【買い時が来た!】インテル(INTC)の株を新規購入!(後編)

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前編はこちらをご覧ください。

前編ではインテル株の購入に至った理由を述べました。一言で言えば「株価が大きく下落し、配当利回りが大きく上昇したから」でした。そして当然の疑問として以下が湧いてきます。

  • 株価の低迷はインテルのビジネスが上手く行ってないからではないのか?
  • もしビジネスが低調なら連続増配がストップする可能性もあるのでは?

この後編では上記の疑問点について、私なりの意見を述べていきたいと思います。先に簡単な結論を述べますと以下の通りです。

  • 確かにインテルのビジネスは苦境だが、2023年に反転攻勢に出る可能性は高い
  • PC向け半導体はおそらくOK、カギを握るのはサーバ向け半導体
  • 配当は一時的に据え置きor減配の可能性があるが、復活すれば増配に戻る
  • 復活の時まで株価低迷は続きそうなので、むしろ今は買い時

以下で、上記の詳細を述べていきたいと思います。

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インテルの株価低迷の理由

コアであるPC向け半導体とサーバ向け半導体が大きく落ち込む

そもそもなぜこれだけ株価が落ち込んでいるかですが、先の疑問の通り本業ビジネスの低迷が最大の理由です。直近の四半期決算(2022年第2四半期)は以下の通り惨憺な状況です。

事業別に見ると、クライアントコンピューティンググループ(いわゆるPC向けMPUビジネス部門)の売り上げは、前年同期比25%減の77億ドル、データセンタおよびAIグループの売り上げは同16%減の46億ドルとなった。PC市場の低迷が業績に影響を及ぼすことは事前予想のとおりであったが、ハイエンドサーバ用半導体が予想外の減収となったことが、アナリスト予想よりも業績を押し下げることとなった。半導体価格の下落に加え、顧客の注文がAMDに流れたとみる向きもある。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20220801-2413422/

インテルの売上の大半(8割以上)はPC向け半導体とサーバ向け半導体ですから、これらの売り上げ低迷は会社の業績に直結します。この決算発表は投資家にネガティブ視され、決算発表日(2022/7/29)にインテル株は約10%下落しました。

もう少し深堀して、なぜインテルはPC向け半導体とサーバ向け半導体で苦戦しているのでしょうか?その理由は大きく2点あります。

  1. インテルの半導体プロセス技術開発が大きく遅れていること
  2. 競合であるAMD/TSMCの競争力が強力であったこと

近年のインテルの半導体プロセス技術開発は「延期の連続」だった

ここで半導体プロセス技術について簡単に説明します。インテルの主要製品であるCPUに代表される半導体ロジックチップは半導体の集積度(小さなチップにどれだけの半導体を実装できるか)によって性能が変わってきます。つまり半導体を小さくして集積度を高くすればするほど、基本的に半導体チップの性能は向上します(駆動速度が高速になる、低消費電力で稼働できる)。

そして半導体プロセスというのは半導体を小さく(微細化)する工程のことを意味します。この技術が高ければ高いほど、高性能の半導体チップを製造することができるわけです。(私の説明だけでは不十分な点もありますので、詳しく知りたい方はこちらのサイトをご参照下さい)

インテルは近年 ~正確には2016年あたりから~、この半導体プロセス技術開発を円滑に進めることができませんでした。具体的には10nmプロセス(10nmというのは半導体ゲート長のことを指しますが詳細は割愛します)の開発で様々な技術的な困難に直面し、予定していたリリーススケジュールが延期延期また延期と大幅に遅れたのです(関連記事)。

この延期の影響は現在のインテルにも暗い影を落としています。というのも半導体プロセス開発はいきなり短期間でとてつもないブレイクスルーが果たせるわけはなく、細かい技術の積み重ねであるからです。10nmプロセスのリリースは当初予定から3~4年程度遅れましたが、この遅れはそのまま現在のインテルの半導体プロセス技術の遅れに繋がっています。

ここで「遅れ」と表現しましたが、当然インテルには競合企業が存在します。半導体ビジネスでは「設計開発・販売」を行う企業と「製造」を行う企業の2つに大きく分かれます。これら両方をカバーするインテルのビジネスモデルは「IDM」(Integrated Device Manufacturer)」:垂直統合デバイス製造業者)とも称されますが、半導体プロセス技術(製造側)の遅れにより設計開発も大きく停滞し、競合他社の後塵を拝することになります。

