こんにちは、不動産投資大好き人間のトムです
さて久しぶりの不動産投資ネタの投稿になります。前回までに私のお勧めするヤドカリ式不動産投資法と、一棟RCマンション投資について解説しました。
一棟RCマンション編で述べてますが、一棟モノに投資した理由は「区分よりも資産形成のスピードが圧倒的に速い=区分より儲かる(はず)」からなのですが、
一棟RCマンション投資って本当に儲かるの?
と疑問を持たれている方もいらっしゃると思います。

投資家としては、儲からなきゃ意味ないんですけどね(^^;
そこで今回は一棟RCマンションの昨年(2020年)の年間損益について、費目と金額全てを公開し、実際に儲かったかどうかと、どんな費目にどれくらいコストがかかったのかを解説します。それと併せて、不動産投資の収益計算方法と用語の解説もやっていきます。
今回の結論・・・最終的な手残り(税引き後キャッシュフロー)は年額で約210万円でまぁ満足できる数字。投資効率の観点では必ずしも効率が良いとは言えないと自己評価する
一棟RCマンションの収益全公開
収益指標を示す用語の定義
まずは収益の指標を示す用語の解説を行います。この記事での最終目的は、下表にある税引後キャッシュフロー(最終的な手残り額)とROIを算出し、この一棟RCマンションの投資を自己評価することです。
表面利回り(%) | 年間の満室家賃収入を物件価格で割った数字 |
実収入 | 実際にこの一棟RCマンションから得られた賃貸料、更新料、雑収入等の総売上 |
運営費 | 一棟RCマンションの運営に必要な経費の合計。固定資産税、マンション管理委託費、水道光熱費等の合算値 |
運営費率(%) | 運営費を実収入で割った数字。売上に対し、運営費(コスト)がどの程度を示すかを測るのに使われる |
営業純利益 (NOI) | 実収入から運営費を引いて得られる数字。表面利回りでなく、物件の本当の収益力を表す数字として用いられる。NOIはNet Operation Incomeの略 |
NOI利回り(%) | NOIを総投資金額(物件価格と諸経費の合計)で割った額。表面利回りに対して「実質利回り、ネット利回り」とも呼ばれる |
返済金額 | 不動産投資ローンにおける月の返済額(元金と利息の合計) |
税引前キャッシュフロー | NOIから返済金額を引いた額。税金が引かれる前の手残り額 |
税引き後キャッシュフロー | 税引前キャッシュフローから税金(所得税・住民税)を引いた本当の手残り額 |
ROI(%) | 税引き後キャッシュフローを、自己資金(=総投資金額から借入金を引いた数字)で割った数字。投資効率を測るために用いられる |
マンションの仕様と購入金額・借入金額
次に保有する一棟RCマンションの仕様と購入金額についておさらいしておきます。1Kの部屋が20室あり、一室の平均賃料は40,000円です。
- 物件価格:1億500万円
- 場所:神奈川県大和市
- 築年:1987年
- 間取り:1K x 20室
- 平均賃料:40,000円
- 構造:4階建て鉄筋コンクリート(RC)造
- 最寄り駅からの距離:徒歩3分
- 諸経費 :700万円 ※後の計算に用います
- 借入金 :9000万円 ※後の計算に用います
まず表面利回りを算出すると、4万円x20室x12カ月 ÷ 1億500万円 = 9.14%となります。
売上
次に売上です。売上の費目と月あたりおよび年間の売上額を以下に記します(なお千円未満の桁は適宜四捨五入しています)
費目 | 月あたりの売上額(円) | 年間売上額(円) | 備考 |
---|---|---|---|
賃貸料 | 772,000 | 9,264,000 | ・1室平均賃料:40,000円 ・2020年の入居率:96.5% |
更新料 | 19,083 | 229,000 | 1年間で計6室が更新 |
雑収入 (自動販売機収入) | 2,250 | 27,000 | |
合計 | 793,333 | 9,520,000 |
昨年(2020年)は新型コロナウイルスの脅威にほぼ一年中さらされており、今年(2021年)とは異なり緊急事態宣言中は多くの方がステイホームで外に出ない生活を送られていました。そのせいか退去がその前の年(2019年)よりも少なく、入居率は96.5%という高いパーセンテージを達成し、契約更新も計6室行うことができました。
賃貸料の計算ですが、私のマンションの一室あたりの平均家賃は40,000円ですので、40,000 x 20(室) x 96.5% = 772,000円/月となります。

入居率は95%以上であれば優秀な運営成績と言えます。ちなみに今年は昨年の反動なのか、退去が増えています(涙)
また雑収入(自動販売機収入)についてですが、マンションの敷地に自動販売機を1台設置しており、収入の20%を地権者=私に支払う契約を飲料メーカーとしております。月によって変動が大きいのですがだいたい月2千円程度の収入が上がります。ただ賃料よりも小さすぎるのでいわばお小遣いですね。
ちなみに賃料が入らなくなる状況には大きく①空室と②滞納の2つがあります。空室(率)は先ほどの入居率の逆になります(100%-96.5%=3.5%)。そして②の滞納ですが昨年の入居者で滞納が常態化している人が一人いました(既に退去済み)。しかし家賃保証会社の保証が出たため、幸いにもオーナーの視点で損失はほぼありませんでした。
以上より空室・滞納影響を除いた実収入は、 9,520,000円となりました。
運営費
続いて運営費を公開します。
費目 | 月あたり運営費(円) | 年間運営費(円) | 備考 |
---|---|---|---|
固定資産税 | 35,000 | 420,000 | 年1回 |
マンション管理委託費 | 22,000 | 264,000 | |
清掃費用 | 20,000 | 240,000 | |
