは気づいた。

 デュマは父親を殺す気だ。ゲオルカが部屋から去った後、ヘルガはデュマを強く抱きしめ、そして過ちを犯さないでと涙ながらに訴えた。デュマにとって抱擁は母との唯一の思い出、彼もまた家族愛に飢えた哀しい生き物だった。だが直後、デュマはヘルガを気絶させ、そして彼女を抱きかかえながら転生装置に近づいて行く。親を殺そうとする彼の決意は揺らいだのか、それとも...一方自分がソランを殺し、そしてセスであると叫びつづけるトーマにアギも驚愕。もうクライマックスまで目が離せません。

第25話「ゾーンへ」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ:なかむらたかし 演出:鏑木宏 作画監督:北山修一、佐久間康子、長沼範裕

 ヘルガを抱えたデュマがゲドリングの中心へと降り立った。彼の背中には、ヘルガに抱きしめられた時の温もりが離れない。だが苦しい気持ちが胸に沸き起こりつつも、彼はヘルガをカプセルの中に置いた。そして転生装置を起動すべく、研究員を脅しパスワードを入力させる。記憶を取り戻したゲルタ、そしてクックスがデュマに反抗を見せるが、デュマはクックスから奪った銃でゲルタを撃ってしまった。血が溢れ出すヘルガを背中に見つめ、デュマは最後のパスワードを入力した。

 自分はセス、そしてソランを殺した。ティナを転生させた直後死んだはずのセスは霊道を通り、この地球にやってきたのだ。涙を流しながら、ティナの肉体を凝視するトーマ。だが直後、装置の起動によりゾーンが開きオエセルが発動し、トーマやアギたちはすぐさまリングに直行する。だがリングの中でオエセルが充満し、ワンダーはその雷撃からトーマたちをかばい、その命を絶ってしまった。号泣するチット...

 装置の起動をじっとみつめるデュマ。ソレトは装置を止めるよう、デュマを必死に説得する。ヘルガがヘルガの人生を生きることは、例え弟であっても冒す事はできない、ヘルガを殺さないでと。デュマの心に、「自分を信じる」と優しく言ったヘルガの言葉が蘇り、デュマは転生装置を止めた。だがヘルガの心臓の鼓動は停止してしまった。直後、激怒したゲオルカがデュマに詰め寄った。装置の再起動を命じた父親に、デュマは隠していた銃を向ける。お前を父親だと思ったことは一度も無い、復讐を込めた銃弾とゲオルカの刃が交錯する。

 トーマたちがカプセルにたどり着いたとき、ヘルガは生と死の狭間の世界にいた。誰かがそこからヘルガを連れ出さなければ彼女は助からない。トーマは父との戦いに勝ったデュマを制し、自ら狭間の世界に飛び込んで行った。狭間では生きると言う意識を強く持たねば、トーマもゾーンに引き込まれ死んでしまう。だがヘルガを助けるトーマの強い決意を信じるしかない。最終回は見逃せません。

第26話(最終回)「終焉 そして始まり」 脚本:三井秀樹、なかむらたかし 絵コンテ・演出:なかむらたかし 演出補佐:鏑木宏 作画監督:長沼範裕、北山修一、佐久間康子

 狭間に足を踏み入れたトーマ。彼が立つ暗黒の海の岸辺に、ヘルガが倒れていた。トーマが彼女を抱き起こすと、ヘルガも目を覚ましお互いの再会を喜ぶ。だが直後、トーマが突然胸を抑え苦しみ出し、トーマの姿は左手を鮮血に染めたセスに変わっていた。セスは涙を流しながら自分の犯した罪、そしてトーマになりきれずずっと苦しんでいたことを告白する。信じられないとつぶやくヘルガに、セスは生きてくれと強く願う。そしてトーマは、二人に襲い掛かってきた閻魔の楯となった。

 トーマになって生きて欲しい、今にもゾーンに引き込まれるセスに叫んだヘルガだったが、セスは静かに首を横に振る。自分の罪の重さに深く傷ついたセスの心を目の当たりにしたヘルガは、自分もティナとなって共に死ぬと言った。またしても自分のためにティナの命を犠牲にしてしまう、セスは必死になってティナを引き戻そうとする彼の容姿は再びトーマに戻り、そしてトーマの願いを受け止めたティナもヘルガに戻った。同じ時代をヘルガと生きる、トーマの願いがセスの悲しみを上回った瞬間だった。

 狭間から戻ったトーマとヘルガが目覚める一方、転生装置を壊しギリシアに戻ったデュマは、ティナの肉体を静かな庭園に安置した。そして自分の心の時間を永遠に止めると静かにつぶやいた。ベフォールの子供たちは、ギリシアに残らずこの地球で与えられた人生を生きることを決意する。そしてヘルガもあの施設に戻ることを決意する。そんなヘルガにトーマは、きっとソランに逢えると凛々しい表情で励ますのだった。彼らのギリシアでの記憶はもうすぐ消えてしまう。だがそれでも、彼らは力強く生きて行くのだろう。

 10年後、幼稚園の先生となったヘルガを、一人の旅人が訪れた。幼少の頃のヘルガが書いた灯台の絵をじっと見つめる彼の腕には、ティナという文字が刻まれていた...

 

 ファンタジックチルドレンもこれにて完。放送開始当初は、作品の雰囲気に引かれるものがありつつもストーリーの難解さでどうなることやらと心配でしたが、終わってみれば素晴らしい良作でした。白髪になったヘルガの透き通った青い瞳を、オレはしばらくは忘れられそうにありません。

 ストーリー上のの最も大きなポイントを1点挙げるなら、主人公のトーマが罪深きセスだったことかな。ストーリー中盤あたりではトーマ=ソランで、「500年の時を経てついに恋人二人が再会!!」という筋書きがイヤでも頭をよぎったのですが、そういう安直な設定にせず、逆にトーマ=セスとしたことによりストーリーが更に引き締まったという気がします。また、ベフォールの子供たち、ゲルタ、デュマ、クックスといった、トーマ&ヘルガ以外の脇役たちも、非情に生き生きと描かれていた。これだけ多くの脇役たちが輝いたアニメ作品は、最近は余り記憶にないですね。

 最後に、やはりストーリーで引っ張ってゆくアニメは、最低2クールという時間が必要ということを再認識できました。1クールアニメ=刹那的な快楽、自分の中でそんな図式が確立しつつある今日この頃です。


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