強力な競合であるAMDとTSMCがインテルの前に立ちはだかる

インテルの競合ですが、前者のチップ設計開発・販売における競合がAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ社)、後者の製造についてはTSMC(台湾積体電路製造社)です。インテルの遅れをしり目に、近年これら2社が競争力を大きく向上させ、現在では絶対性能やコストパフォーマンスで優位に立っています。

元々AMDはインテルの互換CPUを開発・製造・販売し、業界内である程度の地位を築いていました。(私も人生で最初に買ったPCはAMDの互換CPUが載っていました^^)。そのAMDは近年、製造をTSMCに委託するようになり、高性能CPUの設計開発に専念。その結果、インテルのPC向けCPU(Coreシリーズ)を性能で上回ることも多いRyzenシリーズのリリースに繋がりました。

そしてTSMCの半導体プロセス技術は非常に高いものがあり、半導体ゲート長が5nmとインテルより小さい高性能な半導体プロセスのN5が既に実製品(AppleのM2など)で適用されており、インテルの1~2世代先の技術を持っています。Ryzenの高いパフォーマンスは非常に処理効率が良いCPUデザインに加えTSMCの先進的な半導体プロセスが大きく寄与しています。つまりはこの2社が強力なタッグを組み、インテルの強力なライバルとして立ちはだかっているのです。

独壇場のサーバ向け半導体市場のシェアがAMDに浸食される

従来よりインテルは、我々が日常で使っているPC向け半導体市場でも強力でしたがそれ以上にサーバ向け市場で長年にわたりXeonシリーズというCPUをリリースし独占的なシェアを維持していました。しかし近年はTSMCと強力タッグを組んで勢いに乗るAMDのEPYCシリーズにシェアを奪われています(参考記事)。

先ほど触れた第二四半期決算の別記事から引用します。

もっと厳しいのがDCAI(データセンターとAIグループ)である。昨年の55億ドルから46億ドルと9億ドルも売上を減らし、営業利益は21億ドルから2億ドル、営業利益率は遂に5%まで落ちた。理由としてはOEMの在庫が積みあがっており、ASPが下がり、かつ競合の圧力が高まっているため・・・

※注:データセンター事業で販売しているのがXeonシリーズ

https://ascii.jp/elem/000/004/100/4100015/

営業利益は前年同期比でなんと9割減です。かつて独壇場だったサーバ向け市場でシェアを激減させ、会社の財務を脅かすレベルにまで低迷しています。このニュースが株式市場に与えたインパクトは大きく、株価の大きな下落に繋がったのです。

この低迷の理由はやはり開発の遅れです。インテルは開発コード名「Sapphire Rapids」というサーバ向けCPUを今年の早い段階でリリースするはずでしたが、執筆時点でもいまだ本格リリースに至っておらず、やむなくIce Lake-SPという若干古い設計のCPUで凌いでいる状況です。※上記で引用したAsciiの記事の3ページ目にあるSapphire RapidsのQAはかなり生々しい内容なので興味ある方はご覧ください

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トップのリーダーシップで開発の遅れを取り戻しつつあるインテル

ここまででインテルの苦境=株価低迷の理由について述べてきました。では将来についてはどうかというと、私は少し明るい兆しが見えてきたと思っています。

現実を直視し、選択と集中を進めるゲルシンガーCEO

最大のトピックは2021年にインテルに復帰したパット・ゲルシンガーCEOが、ようやく会社の(悪い意味での)現状を理解した上で、再びインテルがトップに返り咲くためにリーダーシップを発揮し始めた点です。ゲルシンガー氏は長年インテルのCPU設計を担った伝説的なエースエンジニアでしたがVMWare社のCEOを経て昨年古巣にCEOとして復帰しました。

ハードもソフトも熟知し経営の経験も豊富に持つ彼ですが、私が見る限り復帰直後はインテルの悪い状況を正しく理解できていなかったのではないかと感じます。特に開発スケジュールについては対外的にオンスケと言っておきつつ土壇場で延期する悪しき慣習を改善し、正しい情報をメディアに提供するのに1年以上を要した印象です(私は先のQAなどでその雰囲気を感じました)。

ゲルシンガー氏はIDM2.0という新たなビジネスモデルを立ち上げると宣言しましたが、もう少し踏み込めば「選択と集中を徹底的に行う」という方向性だと思います。例えば最近Optaneという次世代メモリのビジネスを事実上キャンセルしました。そしてArcというGPUビジネスもキャンセルされた可能性が報じられています。GPUはNVIDIA社とAMD社が既に独占的な地位を固めておりこれからチャレンジしても勝てる可能性は高くありませんので、貢献度の低いビジネスリソースをコアビジネスであるCPU開発とプロセス技術開発に集中するという方向性は間違ってないと私は思います。

