【化学を学んでみよう】東ソー 2022年度第2四半期決算資料を読んでみる

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こんにちは、高配当株投資家のトムです。

私は昨年(2021年)から化学企業である旭化成、三菱ケミカルグループ、東ソーの3社の株を買い進めてきました。これら3社の配当利回りは3~5%程度で高配当である点と、保有ポートフォリオのセクター分散が目的です。

しかし買ったは良いものの、実は化学企業のビジネスの中身をわかっておりません(汗)。一応理系出身なんですが、化学って専門用語が多すぎて全然わからんのですよ...

ということで、ここで一念発起して11月1日に決算発表を終えている東ソーの決算プレゼンテーション資料を見ながら少し勉強していきたいと思います。完全に理解できるか全く自信がありませんが、お付き合いできる方はぜひご一読ください。

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上期は減益の厳しい決算 様々な製品の用語を調べてみる

まず東ソーとはそもそもどんな企業かを把握するため、wikipediaを引用してみます。

東ソー株式会社(とうソー、TOSOH CORPORATION)は、日本の総合化学メーカー。本社は東京都港区にあるが、登記上本店は山口県周南市(旧・新南陽市)。旧社名は東洋曹達工業。東京証券取引所プライム市場上場。日経平均株価の構成銘柄の一つ[1]

苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー(VCM)、ポリウレタンといった「ビニル・イソシアネート・チェーン」事業に加え、石油化学事業(オレフィン、ポリエチレン、合成ゴム等)や機能商品事業(無機・有機ファイン製品、計測・診断製品、スパッタリングターゲット、電解二酸化マンガン、ジルコニアセラミックス、石英ガラスなど)をコアとして事業展開を行っている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E3%82%BD%E3%83%BC

ぐぬぬ...やっぱり専門用語が多すぎて分かりませんね(苦笑)。次に東ソーの上期のセグメント別の売上・利益の表を見てみましょう。

東ソー セグメント別売上と利益
東ソー セグメント別売上と利益

数字面での内容を見てみると、売上は全セグメントで増収を達成しました。しかし営業利益はセグメント毎に増減があり特にクロル・アルカリの大きなマイナスが影響してトータルでは減益です。

「石油化学」「クロル・アルカリ」「機能商品」「エンジニアリング」の4セグメントの詳細な損益状況のスライドもありますので、それも見てみましょう。

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石油化学事業

東ソー 業績概要 石油化学
東ソー 業績概要 石油化学

石油化学セグメントの製品は「オレフィン」と「ポリマー」だそうです。これらの製品の用途をググってみました。

>オレフィン (ポリオレフィン) ・・・水より軽く(比重<0.97)、軽量で、電気絶縁性、耐水性、耐薬品性などに優れた樹脂です。 ラップフィルム・食品容器・レジ袋やシャンプー・リンス容器、ポリバケツ・ガソリンタンク・灯油かん、電線被覆などに使われています。

https://livingspace.dnp.co.jp/

ポリマーとは、複数のモノマー(単量体)が重合することによりできた化合物のことで、重合体とも呼ばれます。

ナイロン

衣服など、生活に欠かせない素材である、合成樹脂:ナイロンもポリマー(重合体)です。

ポリエチレン

スーパーマーケットやコンビニのレジ袋や、ごみ袋に使用するポリ袋の素材である、合成樹脂:ポリエチレンもナイロンもポリマー(重合体)です。

https://kinokikou.jp/info/knowledge/polymer/

なるほど。オレフィンもポリマーも私たちの生活には欠かせない製品(の原材料)であることが理解できました。ちなみに資料右側に記載のある「ナフサ」を調べてみると、以下の意味でした。

>原油を分留して得られる軽質油。粗製ガソリン。精製してガソリンとするほか、石油化学製品の原料として用いる。(Oxford Languagesより)