修繕・原状回復 工事費用 | 72,166 | 866,000 | ・退去に伴う原状回復工事 3室 ・給湯器不具合解消工事 1件 ・共用照明 総交換工事 1件 |
更新時手数料 | 9,500 | 114,000 | 更新料の半額 |
水道光熱費 | 15,000 | 180,000 | |
消防設備点検費 | 11,083 | 133,000 | 年に機器点検1回、総合点検1回の計2回 |
地震保険料 | 8,333 | 100,000 | |
合計 | 193,083 | 2,317,000 |
運営費は年間で2,317,000円となりました。
収益指標の算出
これらの数字から、まず運営費率は、2,317,000 ÷ 9,520,000 = 24.2%となります。私の経験上、運営費率が20~25%の間であれば適正な範囲と言えると思います。
次に営業純利益(NOI:Net Operation Income)を算出します。NOIは先の実収入から運営費を引いた数字ですので、
NOI= 9,520,000 – 2,317,000 = 7,203,000円
となります。またNOI利回り(=ネット利回り)は、NOIを総投資金額(物件価格+諸経費)で除した数字となりますので、以下の通りとなります
NOI利回り = 7,203,000 / (105,000,000 + 7,000,000) = 6.43%
となります。特に首都圏や都市圏の不動産価格が高騰している現在の市況からすれば、NOI利回りが6.4%であれば収益力は悪くない物件と評価できると思います。
次に返済金額ですが、月に元金部分が25万円、利息部分が17万円で、計42万円支払いしています。よって税引前キャッシュフローは以下となります
NOI(7,203,000) – 返済金額(420,000 x 12カ月)= 2,163,000円
となりました。
さて、税引き後キャッシュフローについてですが、実は税金が税引前キャッシュフローから約6万円しか減っておらず、2,100,000円です。何故かというと確定申告の結果、不動産の課税所得が非常に小さい金額になったからです(脱税ではありませんのであしからず)
実は昨年は物件取得の翌年で不動産取得税が別途かかり、これが約100万円しました(ただし1回きりの費目ですので上記の計算からは外しています)。また減価償却費が380万円程度あり、課税所得の計算で経費にならない返済金額の元本部分の年額(約300万円)を大きく上回っています。更に私の物件所有数ですと青色申告の事業的規模に当たりますので65万円の控除も適用できます。これらより課税所得が非常に小さくなりました。
税引き後の手残りが200万円を超えているのであれば、投資としてはまぁ満足いくものだと自己評価します。何故なら株式投資の配当金・分配金で200万円を得ようとすれば、6000万円程度の資金が必要だからです。株式投資では簡単にはレバレッジを効かせられませんから、融資が使えるという不動産投資のメリットを活用できた結果であると考えます。
最後にROIの算出です。以下の通りとなります。
2,100,000 ÷ 自己資金(105,000,000[物件価格] + 7,000,000[諸経費] – 90,000,000[借入金]) = 9.54%
9.5%のROIが一般的にどのような評価を受けるかは分かりませんが、自己評価としては若干物足りなく効率が良いとは言えない数字です。ROIが9.5%ということは投資回収するのに最低で11年(≒100 ÷ 9.5)かかるということですし、物件が築古で修繕費が嵩む可能性が高いことを考えれば実際には更に年数が掛かります。
個人的な意見としてはROIが10%を超えていて10年以内に回収して次の物件に投資する、というサイクルを回すのが効率の良い不動産投資と思っています。先に株式投資との比較でレバレッジを効かせられていると評価しましたが、すごく効率的に効かせられているかと問われれば、残念ながらそこまでの効率の良さは無い、という評価になります。
以下にまとめとして、本一棟RCマンションの収益指標と結果について再掲します。
表面利回り(%) | 9.14% |
実収入 | 9,520,000円 |
運営費 | 2,317,000円 |
運営費率(%) | 24.2% |
営業純利益 (NOI) | 7,203,000円 |
NOI利回り(%) | 6.43% |
返済金額 | 5,040,000円 |
税引前キャッシュフロー | 2,163,000円 |
税引き後キャッシュフロー | 2,100,000円 |
ROI(%) | 9,54% |
まとめと今後の見通し
私が所有する一棟RCマンションの昨年(2020年)の収益について費目と金額を公開し、自己評価してきました。 結果としては、最終的な手残り(税引き後キャッシュフロー)は年額で約210万円でまぁ満足できる数字である一方、ROIの低さから投資効率の観点では必ずしも効率が良いとは言えないという自己評価になりました。
さて、この記事を書いているのは今年=2021年ですので、私としては当然今年の年間損益がどうなるかが気になっています。
現時点での今年の年間見通しは残念ながら暗く、昨年より悪化するかもしれません。というのも今年に入り、①コロナ渦から徐々に生活が正常化するにつれ退去が増えている、②水回りのトラブルによる修繕費が嵩んでいる、という2つの事象に悩まされています。①は特に入居年数が長かった方の退去が立て続けに発生し、原状回復工事費用がバカ高くなってしまいました。②は完全に突発的な事象ですが、築古のマンションでガタが来ている箇所が目立ち始めた感じです。昨年の修繕・原状回復工事費用は100万円未満でしたが、おそらく今年は100万円を超えます。
非常に厳しい不動産賃貸運営を強いられている状況ですが、突発的な事象にも対応できるだけのキャッシュは確保しつつ、収益がまた上手く回る時を待ちたいと思います。
今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。