新プロセス技術であるIntel4で挽回を図る

そして最大の懸念事項である半導体プロセス技術について、徐々にTSMCに追いついていく可能性が見えています。現在インテルの主力の半導体プロセス技術はInter7で、これは性能的にTSMCの7nmプロセスと同等のものであり、5nmプロセスを既にリリースできているTSMCに1世代分遅れています。

しかし来年2023年にはIntel4という新たな半導体プロセス技術がリリースされる予定です。Intel4はインテルの半導体プロセスとしては様々な新技術が投入されており性能面で大きなジャンプアップを果たせる見込みです(名前の”4″というのは「競合他社の4nm~5nmプロセス相当」という意味です)。なおTSMCは今年中に次の世代である3nmのプロセス技術であるN3を稼働させる予定ですが、開発に難航しているという噂もあり無事リリースできるか分かりません。私が知る限り3nmプロセスは半導体微細化の終局点にかなり近づいており技術的難易度は非常に高いので開発難航の信ぴょう性は低くないと思いますし、そうであればインテルが2023年にTSMCに追いつくチャンスは高まります。

反転攻勢のカギを握るのは最新サーバ向けCPUのリリース

インテルのPC向け最新CPUであるAlder Lakeは設計面では非常に優れており半導体プロセス技術の遅れを設計側である程度挽回しています。従って半導体プロセスの更新による性能面のジャンプアップは大きいですので、性能面についてPC向けCPUのビジネスは明るい見通しを持てます(まぁPCは需要の増減が比較的大きいので、第二四半期決算で指摘されていたような需要減が続けば厳しさを増しますが、これは予想が難しいですね)

一方で懸念があるのが利益を大きく落としているサーバ向けCPUです。最新のSapphire Rapidsのリリースが遅々として進みません。当初はとっくにリリース済みのはずでしたが、先のQAの中にも触れられていた通り今年中にギリギリリリースできるかどうかというところです。Sapphire Rapidsは利用されるプロセス記述はInter7であり既にPC向け半導体で実績がありますが、設計面で新技術が複数投入されており開発に難航しているようです。

インテルの反転攻勢のカギを握るのはこのサーバ向けCPUのリリースです。PC向けと比べてサーバ向けCPUの需要は比較的堅調ですので、ここをしっかり押さえることがインテルのビジネスには重要ですし、第二四半期で大きく減らした利益を取り戻さねばなりません。私は先のQAでのゲルシンガー氏のコメント(2022年中に一部製品、2023年にほとんどの製品をリリース)を信じています。このコメントの通りであれば2023年の損益に貢献できますが、サーバ向けCPUのリリース状況については注視していきたいと思います。

反転攻勢まで株価は低迷か 連続増配がストップしてもガマンすべき

インテルは2023年に反転攻勢に出られると予想しましたが、それまでの株価はどうなるでしょうか。私は来年まで株価の上昇は期待しにくく低迷が続くと予想しています。改めて直近3カ月の株価推移を見てみましょう。

インテル 株価推移(直近3カ月)
インテル 株価推移(直近3カ月)

大きな減益となった第二四半期決算の発表が7月末でしたが、それ以降もジリジリと株価が下がり続けています。この主な要因はやはりFRBの金融引き締めでしょう。半導体企業であるインテルは配当を出している点や企業として成熟している点ではバリューの側面を持ちますが、業種的にはグロースの側面もあり、金融引き締めの影響をそれなりに強く受けている印象です。

この金融引き締め=政策金利の引き上げは今年いっぱい続けられ、2023年には金利上昇も落ち着く見込みです。つまり本業ビジネスが再び軌道に乗るタイミングと金融引き締めの影響が弱まるタイミングが同時に来る可能性があるわけです。私としてはそこでインテル株の反転上昇、逆を言えばそれまでは絶好の買い時が続くと考えます。私は株価が40ドルを下回る限り、毎日1株の購入を続けるつもりです。

また配当金についてはどうでしょうか。今年の損益は厳しい内容が予想されていますし、研究開発に多額の資金が必要なのは変わりませんから、多くのキャッシュを確保することは難しいでしょう。2023年に増配ストップ、もしくは最悪の場合減配になってしまう可能性はゼロではないと思います。ここは2023年にどの程度の利益を見込めるかがポイントとなりそうです。従ってやはりIntel4や新サーバ向けCPUのリリースを遅延なく実行することがインテルにとって非常に重要です。

長くなりましたが今回の記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

※インテルの2022年第3四半期決算のレビュー記事はこちらです!

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