なおナフサはENEOS HDのような石油精製企業が東ソーのような化学企業に販売していますので、これら企業の損益には相関性があることが推測できます。

クロル・アルカリ事業

続いて「クロル・アルカリ」事業を見てみましょう。こちらの資料の右側にある専門用語を中心に調べてみます。

東ソー 業績概要 クロル・アルカリ事業
東ソー 業績概要 クロル・アルカリ事業

苛性ソーダ(水酸化ナトリウム) NaOH・・・苛性ソーダは、アルミニウムや化学繊維、石けん・洗剤の原料として使用されたり、パルプの溶解や漂白、また、さまざまな工業製品の製造に使われています。 さらに、上下水道や各種産業の排水処理、還元剤として使用されるなど、非常に幅広い分野で使われています。

https://www.jsia.gr.jp/description/

VCM(塩化ビニルモノマー) PVC(ポリ塩化ビニル)・・・塩ビとは、塩化ビニル、または塩化ビニールなどとも呼ばれている俗称であり、塩ビといえば一般には、「ポリ塩化ビニル」あるいは「塩化ビニル樹脂」のことを指します。ポリ塩化ビニルは、単量体(モノマー)である塩化ビニル(クロロエチレン)を重合(付加重合)させた合成樹脂になります。

塩ビは、その経済性や耐久性、加工性の良さ、自己消火性、省資源性などから、金属やガラス、木材、天然繊維などに代わる軽くて丈夫なプラスチックとして、近年では世界的に広く一般に普及している重要な素材になっています。

塩ビの主な用途としては、上水道管・下水道管用のパイプや電力線(電線被覆)、建築資材(建具、壁装材、雨どい、床材、窓枠、デッキなど)、農業用資材(園芸ハウス、農業用フィルムなど)、排気ダクトなどの工業資材、医療用器材、自動車や家電部品、食品包装材、文房具雑貨などの日用品に至るまで、非常に広範囲な分野でなくてはならない資材として利用されています。

https://mitsu-ri.net/articles/pvc

MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)・・・ジフェニルメタンジイソシアネートは、通常MDIと略され、芳香族ジイソシアネートのひとつである。(中略)MDIは、主に、硬質及び軟質ポリウレタンフォームや、塗料・接着剤・エラストマーの製造に使用される

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88

HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)・・・ヘキサメチレンジイソシアネートHDI)は、脂肪族ジイソシアネートの一種(中略)。脂肪族ジイソシアネートは、紫外線による劣化に対する耐性や耐摩耗性に優れたエナメルコーティングに使われ、航空機の外装塗料などに適している。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%83%A1%E3%83%81%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88

第2四半期決算ではこの「クロル・アルカリ」セグメントの利益がほぼゼロと大きく落ち込みました。この理由は「交易条件の悪化」とあり、原燃料の石炭やナフサの価格上昇の影響を受けたようです。また上記の用語の意味から推測できることは、このセグメントの製品は工業・農業・建築資材の原料となるものが多くかなり景気の影響を受けやすそうな点です。ただ損益を見ると売上数量が前年同期で上昇していることから、第2四半期時点では世界の景気はそれほど悪くはなってないと理解できます。

機能商品事業

続いて「機能商品」事業です。ここも、資料の右側にある専門用語を中心に調べてみます。

東ソー 業績概要 機能商品事業
東ソー 業績概要 機能商品事業

クロマトグラフィーは,気体や液体の構成成分を分離分析する手法であり,製薬,食品,
石油化学,化粧品 などにおける有効成分の研究開発,水や大気における環境汚染物質の
分析,作物残留農薬の分析などに広く使われている.
 シリカゲル,ケイソウ土などの多孔性無機材料に種々の有機化合物を塗布または化学
結合した粒子や天然ゼオライト粒子などのケイ素含有セラミックス材料がクロマトグラ
フィー充填剤として用いられている

https://www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/iryou03.pdf

エチレンアミン

特徴・・・極めて反応性豊かな第1級及び第2級アミノ基を持ち、多くの化合物と反応する。
EDC、アンモニア、苛性ソーダを主原料として生産される。

用途・・エポキシ樹脂硬化剤、紙力増強剤、キレート剤、潤滑油添加剤、アスファルト添加剤、界面活性剤など多様な用途に使用。

https://www.tosoh.co.jp/product/organic/ethylenediamine.html

合成ゼオライト(ハイシリカゼオライトHSZ®)

特徴・・・シリカ/アルミナ比が高い(5以上)疎水性ゼオライトであり、高い耐熱性と耐酸性を有します。形状は粉末に加え、成形体(ペレット)もあります。

用途・・・自動車の排ガス処理触媒、石油精製触媒、石油化学触媒、VOC(揮発性有機化合物)の濃縮回収等

ジルコニア・・・ジルコニアはエンジニアリングセラミックスの中で、常温では最も強度と靭性が高いセラミックスです。表面平滑性に優れているためポンプ部品などの摺動部品として、耐摩耗・高靭性により工業用カッターやハサミ、包丁、装飾部品にも利用され長寿命化に貢献しています。

https://www.kyocera.co.jp/prdct/fc/material-property/material/zirconia/index.html

石英ガラス・・・石英ガラスとは、二酸化珪素(SiO2)からつくられるガラスで、通常のガラスに比べ、SiO2の純度が高いものを言う。用途には、照明用、光学用、理化学用、半導体工業用、液晶用、光ファイバ用などがある。

半導体製造工程で使用される機械、装置、容器等は使用される工程によって耐熱性とともに化学的純度が要求されます。どのような状況下でも、半導体材料と反応したり、痕跡といえども、どんな元素も転移してはなりません。また半導体処理工程においては高純度性とともに揮発性物質の有無が重要視されます。

石英ガラスはこれら全ての条件を満たすほとんど唯一の材料であり、半導体工業用途向けの石英加工品、材料、洗浄工程で使われる石英ランプ材料、石英漕の材料、露光工程等で使用される光学用石英ガラス材料、シリコン単結晶引きあげ用石英るつぼ、洗浄工程で使われるランプ材料、露光装置用光学用石英ガラスを提供しております。

https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_sa/quartz_glass.html
https://www.sqp.co.jp/products/usage/semiconductor.html

電解二酸化マンガン・・・電解二酸化マンガン(EMD)は、灰黒色の粉末であり、
主に電池(マンガン電池、アルカリ電池、等)の正極材の原材料として使用される。
また、リチウムイオン二次電池の正極材の一種であるマンガン酸リチウム(LMO)
の原料としても使用される。
その他、マッチ原料、ガラス工業用途(着色)、触媒原料にも使用される。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/tsusho_boeki/tokushu_boeki/pdf/021_02_01.pdf

機能商品事業に属する製品はおおむね先端技術分野で利用される素材が多い印象です。その点では「クロル・アルカリ」と比較して、景気に左右にくいセグメントと言えそうです。

エンジニアリング・その他事業

最後に「エンジニアリング・その他」事業です。

水処理・・・水処理とは水の中から不純物を取り除くことです。生活用水では見た目の清浄さや健康維持を目的とし、産業用の水は用途に合わせた処理プロセスがあります。また、排水は環境への負荷を少なくして放流する必要があります。

水処理プラントとは、水を使用目的にあわせた水質にするため、または周辺環境に影響を与えない水質にして排出するために、各種の処理を行う設備のことです。

https://kcr.kurita.co.jp/wtschool/002.html
https://plant.ten-navi.com/dictionary/cat04/716/

東ソーの企業パンフレットを見ると、前述した「石油化学」「クロル・アルカリ」「機能商品」の3つがコアとされていますが、このエンジニアリング事業の売上はそれらと比べても無視できないくらいの規模です。ESGやサステナビリティの観点では、今後伸ばしていくべき領域かもしれません。

化学の本流を行く東ソー 苦境を脱せるか注目

以上、東ソーの第2四半期決算の内容確認と並行して、化学分野の用語について調べてみました。少しは理解が深まったかなと思います。特に、私たちが日常的に使う多くの製品の原料になっていたり、メジャーな製品の製造工程で使われる材料や装置だったりと、本当に私たちの生活に強く関連しているだなと感じました。

東ソーは総合化学メーカーの一翼を担っており、まさに化学の本流を行く企業と言えます。他社の中には、旭化成なんかは総合化学とは言いつつも住宅に強かったりと総合っぽくない企業もいたりしますが、東ソーは化学一筋な雰囲気を感じ、個人的には応援したくなる企業です。第2四半期決算は厳しい内容でしたし今後世界的な景気後退に見舞われる可能性が低くないですが、下期からぜひ頑張ってほしいと思っています。

今回の記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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